冬夏言

 

2017/6/10 土曜日

 

田植えを終えた時期に五穀豊穣(ほうじょう)や無病息災を祈願する西北五地方に伝わる「虫おくり」。この意味や経緯を楽しく伝える紙芝居がある▼いたずら好きの「ヤマセ」という神が、洪水や稲を食い尽くすイナゴの大群を呼び住民を悩ませていた。村人が夢で見た通りに作ったわらの虫が「大虫さま」となり、ヤマセを退治した―という内容だ▼「虫おくり」の後継者不足が懸念される中、「奥津軽虫と火まつり」を主催する五所川原青年会議所が次世代を担う子どもたちに伝統継承への思いを託し、制作したものだ。2012年には高校生らを親善大使に任命する取り組みも開始。今年も88人の大使が五所川原市の児童たちにこの紙芝居で祭りの意味を伝えた▼大使からは「度重なる自然災害を乗り越えてきた地域の精神を知った」「県外に出ても祭りを見に戻りたい」との声が上がり、伝えることで郷土愛が育まれていることを実感できた▼祭りは今年で45回目。17日の開催に向け準備が急ピッチで進められている。今年は伝統継承にひたむきに取り組む人たちの思いを胸に描きながら祭りを堪能したい。

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2017/6/9 金曜日

 

山菜採りの遭難が相次いでいる。いずれも高齢者で、まだ朝晩は冷えるだけに、早期発見と無事を祈るばかりだ▼本県ではこの時期、山菜採りシーズンの本格化に伴い遭難件数が増加する。さらに、県のまとめによると過去5年間の4~7月の山菜採り遭難者の91%が60代以上の高齢者が占めるのが現状だ。「慣れた山」との油断は大敵。山中では方向感覚を失いやすい上、特に山菜採りは夢中になるあまり道に迷うケースも少なくない▼事前の準備は欠かせない。家族や知り合いには行き先や帰宅時間などを必ず伝えること、天気がいい日に、複数の人で出掛けることも鉄則だ。また、万一に備えて水分やチョコレートなどの食料や雨具、携帯電話、防寒具なども忘れずに。「やり過ぎたかな」ぐらいの重装備で十分だ▼この時期はクマへの注意も必要。本来、山はクマがいて当たり前の場所。それぐらいの気持ちで、音の鳴るラジオなども必ず携行してほしい▼無事に帰ってきてこそ楽しい山菜採り。恵みをいただく場所は、時に牙をむく自然の中にあることを忘れてはならない。

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2017/6/8 木曜日

 

青森市では正午になると「ぼ~」という汽笛が響く。「青函連絡船メモリアルシップ八甲田丸」の定時吹鳴である。汽笛で昼を知らせるとはいかにも「港町青森」らしい▼正午の吹鳴が始まったのは昨年6月1日。5年ぶりの復活という。4月の赴任当初はもしかしてと思っていた。それがやはり八甲田丸からと知り、懐かしさがこみ上げた▼忘れもしない1988年3月13日。青森から八甲田丸、函館から羊蹄丸が出港。青函連絡船最後の運行だ。ドラの音、五色のテープ、さよならの絶叫―。八甲田丸最後の出港を取材できたのは記者冥利(みょうり)に尽きる思い出だ▼吹鳴復活は北海道新幹線開業を祝ってのこと。もう1年が過ぎた。指定管理者のNPOあおもりみなとクラブによると「懐かしい」と市民らに好評らしい▼ちょっと気になって「函館市青函連絡船摩周丸」に聞いてみた。摩周丸は正午と夕方5時に汽笛を鳴らすそうだ。担当者は「時計代わりとして定着している」と誇らしげだった。そうか、正午は海峡を挟み青函で汽笛が鳴っているのか。感慨にふけり「ぼ~」っとしてしまった。

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2017/6/7 水曜日

 

春から初夏にかけて飛び交うツバメが、近年減少傾向にあるという。日本野鳥の会によると、水田や畑、巣作りに適した日本家屋の減少などが原因とみられる▼わが家では3年前からツバメが車庫に巣を作るようになった。ツバメにとって天敵の猫を飼わなくなった年から始まったのは、偶然ではなく猫の気配がないのを感じ取ったからか▼巣があるのは天井に付いている蛍光灯のカバーの上。一見危なっかしいが、2年続けてひながかえり巣立っていった。だが今年は巣作りの途中から親鳥が来なくなった。危険な目に遭ったのだろうか。ひなの姿を見ることができず寂しい▼「ツバメが巣を作った家は繁栄する」と言われる。人を怖がらず、外敵から身を守るため人がいる所に巣を作るとも。害虫を食べる鳥として農家から大切にされてきたことの証しだろう▼近年はカラスの被害に遭うほか、「ふんが汚い」と人がツバメの巣を落としてしまうことも多いと聞く。ふんの片付けは厄介だが、巣の下に傘を取り付けるなど工夫の余地はある。鳥の生態に関心を寄せ、命を守る意識を高めたい。

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2017/6/6 火曜日

 

生の魚介類に寄生する「アニサキス」の食中毒について、芸能人がテレビなどで体験談を語ってからしばらく、ツイッター上には魚を扱う業種の人たちから「刺し身が売れない」と嘆く声が上げられた▼毎日のように魚をさばく人にとって、見ない日がないほどというメジャーな寄生虫。家で魚をさばくことが減り、アニサキスを目にしたことのない人が増えたことで、恐怖感が増したという背景もあるかもしれない▼刺し身を作る現場では、アニサキスがいる可能性が高い内臓を処理するまな板と、身の部分を切るまな板を別にするなど、寄生虫の除去には十分注意を払っていると聞くが、最終的には消費者も目視することで、リスクは抑えられる▼昔から魚を食べてきた日本では、アニサキスの被害を軽減する文化が根付いている。そもそもアニサキスがいる確率の高い魚は、火を通す食べ方が一般的だ▼日本人はアニサキス被害を回避しながら、旬の魚のおいしさを満喫してきた。むやみに恐れて避けるのではなく、正しい知識を得ることで旬の恵みを受けられるようでありたい。

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