下宿HIROTA代表の廣田さんは元料理人
インスタグラムにはその日のメニューがアップされ、離れた所で暮らす親も見ることができる(下宿HIROTA)
スポーツ選手特化型の「OGARU-SO」には、いつでも使えるトレーニング部屋が設置されている

 高校や専門学校などへの進学に伴い、新たな土地で暮らす若者たち。アパート暮らしが主流の昨今だが、食事付きで値段が安い下宿の人気も健在。“昔ながら”のイメージもまだ色濃いが、今どきの下宿ってどんなところ? 学都・弘前でのぞいてみた。
 弘前市御幸町にある「下宿HIROTA」は、元料理人の廣田範央さん(41)が代表を務める料理自慢の下宿だ。
 元イタリアンの料理長のほか、老舗ファミリーレストランなどでの調理経験もあり、下宿で出す料理は和洋中にエスニックとなんでもござれ。治部煮からシンガポールチキンライスなど幅広く、メインメニューは30種類以上。日曜日以外はほぼ毎日、インスタグラムとフェイスブックに料理をアップしており、離れて暮らす保護者も食事内容を確認することができる。
 廣田さんは高校卒業後飲食業の道に入り、市内レストランでのシェフや、飲食店の出店などに関わっていたが、下宿を営んでいた両親が続けるかどうか悩んでいたため、32歳で継ぐ決意をした。仕事も楽しかった時期だが、「4人きょうだいを育て上げてくれた親が困っていた。迷いはなかった」。
 下宿では、入居者のプライベートを尊重し、連絡事項や困り事、相談などはラインを中心にやりとり。「ラインは今の世代にはかえって相談しやすいようだ」と廣田さん。一方で、敷地内に事務所があるため、すぐに面と向かって対応できる下宿の良さもある。「下宿運営は弟や妹ができたみたいで楽しい」と話しつつ「特に高校生はお預かりしている身なので、してはだめなことに関してはしっかり言います」と話す。
 一方、弘前市城南にあるのは、珍しいスポーツ選手特化型下宿の「OGARU―SO(オガルソ)」。親元を離れ、スポーツ強豪校へと通う高校生たちが暮らす。
 もとは違うオーナーの下宿を、スポーツに打ち込む高校生が対象の下宿に特化して2018年9月に新たにスタートした。昨年3月にはリフォームも完了し、下宿には、県内強豪校で柔道やスキー、バスケットボールなどに精を出す高校生が県内外から集まっている。
 管理する佐藤直さん(38)は「スポーツで活躍できる選手育成のサポートをしたい」と立ち上げのきっかけを話す。
 下宿内には共同施設としてトレーニング部屋がある。ランニングやサイクリング、ウエートのマシンを設置し、24時間365日使うことができる。また、「下宿で何よりも大事なのは食事」と、競技に合わせて食事を提供。練習着など洗濯する機会の多い子どもたちのために、洗濯機は個室20部屋に対して8台を設置、家賃に洗濯代を入れることで無料で好きなだけ使えるようにした。
 佐藤さんは「近いところでは、2025年に青森県で開催される国体に、ここから子どもたちが出てくれればと思う。将来スポーツでご飯が食べられるよう、一旗揚げられるようにサポートできたら」と話す。また「今弘前にある下宿でも、ご飯を出すのが大変になってきた所もあると聞く。そういった所にここから食事を提供するなど、学都弘前で下宿をなくさないためにも何かできれば」と話した。