冬夏言

 

2022/6/21 火曜日

 

 「真実と正義と美の化身」と聞き、はっとする好事家は多いのでは。成田亨氏による、自身がデザインしたウルトラマンを描いた油彩画▼青森市に育ち、旧浪岡町の画家阿部合成氏に師事。円谷プロ所属時代に誰もが知るヒーローの原型を手掛ける▼しかし当時は映像化に伴うデザインの変更、さらに著作者の表記を削除されるなど、成田氏にとって不本意な形で世に出てしまった。前出の作品は当時実現できなかったウルトラマン本来の姿であろう▼映画「シン・ウルトラマン」が大ヒット中だ。企画・総監修の庵野秀明氏は「真実と正義と美の化身」の映像化が今作の根底にあると明言。デザイン資料集を見ると「成田さんっぽく」など庵野氏によるリテークの指示書きが各所に確認できる。オリジナルへの真摯(しんし)な愛情は、スクリーンからもひしひしと感じる▼本作を成田氏が見たら、なんと感想を言うだろうか。そんな思いを抱きつつも、童心に帰って楽しんだ。郷土の不世出の芸術家が見た夢は、今をもってようやく形になったのだろう。

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2022/6/20 月曜日

 

 本県が誇る板画家棟方志功の記念館閉館が決まった。同じ青森市出身の画家常田健の美術館も先月、休館に入ったばかり。新型コロナウイルスの感染拡大が経営に響いた。真っ先に芸術が犠牲となる変局にやるせなさが募る▼文化庁の調査によると日、英、米、仏、独、韓国の6カ国中、2020年の政府文化支出額はわが国が最低の1166億円。トップはフランスで、人口規模は日本の半分ながら支出は4倍に上る▼「人間性を通して、その作者の織りなす生活の元ということから、版画というものを生ます、というような講義をしました」(棟方志功「板極道」)。初渡米した志功が大学で行った講義内容を説明した言葉。芸術の本質が垣間見える▼現代美術家奈良美智さんは17日、9月に地元弘前で開催される展覧会の関連プログラムについて報じた本紙記事をツイッターで引用し「ありがたいが、急がず未来を見てじっくり考えてほしい」▼芸術は人間と生活の営為。目先の損得では測れない。どうにか存続の方策を見いだせないものか。

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2022/6/19 日曜日

 

 医療的な生活援助行為が必要な子ども「医療的ケア児」らへの相談窓口となる県小児在宅支援センターの活動拠点が県立中央病院の敷地内に誕生した▼医ケア児の相談窓口は県内初。センターによると、これまで受け入れ保育所を探して約30カ所に保護者が直接電話で問い合わせるなど、大きな負担を強いられていたという▼県内の医ケア児は2019年の調査時で166人。21年度調査によると、医ケア児の受け入れ可能事業所(保育所など)数は223カ所、受け入れ可能人数は267人。調査に回答した事業所約1160カ所のうち、受け入れ可能と答えたのは2割に満たなかった▼医ケア児に関わった経験のある人材が少ないなど、そもそも資源不足の本県。センターでは相談窓口機能のほか、保育所などでの訪問支援や実技指導、行政・医療機関との調整など、医ケア児とその関係者・団体を包括的にサポートを行う予定だ▼医ケア児とその家族が安心して日常生活を送れる青森県への第一歩として、センターの拠点設置は喜ばしい。

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2022/6/18 土曜日

 

 食品などの値上げが相次ぐさなか、「家計が値上げを受け入れている」。これは日銀の黒田東彦総裁が今月6日に都内の講演でここ最近の物価高に触れた発言▼賃金や年金の上昇が伴うなら許容できるだろうが、現実は全くそうなってはいない。物価高に悩まされている家庭は多い。発言は全く共感できるものではない。怒りを通り越してあきれるばかり▼原材料費や物流費の高騰を背景に今月1日、身近な食料品が一斉に値上げされた。市井の人々は財布の中身とにらめっこしながら生活しているのだ▼結局、8日の衆院財務金融委員会で冒頭の発言の撤回に追い込まれた黒田総裁。「誤解を招いた」と釈明したが、異次元の金融緩和が物価高の要因-との指摘もある中、中央銀行のトップがあまりに世間の感覚と乖離(かいり)していることを示した。まさに「無神経」(野党幹部)だろう▼今夏の参院選は、物価高の対策が大きな争点となるとも言われる。政治が変われば生活が変わる-。劇的な変化は望めないが、少しでも家計に優しい政治を。

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2022/6/17 金曜日

 

 ふと自宅台所の棚を見やると、各種ラップに保存用袋、プラスチックの弁当容器など、種類も豊富にたくさんの使い捨て製品があることに自分で驚いた▼朝食も夕食も家族で時間差があるため、特にラップは大活躍。おにぎり一つ包むにも、電子レンジでの調理にも、日々相当な量を使っているなあと、ごみ袋に捨てる瞬間罪悪感が湧いた▼「忙しいから」を自らへの免罪符に、たくさんの使い捨て製品を使っている現状。とても便利である一方、SDGs(持続可能な開発目標)に逆行しているなあと反省もある▼シリコン製のラップをはじめ、繰り返し使える製品も店で目にする。これまでは、「一つでも手間を減らしたい」と思っていたが、よくよく考えたら、もはや一つくらい手間が増えてもあまり変わらないことに気付き始めた。「手が汚れないように」と思っていた個包装も、汚れたら手を拭けばいいだけの話かも▼衛生面も考え、これからも手放せない製品もあるが、無理なく量を減らす形に持っていきたい、今はそう思えてきている。

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