日々燦句 (石﨑志亥)

 

妻留守の一日の長し石蕗の花(三ヶ森青雲)

2020/1/9 木曜日

 

 〈石蕗(つわぶき)〉はキク科の常緑多年草。葉は蕗(ふき)に似る。〈石蕗の花〉の黄色は遠目にも鮮やか。雪国ではまずお目にかかれない。数年前、東京目白台の「肥後細川庭園」で初めて目にした。〈妻留守の一日の長し〉には実感が籠(こも)る。普段当然と思っている「妻と在る一日」の意味の大きさをここで知る。『新青森県句集第27集』所収。

∆ページの先頭へ

面付けてたちまち恵比寿里神楽(馬場裕子)

2020/1/8 水曜日

 

 神楽は古代から続く神事。「神遊び」とも。〈里神楽〉とは宮中の「御神楽(みかぐら)」に対して民間で行われる神楽をいう。神楽は全国にあるが出雲の石見神楽、高千穂の夜神楽が有名。〈面付けてたちまち恵比寿(えびす)〉の早変わりは今流のイリュージュン。神楽の歌舞音曲に懐かしい記憶がざわつく。『さわやか合同句集第12集』所収。

∆ページの先頭へ

けの汁の味の濃くなる七日かな(三上弘之)

2020/1/7 火曜日

 

 津軽の郷土料理のブランド〈けの汁〉。正月の作り置き料理としても重宝される。昔は年末に大鍋に大量に作ったけの汁には薄氷が張っていたものだ。俳句の正月詠は事象に関わるものがほとんど。〈味の濃くなる七日〉などのような味覚から捉える表現は珍しい。感覚の冴(さ)えと言うべきか。合同句集『水羊羹』所収。

∆ページの先頭へ

羊羹を二つの皿に寒の入り(成田みどり)

2020/1/6 月曜日

 

 きょうは二十四節気の「小寒。」〈寒の入り〉である。立春までの30日間が「寒」に当たる。立春の響きに遙(はる)かな春の端先(はなさき)が見えるような気がする。しかし、本格的な寒さはこれから。そんな中で〈羊羹(ようかん)を二つの皿に〉がすっくと背筋を伸ばすような一瞬を作り出す。北国人の覚悟なのだろう。『新青森県句集第27集』所収。

∆ページの先頭へ

自画像は六十二枚目松の内(日野口晃)

2020/1/5 日曜日

 

 年齢の数え方は今は満年齢が普通だが、昔は「数え年」が幅を利かせていた。年齢は正月を迎えて一つ増えるもので、大晦日(みそか)の「年取り」にも疑問は抱かなかった。〈自画像は六十二枚目〉もそんな思いで描き続けてきたものなのではないのか。これからも自画像は1枚2枚と増えて行く。『新青森県句集第27集』所収。

∆ページの先頭へ

Page: 1 2 3 4 5 6 7 8 9 ... 288

当サイトでは一部、Adobe Flash・PDFファイルを使用しております。閲覧にはAdobe Flash Player・Adobe Acrobat Readerが必要です。最新のプラグインはアドビ社のサイトより無料でダウンロード可能です。

  • Adobe Flash Player ダウンロードセンター
  • Adobe - Adobe Reader ダウンロード