日々燦句 (石﨑志亥)

 

幼子の指先騒ぐ春障子(飯塚昭子)

2019/2/22 金曜日

 

 〈春障子〉の醸す明るく柔らかな春の光は風情のあるもの。〈幼子の指先騒ぐ〉は子どもたちがあれこれ賑(にぎ)やかに言い合いながら影絵を楽しんでいる様子の活写なのだろう。よくキツネ、ウサギ、イヌ、ワシなどを映しては遊んだものだ。今では障子のある家も珍しいのかもしれない。『新青森県句集第28集』所収。

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鳥たちに帰心の芽生え日脚伸ぶ(吉田千嘉子)

2019/2/21 木曜日

 

 目に見えて日が長くなった。あれ程の冬将軍への恐れも今はすっかり消えた。作者は鳥たちの〈帰心の芽生え〉を敏感に感じ取る。そろそろ北への旅が始まる。命懸けの旅だ。彼らはこの厳冬を我々と一緒に何とか乗り切った同志。無事に古里への長旅を終えてほしいと願うばかりである。句集『一滴の』所収。

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干鱈をかるく炙つて聞き役に(奥田卓司)

2019/2/20 水曜日

 

 〈干鱈(ほしだら)〉は冬の保存食。酒を嗜(たしな)む向きには贅沢(ぜいたく)なつまみともなる。仲間内の酒席は毎回同じ話の繰り返し。よくもまあ飽きもせずにと思うが、これはこれで結構楽しい。作者の役目は〈聞き役〉。〈かるく炙(あぶ)つて〉がその場の雰囲気をよく伝える。軽妙でさらりとした詠みが魅力的。『新青森県句集第29集』所収。

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かすかなる青さの風の二月かな(藤田豊子)

2019/2/19 火曜日

 

 きょうは二十四節気の一つ「雨水」。この季節になると雪が雨に変わる、と。津軽では3月の声を聞くまで降るものはまだ雪。ようやく〈かすかなる青さの風〉が肌を撫(な)で始める。微(かす)かなものの一つひとつが日増しに春の色合いを濃くする。佐保姫が艶(あで)やかな姿を現すのもそろそろ。『新青森県句集第29集』所収。

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冬帽子再会こめて「グッドバイ」(齊藤君子)

2019/2/18 月曜日

 

 〈冬帽子〉は簡単に擬人化する。「手袋」「頬被(ほおかむ)り」「マスク」なども恰(あたか)も生き物のように行動し出す。身に着けるものがそういう宿命を持つのだろう。楽しい時間を過ごし再会を約しての別れ。〈グッドバイ〉の一語でその場の様子を余す所なく伝える。俳句は不思議な文芸である。『新青森県句集第29集』所収。

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