日々燦句 (石﨑志亥)

 

鷹の爪干す軒下の影尖る(斎藤ひでを)

2018/10/13 土曜日

 

 〈鷹(たか)の爪〉はトウガラシの1品種。実は円筒形で先が尖(とが)り赤く熟し、辛みが強い。鷹の爪の形状が軒下の影を尖らせ、その赤色と辛みがそれらの影を一層濃くする。鷹の爪を干すおだやかな風景を、作者はまるで恐れを抱いてでもいるかのように、〈影尖る〉の感覚で捉える。『さわやか合同句集第11集』所収。

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強がりを通して傘寿ななかまど(小杉郁子)

2018/10/12 金曜日

 

 まだまだと思っていたのだが、いつの間にか黄葉・紅葉が目につくようになった季節の移り変わりは素早い。〈ななかまど〉の紅葉が美しく、真紅の実も鮮やか。7度竈(かまど)に入れても燃えないとの俗説も。強がりを通して傘寿は元気であるからこそ。米寿、卒寿、白寿、百寿の祝いを待ちたい。『文芸弘前第28号』所収。

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をちこちに雑草の骨大花野(松宮梗子)

2018/10/11 木曜日

 

 俳人が一般的な意味での詩人なのかどうかは分からぬが、作者に限っては間違いなく詩人である。言葉をしなやかに自在に駆使して止(や)まない。〈雑草の骨〉はおそらく造語なのだろう。俳人には語彙(ごい)力の高さは必須だが、それらに命を吹き込めるかどうかが、それ以上に大事なことである。句集『まんさく』所収。

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叱られし子の泣きに来る芒原(土田紫翠)

2018/10/10 水曜日

 

 芒(すすき)は秋の七草の一つ。私の中の〈芒原〉は少しおどろおどろしいもの。一面の芒原には昔からそんな印象がある。狐(きつね)の妖怪が棲(す)む異界。叱られし子の泣きに来るがぴったりの空間。現実世界との往来ができると見えて、今日も色々な人が泣きに来る。作者の異質な世界観が覗(のぞ)く。『新青森県句集第29集』所収。

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かりがねやかぎ裂きひとつ繕ひぬ(橘すなお)

2018/10/8 月曜日

 

 きょうは二十四節気の一つの寒露(かんろ)。そろそろ今年も雁(かり)が北方から渡ってくるころ。古来、雁は「声の鳥」と言われてきた、〈かりがね〉とも。漢字で書けば「雁が音」。北方からの音信を伝える鳥との中国の故事もある。〈かぎ裂きひとつ繕ひぬ〉には冬支度の意味合いも込めているのだろう。『文芸弘前第28号』所収。

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