日々燦句 (石﨑志亥)

 

去年今年老い放題をゆるしおく(青木規子)

2018/1/1 月曜日

 

 元日。大晦日(おおみそか)のきのうと元日のきょう、外の景色も身の回りもちっとも変わっていないのだが、やはり淑気(しゅくき)が満ちていると感じる。今年も平穏な一年であれと祈る。〈老い放題をゆるしおく〉もその時空の中にあるのだろう。老いを重ねると、誰しも昔に比べて何倍も優しくなるような気がする。『新青森県句集第27集』所収。

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太いのも細いのも皆晦日蕎麦(中村遠離)

2017/12/31 日曜日

 

 とうとう大晦日(おおみそか)。〈晦日蕎麦(そば)〉は蕎麦の長く細くという縁起をかついだものと。〈太いのも細いのも〉というところを見ると、どなたかが蕎麦を打つのであろう。太さが不揃(ふぞろ)いの蕎麦を〈皆晦日蕎麦〉とさらっと受け流せるのは作者の器量の広さ故だろう。来たる戌(いぬ)年も良き年でありますように。『新青森県句集第25集』所収。

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閂の真一文字に年暮るる(中村しおん)

2017/12/30 土曜日

 

 年が押し詰まるとさすがに感慨がよぎる。毎年のこととも思うがそうもいかない。歳末の慌ただしい風景の中の〈閂(かんぬき)の真一文字に〉の把握にはずしんとくるものがある今では珍しかろう「閂」の堅固さは頼り甲斐(がい)がある。一年の締め括(くく)りを「閂」に託し、手抜かりなく新年へということか。『文芸あおもり第159号』所収。

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入れ替り夫の出かける年の暮(稲場暁子)

2017/12/29 金曜日

 

 〈年の暮〉の一齣(ひとこま)。何ともユーモラスで楽しい。思わず頬が緩む。何事かを具体的に語っているわけではないが、歳末の夫婦間のやり取りの情景が目の前に鮮やかに映し出される。字数制限のある俳句でも、ことさら具体的な表現なしに一句が成り立つという「解」の一つがこの句にはある。『新青森県句集第27集』所収。

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数へ日の時間泥棒追ひかけて(江口みよ)

2017/12/28 木曜日

 

 〈数へ日〉には今年もあと幾日と指折り数える思いがこもる大晦日(おおみそか)はすぐそこまで来ている。作者はそのあたりの慌ただしさを〈時間泥棒追ひかけて〉と表現して見せる。時間泥棒を追いかける様子の譬(たと)えがコミカルで面白い。しかし、押し詰まった今も作者にはまだ大分余裕がありそうだ。『青嶺季語別句集Ⅲ』所収。

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