深浦町でサルの食害が後を絶たず、農家は頭を悩ませている。8月中旬には柳田地区でコメにも被害が出た。同地区の農家は町から譲り受けた「ウルフピー」というオオカミの尿をペットボトルに入れ水田に置き、サルを寄せ付けない対策に取り組んでいる。すべての動物の天敵となるオオカミのにおいを発散させ近寄らせないという実験だ。約1カ月経過したがサルの姿は見えず、農家は効果の継続に期待している。
 サルは町内全域に出没しており、生息数は把握できないものの、町は約100匹の大群を確認している。
 町によると、サルの農作物被害は2005年度が8ヘクタールで1348万円、06年度が9・3ヘクタールで1428万円、07年度が水稲で23万円、イモ類で448万円、野菜(ニンジン、トマト)で829万円、果樹(ブドウ)で30万円と合わせて7・5ヘクタールで1330万円となっている。
 町はサルの食害対策としてサル捕獲用箱の設置のほか超音波による対策を実施。加えて今夏からウルフピーの実験を開始した。
 ウルフピーは米国で飼育されているハイイロオオカミの尿を使用している。日本では既に絶滅したといわれているオオカミだが、動物の遺伝子には天敵に対する危険信号が残っていることから、オオカミの尿のにおいがすることでサルが近づかない効果があるという。
 柳田地区の農業柳野柳治さん(72)は、モチゴメがサル食害に遭い、爆竹で追い払っていたが効果が出なかった。そこで町からウルフピーを譲り受け、ウルフピーの入ったペットボトルを3メートル間隔に約20本設置した。ウルフピーは茶色でニンニクを焦がしたようなきついにおいを放っている。
 柳野さんは「今のところサルの被害はなくなった。においの効果か分からないが、ウルフピーのにおいのするところに現れなくなったのは事実」と話すそれでも「学習能力のあるサルのことだから、効果がどれだけ続くのか分からない」と不安も残っている。
 町内では複数の農家が実験に取り組んでいるという。町は「ウルフピーはネットで知り実験のために取り寄せた。今年度で効果があるかどうか検証し、サルの食害対策に役立てたい」と話している。
【写真説明】あぜ道にペットボトルを置きウルフピーをスポイトで注入する柳野さん