日々燦句 (石﨑志亥)

 

雪掻いて手足大きくなる少年(川村英幸)

2020/1/14 火曜日

 

 雪降れば、ただ雪を掻(か)く。苛酷で忍耐を強いられる雪国の日課だ。〈手足大きくなる少年〉で何となく分かったような気になるが、雪掻きをオブラートに包んだような句から作者の言わんとする深みを掴(つか)み出すのは難しい。恐らく幾重にも仕掛けがしてある。滲(にじ)み出る滑稽味は天性のもの。『青森県句集第30集』所収。

∆ページの先頭へ

付け爪の一つ残され成人祭(對馬政子)

2020/1/13 月曜日

 

 〈成人祭〉は晴れやかである。辺りが花が咲いたように明るい。反面少し淋(さび)しさが漂う。めでたさの中に相矛盾する親子の微妙な心理が交錯する。親の子離れ、子の親離れは早晩やってくる。成人祭はイニシエーション(儀式)。残された〈付け爪〉はその意図しない合図なのかもしれない。合同句集『水羊羹』所収。

∆ページの先頭へ

三下り半が空を飛ぶごと冬鷗(竹鼻瑠璃男)

2020/1/12 日曜日

 

 作者は〈三下り半〉を恐らくこの言葉の持つ勢いから選んだ。有無を言わせぬ強く直線的な響きが〈冬鷗(ふゆかもめ)〉が飛ぶ姿とぴたりと重なる。因(ちな)みに、三下り半は江戸期、庶民の間で行われた夫から妻への離縁状の俗称。3行半で書き、原則、夫のみの権利だが、妻の再婚を認めていたという。『新青森県句集第27集』所収。

∆ページの先頭へ

鏡餅割りて不揃い吉とする(赤坂雪洲)

2020/1/11 土曜日

 

 もう正月気分はどこにもないが、それでも「鏡開き」には少し改まった気持ちになる。〈不揃(ふぞろ)い吉とする〉は生き方の知恵。思考の柔軟性と言えばよいか。喩(たと)えるならお神籤(みくじ)のようなもの。吉が出ても凶が出てもそれなりにフォローしてある。多少遊びのある仕組みが大事ということだろう。『青森県句集第30集』所収。

∆ページの先頭へ

城下町一夜の明けて雪景色(岩田岩夫)

2020/1/10 金曜日

 

 城下町には雪景色がよく似合う。都会の雪景色も悪くはないが、城下町にはやはり別次元の趣がある。城下町が持つ時間の重みのせいだろう。津軽の雪は街が寝静まって後、音もなく降り積む。朝日に輝く雪景色は得も言われぬもの。よくぞ津軽に生まれけり、と誰もが思う瞬間である。『新青森県句集第27集』所収。

∆ページの先頭へ

Page: 1 2 3 4 5 6 7 8 ... 288

当サイトでは一部、Adobe Flash・PDFファイルを使用しております。閲覧にはAdobe Flash Player・Adobe Acrobat Readerが必要です。最新のプラグインはアドビ社のサイトより無料でダウンロード可能です。

  • Adobe Flash Player ダウンロードセンター
  • Adobe - Adobe Reader ダウンロード