日々燦句 (石﨑志亥)

 

山中は風が語り部山法師(築舘秋水)

2018/6/22 金曜日

 

 真っ白な〈山法師〉は一際(ひときわ)目立つ。とても修行中の法師とは思えない。我々が目にする景色はどれも必ず何事かを語っている。語るのは人だけではないということ。その発想は柔らかで自在。作者は山中の〈風〉にも語らせる。きょうからは数多(あまた)の〈語り部〉に耳を澄(す)ますことにする。『新青森県句集第28集』所収。

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クラーク像指さす雲や夏めける(尾崎芳雪)

2018/6/21 木曜日

 

 きょうは二十四節気の一つ「夏至」。クラーク博士の札幌滞在はわずか8カ月。あの「少年よ大志を抱け」は、明治10(1877)年4月、札幌農学校生徒たちへの別れの挨拶(あいさつ)の一節。人間が本来持つべきもののために大志を抱け、と。いまだに色褪(いろあ)せることなく輝き続ける言葉は偉大だ。『新青森県句集第28集』所収。

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狭き家に馴染みて梅の青さかな(福士廣子)

2018/6/20 水曜日

 

 普段我々が目にしている風景は、おそらく自分だけの唯一無二のもの。他人にどう見えているかは知る術(すべ)もない。〈馴染(なじ)みて〉の感覚も固有のものだろう。清々とした〈梅の青さ〉も作者が感じている「青」。芭蕉の頃は木々の緑色も「みどり」とは言わず、「青(あお)」と言っていた。『文芸弘前第28号』所収。

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折りたたみ傘を鞄に桜桃忌(土井三乙)

2018/6/19 火曜日

 

 この季節はぐずぐずした天候の日が多いせいか、傘が手放せない。天気予報でも「折りたたみ傘があれば安心でしょう」などのコメント。太宰治が玉川上水で入水自殺してから70年になる。百年後も太宰と寺山修司の人気は続いているはず。二人とも多くの若者の心を掴(つか)む。『新青森県句集第26集』所収。

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老鴬や石狐は啼いて応へけり(小野いるま)

2018/6/18 月曜日

 

 〈老鴬(ろうおう)〉と言っても老いた鴬(うぐいす)のことではない。夏の鴬のこと。夏に平地から山地に移って営巣し、雄は盛んに囀(さえず)る。その鳴き声を〈石狐は啼(な)いて応へけり〉と感じ取る。作者は敢(あ)えてそんな状況の中に自分を置く。神域に入り込んだ老鴬と石狐のいる情景の把握はつとめて理性的。『新青森県句集第28集』所収。

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