日々燦句 (石﨑志亥)

 

ランドセル背負ふ練習桃の花(西村祥子)

2012/3/10 土曜日

 

 A4サイズのランドセルのコマーシャルがにぎわう時節。学校へ行くのが楽しくてたまらない。鉛筆を削っては折り、折っては削り。しかられた記憶がよみがえってくる。ランドセルを買う役目は、ばあちゃんと決まっている。机を買うのはじいちゃんだろう。ピカピカの1年生。「さあ特訓だ」。桃の花も応援しているではないか。

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雪囲解きてひと部屋増えたやう(敦賀恵子)

2012/3/9 金曜日

 

 北国では雪や寒風を防ぐために、家の周りに骨組みをし筵(むしろ)などで囲いを作るが、春先になるとこれを取り払う。雪囲いを取り払うと急に辺りが明るくなり、さっぱり気分でつい鼻歌が出てしまう。一部屋増えた感覚は、ずばりだ。作者は萬緑賞を既に受賞。超一流の作り手なのだ。この句のように誰が読んでも分かる句が持ち味。

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カラフルな籠の集まるふのり採り(筑田まさ子)

2012/3/8 木曜日

 

 海蘿(ふのり)は夏の季語。初夏に繁茂し暗紅色または褐紅色。粘質で軟らかく、みそ汁によく合う。県内では風間浦村が産地。2月ごろ海蘿採りのイベントが開かれるというが、3月が旬。5月ごろに採れるのは専ら加工用とか。岩からむしり採る光景を毎年テレビで見ている。この句からは、明るく楽しい海蘿採りの様子が見えてくる。

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春の風邪老班の手を裏返す(桜庭梵子)

2012/3/6 火曜日

 

 年を取ると現れる皮膚の染みが老(ろう)班(はん)。老斑が出ると長生きをするというが、因果関係は定かでない。春の風邪は朝夕の冷え込みや余寒が激しい時など、ちょっと油断すると引いてしまう。春の名がつくと甘く見てしまいがちだが、案外長引くことが多い。作者は、風邪を引いた老班の手をじっと見る。石川啄木の心境なのかも。

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雪霏々と菩薩にらんで鬼を彫る(泉風信子)

2012/3/5 月曜日

 

 豆本俳文集「志功まんだら」の中の一句。棟方志功は1956年、ベネチア・ビエンナーレ国際美術展に「湧然する女者達々」を出品、版画部門国際版画大賞を受賞して一躍脚光を浴びた世界的板画家。作者は「ワダバゴッホ」になると燃えた志功を追い続けて、この作品を生んだのだ。志功の一心不乱な姿を切り取った力作。

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