日々燦句 (石﨑志亥)

 

貪欲を道連れにして冬に入る(浜田しげる)

2017/11/7 火曜日

 

 きょうは立冬。ひとりで〈冬に入る〉のは寂しいのだろうか。〈貪欲を道連れにして〉くらいの方が元気で活力がある証拠。齢(よわい)を重ねても、願わくはいつまでも貪欲でありたいもの。おつに取り澄まして悟ったふりなどする必要はそもそもないのだ。さて、作者の貪欲とは一体何なのであろうか。『青嶺季語別句集Ⅲ』所収。

∆ページの先頭へ

晩秋や牛がとぼとぼ日に染り(坂本りき)

2017/11/6 月曜日

 

 もし理想の晩秋を描くとしたらこんな風景もよいのではと思う。〈牛がとぼとぼ日に染り〉の描写が穏やかだ。夕日に染まる牛たちも幸せそうだが、その様子を見守る作者もまた幸せそうだ。そこにはゆっくりとした時間が流れる。こんな日が続くのなら他には何も求めるものなどないのでは。『新青森県句集第27集』所収。

∆ページの先頭へ

刈田径どこまでゆけば子に逢はむ(小野寿子)

2017/11/5 日曜日

 

 切なく寂しい句だ。母は〈どこまでゆけば子に逢はむ〉と問う。この切なさはこの母にしか解(わか)らない。あの〈刈田径〉を真っ直(す)ぐにゆけば、もしかして子に逢えるというのか。そんな径(みち)があるなら、今すぐにゆきたい。俳句が比喩の力を借りるにしても、ここまで心の内を表現できるとは驚きだ。『新青森県句集第27集』所収。

∆ページの先頭へ

身に入むや一揆の頭みな若き(佐藤いく子)

2017/11/4 土曜日

 

 〈身に入(し)む〉の候。時に冷たさも感じる。〈一揆の頭みな若き〉と。最近のリーダーは年配者が多いようだが、江戸だ、明治だという時代のリーダーたちの若さには驚く。20代、30代が目につく。それに比べて、己を棚に上げて言うが、最近の若者たちはちょっと元気がないように見える。『新青森県句集第27集』所収。

∆ページの先頭へ

広辞苑の横に猫座す文化の日(冬館子音)

2017/11/3 金曜日

 

 何と文化的な香りの漂う猫であろう。広辞苑の横に座す猫少しはあやかりたいものだ「滑稽(こっけい)」を感じる。それもジワリとくる上等な滑稽を。おそらくここでは〈文化の日〉がそうさせるのだろう。作者の俳句は滲(にじ)み出る滑稽に押しつけがましさがない。そして、通底する滑稽が決して邪魔にはならない。『風の駅』所収。

∆ページの先頭へ

Page: 1 2 3 4 5 6 7 ... 416

当サイトでは一部、Adobe Flash・PDFファイルを使用しております。閲覧にはAdobe Flash Player・Adobe Acrobat Readerが必要です。最新のプラグインはアドビ社のサイトより無料でダウンロード可能です。

  • Adobe Flash Player ダウンロードセンター
  • Adobe - Adobe Reader ダウンロード