江戸期の雰囲気を残す酒蔵で「安東水軍」(左)と「神の座」を手にする尾崎社長
鯵ケ沢町漁師町にある尾崎酒造の社屋
今も残る「莞爾醸造元」のはんてん

 日本酒「安東水軍」で知られる鯵ケ沢町漁師町の蔵元・尾崎酒造が、3月で創業から160周年を迎えた。かつて同町内に15はあったとされる蔵元だが、今では同社が西北五地方唯一となり、7代目の尾崎大社長は昔ながらの酒造りに加え、アルファベット名の若者向け日本酒を製造、販売するなど新たな試みも手掛ける。160周年の記念酒も年内に発売する予定だ。
 同社によると、尾崎家自体は今から約370年前、江戸時代初期の正保~慶安年間(1644~1652)、若狭国(福井県)から北前船で移住してきた船乗り五郎右エ門が始まりとされる。代々海産物の仲買商などを営んできたが、万延元(1860)年に現在の酒造業を始めた。
 同社の日本酒は、世界自然遺産白神山地の麓に流れる伏流水を使用していることが特徴だ。かつては「莞爾(かんじ)」「白菊」といった銘柄を製造してきた。今では12世紀後半から15世紀にかけ、貿易港「津軽の十三(とさ)の湊(みなと)」の繁栄を築いた日本海の覇者から名付けた「安東水軍」や俳優の故・森繁久彌氏が命名、晩年まで愛飲した「神の座」を主力商品とする。ほかにも「白神のしずく」「ブナの白神」「岩木川」といった日本酒を送り出してきた。
 尾崎社長が蔵元7代目を継いでからは「FF」「Dラベル」といったアルファベットを交えた銘柄名で、若者向けに柔らかな味わいの日本酒も製造、新たな挑戦を続けている。160周年記念酒は「安東水軍」の銘柄で発売する予定で、製造方法も「特別な作り方」という。
 尾崎社長は「西北五地方でたった一つの蔵元になってしまい、プレッシャーも感じる。でも、だからこそ最後に残された地域の蔵元として、皆さんにより良いお酒を提供していきたい」と話した。