日々燦句 (石﨑志亥)

 

身に入むや一揆の頭みな若き(佐藤いく子)

2017/11/4 土曜日

 

 〈身に入(し)む〉の候。時に冷たさも感じる。〈一揆の頭みな若き〉と。最近のリーダーは年配者が多いようだが、江戸だ、明治だという時代のリーダーたちの若さには驚く。20代、30代が目につく。それに比べて、己を棚に上げて言うが、最近の若者たちはちょっと元気がないように見える。『新青森県句集第27集』所収。

∆ページの先頭へ

広辞苑の横に猫座す文化の日(冬館子音)

2017/11/3 金曜日

 

 何と文化的な香りの漂う猫であろう。広辞苑の横に座す猫少しはあやかりたいものだ「滑稽(こっけい)」を感じる。それもジワリとくる上等な滑稽を。おそらくここでは〈文化の日〉がそうさせるのだろう。作者の俳句は滲(にじ)み出る滑稽に押しつけがましさがない。そして、通底する滑稽が決して邪魔にはならない。『風の駅』所収。

∆ページの先頭へ

推敲の進まぬ句稿夜の長し(瓜田ゆり)

2017/11/2 木曜日

 

 晩秋ともなると一段と日暮れが早くなる。夏の記憶がまだ体に残っているせいか、驚くほど夜が長く感じられる。〈推敲(すいこう)の進まぬ句稿〉は俳人なら誰もが思い当たる。それは俳句の苦しみでもあり楽しみでもある。〈夜の長し〉は推敲には願ってもない時間。心ゆくまで推敲を楽しまれよ。『新青森県句集第28集』所収。

∆ページの先頭へ

花街に人影まばら十三夜(山田一穂)

2017/11/1 水曜日

 

 〈十三夜〉は陰暦9月13日の夜、またはその夜の月。「後(のち)の月」とも。豆や栗を供えることから豆名月(めいげつ)、栗名月ともいわれる。古来、夜寒を感じさせる晩秋の月を楽しんできた。〈花街に人影まばら〉には秋の深まりが色濃く漂う。自身の来し方行方を俯瞰(ふかん)しているようにも見える。人恋しさが募る。『青嶺季語別句集Ⅱ』所収。

∆ページの先頭へ

水音の衣ずれに似て秋深む(高橋永己)

2017/10/31 火曜日

 

 いよいよ秋も最終章。どこからか冬の匂いがしてきそうな気がする。きっと、秋の深まりにも決まった段階があるのだ。作者は〈水音の衣ずれに似て〉と捉えて、季節の移ろいを感じとる。〈水音〉と〈衣ずれ〉の把握に至った感覚は特筆すべきと思う。私は俳人の繊細な季節感覚を信じている。『新青森県句集第26集』所収。

∆ページの先頭へ

Page: 1 2 3 4 5 6 7 8 ... 417

当サイトでは一部、Adobe Flash・PDFファイルを使用しております。閲覧にはAdobe Flash Player・Adobe Acrobat Readerが必要です。最新のプラグインはアドビ社のサイトより無料でダウンロード可能です。

  • Adobe Flash Player ダウンロードセンター
  • Adobe - Adobe Reader ダウンロード