日々燦句 (石﨑志亥)

 

女正月まだ八十とうそぶいて(鈴木順子)

2018/1/15 月曜日

 

 元日の「大正月」に対して15日の「小正月」を〈女正月〉という。女たちが正月気分を楽しんでいる様子が目に見えるようだ。〈まだ八十とうそぶいて〉は大いに結構。とても80歳には見えないということ。嘯(うそぶ)けるうちは上手(うま)く嘯いて人生を謳歌(おうか)するのがよいのでは。嘯くのも方便のうちと心得て。『新青森県句集第27集』所収。

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やはらかく手古奈の里をつつむ雪(七戸富美子)

2018/1/14 日曜日

 

 津軽には七つの雪が降ると。太宰治『津軽』冒頭に「津軽の雪」として7種類が載っている。〈手古奈の里〉は虚子門下の増田手古奈の大鰐。〈やはらかく〉湯の街をつつむ雪景色は美しい。やさしさと品格の漂う手古奈俳句をもつつむ雪景色のようにも見える。心象風景と見紛(みまご)うかのような趣き。『新青森県句集第27集』所収。

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雪合戦どこへそれても奥南部(久慈月山)

2018/1/13 土曜日

 

 俳句にも「風土」の括(くく)りがついて回る。狭義にその作品群からすれば作者は「風土作家」の貌(かお)も持つ。南部への郷土愛は強い。雪合戦でさえ〈どこへそれても奥南部〉と縄張りを主張する。雪合戦が占める空間など知れたものと思うが、〈奥南部〉にまで広げる意識の感覚はやはり「風土」の片鱗(へんりん)か。『新青森県句集第27集』所収。

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冬の凪すこし鷗になりかかる(島田よう子)

2018/1/12 金曜日

 

 〈冬の凪(なぎ)〉の滑らかな静けさ。〈すこし鷗(かもめ)になりかかる〉に作者の繊細な感覚の危うさが感じられて思わず身構える。異界が見えかけたのではないか。もしも鷗になれば何かから解放されるのか、それとも後悔するだけなのか。感覚の繊細さは、時として予想外の振る舞いをさせることがある。『新青森県句集第27集』所収。

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餅一つ減らしてもらふ雑煮かな(土井三乙)

2018/1/11 木曜日

 

 きょうは鏡開き。正月に年神に供えた鏡餅を下ろして雑煮、汁粉などにして食べる習い。鏡開きは「割る」とか「切る」を避けた忌詞(いみことば)の一つ。新年には忌詞が多く、言葉の霊性を畏怖した古人の心情が窺(うかが)えるとも言われている。〈餅一つ減らしてもらふ〉に滑稽の絶妙な味付けが効いて面白い。『青嶺季語別句集Ⅲ』所収。

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