日々燦句 (石﨑志亥)

 

閂の真一文字に年暮るる(中村しおん)

2017/12/30 土曜日

 

 年が押し詰まるとさすがに感慨がよぎる。毎年のこととも思うがそうもいかない。歳末の慌ただしい風景の中の〈閂(かんぬき)の真一文字に〉の把握にはずしんとくるものがある今では珍しかろう「閂」の堅固さは頼り甲斐(がい)がある。一年の締め括(くく)りを「閂」に託し、手抜かりなく新年へということか。『文芸あおもり第159号』所収。

∆ページの先頭へ

入れ替り夫の出かける年の暮(稲場暁子)

2017/12/29 金曜日

 

 〈年の暮〉の一齣(ひとこま)。何ともユーモラスで楽しい。思わず頬が緩む。何事かを具体的に語っているわけではないが、歳末の夫婦間のやり取りの情景が目の前に鮮やかに映し出される。字数制限のある俳句でも、ことさら具体的な表現なしに一句が成り立つという「解」の一つがこの句にはある。『新青森県句集第27集』所収。

∆ページの先頭へ

数へ日の時間泥棒追ひかけて(江口みよ)

2017/12/28 木曜日

 

 〈数へ日〉には今年もあと幾日と指折り数える思いがこもる大晦日(おおみそか)はすぐそこまで来ている。作者はそのあたりの慌ただしさを〈時間泥棒追ひかけて〉と表現して見せる。時間泥棒を追いかける様子の譬(たと)えがコミカルで面白い。しかし、押し詰まった今も作者にはまだ大分余裕がありそうだ。『青嶺季語別句集Ⅲ』所収。

∆ページの先頭へ

見馴れたる山川もまた年の内(大久保石漱)

2017/12/27 水曜日

 

 残すところあと数日。人間はどこか傲慢(ごうまん)で人間以外の全てを従えようとする。作者は違う。普段見馴れた山や川も実は〈年の内〉にあって、人間と一緒の時を刻んでいるのだと。山や川などの自然も人間もたった一隻の「宇宙船地球号」の乗組員。穏やかに今年を終え、穏やかに新年を迎えたい。『青嶺季語別句集Ⅲ』所収。

∆ページの先頭へ

身辺の整理も兼ねる年用意(葛西れい子)

2017/12/26 火曜日

 

 一見割り切っていて合理的に見えるが、内心はそんなに簡単ではなさそうだ。外向けには〈身辺の整理〉だとしても本音は〈年用意〉なのでは。まだまだずっと長生きしたいと思っているはず。終活はほどほどにして長生きを目指すべきかと。物分かりの良い老人像はしばらく棚に上げて。『新青森県句集第27集』所収。

∆ページの先頭へ

Page: 1 2 3 4 5 6 7 8 9 ... 429

当サイトでは一部、Adobe Flash・PDFファイルを使用しております。閲覧にはAdobe Flash Player・Adobe Acrobat Readerが必要です。最新のプラグインはアドビ社のサイトより無料でダウンロード可能です。

  • Adobe Flash Player ダウンロードセンター
  • Adobe - Adobe Reader ダウンロード