冬夏言

 

2017/1/9 月曜日

 

ツイッターの影響力は強大だとこのごろ思う。特に次期米大統領のトランプ氏。新年早々、日本企業を批判したツイートが波紋を広げている▼トヨタ自動車のメキシコ工場新設計画を批判し「米国に工場を建設するか、国境で巨額の税を支払え」と求めた。米国内の雇用への影響を懸念しての指摘だったようだが、脅しとも受け取れる内容だ▼標的は同社だけにとどまらず、狙われた企業の株価は軒並み下落。短く鋭い言葉でつづるツイッターはトランプ氏にとって強力な武器と言えよう▼一方、東京のある寺で、初詣客に向けてベビーカーの利用自粛を呼び掛ける看板を立てたところ、インターネットで「なら松葉づえも車いすも遠慮しろと?」「差別では」などと大論争に発展。元日に出たたった一つのツイートがきっかけだった▼その寺は以前からベビーカーに寛容だったが、そこにつけ込んだマナー違反が続出した。看板はやむを得ずしたことだったといい、そういう事情ならと納得もいく。多くのことはツイッターに頼らずとも言葉を尽くし、事情を知れば理解し合えるはずである。

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2017/1/8 日曜日

 

栃木県日光市の川俣地区では、600年以上にわたり今なお「元服式」が受け継がれている▼数え年20歳になった男子が後見人を選び、その後見人と親分と子分の関係を結ぶことで以後、実の親子同様の付き合いをしていく。かつては親分から新成人に新しい名前が贈られ、名づけ式とも呼ばれていたという▼国指定重要無形民俗文化財に指定されているが、現在では少子高齢化が進み、昨年は4年ぶりに2人がこの儀式に臨んだとのこと▼一方、現在のような行政主導の成人式の始まりは、1946年11月22日に、埼玉県蕨市で行われた成年式「第1回青年祭」とされている。終戦後間もない混乱期、自分たちの町を平和で住みよい文化の高い町にしようと、青年団が企画したものだった(主婦と生活社「日本のしきたりがわかる本」)▼あすは成人の日。時が変われば形も変わる。全国では123万人がこの日を迎え、各地で成人式が執り行われる。「大人」とは、「よき社会人」とは―。少しでも新たな気持ちでこの日を迎えられたなら、もう一歩を踏み出したのかも。

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2017/1/7 土曜日

 

近畿青森県人会から、今月末に大阪市で開く新春懇親会の案内を頂いた。昨年初めて出席し、「青森県出身関西人」の楽しさ、にぎやかさ、たくましさに圧倒された▼大げさではなく、そこにいる皆さんが「吉本の芸人」に思えたものだ。話は面白い。しかも必ずと言っていいほど「落ち」が付く。今思い出しても笑ってしまうほどだ▼その近畿県人会で12年間会長を務めた須郷満会長が、昨年11月に67歳で他界した。1年前の会合では「バトンタッチを考えながら盛り上げていきたい」と今年の創立65周年に強い責任感と意欲を示していた▼会報「近畿とあおもり」の新年号に須郷さんをしのぶ特集が組まれている。「ありがとう須郷満会長」「津軽の怪童さようなら」。特集からは須郷さんという大きな支えを失った会員らの思いが伝わってくる▼昨年の会合には同僚も出席した。須郷さんのご指名で津軽の演歌を歌うのが恒例だった。須郷さんも一緒に歌った。古里愛にあふれた熱唱だった。頂いた名刺には出身地鶴田町の「鶴の舞橋」があった。逝去を悼む会報の表紙もやはり舞橋だった。

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2017/1/5 木曜日

 

人間は考える葦(あし)である―とは、17世紀フランスの哲学者ブレーズ・パスカルの言葉。「秩序の三段階」の中で精神、愛は物体に勝ることを説いたとされる▼1月5日は語呂合わせで「いちご世代の日」だとか。わが国の多くの15歳にとっては、人生で最初の試練となる高校受験が間近に控える。その世代にエールを送る日として定められたものであり、趣旨には賛同する▼一人でも多くの受験生が試練を乗り越え、考える葦としての強固な礎を築かれることを願わずにはいられない。「努力は人を裏切らない」という、言い尽くされた格言も添えておこう▼ただ現実には、人生に「たら」「れば」は付きもの。後悔しないためには今、努めて物事を深く突き詰めることに尽きる。パスカルに言わせれば「よく考えることこそが道徳の原理であり、尊厳は考えることの中にある」という感じか…▼競争がある以上は夢破れる人もいるが、努力した結果の厳しい試練なら人としての尊厳まで否定されるわけではない。かく言う冬夏言子に哲学を説く素養はない。老婆心ながらの願い事と受け止めてほしい。

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2017/1/4 水曜日

 

「何もせず坐りて仕事始めかな」(清水基吉)。まだ正月気分の人もいるだろうが、正月疲れが残る人々も散見されるのが、仕事始め。帰省や家族サービス、旧友との再会などにばたばたした名残で、ついぼんやりしてしまうかもしれない▼たかだか数日、顔を合わせなかっただけだというのに、不思議と新鮮な気持ちで会社の人々と会うのが仕事始めの不思議さだ。一般企業に勤める人の場合、きょうは勤務先で「あけましておめでとうございます」を交わす一日だろうか▼これに対し、「今年もよろしくお願いします」という言葉。互いに礼節をわきまえ、思いやりを忘れず、仕事には責任感を持つ。働く人々の約束の言葉のようで身が引き締まる▼今年もまた、一年があっという間に過ぎていくだろうが、今年が来たのは、前の年を乗り越えられたからこそ。新たな年を迎えられただけで祝いの言葉を述べ合うシンプルさをかみしめたい▼「初暦めくれば月日流れそむ」(五十嵐播水)。本日の正月気分はご愛嬌(あいきょう)。2017年という新たにスタートした年を、また過ごしていこう。

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