冬夏言

 

2018/5/6 日曜日

最近、若手実力者の躍進が注目されている。卓球の張本智和選手(14)や将棋の藤井聡太六段(15)ら。そんな実力者は三味線の世界にもいる▼津軽三味線日本一決定戦が3、4日、青森市で開催された。同大会では、最高位の「日本一の部」は曲弾きのほか、唄づけといって実際に民謡歌手が隣に並び、呼吸を合わせて演奏しなければならない。演奏する津軽五大民謡(6曲)のうち、1曲は事前に選ぶことができず、演奏直前のステージ上で出場者がくじを引くという仕組みだ。まさに実力が試される▼そんな中、今回の「日本一の部」で並み居る全国からの猛者を打ち破り、優勝したのは名古屋市の中学3年生だった▼優勝した中村滉己さん(14)は演奏直後に向けられたマイクに「頭が真っ白になった」と話した。写真を撮りながら冬夏言子も気付いた。演奏中に糸が切れたのだ。どれだけのハンディだったろうか。それでも、彼は最後まで威勢を失わず弾き切り、史上最年少で〝日本一〟の王座に就いた▼若手ながら、不意のアクシデントにも冷静に対応した、その心意気に拍手を。

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2018/5/5 土曜日

 

弘前さくらまつりも残すところあと2日。園内では遅咲きの桜が花見客の目を和ませている。ピクニック広場のベンチに座ると、満開の弘前雪明かりや東錦(あずまにしき)、鬱金(うこん)、関山(かんざん)の見事なコントラストが楽しめ、穏やかな時間を感じることができる▼園内の桜を守る「桜守」に聞くと、遅咲きはピクニック広場や弘前城植物園を中心に46種類もあるとか。中には松月(しょうげつ)、手毬(てまり)、水上(みなかみ)、楊貴妃(ようきひ)などユニークな名もあり、品種を探しながらの園内散策するのも一つの楽しみ方だと教えてくれた▼ピクニック広場から東内門に向かう途中、観光舟に乗った。東内門前から辰巳櫓(やぐら)を曲がり、杉の大橋を通過、未申櫓を見上げたところで折り返すコースだ▼船頭による巧みな竿(さお)さばきと軽快なトークで、杉の大橋をくぐり抜ける頃には船内に一体感が生まれ、終始笑顔の絶えない旅になっていた。終盤には本場福岡は「柳川の川下り」仕込みの北原白秋の舟唄が響き、のんびり20分の舟旅を終えた▼大型連休も残りわずか。日常に帰る前に、身近な小旅行に出掛け、心地よいひとときを過ごしてみてはいかがだろう。

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2018/5/4 金曜日

 

俳人の黒田杏子さんが自著で季語を「日本語の中の宝石」と述べている。確かに歳時記をめくれば、四季のある日本の自然美と日本人が持つ鋭い感覚に、感心してしまう▼一方で意外なものや今はなくなった風習が季語として残っている。俳句のたしなみはないのだが歳時記は眺めるだけで楽しい。〈蚊帳吊つて婆の見守る麻疹の子 滝沢伊代次〉▼はしか(麻疹)は春の季語。「疱瘡(ほうそう)は見目定め、麻疹は命定め」と言われた。天然痘(疱瘡)は痘痕(あばた)で見た目が悪くなり、麻疹は命に関わると。治療や薬が不十分だった時代に恐れられた伝染病がまた猛威を振るっている▼外国人観光客の「輸入はしか」が沖縄県で流行し、同県以外でも感染が確認された。予防接種を受けていなかったり、1回だけの接種で免疫が十分でない世代がある上に、大型連休と重なりさらなる感染拡大が懸念される▼きょうはみどりの日。「青葉は目の薬」になるというが、はしか予防に有効なのはワクチン接種。自身の接種回数や病歴を調べて予防に努めるのが肝要なのだ。「良いうちから養生」ということわざの通りである。

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2018/5/3 木曜日

「世界最高齢のクモ死ぬ 43歳」。2日付本紙記事に「そんな長生きのクモがいるのか」と驚いた。トタテグモという種の雌で、豪研究チームが誕生から観察を続けていた▼ハチに刺されたことが死因と聞き、二つの事象が頭に浮かんだ。一つは東野圭吾の社会派小説「天空の蜂」。後に映画化もされたが、テロリストに奪われた無人大型ヘリが原子炉上空でホバリングする設定で、原発の是非を問うた▼もう一つは、昭和の時代を生きたなら知らない人はいないであろうロッキード疑獄裁判。田中角栄元首相の有罪を決定づけた、元秘書夫人による「ハチの一刺し」証言だ▼いつの時代もメディアや当事者によるハチの一刺しはある。しかし今の政治、特に政権を担う立場の政治家には、ハチの針も決定打にはならない状況が続いているようだ▼刺される側の免疫力が異常に高いのか、もしかしたら通常人にはない独自の解毒能力を持ち合わせているのか。はたまた刺す側が二の矢ならぬ針を打ち込む技量も勇気もなく、獲物の周りで騒いでいるだけだから逃げられるのか。答えを求めても虻蜂(あぶはち)取らず?

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2018/5/2 水曜日

 

「アンぺそば」というラーメンをご存じだろうか。かつて、藤崎町の食堂で人気を博したメニューである。食堂が閉店して久しいが、同町生まれの冬夏言子には懐かしい思い出の味だ。その「幻のラーメン」が復活したと本紙で知った▼アンペそばは麺に海苔(のり)が練り込まれ、少々塩辛いのが特徴。そのしょっぱさに豆腐、ゴボウ、鶏肉がよく合っていた▼中学生の頃は部活の帰りに、社会人になってからは、少々お酒を飲み過ぎた翌日に通ったものだ▼「ちょっと間の抜けた長男がいた」ことを揶揄(やゆ)し「藤崎(フンチャキ)のアンペ」という言い回しがあった。冬夏言子はアンペが「弘前から来た間の抜けた長男」と聞いていたのだが、いずれにしても店主はそのさげすみを逆手に取り「アンペそば」と名付けたらしい▼さて復活の味は―。塩辛さが抑えられあっさりした仕上がり。より多くの人に好まれる味だ。ポスターには「今風に改良しかつての味とは異なる」と断りがあった。確かにかつての味とは違うが、新しいラーメンが町の活性化につながるなら「藤崎のアンペ」も本望だろう。

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