冬夏言

 

2020/1/3 金曜日

 

初詣で多くの人が絵馬に願いを込めて神社に奉納する姿を見ると、一年の始まりを実感する。同時に、訪れた人たちの大切な思いが感じられ、温かい気持ちにさせられる▼昔々、日本では神様に願いをかなえてもらうため、神聖な神馬を奉納する習慣があり、絵馬は神馬の代わりに馬の絵を描いた板を奉納したのが始まりだという▼現代の神社を見渡すと、絵馬の絵は干支(えと)やその地域の縁起ものが描かれ、その姿は形を変えているが、合格祈願や健康、安産祈願、家内安全など、それぞれに込められた思いや役割は今も変わらない▼年が明けた2日、弘前市のJR弘前駅の自由通路に、心温まる“絵馬”が並んだ。受験生の願いや受験生への応援メッセージを“絵馬”に込め、巨大なリンゴオブジェにくくり付けるというJR弘前駅の初企画だ▼“絵馬”には「応援してるよ」「風邪に気を付けて」といった受験生を気遣う言葉がずらり。こうした合格祈願絵馬や応援絵馬を見ていると、不思議と勇気が湧いてくる。思わず「あと一息、頑張って!」と“絵馬”に筆を走らせた。

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2020/1/1 水曜日

 

ギリシャ語読みの「アイソーポス」よりも英語読みの「イソップ」の方が日本ではなじみがあるだろう。「寓話(ぐうわ)の父」と呼ばれるイソップである▼紀元前6世紀中ごろの人と推定され、古代ギリシャの歴史家ヘロドトスの書に最初の記述が出てくる。ギリシャで寓話をつくったり話したりして名声を得ていた、奴隷であったらしいなどとあるが、出生を含めて多くが謎である。(河野与一編訳「イソップのお話」)▼価値観が変わっても人の本質は変わらないからか。2500年以上も語り継がれている教訓集には、「ウサギとカメ」や「肉をくわえたイヌ」のように、動物が数多く登場する▼今年の干支(えと)であるネズミもだ。「ライオンとネズミ」は2匹の助け合いの物語。小さいネズミに恩返しができるわけないと、ライオンはばかにするが、そのネズミに助けられる▼大手マスコミにもソーシャルメディアにもできない報道が、地方の小さな新聞社にあると信じている。小紙を支える人々と企業に〝恩返し〟できるよう、創刊から74年の今年も「明るい住み良い郷土建設」のために報じていきたい。

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2019/12/31 火曜日

 

「今年もおいしかったです」忘年会の帰り際、会場のおかみにそう告げると「“も”と言ってもらえるのがうれしい」とその顔にぱっと笑みが咲いた。おいしい料理と酒が楽しめるこの忘年会は毎年の楽しみだが、自分の思いを言葉にしたことはなかったと気が付いた▼今年、ありがたいことに読者の方から励ましの手紙をいただいた。温かみのある言葉に心癒やされたと同時に、貴重な時間とお金を割いて筆を取ってくださったことに身が引き締まる思いだった▼目まぐるしく変わる現代社会で、思いを言葉で伝えないままに会えなくなった人、なくなった店、終わった物事は数え切れない▼先日、藤崎町で毎年恒例の裸参りが来年は中止という本紙の記事に、寂しさを禁じ得なかった▼起こった出来事やそれに関わった人の思いを取りこぼさずに言葉にして伝えるのが記者という仕事の使命なのだと思う。楽しいものの取材だけではなく、心苦しいもの、つらいものも避けては通れずそれは来年再来年も続いていく。それでも、こう願わずにはいられない「来年もいい年になりますように」。

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2019/12/30 月曜日

 

年齢を重ねるにつれて、友人との会話で健康に関する話題が増えてきた。できれば元気で長生きしたいが、高齢になれば体力が衰えて歩けなくなる―。そんな思い込みを吹き飛ばしてくれるような実例を、先日耳にした▼友人の母親は80代。つえやシルバーカーを使って歩いているが、500メートル余りの距離でも疲れを訴え、途中で休むようになった。そこで内転筋を鍛えるストレッチを毎晩続けたら、約1カ月で休まず歩けるようになったという。まさに「継続は力なり」だ▼体の筋量は20~30代がピークで、加齢により筋肉が落ちていくらしい。友人の話に刺激を受け、もっと“貯筋”をしようと決心。テレビで紹介された体操や腕立て伏せをほぼ毎日続けている▼筋力アップには栄養バランスも重要で、特にたんぱく質が欠かせないと聞く。そういえば健康そのもので動きも軽やかな79歳の知人は、大豆や卵を毎日食べていると話していた▼他にも、歯を大切にすることやプラス思考など、長寿の人から学ぶことは多い。もうじき新年を迎えるが、年を重ねても人生を楽しむ気持ちを持ち続けたい。

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2019/12/29 日曜日

 

前々から気になっていた「新反動主義」と呼ばれる新たな思想について知ろうと「ニック・ランドと新反動主義」(木澤佐登志著)なる新刊を買ってみた。これが読むほどに恐ろしい▼民主主義やリベラルな価値観を否定し、企業的な競争理念による国家運営を目指す。平等主義や近代的な「国民」の概念も拒み、個々人の能力に基づく階層社会を認める▼荒唐無稽とあなどるなかれ。同思想の支持者にはトランプ米大統領の元側近スティーブ・バノンや、電子決済大手ペイパル創業者のピーター・ティールら大物が名を連ね、排外主義とも重なりながら欧米社会へ影響が波及している▼シリコンバレーのエリートであるティールは、自由を求める過程で「自由と民主主義は両立しない」と悟る。ばかげた話に思えるが、例えば公文書の不適切管理がまかり通るわが国で、為政者の胸中にティールと通ずる考えが無いとは言い切れない▼民主主義は国民が磨き続けなければ形骸化するシステム。その当事者意識が無ければ、思わぬところで新反動主義に付け入る隙を与えてしまうかもと怖くなった。

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