冬夏言

 

2017/9/9 土曜日

 

「か!」「け!」「か!」「け!」。難解で知られる本県の方言が、どこか癖になるラップのリズムで飛び交う。よくある観光PR動画とは一線を画す面白さと質の高さ▼県が制作した「ディス(り)カバリー青森2」が8月9日に動画投稿サイト「You Tube」で公開されて1カ月。昨年12月~今年3月に公開された第1弾の好評もあり、視聴回数は13万回超。この類いの動画としては驚異の数字で、再公開された第1弾は42万回を超えた▼ともに「滑舌悪い芸人」として知られる諸見里大介さんの人気もあるが、反響は津軽弁・南部弁の難解さに集中。標準語の字幕なしでは分からない―といったコメントが並ぶ▼方言は地域の魅力の一つ。本県は全国でも突出した魅力を秘めているだろう。標準語と比べ、単語の違いと訛(なま)りは多く、強いほどいい。津軽弁と南部弁の違いを含め、来県する観光客はそれを聞いて楽しみたいのだ▼とはいえ、動画の方言はかなり強烈。純粋な津軽出身者として意気揚々と視聴したが、津軽人としてまだまだ若輩者で「たふらんけ」だと思い知らされた。

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2017/9/8 金曜日

 

その言葉を初めて聞いた時、インパクトの強さにどきりとした。最近話題となっている「睡眠負債」のことである。日々の睡眠不足が借金のように積み重なり、心身に悪影響を及ぼす恐れのある状態を指す▼悪影響とは、病気にかかりやすくなる、注意力が散漫になる、仕事の能率が下がりミスが増える―など。理想的な睡眠時間は個人差があるがおおむね7時間で、負債のある人は休日に早寝をして少しずつ“返済”するのが望ましいという▼元気に過ごすには睡眠が不可欠とは分かっていたが、不足分が負債になるとは知らなかった。なるべく負債をためないようにしたいものだが、中には睡眠時間を確保するのが難しい人もいるだろう▼まず思い浮かぶのは長時間労働の人。睡眠負債はうつ病のリスクが高まり自殺の危険性もある。本県は全国平均に比べ労働時間の長い事業場が多いと聞く。短命県返上のためにも事業主の意識が問われる▼一方で、眠りの深さや質も大事だといわれる。快眠のためには悩みやストレスを一人で抱え込まず、相談したり趣味を楽しんだりすることで健康を保ちたい。

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2017/9/7 木曜日

 

時代小説、大衆文学に新境地を開いた国民文学作家の吉川英治が没したのは、55年前の1962年9月7日。きょうは吉川英治忌に当たる▼代表作は「宮本武蔵」。これを執筆、もしくは大詰めの構想を練った30年(29年説も)、吉川は黒石市から十和田湖に向かう通称・十和田西線沿いにある平川市切明の温川温泉に投宿し、文学碑も残る。平川市はいわば吉川ゆかりの地▼脇を渓流が流れ、雑木林の中にひっそりとたたずむ露天風呂のロケーションが好きだった。残念ながら温川山荘は2014年8月に閉館し、今もかすかに湯煙こそ上がっているものの、建物は傷みが進んでいた▼吉川の名言の一つに「朝の来ない夜はない」がある。これに類似する「明けない夜はない」「やまない雨はない」が、武富士弘前支店強盗殺人・放火事件で行き詰まった捜査員の合言葉だったことだけは、明確に思い出す▼今さら文学の素養不足を嘆くまい。読書の秋には努めて本も読みたいが、老眼が邪魔をする。「逆境にも希望だけは失ってはならない」との吉川の教えに沿い、せめて文学碑巡りでもしよう。

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2017/9/6 水曜日

 

遠目で「おぉっ! 大きな鳥が飛んでる。トンビ? いやタカ?」と驚き、近目で見て、それが鳥の形をした鳥追いのグッズだと分かった。最近よくリンゴ園などで見掛ける▼調べてみたら「鳥追い カイト鷹」と言うらしい。タカの形をしたカイト、つまり、鳥よけの凧(たこ)である。釣りざおのようなポールに糸が付き、その糸につながった凧のタカが風に吹かれ、リンゴ樹の上を縦横無尽に、まるで本物のタカが飛んでいるかのように見える▼果樹をついばむ気だった小鳥はタカがいると知れば、慌てて逃げていくに違いない。経験則があるのなら、当分は「タカのいる危険な場所」には近づきもしないはずだ▼シンプルながらよくできた鳥追いグッズである。津軽の各地で目にするから、農家には近頃はやりの人気商品なのだろう▼鳥追い、鳥よけといえばかかし、キラキラ輝く反射テープ、目玉模様の風船などもある。それぞれ効果に差はあるにしても、そこには平穏だからこその出来秋への願いがこもる。リンゴ園の上を飛ぶタカを見ながら思う。平和を脅かす「北よけ」はないものかと。

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2017/9/5 火曜日

 

回転時の軸足はぶれず、高いジャンプは宙に浮いているかのよう―。先月末に見たバレエ公演。一流の演舞には感嘆のため息を漏らすしかなかった▼弘前市出身の吉田むつきさん、田中孝欣さんらプロ3人が出演した公演はなんと無料。企画したのは2人の弘前時代の恩師であり、市内でバレエ教室を主宰する青山洋子さんだ▼自身と縁のある国内外のトッププロを招いては、無料公演会を開いてきた。人々に“本物”を見せたいという思いと、「先人から脈々と受け継がれてきた弘前の文化」(青山さん)を次代につなぐという使命が原点にある▼文化という「宝」を守るため、私財を惜しまない人たちが弘前にはなんと多いことか。地元の囲碁愛好家ら32人が先日立ち上げたのは、県内で囲碁普及に力を注ぐ古川元・こんゆ夫妻の後援会。発会式で名誉会長の秋元弘一さんは夫妻を「弘前囲碁界の宝」と称した▼「うれしい時、悲しい時に抱きしめてやれるおやじや兄貴のような存在でありたい」(会長代行の中西寿生さん)という会に、文化都市と言われるゆえんは、人にあるのだと改めて思った。

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