冬夏言

 

2022/6/16 木曜日

 

 仙台管区気象台は15日、本県を含む東北地方が梅雨入りしたとみられると発表した。本県の梅雨入りは昨年より4日早いという▼梅雨の時期は、じめじめして洗濯物が乾きにくく、カビも生えやすくなるため、嫌う人も多いのではないだろうか▼梅雨と言えば、20年以上前に読んだ漫画を思い起こす。主人公は日本人に最も愛されている絵として、雨に濡れる松林が描かれた水墨画を紹介する。日本人にとって適度の湿度は生きるために欠かせない条件で、だからこそ、この水墨画は心を引きつけるとし、日本人は湿度を他人と共有することで互いに支え合ってきたと説く▼確かに日本人は「向こう三軒両隣」という言葉などがあるように、近所付き合いを大切にしてきた。これが主人公の言う「湿度の共有」なのだろう▼しかし、今はそういったことが希薄になり、人間関係や近所付き合いがどんどんドライになっている気がする。日本人にとって貴重な水資源をもたらしてくれる梅雨が欠かせないように、適度な付き合いは必要ではないか。

∆ページの先頭へ

2022/6/15 水曜日

 

 東京支社時代、単身赴任の自炊生活で重宝したのが「源たれ」。正式には「スタミナ源たれ」という名の調味料だ。スーパーで買った豚肉や野菜で、源たれを使えばおいしく、満足できる食事が作れた▼数カ月に1回は家人からコメなどが届いた。その荷物の中に必ずと言っていいほど入っていたのが源たれだった。ワンルームの狭い台所に源たれが何本も並んでいたのを思い出す▼上北農産加工の源たれは肉料理に欠かせない調味料。冬夏言子には、これがないと焼き肉が始まらないし、野菜炒めにも適した、まさに「万能調味料」という存在である▼源たれを全国区に押し上げた立役者が成田正義社長。1月16日付の本紙「Voice 津軽のトップインタビュー」にも登場してもらった。その成田さんの訃報が届いた▼東京の居酒屋でばったりお会いしたことがある。プライベートな会合のようなので軽くあいさつしただけなのに、すぐさまこちらのテーブルにビールが届いた。「陸奥新報にはお世話になっているから」。あの笑顔が忘れられない。

∆ページの先頭へ

2022/6/14 火曜日

 

 任期満了に伴う五所川原市長選が12日に告示され、大方の予想通り現新2候補が立候補した。保守系同士のがっぷり四つの争い。爽やかな政策論争を期待したい▼残念ながら本県の少子高齢化と人口減少は全国的にも顕著だが、6地域別で西北地域はより一層深刻だとされる。エリア中心にある人口5万都市・五所川原でさえもその宿命は免れない▼青森市や弘前市に比べ財政基盤はぜい弱で、必ずしも潤沢とはいえない自主財源でのやり繰り。「自腹」の大盤振る舞いで人を呼び込むことは難しい。だから国などの有利な支援の活用と、財源づくりの工夫はもちろん大切だ▼一方で行政と市民が協働を深め、開かれた場で積極的にアイデアを共有することの重要性も問われている。あれこれと「お上」任せにするのは時代遅れなのだ▼リーダーの選択はもちろん大切だが、選んだら終わりではない。首長の力を最大限引き出し堕落や腐敗を回避するためにも、市民が主体的にまちづくりに参画する姿勢が強く求められる。何も五所川原に限らない話だ。

∆ページの先頭へ

2022/6/12 日曜日

 

 一部で「ブラック部活」と呼ばれてきた吹奏楽部。強豪校として知られる千葉県の公立高校の吹奏楽部に所属していた男子生徒が2018年に自殺した問題について、調査報告書が今年3月に公表された。直接的な要因は不明としながら、長時間にわたる練習が一因に挙げられたという▼学生時代に吹奏楽部に所属した冬夏言子は、20年ほど前だが同校の部員らと交流し、演奏を間近で聴いたことがあった。サウンドはプロ顔負けの完成度。パフォーマンスも同じ高校生とは思えない質の高さで、部員たちがきらきらして見えた▼同時に、その顔の裏には相当な努力があり、さまざまなものを犠牲にして打ち込んでいるのだろうと思った▼全国柔道連盟は小学生の全国大会を今年度から廃止した。その理由は「行き過ぎた勝利至上主義が散見される」ため。大人は眼前の勝敗に拘泥してはいないか▼前出の吹奏楽部は生徒の心と体を犠牲に、強豪校としてのプライドを押し通しているだけではないか。見詰め直す契機にしなければならない。

∆ページの先頭へ

2022/6/11 土曜日

 

 ショッキングな内容だった。今月公表された2021年の人口動態統計(概数)で、この年に本県で生まれた赤ちゃんの人数は統計が始まった1899年以降で最少を更新した一方、亡くなった人は戦後最も多かった▼さらに自殺死亡率(人口10万人当たり)は統計が残る1980年以降で初の全国ワーストとなるなど、改めて本県の深刻な課題が浮き彫りになった▼病気の死亡率も依然、改善されていない。がんの死亡率(同)は9年連続で全国ワースト2位。心疾患、脳血管疾患も前年より悪化した。出生数の減少や自殺死亡率、病気死亡率の悪化は、新型コロナウイルス禍による人との交流減や経済の低迷、検診の受診控えが一因と考えられている。新型コロナが社会に与えた影響の大きさを改めて実感させられた▼参院選は有力視される7月10日の投開票まで残り1カ月を切った。今回の参院選では政府の新型コロナ対応や物価高対策などが争点に含まれる▼国の未来に向け、候補たちは何を語るのか。じっくり耳を傾ける必要がある。

∆ページの先頭へ

Page: 1 2 3 4 5 6 7 8 9 ... 390

当サイトでは一部、Adobe PDFファイルを使用しております。閲覧にはAdobe Acrobat Readerが必要です。最新のプラグインはアドビ社のサイトより無料でダウンロード可能です。

  • Adobe - Adobe Reader ダウンロード