黒石市長選 リーダー交代

 

財政立て直しにめど=上

2014/6/13 金曜日

 

 任期満了に伴う黒石市長選が15日に告示される。市長を4期務めた鳴海広道の勇退で、16年ぶりに新たなリーダーが誕生することになる。鳴海は勇退の理由に“第二の夕張市”とやゆされた財政の立て直しにめどがついたことを挙げた。ただ2015年度の全会計黒字化が実現しても、マイナスがなくなるだけで、厳しい状況は変わらない。新市長は健全財政維持を最優先しながら、市勢発展に向けた活力を見いだす難しい市政運営に臨むことになる。
 鳴海は5選出馬について直前まで迷っていた。昨夏の時点では「もう少し冷静に、 慎重に判断したい」と態度を保留。15年度の全会計黒字化に道筋が付き「市長になって十数年、かなりの改革をやったと自負している」とした一方で「市民が理解し、給与カットされた職員も不満を出さずにやってくれた。無理させるばかりで何もできない市長だった」と述べた。市長として残すのが、赤字解消という形のないものでしかないことが、政治家として心に引っ掛かっていたようだ。

「気持ちの整理がついた」と笑顔で市議会臨時会の理事者席に着く鳴海市長(手前)=5月26日午前

 市長に初当選した1998年度の決算で、普通会計(一般会計と一部特別会計)の赤字は8億6597万1000円に上り、財政調整基金、減債基金とも底を突いた。翌99年度に「財政非常事態」を宣言し、財政再建を最優先課題に掲げて本格的な取り組みに着手。特別職と職員、市議の給与・報酬カット、市議定数削減、津軽伝承工芸館の指定管理、市民文化会館の休館―と「断腸の思い」で考え得る経費節減を徹底して断行していった。
 最大で10億7500万円超あった普通会計の赤字は、2008年度決算で黒字に戻した。着実に進む財政再建に他の首長から「表向きには黒字でも、赤字をどこかに隠しているのでは」と疑う声も出るほどだった。鳴海は「ウルトラCの手があるわけはない。歳出を抑えて辛抱してきただけ。行財政改革一筋に取り組んできた。間違っていなかった」と振り返るとともに「市民は政治家鳴海広道を評価してくれるだろうか」と漏らした。

 今年2月、公務中に転倒し、脚を骨折。当初予算を審議する3月の市議会定例会を欠席し、体力的限界を感じたことで「心の整理がついた」という。1967年5月の市議選で歩み始めた政治家の道は、今年7月17日の市長任期満了で終わる。「残された任期を全力投球するのが務め」。最後の編成となった今年度当初予算も緊縮型を継続した。

 

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市民の市政参加必要=下・完

2014/6/14 土曜日

 

新しい市長を待つ市役所。市旗に染め抜いた市章「ふつ」には「臣民が悪に背き、善に向かう」という意味もあるという。市民一丸となって未来へ向かう市政づくりが求められる

 現職の鳴海広道が勇退を決断した理由の一つに挙げた2015年度の全会計黒字化は、安定した健全財政のスタートラインに立つことにすぎない。鳴海は休館している市民文化会館の2014年度一部再開を明言していたが、豪雪対応など緊急の予算執行が相次いで生じ、2年連続の先送りを余儀なくされた。大型事業へ容易に着手できない危うい財政状況から脱するのは、まだ先のことだ。
 鳴海は「(市財政の)赤字解消に十数年もかかった。今、文化会館を元に戻せばまた同じことになる。誰が(市長になって)やっても、できない」と断言し、これを逆手に「なぜ再開できないかを市民が考える機会になれば」と望む。文化会館は市の現状と未来を示す象徴的施設と言えそうだ。もっとも市の課題は文化会館だけではない。商都として栄えたかつての面影を感じさせないほど衰退した中心商店街や、高齢化が進む1次産業など山積。課題解消には市民の理解と協力参加が不可欠な部分も多い。
 現時点で市長選に立候補を表明しているのは元県議の高樋憲だけで、市長選は2期連続の無投票となる公算が大きい。高樋は直近3回の県議選で無投票当選しており、今回の市長選が無競争になると4回連続となる。高樋が県議辞職の際に後継指名した鳴海の長男で新人の鳴海惠一郎も13日の補選告示日に無投票当選し、市民の間では「黒石は鳴海、高樋の両家で動いていく」とささやかれる。
 市民が政治に接する機会が選挙。投票が行われず、政治に対する関心が薄れるとの懸念があり「若い人に選挙に出てほしい」との声が聞かれる。だが実績を重ねてきた元県議と対等に戦える人材がいるかとなると、一気に消極的な話になる。
 鳴海が高樋を支持するなら、なおさらである。景気低迷などで生活に精いっぱいな若年層が、勝算があるとは思えない選挙に挑むだろうか。来年の統一選では市議選、県議選が予定されるが、現状で大きな期待はできそうにない。
 市は今年度、審議会委員に高校生を委嘱した。若年層に市政参加意識を広める足掛かりになると注目される。こうした試みを加速させ、幅広い世代が市政に関わり、そこで得た意見を新たな施策に反映させる環境づくりも新市長の使命だ。
 市長選は15日に告示され、立候補の届け出が複数あった場合は22日に投開票が行われる。

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