冬夏言

 

2020/7/1 水曜日

 

鳴り響く花火の音。心浮き立たずにはいられない。ヨミヤの合図だ▼近所の神社で行われていたヨミヤでは、夕暮れ、たくさんの子どもたちや親子連れが訪れていた。マスク姿ながら、どの目もにっこり。連なる屋台の明かりに、漂う食べ物の香り、子どもたちのはしゃぐ声。ようやく今年初めて、津軽の夏に出会えた▼新型コロナウイルスの感染拡大の影響により当初中止されていた津軽地方のヨミヤが、緊急事態宣言の解除などを受けて各地で催され始めた。弘前ねぷたまつりの中止、そして大鰐町の大円寺や弘前市の通称・山観のヨミヤも今年は行われないとの知らせに、今年は津軽に夏が来ないのだなあとすら思っていた。この日の景色は幸福だった▼今年は、この時期であればとうに方々から聞こえてくる囃子(はやし)の練習が聞こえないのもさみしい。例年とは違うのだな、ということを再認識させられる▼今はまだすべてがいつも通りとはいかないが、マスク、消毒はしっかりと、「新しい生活様式」を組み入れながら、少しずつ日常を取り戻せたら、とも思う。

∆ページの先頭へ

2020/6/30 火曜日

 

早いもので2020年も半年が過ぎ、あすから7月。早いものでと言ってはみたものの、このコロナ禍。感覚としては「ようやく半年か」という思いも否めない▼思えば、今年は東京五輪の期待でわくわくしながら迎えた新年だった。それが新型コロナウイルスの影響で1年延期となり、残念ながら「2020」というインパクトが薄れてしまった感がある▼その「2020」を目いっぱい感じられる地酒がある。弘前市にある三浦酒造の「豊盃2020」兄弟杜氏20周年企画だそうだ。20年2月20日発売、精米度20%容量200ミリリットル税別価格が2020円、税込み価格だと2222円など「2」と「20」尽くしのお酒だ▼ボトルはポケット瓶。特殊塗装でそうは見えないが、手にしてみれば確かにガラス瓶。おしゃれで格好いい。5月に還暦を迎えた友人に贈ったら、なんと「もったいないから仏様に供えてある」▼今年もあと半年。コロナを吹き飛ばす思いで、友人には早く飲んでほしいのだが、まずは自分がと飲んでみた200ミリリットルはあっという間ほろ酔いでつぶやく。「コロナには負げらいね」。

∆ページの先頭へ

2020/6/29 月曜日

 

五所川原商業高校に、津軽地方で先駆けとなるeスポーツ(エレクトリック・スポーツ)部が発足。今夏の大会に向け部員らが練習に打ち込んでいる▼大会により課題ソフトは違うが、総じて戦略性や連携が問われ頭脳戦の色彩が濃い。スポーツや格闘では反射神経が求められる。文化部的でありながら、運動部寄りの性質も感じる▼同部を取り上げた本紙記事に業界誌「ファミ通」編集長を長く務めた浜村弘一氏(日本eスポーツ連合副会長)がこういった試み全国にどんどん広がってくれること期待したいなとツイッターで反応した。拡大の潮流は都市圏中心ではあるが、津軽での今後の動向も注視したい▼コロナ禍で外出機会の減った子どもらが、オンラインゲームで楽しげにつながっていた。eスポーツ部の顧問がコミュニケーション能力向上を利点に挙げるのも分かる▼ただし、遊び過ぎは視力低下や依存症を招く。勉強をおろそかにするのは論外だし、外遊びだって大事。ファミコン時代のゲーム名人の合言葉〈ゲームは1日1時間〉の趣旨は今でも通用する。何事もバランスである。

∆ページの先頭へ

2020/6/28 日曜日

 

黒石市が新型コロナウイルスによって大きな影響を受けている市内の飲食店などを応援しようと、独自対策として発行した黒石グルメ券の利用が27日に始まり、早速市民がそれぞれお目当ての店で利用している▼市内1世帯に3000円分のチケットが配布されており、わずかな額だが市民にとっては3000円の出費が抑えられておいしい食べ物を楽しめ、店側も売り上げが少しでも増えるのであれば互いにありがたいだろう▼黒石市では中止となったねぷた祭りや黒石よされの代替として、8月1日から「黒石まつり」(仮称)と題し、9月12、13日に規模を縮小して開催される黒石こみせまつりまでの約1カ月半の中で、各団体によるイベントが企画されていることも発表された▼自粛要請の緩和や県境をまたぐ移動が解除され、人の流れが徐々に戻ってきている▼それでも、東京を中心に新たな感染者が日々出ている状況であり、遠出は遠慮しようというのが大部分だろう。マスクを付けずに元気に街中を歩いたり、観光を楽んだりできるようになるのは、一体いつになるのだろうか。

∆ページの先頭へ

2020/6/27 土曜日

 

見慣れた風景の中に、思いも寄らぬ形で広大な世界へのつながりを発見する瞬間がある。冬夏言子の場合、それは小学生時代、カブトムシを捕りに通った道すがらの坂道だった。沿道に餓死者の供養塔があると知ったのは大人になってから▼233年前のきょう、米価引き下げを求める大阪庶民が米屋を襲撃した。本県を含む全国で同様の民衆暴動が発生した「天明の打ちこわし」。背景にあったのは、弘前藩にも甚大な被害をもたらした天明の大飢饉(ききん)だ▼弊社発刊「続つがるの夜明け中巻」によると、津軽一円の死者は14万人に及ぶ。藩政の失策に加え、大阪の動乱にさかのぼること4年、1783年に爆発した岩木山の火山灰による冷害も原因とされる▼実は同年に浅間山やアイスランドの火山でも大噴火が発生し、大量のちりに覆われた北半球は冷害に見舞われたという。驚きの決定打は、これらがフランス革命の遠因となったとする説。今ではあの坂道に近代社会の出発点を重ねてしまう▼記者として地域の事象の背景に広がる問題を見落としていまいか。想像力の射程を広げ続けたい。

∆ページの先頭へ

Page: 1 ... 5 6 7 8 9 10 11 12 13 ... 256