冬夏言

 

2017/4/30 日曜日

 

「弘前公園でボランティアをやってきました」。ある会合で会った知人がこう切り出した。弘前さくらまつりの会期中、車いすの貸し出しや介助を行う「車いす応援隊」に数年前から登録しているという▼知人の印象では、応援隊に介助を頼まず、車いすの貸し出しだけを頼む人たちが多いそうだ。自分たちだけで楽しみたいからか、それとも人の手を借りることを申し訳なく思うからだろうか▼園内は砂利を敷いている所が多く、坂道もある。知人は「車いすを押して歩くのは、慣れない人だと特にきつい。みんなで一緒に花見を楽しめるよう、介助を頼んでほしい」と話す▼そのためにはボランティアの人数確保が課題。応援隊を取りまとめる弘前市社会福祉協議会によると、今年の登録者は104人で減少傾向が続いている。応援隊は園内4カ所で待機しているが、人数が足りないため車いすの貸し出ししかできない時間帯もある▼仲間から「体にこたえるでしょう」と冷やかされながらも、知人の表情は生き生きとしていた。体力に自信のある方、応援隊の一員として活動してみては。

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2017/4/29 土曜日

 

青森県民は花見が大好き!?―。何をいまさらと思うかもしれないが、先日、これを裏付ける調査結果が発表された▼民間気象会社「ウェザーニューズ」の花見に関する調査によると、本県が花見に費やす予算は平均3167円と、全国1位に。全国で予算3000円を超えたのは本県のみ。全国平均の2237円を930円も上回った。このほか、花見を楽しむ時間は3位(平均2時間18分)、場所取りに掛ける時間は4位(同5・1時間)など、各項目で上位に食い込んだ▼長く厳しい冬を越え、ようやく迎えた暖かな春。青森県民にとって、桜が咲き誇り、春本番の到来を象徴する花見に対する思い入れは、とても深い▼花が咲き始めると、地元住民の話題は桜一色に染まる。連日、咲き誇る桜花の下、ブルーシートを広げて宴会を楽しむ花見客たち。その顔は一様に明るく、ここぞとばかりに春到来に盛り上がる▼薄紅色の桜雲がそこかしこに広がる弘前公園。「花見をしないと、春がやってきた気にならない」と亡き祖父はかつて、咲き誇る桜花の下で笑った。さあ、花見に行こう。

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2017/4/28 金曜日

 

「兎(うさぎ)追いしかの山 小ぶな釣りしかの川」。ほとんどの人が聞いたことがあるだろう。故郷のワンフレーズだ▼県内の県立高校11校を4校に統合する―とした県教委の高校再編計画案が示された。わが故郷・西北地域では金木、鶴田、板柳が実質廃校となり、五所川原工業高校に統合されるとのこと。西北の県立高校が一気に減るとの報道に、少子化の現実を突き付けられた▼母校の小学校は在学当時でさえ全校児童数が100人を切るような小規模校。当時でさえ統合のうわさがそこかしこから聞こえてきたが、数年前についに廃校になり、近くの小学校と統合した▼街並みもここ十数年で目まぐるしく変わった。子どもの頃、毎日のように遊んでいた公園は遊具が撤去されて公共施設が建ち、その面影はもう無い。そればかりでなく空き家も増えた▼「ここが故郷です」。そう胸を張って言うにはあまりにも環境、社会情勢が変化し過ぎた。「ここは故郷ですか」。「志を果たしていつの日にか帰らん」とする旧友たちが故郷に戻ってきた時、そう問われるのではないか。戦々恐々としている。

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2017/4/27 木曜日

 

弘前公園の外堀のソメイヨシノが満開―となったようだ。弊社の本社建物は弘前公園の目の前。昨春までは毎日眺められたが、支社勤務となればそうはいかない。100年目を迎えた弘前さくらまつりより、なじみのある桜並木が恋しい▼「今年の開花予想は…」と、3月下旬から多くの観光関係者が気に掛けていた。本県の春の重要な観光コンテンツだけに、散る前に5月の大型連休を迎えてくれることを願う。県外からの観光客には満開の桜で祭りを堪能してもらいたい▼幼い頃の祭りの目当ては、オートバイサーカスやスマートボールだった。年を重ねると屋台の品定めをするように。「花より団子」だったが、弘前を離れると桜自体の魅力に気付く▼花のボリュームは格別で、木に近づくと一本一本から迫力を感じる。日本一と称されるのは樹木の本数だけでなく質もあってのこと。地元民として誇らしく、桜守たちの努力に頭が下がる▼今週末にも弘前に戻り花見に行くつもり。今の目線なら、古里の良さを改めて実感できるだろう。祭りの雰囲気も楽しみながら、たこ焼きも忘れずに。

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2017/4/26 水曜日

 

洋傘に日本髪の和服女性。シルクハットに靴の和服男性。三代目広重作の「東京名所之内上野公園地桜花盛之景」。描かれているのは文明開化に沸く明治中期、上野公園での花見の様子だ▼その上野を舞台にした「長屋の花見」という江戸落語がある。大家が家賃を払えない貧乏店子(たなこ)を連れて花見に行くが酒は番茶、卵焼きはたくわん、かまぼこは大根の白漬けで代用。さらにお茶で酔えと言うが…▼きのうに続き落語の話になる。春風亭昇々さんが23日の青森県観桜俳句大会で披露した「雑俳」。蛙(かわず)で〈がま口を忘れて何も買わずかな〉。福寿草で〈福寿荘3畳一間で4万円〉。八(は)っつあんの迷句に俳人たちは大いに笑った▼生の落語を聞ける機会が県内で増えている。落語に魅せられた人たちが、一緒に笑える楽しさを味わってほしいと企画。昇々さんの独演会も、そんな人たちの協力で実現した▼戦の夜語りに誕生して約400年。落語は庶民の喜怒哀楽を笑いに代えて受け継がれてきた。どこでも視聴できる時代になっても、生の芸に腹の底から笑える魅力は変わらない。お後がよろしいようで。

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