あすへの夢 震災を越えて ― 第2部 岐路に立つエネルギー

 

2012/3/13 火曜日

 

 昨年3月11日の東日本大震災で引き起こされた東京電力福島第1原発事故をきっかけに、国は新たな原子力政策大綱の取りまとめに着手するなど、エネルギーの在り方が改めて問い直されている。複数の原子力関連施設を抱える本県は政策の見直しによって深刻な影響を受けることも予測され、事業者はもとより、県や関係自治体は国の動向に神経をとがらせる。一方、震災以降に注目を集めている再生可能エネルギーについて、本県は全国有数の潜在能力を持つとされるものの、取り組み拡大へハードルは高い。エネルギーの岐路に立つ本県の現状と課題を探る。

 

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原子力施設立地県の不安=1

 

原発事故を契機に県内原子力関連施設で緊急安全対策を講じ、訓練を行う事業者

 国が今夏に示すとされる新たなエネルギー政策で最も注目されるのが核燃料サイクルの行方だ。原発から出る使用済み核燃料を処理して再び燃料とするシステムで、再処理工場をはじめとする関連施設が下北地域に集中立地している。昨年12月22日、東京都で開かれた新大綱策定会議に委員として出席した三村申吾知事は使用済み核燃料について、「再利用しない場合は発生元に返すこともある」と発言。仮にサイクル路線を中止した場合は、本県にとどめ置かないよう国をけん制した。
 日本原燃(六ケ所村)には全国の原発から集まった使用済み核燃料を貯蔵する施設があり、容量3000トンに対する在庫量は2011年1月末現在で約2859トンと、満杯に近づきつつある。
ある県幹部は「サイクルを前提とした使用済み核燃料は『資源』だが、そうでなければ『ごみ』だ。サイクル路線を中止するなら、使用済み核燃料は国の責任で県外処分すべき」と語気を強める。
 国がエネルギー政策の議論を進める中、下北地域のある自治体幹部は「地域を二分する議論を経た上で受け入れた自治体もある。施設が地域の経済や雇用を支えるようになった今、国が方針を180度転換するならあまりに身勝手」と訴える。「施設を撤去するなら、国は交付金を50年は保証するぐらいの覚悟を持ってほしい」。
 ただ、政策の見直し後も原子力施設が本県に存続する場合の課題もある。原発事故後、事業者は電源多重化や冷却機能確保といった複数の緊急安全対策を実施したが、それでも事故が起きた場合を想定し、県は原子力災害を含めた地域防災計画の修正に着手した。
 新たな避難計画は原発事故を踏まえ、原子力施設から半径30キロ圏外に広域避難する方向で検討が進んでいる。本県の現状から下北地域の住民避難の在り方が議論の中心となっているものの、津軽地域の自治体も今後の対策に頭を悩ませている。
 陸奥湾を挟んで下北地域と向かい合う津軽半島のある自治体幹部は「下北半島から風が吹き付ける時期に事故が起きた場合、直線で30キロを超えていてもすぐに放射性物質が届くはず。人ごとではない」と懸念を表す。
 原発事故が発生した当初、米国は福島第1原発から半径80キロ圏内の米国人に避難を呼び掛けた。津軽地域のある首長は「万一の際は下北地域からの避難民の受け入れに加え、津軽圏域住民の避難対策への取り組みも求められるのでは」と厳しい表情で語った。また同地域のほかの首長は「最悪を想定すればきりがない。とにかく絶対に原子力災害を起こさないための対策が必要だ。国と事業者が責任を持って進めなければ」と苦言を呈す。
 長期的に安定した電力供給に向け、進められてきたエネルギー政策。原発事故を契機にその方向性が見直される中、国策に協力してきた本県がどのように原子力施設と向き合うことになるのか、県民の不安は尽きない。

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