県内の医療、消防機関代表で組織する県救急搬送受入協議会は8日、県庁内で初会合を開き、重症救急患者の“たらい回し”解消に向け策定が義務付けられた「実施基準」の作成作業に着手した。症状と緊急度に応じた搬送先リストや、受け入れ先が決まらない場合の調整方法などを盛り込んだ実施基準を9月に策定し、より円滑な救急態勢を目指す。席上、各地の委員からは特定の診療科目や専門医師の不在など救急医療に制約がある現状が報告され、地域で異なる救急医療の事情をいかに基準に反映させるかという課題が浮き彫りになった。
本県の協議会は消防職員、医師、学識経験者ら20人で構成。初会合では会長に浅利靖弘前大学大学院医学研究科教授、副会長に今明秀八戸市民病院救命救急センター所長を選んだ。
会合で県は、これまで県内でたらい回しは確認されておらず、現場到着から病院収容に要する時間も全国平均に比べ2分程度短いとの調査結果を説明した。
救急搬送を担う委員からは「小児科、精神科系など搬送が難しい診療科目がある」(青森消防本部)、「夜間に耳鼻科、産婦人科に受け入れ先がない」(十和田消防本部)、「骨折は地域外の弘前、西北地区に搬送」(鯵ケ沢地区消防事務組合)など、各地の実態が報告された。
また、医療機関側は「基本的に専門科目以外の患者でも受け入れざるを得ない」(西北中央病院)、「救急医療に携わる医師の労働環境が厳しい。負担軽減が必要」(弘前市立病院)などと訴えた。
複数の委員が、妊娠しても妊婦検診をせず病院に運び込まれるケースの多さを指摘した。
県は今後、弘前大学医学部附属病院に高度救命救急センターが開設される7月までに実施基準案をまとめ、県内6保健医療圏域ごとの説明会やパブリックコメントを経て9月に策定する方針。地域事情をどのように整理するかは今後、決定するという。
救急医療をめぐっては2006年以降、奈良県や東京都などで医療機関の収容拒否による死亡例が頻発するなど態勢の不備が社会問題化している。そのため国は昨年5月に消防法を改正し、都道府県に実施基準づくりを求めた。
基準には(1)適切な治療を施せる医療機関リスト(2)救急隊の患者観察基準(3)コーディネーターによる搬送先の調整―などを定める。
【写真説明】救急搬送・受入協議会長の浅利靖弘前大学大学院教授(左)に実施基準策定を諮問する三村申吾知事(県災害対策本部室)











