日々燦句 (石﨑志亥)

 

三下り半が空を飛ぶごと冬鷗(竹鼻瑠璃男)

2020/1/12 日曜日

 

 作者は〈三下り半〉を恐らくこの言葉の持つ勢いから選んだ。有無を言わせぬ強く直線的な響きが〈冬鷗(ふゆかもめ)〉が飛ぶ姿とぴたりと重なる。因(ちな)みに、三下り半は江戸期、庶民の間で行われた夫から妻への離縁状の俗称。3行半で書き、原則、夫のみの権利だが、妻の再婚を認めていたという。『新青森県句集第27集』所収。

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鏡餅割りて不揃い吉とする(赤坂雪洲)

2020/1/11 土曜日

 

 もう正月気分はどこにもないが、それでも「鏡開き」には少し改まった気持ちになる。〈不揃(ふぞろ)い吉とする〉は生き方の知恵。思考の柔軟性と言えばよいか。喩(たと)えるならお神籤(みくじ)のようなもの。吉が出ても凶が出てもそれなりにフォローしてある。多少遊びのある仕組みが大事ということだろう。『青森県句集第30集』所収。

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城下町一夜の明けて雪景色(岩田岩夫)

2020/1/10 金曜日

 

 城下町には雪景色がよく似合う。都会の雪景色も悪くはないが、城下町にはやはり別次元の趣がある。城下町が持つ時間の重みのせいだろう。津軽の雪は街が寝静まって後、音もなく降り積む。朝日に輝く雪景色は得も言われぬもの。よくぞ津軽に生まれけり、と誰もが思う瞬間である。『新青森県句集第27集』所収。

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妻留守の一日の長し石蕗の花(三ヶ森青雲)

2020/1/9 木曜日

 

 〈石蕗(つわぶき)〉はキク科の常緑多年草。葉は蕗(ふき)に似る。〈石蕗の花〉の黄色は遠目にも鮮やか。雪国ではまずお目にかかれない。数年前、東京目白台の「肥後細川庭園」で初めて目にした。〈妻留守の一日の長し〉には実感が籠(こも)る。普段当然と思っている「妻と在る一日」の意味の大きさをここで知る。『新青森県句集第27集』所収。

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面付けてたちまち恵比寿里神楽(馬場裕子)

2020/1/8 水曜日

 

 神楽は古代から続く神事。「神遊び」とも。〈里神楽〉とは宮中の「御神楽(みかぐら)」に対して民間で行われる神楽をいう。神楽は全国にあるが出雲の石見神楽、高千穂の夜神楽が有名。〈面付けてたちまち恵比寿(えびす)〉の早変わりは今流のイリュージュン。神楽の歌舞音曲に懐かしい記憶がざわつく。『さわやか合同句集第12集』所収。

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