“津軽語”で太宰治の作品を朗読したCDブック「走(は)っけろメロス」が未知谷から出版された。来年の生誕100年を前にして、太宰作品を新たな視点でとらえた一冊とあって評判を呼びそうだ。
本は弘前市の音楽家鎌田紳爾さんが太宰の不朽の名作「走れメロス」と初期の作品「魚服記」を津軽弁ならぬ津軽語に翻訳、朗読したもの。
鎌田さんは2007年夏、北海道立文学館の「太宰治展」で初めて「魚服記」を津軽語で朗読した。黒石市出身でロシア文学者・詩人の北海道大学名誉教授である工藤正廣さんが、「太宰の母語である津軽弁に訳して朗読してみたら」との提案で実現したもの。
同年12月には弘前ペンクラブ講演会で再演、思わぬ反響を呼んだ。今年6月には太宰没後60年の「桜桃忌」に併せて「走れメロス」を弘前で朗読、好評を博した。
多くの太宰作品の中で、なぜ2作品を津軽語に翻訳して朗読するのか。鎌田さんは「『魚服記』は太宰治というペンネームで書かれた初期の作品で、津軽を舞台にしたほか、会話が津軽弁でも書かれるなど極めて津軽的作品。また『走れメロス』は津軽から遠く離れたギリシャを舞台とした非津軽的作品だが、メロスの人格はチャカシ、モツケ、カラキジで津軽的」と説明。
「2つを津軽語に翻訳した場合、どのような差異が生じるのかということに興味があった。また、本県を離れ、県外に住んでいる人たちにも作品を通じて津軽語の良さを感じてもらえれば」と話している。
本には津軽語に翻訳された作品がルビ付きで詳しく紹介されているほか、それぞれ下部に原作を掲載。CDを聞きながら両者を比較し順を追って見ることができる。CDには「走っけろメロス」が42分22秒、「魚服記」が25分11秒で収録されている。
CDブック「走っけろメロス」はA5判、85ページ、2500円+税で未知谷(電話03―5281―3751)発行。県内各書店で発売中。
【写真説明】CDブックを手に「太宰作品の良さを津軽語でも感じてもらえれば」と話す鎌田さん













