日々燦句 (石﨑志亥)

 

樽三つ重石三つ冬支度(谷ゆり乃)

2018/11/19 月曜日

 

 〈冬支度〉とくれば、まず漬物だろうか。ここでは「漬物」とは言及していないが、〈樽三つ重石三つ〉からその手慣れた様子がよく伝わってくる。俳句の季節感は季語によることは疑うべくもないが、それ以外の表現による季語への手助けも大事な要素。季節の厚み、臨場感がぐっと増す。『新青森県句集第29集』所収。

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木守柿空が淋しくなりにけり(古村節子)

2018/11/18 日曜日

 

 我が物顔に空を覆い隠していた柿の葉も落ち、収穫も終わった。天辺に残るのは幾つかの〈木守柿〉。柿の木への一年の感謝とも鳥への贈り物とも。作者は〈空が淋しくなりにけり〉と感じるが、引き換えに、空が広く、明るくなった。落葉樹が作り出す透明な風景は掛け替えのない程に美しい。『新青森県句集第29集』所収。

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千空忌その福黒子耳の裏(藤田明子)

2018/11/17 土曜日

 

 きょうは〈千空忌〉。青森県の俳人・成田千空の忌日である。〈千空忌〉はまだ歳時記には未登載のようだが、早晩、掲載されることになるのでは。千空を師と仰ぐ俳人諸氏には殊の外待ち遠しいことと思う。耳の裏の〈その福黒子(ぼくろ)〉は誰の黒子なのか。作者の細部を穿(うが)つ如(ごと)き観察眼は鋭い。『新青森県句集第29集』所収。

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落葉一斉向かう三軒両隣(小沢梅鶯)

2018/11/16 金曜日

 

 〈落葉〉は秋と冬の境目。もう後戻りはできない。〈一斉〉が厳冬へと拍車を掛ける。〈向かう三軒両隣〉に込められた作者の真意はどんなものか。私はわが家の落葉が隣近所に越境していることには肩身が狭く、申し訳なく思っている。この時期になると、毎年「迷惑」の2文字に苛(さいな)まれる。『新青森県句集第27集』所収。

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けんけんで渡る敷石七五三(柏崎清一郎)

2018/11/15 木曜日

 

 〈七五三〉は子供の成長と健康を祝い、数え年3歳・5歳・7歳に氏神様へお参りをする行事。〈けんけんで渡る敷石〉が如何(いか)にも無邪気で子どもらしい。どこへ行っても子どもには遊びがついて回る。ただ〈渡る〉には、すでにこれから先訪れる「世間」が見え隠れして、そら恐ろしいようでもある。『青嶺季語別句集3』所収。

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