冬夏言

 

2017/10/17 火曜日

 

県外出身の作家がエッセーの中で、青森県民について「もともとツッコミ文化」がないのでは―と考察していた。誰かが大真面目に「ボケ」的な言動をしても、周囲が特に「ツッコミ」を入れないため、独特の「ゆるさ」を感じさせるそうである▼独特のゆるさの真骨頂といえば、鶴田町の「ツル多はげます会」だろう。輝く頭部を誇りとする人々が、頭に張った吸盤で大真面目に綱引きをする「吸盤綱引き」は、全国的に有名になった。この会の創設者が、先日亡くなった竹浪正造さん=享年(99)=だ▼会員は「普段は恥ずかしく思う光る頭が、この会では勲章」と胸を張る。自虐でも嘲笑でもなく、仲間と互いの頭部をたたえ合い、参加者も観客もほのぼのとするのが、この会の流儀だ▼絵日記作者でもあった竹浪さんの著書の題名は「はげましてはげまされて」。自分を受け入れ他者も受け入れる懐の深さは、津軽の「ツッコミ文化」の薄さゆえか▼竹浪さんの川柳「禿方(はげかた)と生き方見事わが親爺(おやじ)」。ほのぼのとわれわれを明るく照らしてくれた竹浪さんの見事な生き方に、合掌。津軽に光あれ。

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2017/10/16 月曜日

 

フォトジェニックに、インスタ映え―。どちらも写真写りが良い時に使う褒め言葉だ。インスタグラム(写真共有サイト)の流行で、よく目(あるいは耳)にするようになった▼目を引く色鮮やかなスポットや、斬新な構図で捉えた写真は人の心を魅了し、被写体となったその場所や物のPRにもなる。インスタ映えを狙った商品も続々と登場しており、その影響力は社会を巻き込んでいる▼先日、キルギス共和国からの視察団が本県を訪れた。彼らの母国語はキルギス語、ロシア語のため通訳を介して言葉を交わしたが「インスタグラム」の言葉に反応し笑顔を見せ、さまざまな写真をアップしていることを教えてくれた▼視覚的な情報は分かりやすく、たとえ言葉は通じなくても「きれい」や「行ってみたい」などの感情を共有できる。視察団との一件で、言葉の壁を越えて思いを伝えられる写真の力を改めて実感した▼本県屈指の紅葉スポットである黒石市の中野もみじ山はもうすぐ本格的なシーズンに入る。外国人観光客も訪れる。写真の共有を通じて多くの人にこの山の魅力が伝わってほしい。

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2017/10/15 日曜日

 

朝晩がめっきり冷え込む時期。まともな上着を調達しておらず、自転車で受ける風がつらい。仕事終わりには温泉も難しく、先日いそいそと土鍋を引っ張り出した。スーパーが閉まっていても、コンビニで材料はそろうのだ▼鍋用の切られた野菜やソーセージ、しらたきなどを買う。キノコ類がないのが残念。昨冬に使わなかった「みそカレー牛乳鍋」のもとで煮込む▼言わずと知れた県都のご当地ラーメンのスープを鍋にしたもの。学生時代に出合った味だが口にするのは久しぶり。具材はやや心もとないものの、冷えた心身が温まる。3、4人前を難なく一人で平らげた▼旅に食は付き物。食を求めて旅をする観光客は多い。このご当地ラーメンは他に類を見ない珍しさだろう。全国のラーメン店に広まり、本場の味を求めて来青する観光客が増加するような、青森市を代表する観光資源になることを期待する▼鍋はみんなでつつくものだが、鍋将軍には一人鍋もどうということはない。スーパーに出向き、今夜の鍋はぜいたくにあつらえたい。キノコも忘れずに。きょう15日は「きのこの日」。

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2017/10/14 土曜日

 

秋は食いしん坊にとってうれしい半面、悩ましい季節である。地元産の旬の食べ物が豊富にそろい、おいしいのでつい食べ過ぎてしまうからだ▼今、秋の味覚を一つ選べと言われたらかなり迷う。リンゴはふじが収穫前なので除外。ゆでたての栗や新米も美味だが、サモダシ(ナラタケ)のみそ汁はやはり外せない。津軽の豊かな自然に改めて感謝の念が湧く▼昔は何とも思わなかったが、近年好んで食べるようになったのが食用菊。しゃきしゃきとした食感と独特の風味がいい。食用菊には薬効があり、風邪による発熱や頭痛、目の充血を和らげ、血圧も下げるという▼菊といえば、20日から弘前公園で弘前城菊と紅葉まつりが始まる。以前は来場者数が低迷した時期もあったが、主会場を弘前城植物園に移すなど集客を図った結果、以前より見応えが増した気がする▼今年の祭りは菊人形とねぷた絵のコラボレーションのほか、弘前城本丸で3万5000個のリンゴで描いたアートも展示される。公園内の木々は少しずつ赤や黄に色づいてきた。舌だけでなく目でも津軽の秋を堪能したい。

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2017/10/13 金曜日

 

「インターナショナルライター」「ホームレスライター」。デビュー間もないころから自らをそう呼んできたのは、ノーベル文学賞を受賞したカズオ・イシグロ氏だ▼日本と英国の2国の間(インター)にいて、祖国(ホーム)を持たない作家。故に、その筆致は国境を越えた多文化的な印象を与え、描き出す普遍的世界が読者を引きつける▼国境を越えた普遍的な世界は、伝統ゲームにも存在する。思考力、集中力、記憶力、忍耐力といった「力」を養うと再注目される囲碁。国際囲碁連盟には75の国と地域が加盟し、世界の推定競技人口は4000万人という▼天才棋士・故呉清源九段は碁の神髄は調和にあると考えた。囲碁は相手の石をすべて取ろうとすると負ける。自分の利益を確保しつつ、相手に譲歩するバランス感覚は、人間関係や仕事、果ては外交にも応用できるだろう▼12日付本紙に掲載された囲碁イベント「ひろさき囲碁感謝祭」の写真には、国籍、性別、年齢の異なる人たちが一斉に盤と向き合う姿があった。他者との調和を大事にする精神を、囲碁から学びたいものである。

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