冬夏言

 

2020/8/31 月曜日

 

不惑を機に、健康的な食生活を意識するようになった。野菜の摂取量1日350グラムを目指し、昼は毎食サラダをたらふく食べてみたり、外食時も野菜の多いメニューを選んでみたり…試行錯誤の日々▼きょうは「野菜の日」。先日自作したサラダはキャベツが本県産、カイワレは秋田県産。フードマイレージへの配慮や農家に対する応援の意味を込め、多少値が張っても国産の食材を買おうと心掛けている▼安倍晋三首相の退陣表明を受け、後継レースが激化する政局。「生産現場の声を軽視している」との批判も目立った農政への信頼回復には国内農業の立て直しが急務。しかし自民党総裁選の結果にかかわらず、山積する難題に先行きは暗い▼大型貿易協定の相次ぐ締結で農産物の自由化は進むが、多くの農家は依然として高齢化と担い手不足に悩む。生産基盤の強化を掲げる新しい食料・農業・農村基本計画の実効性が問われる▼コロナ禍で輸入が滞り、4割を切る食料自給率への危機感が改めて浮き彫りになった。国内農業の未来は、われわれ消費者の意識に委ねられている。

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2020/8/30 日曜日

 

津軽を舞台にした小説を読むのは、それ以外の作品とは違った楽しさがある。自分にとって身近で愛着のある場所だけに、風景や文化などがどのように表現されているのかと注目しながら読み進める▼特に興味を引くのは、他県の人から「難解」といわれる津軽弁の表記。津軽弁が分からない読者も理解できるように配慮しつつ、方言ならではの味わいを作品に盛り込むのは一苦労だろう▼津軽三味線の得意な女子高生が主人公の小説「いとみち」には、津軽弁がふんだんに出てくる。作者の越谷オサムさんは本県出身者かと思いきや、東京生まれで本県に縁もゆかりもなかった。何度も津軽を訪れて言い回しなどを取材したという▼数年前にこの本を読み、魅力的な登場人物、津軽三味線を演奏する場面などに引き込まれた。ぜひ映像で見たいと思っていたら、映画化が決まりオール津軽ロケとの記事に頬が緩んだ▼濃厚な津軽弁を話す主人公を平川市出身の駒井蓮さんがどう演じ、青森市出身の横浜聡子監督がどんな作品に仕上げるのか。来年の公開が待ち遠しい。地元愛あふれる作品を期待したい。

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2020/8/29 土曜日

 

連続在職日数が歴代最長を記録した矢先、安倍晋三首相が辞意を表明した。国民にとってはまさに青天の霹靂(へきれき)だったろう▼持病の潰瘍性大腸炎の再発により、体調が万全でない中、政治判断を誤ることがあってはならないと説明した首相。激務と治療の両立は難しいとの判断だろう▼昨夏の参院選、応援演説で来県した安倍首相は力強くマイクを握って檄(げき)を飛ばし、笑顔で聴衆との握手に応えていた。その表情から暗さはみじんも感じられず、今のような疲れもにじんでいなかった▼経済政策「アベノミクス」は日本経済に一定の回復をもたらしたものの、本県を含む地方は恩恵が得られていないとの批判が根強い。憲法改正は議論が深まらず、年明け以降は新型コロナウイルスが猛威を振るい、対応に追われた▼コロナ禍という「国難」に持病を抱えながら、かじ取りをしてきた首相にはゆっくりと体をいたわってほしい。一方、焦点は自民党総裁選に移った。財政再建、収束が見通せない新型コロナ、来夏の東京五輪・パラリンピックなど山積する難題にどう対応していくかが今後問われる。

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2020/8/28 金曜日

 

今は亡き祖父は、志願兵だった。志願して間もなく敗戦を迎え、戦後シベリアに捕虜として抑留された。祖母の元には一度、戦死の知らせが届き、周囲は意気消沈していたが、この後、生き延びて故郷弘前に戻ってきたという▼90歳になる祖母は戦争について語りたがらない。孫につらい話はしたくないと口をつぐみ、戦時中の話は当時の食事や学校のことなど、断片的に聞く程度だった▼戦後75年を迎え取材で、さまざまな方に戦時中の体験を語っていただいた。死と隣り合わせの満州からの引き揚げや、青森空襲体験、戦時中の学校の様子など、想像をはるかに超える体験談ばかり▼印象的だったのは、表情を曇らせ言葉に詰まりながら、それでも戦争を知らない世代に伝えようと、丁寧に話すその姿だ。つらさや悲しさ、どうにもならない理不尽さの中で生きたその生の言葉はずっしりと重かった▼だが、共通するのは過去の壮絶な体験だけでなく、平和への思いや平和の尊さを伝える言葉。伝えていただいたその思いをしっかりと受け止め、正しく伝えていく大切さを痛感した。

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2020/8/27 木曜日

 

大阪・関西万博のロゴマークが25日に発表された。テーマは「いのちの輝き」。細胞のような赤く、目玉の付いた球体が連なったそのデザインに驚いた人も多いのでは▼インターネットでは「ゲームのボスキャラのよう」との反応も見受けられ「目が弱点」「攻撃すると分裂する」などのコメントも。これについてウェブメディア「AUTOMATON」が興味深い見解でまとめている▼まずボスキャラの条件とは「強そう」「怖そう」が最重要でなく「倒せること」が第一と指摘。どこが弱点かをプレーヤーが推察できなければならず「その意味でボスたちは常にプレーヤーとコミュニケーションしている」とした▼万博ロゴも「架空の生命体としてのイメージを与える手法」を取り「『コミュニケーションできそう』という余白が(中略)『ゲームのボスっぽい』という想像力に結実したのでは」と論じている▼もちろん現実の脅威には当てはまらず、目下のボスキャラである新型コロナウイルスに対しては打開策がまだ見えない。気休めに「いのちの輝き君」がウイルスを退治する寓話(ぐうわ)なんていかがだろうか。

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