冬夏言

 

2020/9/16 水曜日

 

「司会を除いて質問者はみんな男性。これは一体なぜなのか。どうしてこんなことになるのかと認識しているだろうか。自分も含めてですね」▼日本記者クラブが主催した自民党総裁選の討論会で、女性登用の目標達成に向けた施策を聞かれた石破茂氏の回答に、思わず息をのんだ▼マスコミも意思決定の場に女性が少ないことを改めて痛感したからだ。性差別や人種差別が「いじり」として笑いになるバラエティー番組。夫が育児を「手伝う」と報じる記事…▼枚挙にいとまがないが、マスコミが発信する固定された男女の表現が、無意識の差別につながることを強く反省したい。2003年に掲げられた「指導的地位に女性が占める割合を20年までに少なくとも30%程度とする」目標。17年がたっても女性国会議員はわずか1割だ▼家事や育児の家庭内負担、賃金格差、保育所不足、介護問題、名字を変える不都合-。当事者目線で考えられる男性国会議員はいかほどか。既得権益や前例主義を打破し「国民のために働く」新内閣がきょう発足する。

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2020/9/15 火曜日

 

日ごろ取材で足を運ぶ県りんご協会の入り口に、太い朱筆で「りんご農家のチカラ」と書かれたいやが上にも目立つチラシが置かれている。会員募集を呼び掛ける紙片には協会創設者渋川伝次郎の大きな写真と力強い言葉。インパクト十分▼「行政の都合とか政治家、役人の立場とか制度の変遷でりんご産業が浮沈盛衰するようであってはならない。自主、自立、自由とはそういうことである」。タイムリーなことに、国政では大きな変化があった▼自民党総裁選で菅義偉官房長官が新総裁に選出された。16日の総理大臣指名選挙を経て第99代総理大臣に就任する見通し▼秋田県の農家出身で「たたき上げ」のイメージを打ち出すものの、安倍政権下で主導した農政改革は農家の声を踏まえて進めたとは言い難かった。意欲を示す規制改革で誰を守り、誰を切り捨てるのか▼再び渋川氏の言葉。「役所などに『どうしてくれるか』などと問う者はりんごを伐(き)ってしまったほうが良い。『どうしてくれるか』ではない。『我々がどうするか』である」

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2020/9/13 日曜日

 

新型コロナウイルス感染症の影響で大規模なクラフト展が相次いで中止となる中、先日青森市で野外クラフト展「A―Line(エー・ライン)」が開かれた。よくぞやってくれたと関係者に感謝しつつ、会場に足を運んだ▼野外ならではの開放感、個性的な手作り品との出合い、作家とのやりとり。今年は無理だろうと諦めていただけに、楽しさは格別だった▼今回は密集を防ぐため会場を2カ所に分け、全身が除菌できるゲートを設置。スマートフォンで支払いできるアプリが各店で使えたことも安心かつ便利だった▼県内の新型コロナ感染状況を踏まえ、弘前市でも大型イベントの開催が決まった。「弘前城秋の大祭典」と銘打ち、18日から22日まで弘前公園で開かれる▼会期中は入園時に検温のほか、万一新型コロナが確認された場合に備え居住市町村や氏名、連絡先を記入してもらうなど感染防止対策に万全を期すという。エー・ラインでの感染防止対策も参考にしながら、大祭典が成功することで他のイベントにも良い影響が及ぶことを願う。

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2020/9/12 土曜日

 

世界三大映画祭の一つ、ベルリン国際映画祭は「最優秀男優賞」「最優秀女優賞」を廃止すると発表した▼両賞を廃止し、性別によらない「主演俳優賞」「助演俳優賞」を新設。性別で賞を区別せず、男女平等であるとの姿勢を示した。こうしたジェンダーへの取り組みは欧米が先行しているのに対し、日本は遅れている▼7月31日に政府が閣議決定した今年の「男女共同参画白書」によると、仕事がある日の家事時間は独身世帯の男女でほぼ差がないのに対し、夫婦世帯になった途端に女性が男性の2・6倍。小学生以上の子どもがいる世帯ではさらに差が開き、3・6倍に▼「母親ならポテトサラダくらい作ったらどうだ」-。スーパーで見知らぬ高齢男性から、子ども連れの母親に向けられた発言がネット上で論争を巻き起こした。果たして高齢男性は子どもを連れていたのが父親だった場合でも、同じ発言をしただろうか▼社会に深く根を張る役割規範。「男は仕事、女は家庭」「子育ては女の仕事」。呪いはどこかで断ち切らなくては。

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2020/9/11 金曜日

 

「信じるとは」という問いへの女優芦田愛菜さんの発言が注目を集めている。主演映画の完成イベントで「揺るがない自分がいること」と持論を披露。ネット上では「尊敬する」「16歳とは思えない」などと感嘆の声が目立つ▼「(人に)裏切られたと言うけれど、その人の見えなかった部分が見えただけ。それもその人なんだと受け止められることができる、揺るがない自分がいることが信じられるということ」と語った芦田さん▼同じ年頃の子を持つ親として、わが子と比べてはいけないと思いつつ「こんなふうに育ってくれたら」と考えてしまう。というより、自分自身が彼女のように物事を深く考えられているか自信がない▼最も感心したのは、自分の考えを分かりやすい言葉で丁寧に表現しているということ。報道という仕事に携わり、人に何かを伝えることの難しさを日々感じている▼平易な言葉、分かりやすい表現を用いてニュースを伝えることこそが新聞の揺るがない使命である。16歳の少女が改めて大切なことに気付かせてくれた。

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