弘前大学農学生命科学部生物学科の西野敦雄准教授(46)らの共同研究グループが7日、ホヤを驚かせると、酸素や餌を取り込むためにえらで行われる「繊毛運動」が止まる仕組みを解明したと発表した。ホヤと同様に繊毛運動で呼吸するホタテなどの生理機能の解明や、同運動の低下によるヒトの疾病の発症メカニズム解明につながることも期待される。
 筑波大学下田臨海センターの城倉圭博士、千葉大学理学部の小笠原道生准教授らとの共同研究で、成果は3月27日付の英国科学誌「Journal of Experimental Biology」に掲載された。
 ホヤの繊毛運動は、えらにある無数の繊毛が激しく動き、水流を生み出すもの。この水流で体内に酸素や餌を取り込み、不要な水やふんを排出する。ホヤが入水孔や出水孔などの敏感な部分を触られると、繊毛運動を反射的に止める「繊毛停止反応」が知られていたが、その仕組みは解明されていなかった。
 今回の研究では、カタユウレイボヤのえら組織を使い、繊毛細胞に神経伝達物質のアセチルコリンを噴射することで、繊毛停止反応が誘発できることを発見。同物質を感知する10の候補遺伝子を分析した結果、ヒトの脳や免疫系の細胞に発現する「α7型アセチルコリン受容体」がえらの繊毛細胞に発現していたことを突き止めた。
 この発見を受け、通常はアセチルコリンに反応しないカエルの卵に、人為的に「α7型―」を発現させたところ、ホヤの繊毛細胞と同等のアセチルコリンへの反応性が見られたという。こうした結果から「α7型―」がホヤにおいて繊毛停止反応を引き起こす要因であると結論付けた。
 西野准教授は、繊毛運動がヒトを含む多くの動物に見られる生理現象であることから「動物学全般にとって意義ある発見」と強調。「今後は繊毛停止反応の長さが、どのようにコントロールされているのか解明していきたい」と話した。