冬夏言

 

2020/7/17 金曜日

 

前回の当欄を担当してから約2週間。この間に誕生日を迎えて年を一つ重ねた。いわゆる初老と呼ばれる年となってから3年がたち、こういう書き方は人生の先輩方に失礼かもしれないが、年々体の衰えが顕著になっている▼例として、なんてことない段差に気付かずつまずいたりする。後は、過去にヘルニアやぎっくり腰を数度経験し、腰に爆弾を抱えている身なのだが、体重増加がさらに悪影響を及ぼしているようで常に腰痛と闘っている▼そして記憶力もだんだん怪しくなってきた。人や物の名前が思い出せない時がある。常日ごろ会っている人でさえ、たまに下の名前が出てこなかったりする▼ある有名人が、名前を忘れた人とばったり出会って向こうから「名前分かりますよね?」と言われた時の対応として「名字は知っているけど下の名前をど忘れしちゃった」と向こうから言わせるようにしていると言っていた▼なかなかうまい考えだなと思っているが、この仕事をしている上で、名前を忘れたり間違ったりするのはあってはならないこと。改めて身を引き締めて業務に臨んでいきたい。

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2020/7/16 木曜日

 

国が悪いのか、東京都が悪いのか。東京で新型コロナウイルスの新規感染が相次ぐ中、菅義偉官房長官は「東京問題」と指摘し、小池百合子都知事は「むしろ国の問題」と反論。双方で責任をなすりつけ合っている▼政府は新型コロナの影響で打撃を受けた観光産業を盛り上げようと、22日から「Go To トラベル」キャンペーンを展開する。国内旅行を対象とし、宿泊あるいは日帰り旅行の代金を一部支援する取り組みだ▼危機的状況にある観光産業への支援に異論はない。本県は県民限定で県内宿泊施設の利用を促進するキャンペーンを実施し、津軽圏域8市町村も圏域内周遊を仕掛け、弘前市の独自キャンペーンも22日から始まる▼近場旅行が推進される地方では、首都圏にいる家族と会うことすら我慢している人も少なくない。その状況下で全国的な人の移動を後押しする国の施策は、タイミングが間違っているのではないか▼感染拡大の責任を国と東京が押し付け合っているようだが、国の旅行需要喚起策で地方に感染拡大した場合の責任も、地方になすりつけられるのではと心配だ。

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2020/7/15 水曜日

 

解熱の座薬を差しても熱が下がらない。胸を大きく上下させて苦しそうに呼吸している。3年前、当時1歳3カ月のわが子を抱きかかえ、かかりつけ医を受診した▼診断名は肺炎。すぐに総合病院に入院する手配をしてもらい向かったが、ずっと混乱していたのだろう。酸素吸入で呼吸が落ち着いた子どもと対面するまでの記憶が抜けている▼肺炎は時に命に関わる。新型コロナウイルスから家族を守るためと、帰省を控えている人たちや、何カ月も緊張を強いられている医療関係者を思うと、国の考えは理解できない▼感染者が急増し、各地で豪雨被害が起きている中、22日に始める旅行需要喚起策「Go To トラベルキャンペーン」である。批判を受けて、検温などの感染対策を参加業者に義務付ける方針だが、委託費は依然として高額だ▼この半年、政府が一元的な見方しかできないのを何度も痛感した。国会議員の9割が男性で平均年齢は50代。若者、女性、弱者ら多様な声に耳を傾けず、国民の命より利権を優先する政策を、数の力で強引に推し進めるのが「全国民の代表」ではないはずだ。

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2020/7/14 火曜日

 

「お互いさまだはんで」。そう言ってもらえることが増えた。もしくは、年を重ね、そのありがたさをきちんと感じることができるようになったのかもしれない▼先日、財布を落とした。しかも、うっかり車の屋根に置いた財布を、である。しばらく車を走らせたところで、自分の行動をはっと思い出した。「もう絶対見つからない」。そう思いつつも、車を止めて来た道の道路端を捜した▼その不審な様子に気付いたのだろう、道に落ちていた財布を先に見つけた方がわざわざUターンして届けてくれた。感激して差し出したお礼も受け取らず、その方は「お互いさまだはんで」を繰り返し、走り去った▼子どもが小さい頃、スーパーで泣き出した様子を見て、「お互いさまだからね」とさっと手を貸してくれたご婦人もいた。そのありがたさもまた、今も心に温かい▼困っている人に、さっと手を貸せるだろうか。「多分困っている、でも迷惑かな」。そんな思いが去来してタイミングを逸することも多い。思い切って声を掛け、「お互いさまですから」と、もっともっと言えたなら。

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2020/7/12 日曜日

 

熊本県で発生した大水害。過去たびたび大暴れしてきた球磨川が、記録的豪雨で氾濫し、住民が犠牲者となり、民家も泥にのまれた▼この球磨川水系、かつて国土交通省が洪水調節機能のあるダムの建設を計画したが、関係自治体は猛反対。蒲島郁夫熊本県知事は「住民独自の意思を尊重すべきだ。球磨川は将来に残すべき宝」と訴えていた。時の民主党政権も「脱ダム」志向で、速やかに計画は止まった▼今回の大被害を受け蒲島知事は、ダムによらない治水を目指してきたが、費用が多額でできなかった―とこぼした。だが、脱ダムから10年以上たちながら、無策同然の状態を放置してきたのなら、関係機関の責任は重い▼脱ダム全盛の時代、大型建設事業への拒否感が強く、多数の有権者がこれを支持。〈ダムはムダ〉などという回文調の軽口も一部ではやった。熊本県を後押ししたのは、知事や各首長に信任票を投じた県民だったともいえる▼ベターな治水対策は土地によって違うものだが、忘れてはならないのは、自然保護は大事であるにせよ、人命に勝るものでないということではないか。

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