日々燦句 (石﨑志亥)

 

映りたきものを拒まず冬の水(小山内豊彦)

2018/1/10 水曜日

 

 〈冬の水〉は俳句の永遠のテーマでもある。したがって類想の句も多い。類想は否定しない。どんどん挑戦すべきと。草田男にも代表句と言われる〈冬の水一枝の影も欺かず〉がある。創作意図は一見似ているように見えるが、この句の方がより深く情況を捉え、深い思考を試みているようだ。『新青森県句集第27集』所収。

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ひんがしに時間がたまり雪の山(津川あい)

2018/1/9 火曜日

 

 〈ひんがしに時間がたまり〉。この感覚、何ということであろうか。東の方に〈時間がたまり〉などという表現領域には到底入り込めそうにない。作者にとっては太陽イコール時間なのだろう。東から昇る太陽が刻々と時間を穿(うが)ち雪の山にためてゆく。時空を捉える感覚の鋭さと特異さには目を見張る。句集『十六魂』所収。

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若きらの紅はむらさき成人日(清水雪江)

2018/1/8 月曜日

 

 成人の日。昨今、成人式は一部で荒れて顰蹙(ひんしゅく)を買ったりしている。大部分の出席者たちには迷惑千万な話だろう。〈若きらの紅はむらさき〉と。いつの時代でも、若者たちは新しい風を旧弊に吹き込む。特権でもあり、創造者でもある。それがいつの間にかこてこての守旧派に変わってしまう。『青嶺季語別句集Ⅱ』所収。

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弓始三十三間射貫きけり(須郷権太)

2018/1/7 日曜日

 

 京都蓮華王院三十三間堂の〈弓始(ゆみはじめ)〉のことか。三十三間堂の通し矢は本堂西側の軒下約121メートルを南北に矢を射通す。江戸時代前期に有力藩の後ろ盾もあって随分盛んだったという現在はその半分の60メートル程度。それにしても〈射貫きけり〉は豪快。さぞかし気持ちの良いことであろう。『おうよう自選十句集第12巻』所収。

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独楽まはる村の校庭でこぼこに(寺山修司)

2018/1/6 土曜日

 

 最近は〈独楽(こま)〉まわしもとんと見かけなくなった。昔は羽根突き、凧(たこ)揚げ、独楽回しは正月の子どもたちの定番だった。ちょっとした空き地があれば、寒空に日の暮れるまで遊びに興じていたものだ。子どもの数もあふれるほど多くて賑(にぎ)やかだった。1952(昭和27)年1月の新聞俳壇への投句。『寺山修司俳句全集』所収。

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