冬夏言

 

2017/4/15 土曜日

 

道産ジャガイモ不足で、ポテトチップスメーカーが相次いで一部商品の生産中止を発表した。これを受け一部商品がオークションに出品、高値で取引されるなど市場はホットだ▼黒石市の国名勝「金平成園」できょうから春の一般公開が始まる。個人所有の庭園で、保存修理事業完了後、15年度から期間を設けて一般公開。市の観光に一役買っている▼同園は、政治家で実業家の加藤宇兵衛が大石武学流の作庭家に造園を依頼し1902年に完成したと伝えられる。大石武学流庭園の要素を全て備え、三つの池は「他にない特徴」(市教委)で、知名度は年々上昇▼希少性は人を呼び込む武器になる。期間限定など“限定モノ”が至る所で見受けられるのは、効果がある証。春しか咲かない桜などその特別感自体に価値がある▼5月にはJR東日本の豪華寝台列車「トランスイート四季島」が運行開始、大韓航空の青森―ソウル線も期間限定で機体が大型化する。黒石をはじめ本県の観光はいま追い風にある。本県の希少価値を前面に押し出しPRすることで、観光のホットスポット化につながるのでは。

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2017/4/14 金曜日

 

春風か海風か、強い風を切り、風に乗る。視野の風景が流れるように進む春日和の爽快感。目線はいつもより高く、目的地まであっという間だ▼新年度に入り、徒歩だった通勤に使おうと自転車を購入した。乗って走るのは十数年ぶり。おぼつかない運転だったが、最近ようやく感覚を取り戻した。「自転車がなければどこにも行けない」学生時代の思い出もよみがえる▼冬や荒天時を除き、高校には約1時間かけて通学。放課後には友人たちと弘前駅前や土手町へ。時には会話もしながらペダルをこいでいた。ただの移動手段として、何も考えずに▼思い返せば運転中に横転、衝突、転落と多くのけがを負ってきた。全治1カ月を超えるものもあった。再び乗り始めて1週間足らず。交通ルールの順守はもちろん、事故につながるような無理はせず、歩行者らを危険にさらすことのない運転が重要だと再確認▼注意を払えば便利で快適な乗り物。徒歩や車では行こうと思わない場所に行ける。今の住所に引っ越して半年。休日には自転車にまたがり、まずは自宅の周辺を探検してみようか。

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2017/4/13 木曜日

 

「そこは関(セキ)ですよ。こっちの劫(コウ)に先に打つべきです」「負けました。この隅を数えなければ」。駄目石を詰め、陣地を数える描写は実に生き生きとしている▼「源氏物語」で空蝉(うつせみ)と継娘の軒端荻(のきばのおぎ)が囲碁を打つ有名な場面である。「神曲」や「デカメロン」より300年前に書かれた日本が誇る長編小説には、囲碁に興じる人々がたびたび登場する▼平安の人々を熱中させ、変化の多さから「小宇宙」と呼ばれてきた囲碁は、超絶進化を遂げている人工知能(AI)の登場で、歴史的な岐路に立つ。世界のトッププロたちを破り、これまでの布石・定石をくつがえす-▼AIの可能性を広げるため選ばれた古典ゲームが、今春から弘前大学で正課授業に採用された。県内初、東北でも2校目の導入だ。高齢化が進み、競技人口が減る本県囲碁界を明るく照らす、大きな“一手”となった▼冒頭の空蝉と軒端荻のような掛け合いが、同大の囲碁授業履修者から聞こえてくる日も遠くないはずだ。「そこはセキだからこっちのコウに先に打ったら?」「負けました。陣地数えようっと-」

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2017/4/12 水曜日

 

女子フィギュアスケートの浅田真央選手が現役引退を発表した。バンクーバー五輪で銀メダルを獲得し、世界選手権を3度も制した氷上の女王。高い技術と華のある演技で国民を魅了し続けた▼ジュニア時代から一挙手一投足が注目されてきた浅田選手。フィギュアスケートという枠にとらわれず、国民から愛されたヒロインであり、不世出な存在と言っても過言ではない▼輝かしい実績を残した浅田選手だが、悲願の五輪金メダルには手が届かなかった。トリノ五輪は年齢制限で出場できず、初出場のバンクーバー五輪では宿敵の金妍児選手(韓国)に敗れて銀メダルに終わった▼浅田選手のキャリアの中でもソチ五輪が最も印象に残っている人も多いのではないだろうか。ショートプログラム(SP)16位と出遅れながらも、フリーで圧巻の巻き返しを見せ6位入賞。氷上で流したうれし涙に感動した人は多いはずだ▼浅田選手に憧れて競技を始めた選手たちが世界の舞台で輝き始めている。フィギュアスケートをメジャーな競技に押し上げたことこそが彼女の最大の功績なのかもしれない。

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2017/4/11 火曜日

 

「地獄ですよね」。勝っていながら、期待に応え続けることの難しさ。体操男子の内村航平選手が9日の全日本選手権で前人未到の10連覇を達成した後、つい本音をこぼしたという▼ロンドン、リオデジャネイロ五輪と2大会連続個人総合金メダルに輝いた内村選手。日本体操界初のプロとして迎えた初戦だったが、予選はまさかの4位と苦しいスタートだった▼決勝も満足のいかない内容。3位で最終種目の鉄棒に臨んだが得点は伸びず、「負けても悔いはない。負けた方が楽かなと思った」というほどの出来。それでも、先行する2人が伸びず逆転で栄光をつかんだ▼僅差になることは分かっていた│とはいえ、2位とは0・05点差。リオ後の体調不良でも勝利をつかむ、これが内村選手の強さだ。今大会の若手台頭には素直に喜びを表すのも絶対王者たるゆえんか▼スケート、レスリング、トランポリン、水泳では10連覇がある。柔道、陸上ハンマー投げではそれ以上を達成した人たちがいる。体操をメジャーにしたい思いで苦しさを乗り越え、前を向く姿に今後の活躍を期待し、見守りたい。

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