冬夏言

 

2019/10/23 水曜日

 

即位礼正殿の儀が22日に皇居で行われ、天皇陛下が国内外に即位を宣言された。三権の長や外国元首ら約2000人が参列。国内は祝福ムードに包まれ、海外メディアも高い関心を持って報じた▼お言葉では平成時の上皇さまを踏襲しつつ、「国民に寄り添いながら」という文言が盛り込まれた。皇室が身近になった平成の30年間。災害の被災者などに心を寄せる上皇さま、上皇后さまの姿に多くの人が励まされたことだろう▼そうした思いを引き継ぎつつ、時代の変化に合わせて新たな役割も模索されていくであろう陛下。お言葉の中では3カ所で「平和」に言及されており、その変わらぬ願いが強く感じられた▼令和の時代を迎えて間もなく半年。この間にも国内では大規模な気象災害が相次いで発生し、海外に目を向けると政治、経済、社会いずれも情勢は不安定だ▼国民の幸せ、国際社会の友好や平和に向けて「国民の叡智(えいち)とたゆみない努力」を望まれた陛下。新たな時代を明るいものとするために、われわれ一人ひとりが日本人として何をすべきかを考えなければならない。

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2019/10/22 火曜日

 

黒石市ではいま閉校式がラッシュだ。黒石は市内10地区それぞれに小学校と公民館が一つずつ配されていた特徴的な地域だが、少子化による学校の統廃合が大規模に進んでいる来春までにかつては10校、現在9校ある小学校が4校まで減ることになる▼特に来春の統廃合の対象となる小学校は7校と多い。そのため、今月初旬から11月初旬にかけて閉校式が順次執り行われる▼ある学校では校歌の他に讃(さん)歌(か)があったり、また別の学校ではシンボルツリーがあったり。各校の式典に取材という形で立ち会う中で、どの学校にも歴史と誇りがあることを強く感じた▼式の途中で鼻をすする音が聞こえたり、登壇者があいさつで言葉を詰まらせたりする場面も。6年という子どもの体感的には長い時間を過ごした学びやへの思いはいかほどのものか。母校が同じ道をたどった自身を省み、想像するだけでこみ上げるものがある▼地域に愛されてきた学校の、最後の大きな行事ともいえる閉校式。その学校に抱く卒業生や在校生、教育関係者たちの思いを大事にして取材に臨みたいと、改めて強く感じた。

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2019/10/21 月曜日

 

とある和食屋に入ると、ふわりと温かい照明が居心地のいい空間をつくっていた。日本のちょうちんにヒントを得てつくられた20世紀を代表する彫刻家イサム・ノグチの照明「AKARI」は国内外にファンが多い▼電球を和紙で包んだ照明器具の柔らかい間接光は、どこか優しく、気品と親しみやすさを感じ、見る人に癒やしを与えてくれる▼10月21日は「あかりの日」。1879年10月21日、トーマス・エジソンが京都産の竹を使い、白熱電球を完成させた。国内の照明関係3団体が、その偉業をたたえて制定した▼電気が実用的なものになって140年。電気はただ物を照らすだけでなく、さまざまな機器の動力源や、心を和ませる道具として、日常生活に溶け込み、無くてはならないものになった▼台風19号によって全国で最大約2万6000戸が停電し、多くの人が電気のない生活を余儀なくされた。度重なる災害に、今もなおその傷跡に苦しむ人たちがいる。あかりの日であるきょうは、一日も早い被災地の回復を願うとともに、明かりのある生活の尊さ、その恩恵に感謝したい。

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2019/10/20 日曜日

 

1970年、とあるニューヨーカーの自宅のロフトで、レコードで音楽を楽しむパーティーが開かれた。人種差別が今より激しく、性的少数者への理解も格段に遅れていた時代。このパーティーはあらゆる人と音楽を受け入れた▼「ロフト」と名付けられたパーティーは評判を呼び、後のダンス音楽シーンに多様性や寛容の精神を広めた。主催者で家主兼DJのデヴィッド・マンキューソが亡くなって約3年。存命であればきょう20日が75歳の誕生日▼マンキューソに続きダンス音楽史に名を連ねるDJの中には、性的少数者ならではの視点や感覚を特徴とする人も少なくない。その意味でダンス音楽シーンは進歩的と言えるだろう▼身近な環境ではどうか。性的少数者への理解を呼び掛ける青森市の「レインボーパレード」は6回目の今年、過去最多の人数が参加。弘前市でも11月に同様のイベントが開催予定のほか、同市は県内の他自治体に先駆け印鑑登録証明書の性別欄を削除する▼これらの小さな一歩が、ロフトが目指した「誰もが違いを超え共存できる社会」の実現につながることを願う。

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2019/10/19 土曜日

 

「私の苦痛が、誰かが笑うきっかけになるかもしれない。しかし私の笑いが、誰かの苦痛のきっかけになることだけは、絶対にあってはならない」。喜劇王チャールズ・チャプリン(1889~1977年)の言葉だ▼チャプリンは自身が主演を務める映画を通し、多くの人を笑わせた。知恵と工夫で権力を持つ者をやりこめる痛快なシーンも描いたが、弱い立場の誰かをからかったり、おとしめたりする笑いは好まなかった▼県内学校のいじめに関する認知件数などをまとめた県教委の2018年度調査結果では、冷やかしやからかい、悪口や脅し文句、相手を嫌がることを言うといった種類が最多。遊ぶふりをしてぶつかったりたたいたりするケースも多かった▼いじめは加害する側にとって、エンターテインメントに近いだろう。被害者を笑い、自分の立場が上だと確信し、満足感を得る行為だ。神戸市内の小学校で発生した、犯罪に近い教員間いじめも、加害する側は楽しかったに違いない▼誰かに苦痛を与えて一方的に楽しむ笑いではなく、皆がともに笑い合える社会を目指したい。

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