鶴田町が、町民の自殺防止に力を注いでいる。福祉関連の担当課のみならず、全職員による課を横断した取り組みが特徴で、小学生向けの予防教室を取り入れるなど、老若男女すべてのケアを行う体制を目指している。町民らが直接悩みなどを相談する窓口機能を担うボランティアの活動も活発だ。
 町健康保険課によると、同町の自殺による死亡者数は2002年をピークに減少に傾向にあり、ここ数年は年間2、3人ほどで推移している。
 16年の自殺対策基本法改正を受け、町は18年12月に相川正光町長を本部長とする「鶴田町いのち支える自殺対策本部」を設置。庁内の全課長級をメンバーとするほか、各課職員から成るワーキングチームも設置し、消防団やボランティア団体ら一般町民も参画している。
 重視しているのは、高齢者と生活困窮者および無職者・失業者への対策。分野横断で対策を講じ、情報共有することに努めている。
 19年度から独自の取り組みも進めており、その一つが、学校や町教委が連携して実施する、児童生徒SOSの出し方に関する出前授業。また、各課職員を対象とする自殺防止に関する研修も今年1月下旬に開催し、相川町長を含む延べ100人ほどが出席した。
 同町の傾聴ボランティア「つるりんの会」は、月2回ほど町保健福祉センター鶴遊館で「傾聴サロン」を開催している。悩みを抱えて訪れた人に会員が対応している。会員は定期的に研修を受けるなどして活動継続に努めており、一戸幸三郎会長は「何回も続けていくと(相談者が)明るい話題もしてくれる。話をすれば悩みがほぐれてくるのではないか」と手応えを感じている。
 現在は、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、活動を一時休止している。
 町健康保険課は、悩みを抱えた町民らに向けて引き続き、広報誌などで活動をアピールし、自殺予防啓発に努めていく考えで、担当者は「目標は誰も(自ら死を選ぶ状況に)追い込まれない社会」と力を込めた。