新型コロナウイルス感染拡大が懸念される中、弘前大学医学部附属病院が、県外からの里帰り分娩(ぶんべん)の受け入れを休止することが13日、分かった。津軽地域保健医療圏では、各医療機関が役割分担して里帰り分娩に対応していく方針で、新たに独自のガイドラインも作成。感染した妊婦については、弘大病院の高度救命救急センターで受け入れる方針だ。
 一般的に、妊婦が実家などに帰省して出産する里帰り分娩を希望するケースは多く、津軽地方でも通常の受け入れの半分が里帰り分娩という医療機関も少なくないという。こうした現状に加えて、居住地で快適な出産を目指していた人までもが、新型コロナウイルスの感染を懸念し、感染リスクの低い地域に移住、帰省する可能性を指摘する声も上がっている。
 現在の感染状況を考慮し、日本産科婦人科学会、日本産婦人科医会は帰省分娩を極力避けるよう呼び掛けており、弘大病院は本来診るべき重症の妊婦患者を受け入れるため、里帰り分娩の休止を決定した。
 一方で、津軽地域保健医療圏では、やむを得ない事情で帰省する妊婦への対応も検討。弘大病院と弘前市医師会が中心となり9日付で、新たに独自のガイドラインを作成し、感染拡大が懸念される中での里帰り分娩の対応について、10日に各医療機関に通知、了解を得た。
 ガイドラインでは、里帰り分娩の対応について、津軽地域では1次医療機関で受け入れる方針を示している。受診の際は、帰省から2週間以上経過し、健康状態に変化がないことを確認した上で、1次医療機関に相談、受診するよう呼び掛けている。ただ、母体合併症や胎児合併症などの緊急事態や重症の場合は、1次医療機関から国立病院機構弘前病院か、弘大病院に相談することとしている。
 里帰り分娩受け入れ休止について、弘大産科婦人科学講座の横山良仁教授は「ハイリスクな妊婦を守るための判断」とし、地域医療を守るための医療機関の役割分担の重要性を強調するとともに「なるべく居住地から動かず、現在通っている医療機関などで出産することが一番の安全につながる。やむを得ず帰省する場合は、受け入れている1次医療機関に連絡してほしい」と呼び掛けている。
【写真説明】里帰り分娩への対応について語る横山教授