冬夏言

 

2017/2/27 月曜日

 

久しぶりに自宅近くの書店へ行ったら、本がほとんど置かれておらず文房具店のようになっていた。雑誌を中心とした品ぞろえだったが、子どもの頃から親しんできた店の変わりように寂しさを感じた▼インターネットで手軽に本を買えるようになり、電子書籍も出回るなど、町の書店にとっては厳しい時代となった。そんな中、新刊が出るたびに話題となる作家、村上春樹さんはまさに書店にとって救世主的な存在だろう▼24日に発売された新刊小説「騎士団長殺し」(全2巻)は、「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」以来4年ぶりの長編。発行部数は当初1、2巻各50万部ずつの予定だったが、反響が大きいため計130万部に重版した▼海外でも人気が高まり、ノーベル文学賞の有力候補として注目を集めてきた村上さん。作品の魅力について愛読者の一人は「“私の物語”として没入できること」と表現した▼最近は本を読む時間が減り、雑誌や短編がせいぜいという体たらく。町の書店に足を運び、村上さんの新刊発売という“祭り”の活気を浴びて長編にも挑戦してみようか。

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2017/2/26 日曜日

 

月末金曜日の早期退社を推奨し、個人消費を喚起する「プレミアムフライデー」が始まった。政府、経済界が消費のカンフル剤として期待するキャンペーンだが、果たして定着するのだろうか▼このキャンペーンは、米国の年末商戦「ブラックフライデー」を参考に企画。週末の旅行など地方への波及効果、長期間労働を見直す働き方改革につなげたいという意図もあるようだ▼1回目のプレミアムフライデーとなった24日、百貨店や飲食店はセールイベント、限定メニューなどを企画。盛り上がったかどうかは分からないが、個人消費が伸び悩む中で期待も大きいのだろう▼しかし、国、会社がいくら早期退社を促しても、実際に早く帰れる人がどれだけいるのだろうか。有給休暇を消化できない人もいる中、「新しい週末スタイル」「アフター3」などと提案されても「夢のような話」でしかない▼仮に早期退社ができても、消費に回す余力もない人も多い。プレミアムは「高級な」「高価な」という意味。大企業や官公庁に勤める一部の人だけが楽しむキャンペーンにならないことを願う。

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2017/2/25 土曜日

 

〈髪のみだれに手をやれば 赤い蹴出しが風に舞う〉。ギターの切ないメロディーが耳に残る、星野哲郎さん作詞、船村徹さん作曲の「みだれ髪」である▼美空ひばりさんが長期入院から復帰した記念作。船村さんは、病み上がりのひばりさんにサビで裏声を使う、切ない高音の曲をあえて提供した▼多くの演歌の名曲を生んだ船村さんが16日、84歳で亡くなった。通夜の晩、東京・錦糸町の居酒屋に悲しい「みだれ髪」が響いた。歌い手は南部町出身の演歌歌手琴けい子さん。船村門下生の一人だ▼琴さんは長年、演歌で刑務所を慰問している。そのきっかけを作ったのが船村さんだ。慰問で最後に歌うのは決まって「のぞみ(希望)」。作曲はもちろん、作詞も船村さんが手掛けた。ギターの切ない音色はどこか「みだれ髪」を思わせる。〈ここから出たら母に会いたい おんなじ部屋でねむってみたい〉。歌詞はまるで受刑者のために書いたようだ▼恩師の通夜に出ず、営業に回った琴さん。「みだれ髪」や「のぞみ(希望)」など、「船村魂」を気丈に歌い上げた。やはりプロである。

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2017/2/24 金曜日

 

「旧制弘前高校」という単語を久しぶりに見掛けた。同校出身で、映画監督の鈴木清順さんの訃報に触れてのことだ▼旧制弘高といえば、バンカラの校風。映画人としての鈴木さんも反骨の人だった。1967年の監督作品「殺しの烙印」を日活の社長に酷評された上に、専属契約を解除され裁判で争った。数年で和解したものの、大手映画会社に敬遠され仕事が減った時期も▼ただ、その後も実力で映画界にとどまったのが一流の証し。77年に復帰し、程なく国際的にも高い評価を受けた「ツィゴイネルワイゼン」を手掛け、2005年上映の「オペレッタ狸御殿」まで活躍を続けた。とにかく、極彩色の映像美の印象が強い▼独特の風貌を生かした性格俳優でもあった。ドラマ、映画、CMにたびたび出演。不思議なキャラクターのおじいさん役で、余芸にとどまらぬ存在感を示した▼名声を確立してからの監督作品は多くないが、それゆえにDVDでもチェックしやすい。70年前、肩で風切って弘前の街を歩いていたという大監督の世界観を、いま一度この目に焼きつけたいと思う。

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2017/2/23 木曜日

 

“桜咲く”の声があちこちから聞こえる。春の桜ではなく、合格の喜びの声である。県内私立高校の発表が先日あり、親戚や友人らから「まずはひと安心」の笑顔が見られたのはうれしい限りだ▼2017年度私立高校全日制の募集人員は4100人で1万195人が受験。平均倍率2・49倍だが、1万96人が合格した。ほぼ100%の合格率とはいえ、当事者の喜びは大きいに違いない▼今年は近所の子も高校受験で、遅くまで勉強している様子がうかがえる。仕事を終えて帰宅し部屋に明かりがついているのを見るたびに、頑張っているなとつい応援したくなる▼本県の合格発表が番号で表示されるようになったのは1996(平成8)年3月から。個人的に名前が分からない味気なさを感じるのは当時も今も変わりなく、何より相手に「合格しましたか」と聞くのは気が引ける▼受験しているのに合格か不合格かを知り得ないのもまたもどかしいものだ。ともあれ、県立高校の入学試験は3月8日、合格発表は同14日。再びの“桜咲く”を願って受験生のもうひと踏ん張りに期待したい。

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