日々燦句 (石﨑志亥)

 

息白く話すピタゴラスの定理(今順子)

2017/11/20 月曜日

 

 〈息白く〉なるほどの寒さの中、ピタゴラスの定理の話をするのは中学生だろうか。配役としては彼らが一番相応(ふさわ)しい。彼らは理屈っぽく話すことも得意だし、屁理屈は正義だと思っている。そういう時期があってもよい。逆に無いのは少し寂しい。そのうちだんだんと理知的になってゆく。『新青森県句集第27集』所収。

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祖よりの六間雪垣また張れり(奈良暮雪)

2017/11/19 日曜日

 

 〈六間〉とは随分と大掛かりな雪垣だ。住宅の防風雪のための雪垣だろう。今年も〈また張れり〉と。作業手順も毎年ほとんど同じ。風雪への備えは僅(わず)かでも手を抜けない。途端にしっぺ返しにあう。昔から続く必須の冬支度の一つとして代々営々と続けられてきた。これからもずっと続く。『新青森県句集第27集』所収。

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針さへも重たきものに冬の蜂(成田圭子)

2017/11/18 土曜日

 

 あれほど活発だった蜂も冬の寒さには敵(かな)わない。あの毒針も今は〈重たきもの〉、邪魔物でしかない。彼らの一生も晴れの日ばかりではないということか。神が定めた生き方のはずが。幸い人間は那辺のことはよく知っている。その分だけより人間らしく生きられるということなのだろうか。『新青森県句集第27集』所収。

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冬薔薇余生ここから細長く(清野さくら)

2017/11/17 金曜日

 

 冬に咲く薔薇(ばら)は少し寒々しい健気(けなげ)にも見えるが、時には痛々しくも。それらの薔薇も作者には逞(たくま)しく見えているのだろう。あえて、自分の余生に重ねて、〈ここから細長く〉生きようと自分を激励しているようでもある。人生は色々な生き方があってよい。細く長くも悪くはなさそうだ。『新青森県句集第27集』所収。

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雪囲ひ父の残せし大ハンマー(葛西秋遊子)

2017/11/16 木曜日

 

 雪囲い。今年もいつの間にかそんな季節になった。雪のことを考えると、手は抜けない。それぞれの家で雪囲いのやり方がある。〈父の残せし大ハンマー〉は葛西家の必需品であり、自分と父とを繋(つな)ぐ大事な宝物でもある。既に単なる道具ではなくなっている。代々引き継がれてゆく。『此岸合同句集(25周年記念)』所収。

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