冬夏言

 

2020/7/11 土曜日

 

「青森の人たちにとって東京の人っていうのは十把一からげなんでしょ?」。東京に住む高校の同級生が電話でそう言って苦笑していた▼最近出張で地元に帰ったらしいのだが、コロナ禍で友人たちには一切連絡をしなかったというのだ。「水くさいじゃないか」と言ったら、返ってきたのが冒頭の言葉▼都内の感染状況から、「東京=コロナ」だと十把一からげに思っているのだろうという意味らしい。確かにこの時期、同級生から帰省の連絡があったとしても、コロナのことが気にかかり、おそらく会食することはなかったろう▼「病弱な母親が心配だけど今はとても帰れない」「旧盆も帰れるかどうか」。首都圏に住む友人、知人からは同じような声が届く。県境をまたぐ移動自粛は解除されたものの、それでも実際に帰省することにまだ抵抗を感じているようだ▼だが、いつまでもじっと我慢でいいのか。これからはコロナと向き合い、歩みを進めていくべきではないのかとも思う。東京の同級生には「お互い決して十把一からげではない。細心の注意を払い、旧盆に会おう」と伝えるつもりだ。

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2020/7/10 金曜日

 

抗争で死んだヤクザの葬式。居並ぶ親分たちの前で主演の菅原文太が、やりきれない思いを胸に、祭壇に拳銃をぶっ放す▼深作欣二監督の傑作「仁義なき戦い」は何度見てもいい。「広能(主人公)、かっこええのう」となって見終わった後、自分も肩で風を切って歩いている▼映画と同じ広島が舞台。「現金」という名の弾丸が派手に飛んだこちらは、対照的にひたすら格好悪い。衆院議員で前法相河井克行被告と妻で参院議員の案里被告の公選法違反事件は、地元首長や県議、市議と手当たり次第にカネをばらまく醜聞ぶり。映画のヤクザたちも欲にまみれ、抗争を繰り返すが、アウトローの世界に乾いた描写が相まって登場人物は実に魅力的。今回の“仁義なき戦い~選挙編”とは雲泥の差だ▼一方、映画と事件、似ている部分もある。広島ヤクザ同士が、全国組織の暴力団をバックに代理抗争を繰り広げる映画と、巨額の資金を投じた自民党本部にわだかまりのある地元―という今回の構図は何か重なって見える▼その辺りを映画にすれば、うけるか? 深作監督ならば生きていても鼻も引っかけまい。

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2020/7/9 木曜日

 

一見、ただの風景写真。しかしすぐに一枚の風景写真に見えた作品が、何十枚もの写真で一つの風景を形作るモンタージュであることに気付いた。幼少期に弘前市内のレストランで見た同作。現代英美術を代表するデービッド・ホックニーの作品と知ったのは十数年後の話▼遠近法と視点の関係性を考える中でモンタージュに挑んだホックニー。西洋絵画史をなぞり、その技法を追求し続ける巨匠の作風は多彩だ。きょう9日が83歳の誕生日▼ホックニーと言えば一昨年、存命芸術家の作品としては当時史上最高額の約100億円で絵画が落札されたことも話題に。その半年後には米芸術家ジェフ・クーンズの彫刻が記録を塗り替えた▼アートが富裕層の投機対象となり、現代美術をめぐる市場はかつてないバブルに沸く。競売人から富豪のコレクターへ。その時、アートは誰のものか。芸術の価値とは▼今週末の11日、いよいよグランドオープンを迎える弘前れんが倉庫美術館。同館が目指す「現代アートを通した地域と世界を結ぶ文化創造拠点」。市民と共にある施設となることを期待したい。

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2020/7/8 水曜日

 

洋服や家具、さらには生鮮食品―。インターネットで手軽に買い物できる通信販売。その通信販売で、未成年者の定期購入に関する消費者トラブル相談が県内で増えている▼SNSや動画サイトを使用する人なら「初回0円」とうたう広告を目にしたことがあるかも知れない。そのうたい文句を見て、定期購入が初回無料の条件にあることを理解しないまま化粧品やダイエット食品を申し込むケースが未成年の間で激増しているという▼そもそも定期購入の意味が分からないまま注文したり、注文確認メールを見ないで破棄したりという人も。保護者の同意がない契約は「未成年者取消権」で取り消せるが、年齢を20歳以上と偽って購入するケースもあり、取り消しが難航することも少なくない▼このようなトラブルの増加に加え、2022年には成人年齢が18歳に引き下げられる。保護対象から外れる子どもたちに社会の仕組みを教えることは喫緊の課題だ▼成人年齢の基準を決めたのは“大人”。何も手だてを打たず“子ども”を大人にするのではなく、自立してもらうための教育を施す責任がある。

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2020/7/7 火曜日

 

マイナンバーカードを持っている人に買い物などで使えるポイントを還元する「マイナポイント事業」の申し込み受け付けが始まった。事業はカードの普及と消費喚起を目的に、政府が9月から来年3月まで行う▼マイナンバー制度は2015年10月に番号の通知が始まり、16年1月に運用をスタート。行政機関に提出する書類に書く以外、あまり活用したことがないという人も多いだろう▼運用開始から4年半が経過したが、実際にマイナンバーカードを持っている人は20%にも満たない。21年3月からは保険証として利用できることになるが、現在のものが使えなくなるわけではないので困らない▼マイナポイント事業は、マイナンバーカードにキャッシュレス決済サービスを登録し、そのサービスで買い物やチャージをすると25%(最大5千円分)がポイント還元される仕組み▼最大のポイント還元を受けるには2万円分の買い物が必要。取り立てて買いたい物もない。マイナンバーカードの交付申請を急ごうかと思ったが、政府が検討する運転免許証との一体化を待つことになりそうだ。

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