日々燦句 (石﨑志亥)

 

枝豆や昔がたりのほつほつと(鈴木順子)

2018/10/2 火曜日

 

 枝豆は未熟な青い大豆。完熟したものが大豆。この二つ、どこか微妙に繋(つな)がらないところがあって面白い。ほつほつとには惚(ほ)れ惚(ぼ)れする。「少しずつゆっくりと物事をするさま」を言うが、昔がたりとは絶妙の相性を見せる。気がつけば殻の山が幾つもできている。いつものこと。『文芸弘前第28号』所収。

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団栗や森の深さのはじまりぬ(黒田長子)

2018/10/1 月曜日

 

 〈団栗(どんぐり)〉は誰もが知る愛らしい木の実。団栗を見つけるとついつい時の経(た)つのも忘れて拾い続けてしまう。童心に返るのだろう。団栗を〈森の深さ〉の物差しとして捉え、「時間」を意識する感覚は新鮮。作者ならではの季節感覚だ。俳人の斯様(かよう)な感覚に出合うと何故(なぜ)かほっとする。『新青森県句集第29集』所収。

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五能線発つ間の釣瓶落しかな(草野力丸)

2018/9/30 日曜日

 

 夕暮れの五能線。特に、西海岸沿線は日本海を間近に海岸美を誇る。秋の落日の〈釣瓶落(つるべおと)し〉は見る者に有無を言わせぬ説得力がある。〈発(た)つ間の〉と畳み込まれれば尚更(なおさら)。夏とは異なり日没はあっという間。油断を許さない。列車の出発と釣瓶落しと。時間の可視化の妙を見せてくれる。句集『夜想曲』所収。

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新米と太き字ありて母の便(浜田十三)

2018/9/29 土曜日

 

 故郷から届いた荷物に〈新米〉と太き字。親というのはいつまでも過剰な程に世話を焼く。子にとっては少々煩わしいが内心は嬉(うれ)しい。荷物の中身はというと、あれもこれもとまるで小さな百貨店の趣。幾つになっても親は親で子は子のまま。親子の絆とはそんなシンプルなものかも。『新青森県句集第29集』所収。

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百円玉入れて脱穀今年米(鳴海顔回)

2018/9/28 金曜日

 

 今年も出来秋を迎えた。最近「コイン精米所」が目に付く。手軽に好みの精米ができて便利なようだ。多様な食生活を求める現代人の欲求を満たすために描かれた景色なのだろう。滑稽・ユーモアのある句調に好感。〈百円玉入れて〉の感覚は現代俳句の枢要を語る一つの証しと見るが。『此岸第4号』所収。

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