五所川原市長選 市政の課題

 

2014/6/17 火曜日

 

  告示まで1週間を切った五所川原市長選。これまでに現職の平山誠敏氏(73)以外に立候補の動きはなく、旧市時代を含め、市政発足から初の無投票となる可能性が高い。対立候補の不在により、市の課題に対し議論を深める場がない―との声もある中、市が抱える課題や今後の方向性を探る。

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合併10年=上

 

 五所川原市は2005年3月28日、旧五所川原市、旧金木町、旧市浦村の合併に伴い、新たな市としてスタートした。
 旧五所川原市と旧金木町は隣接しているが、旧市浦村は旧中里町(現中泊町)と旧小泊村(同)に挟まれた形で位置している、いわゆる市の飛び地だ。
 当時合併を進めた元市浦村長の高松隆三さん(82)は、「合併はメリット、デメリットの両方があるが、人口減の時代に村のままでは存続できない。だからこそ、規模の大きな旧五所川原市と合併した」と振り返る。
 少子化の影響は市浦地区でも顕著だ。高松さんは少子化の進行により、将来的に地区自体が消滅する事態を憂慮する。
 「市浦のために何かしたいという思いはいまだに強い。市浦を良くするために続けてきたさまざまなこと、市浦の宝物を、市が受け継いで何とか実行してほしい」と訴える。

 金木地区の活性化や奥津軽観光の広域連携など、多方面で活躍するNPO法人かなぎ元気倶楽部専務理事の伊藤一弘さん(60)は、合併を機に「金木」という存在を改めて強く意識したという。
 文豪・太宰治の出身地であり、ヒバ産業で栄えたハイカラさと津軽の土着性が共存する金木の魅力を守り伝え、発展させたい―。そんな思いでNPO法人を立ち上げ、さまざまなイベントを仕掛けてきた。
 「広い五所川原市を周遊してもらうには、観光の“里”として中心街、金木、市浦とそれぞれの魅力が強く出ている方がいい」と笑う。
 未来の子どもたちのために、自分たちの手で誇れる地域を守っていこう―。これを合言葉に、金木地区では住民主導の取り組みが根を張りつつある。

 新市発足後、合併した自治体の一体感を醸成することが大きな課題としてあった一方、今後の大きな課題として浮かび上がっているのが、市の財政運営の在り方だ。
 東日本大震災の影響を踏まえ、合併特例債は2019年度まで活用できる見通しだが、旧市町村ごとに算定した普通交付税を新市に交付する合併算定替の措置は15年度から段階的に削減され、20年度までに12億円減少するとみられる。
 市が合併当初から抱えていた企業会計や自治体病院の赤字については、経営健全化の取り組みにより、11年度までに全ての会計が黒字化したものの、14年度の自主財源比率は21・4%。普通交付税が歳入の約3割を占める市にとって、同措置の終了は厳しい事態だ。
 人口減少で歳入増も見込めない中、いかに財政健全化を図りながら市の独自施策を打ち出していくのか。今後も厳しいかじ取りを迫られることになる。

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地域活性化=中

2014/6/18 水曜日

 

 

立佞武多の館(右奥)の集客効果を波及させようと、「まちなかパーク整備事業」(左)の工事が進んでいる中心市街地

 今年4月、五所川原市の中心街の一角に残る赤れんが壁の前に数人の姿があった。壁は東北一の豪邸と呼ばれ、1944年の大火で焼失した「布嘉邸」の一部。布嘉邸はかつて商都・五所川原のシンボル的存在だった。
 「この立派な壁が通りにずっと延びていたことを考えると、すごさを実感できる」
 感心したように壁を見ながら、地域活性化の資源に活用できないか検討していたのは、中心市街地活性化に取り組む「まちなか五所川原」のスタッフだ。市大町商店街振興組合とともに「まちなかパーク整備事業」に関わるなど、さまざまな地域振興に携わる。
 市内では、地元商業者らが運営に当たる郊外型大型商業施設が県内屈指の集客に貢献する一方、かつて「商都」としてにぎわった中心市街地は活況を呈しているとは言い難い。
 中心市街地にある立佞武多の館には県内外から観光客が足を運ぶものの、来館者が周囲を回遊するには、飲食店や拠点施設をより充実させる必要性が指摘されていた。
 回遊を促す「まちなかパーク整備事業」の核となるのは、五所川原市金木町出身の作家・太宰治ゆかりの蔵。五所川原に分家した叔母を慕っていた太宰が、疎開中には寝泊まりもしていた蔵で、当時の部材を活用した復元が現在進んでいる。
 太宰の叔母の血筋に当たる、まちなか五所川原取締役の津島克正さんは「太宰と言えば金木だが、中心街にもゆかりの場所がある。太宰ファンを含む観光客が、市のあちこちを訪れたくなる情報発信の拠点になれば」と期待を寄せる。
 中心市街地に人を集める仕掛けとして、五所川原商工会議所青年部(津島卓世会長)が昨年から取り組んでいるのが、市内繁華街を活用した街コンの開催だ。出会いの場を提供すると同時に、繁華街を楽しむきっかけをつくることも狙いとなっている。
 津島会長は「不況など複数の要因で、若い人が飲みに行かなくなっているが、街コンを通し、五所川原にある魅力的な店を知ってもらいたい気持ちがある」と話す。
 「青年部の仲間内で酒を飲みながら、“ああしたい”“こうなれば”とよく夢を語る。われわれが楽しみながら元気に活動することで、地域活性化につながっていけばいい」
 行政と異なる手法で中心市街地活性化に取り組む意義について、まちなか五所川原代表取締役の菊池宏さんは「人が減り、いつか自分たちのふるさとが消えるかもという危機感がある。大人がただ手をこまねいて見ているわけにはいかない」と表情を引き締める。
 「大人が地域に誇りを持ち、地域らしさを残していけば、子どもたちが継いでいくかもしれない」
 五所川原らしい、“街の顔”を中心街に取り戻そうとする動きが始まっている。

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