冬夏言

 

2020/9/11 金曜日

 

「信じるとは」という問いへの女優芦田愛菜さんの発言が注目を集めている。主演映画の完成イベントで「揺るがない自分がいること」と持論を披露。ネット上では「尊敬する」「16歳とは思えない」などと感嘆の声が目立つ▼「(人に)裏切られたと言うけれど、その人の見えなかった部分が見えただけ。それもその人なんだと受け止められることができる、揺るがない自分がいることが信じられるということ」と語った芦田さん▼同じ年頃の子を持つ親として、わが子と比べてはいけないと思いつつ「こんなふうに育ってくれたら」と考えてしまう。というより、自分自身が彼女のように物事を深く考えられているか自信がない▼最も感心したのは、自分の考えを分かりやすい言葉で丁寧に表現しているということ。報道という仕事に携わり、人に何かを伝えることの難しさを日々感じている▼平易な言葉、分かりやすい表現を用いてニュースを伝えることこそが新聞の揺るがない使命である。16歳の少女が改めて大切なことに気付かせてくれた。

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2020/9/10 木曜日

 

弘前市の観光・飲食業活性化策「食べて泊まって弘前応援キャンペーン」開始から約1カ月半が経過した。北東北3県住民を対象に、市内宿泊施設を利用すると1泊1人当たり2000円(最大3連泊まで利用可)を補助し、2000円分の食事クーポンを進呈するという市独自の経済対策だ▼市によると、約1カ月で予算の75%が執行見込みという好評ぶりで、期間を当初予定の12月末から来年2月末まで延長する方針だという▼秋の紅葉時期だけでなく、弘前城雪燈籠まつりの時期までキャンペーンを延長し、さらなる利用者増につなげる狙いがある▼これまでの利用者は観光を含めた旅行者が主だと推測されるが、泊まったことのない近場の宿泊施設を利用したという地元住民の声もある▼津軽圏域や県内、北東北といった新型コロナウイルスの感染が抑えられている地域の相互観光を推進し、地域経済の回復に一役買う取り組み。コロナ禍でのマイクロツーリズムが注目を集める中、地元の魅力を再発見するきっかけにしたい。

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2020/9/9 水曜日

 

あれよあれよという間の出来事だった。4日の記録的な豪雨は、わずかな時間にもかかわらず、弘前市で被害が発生した▼「本当に一瞬の出来事だった」「土のうを積む暇もなかった」「もう少し降っていたらと思うと怖い」。住宅の浸水被害を受けた市民はそう振り返る▼進路予想ができる台風と違って、事前の備えや、心積もりもできなかった。あと数センチでも水位が上がればあわや、という家も多かったのではないだろうか▼数十年前とは全く気候が変わってきていると感じる。耐え難い夏の暑さもそう、日本に接近する台風を心配する頻度もそう。わずか7、8年の間に、大きな被害をもたらすほどの激しい雨に何度か出くわした。これからは、これが珍しくなくなるのだろうか▼「天災は忘れたころにやってくる」、なんて今は昔。意識すべきは「天災は忘れる間もなくやってくる」。東日本大震災を経験し、国民の防災意識は大きく変わった。それでも、万一の際、慌てふためくことのないよう、備えはしつこいくらいがちょうどいい。

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2020/9/8 火曜日

 

つい最近の話。かつて実力派の書き手として知られながらも、近年は脳梗塞の後遺症に苦しんでいるベテラン作家が、ツイッターで自死をほのめかすかのような不穏な投稿を連発し始めた▼これを見ていたファンや知人らが「思いとどまってください」「もっと先生の話が読みたいです」などとリツイート。警察に通報した人もいたようだが、程なく作家の代理を名乗る者が「皆様の暖かい声で、持ち直すことができました。ありがとうございます」と投稿した。その後、一時期よりは精神面の健康も持ち直したようである▼近年、インターネット上での中傷が人を苦しめ、最悪の事態に追い込む事態が散見される。現代社会の暗部といえば、その通りだろう▼その一方で、作家が暗い誘惑を振り払えたのもまた、ツイッター利用者らによる励ましの声であった▼ネット媒体とて人の操る道具であるからには、使い方次第で毒にも薬にもなるのだ。10日から始まる「自殺予防週間」を前に、そんな当然のことを改めて考えさせられている。

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2020/9/7 月曜日

 

新型コロナウイルス感染症の対応に世界各国が苦慮する中、ドイツやニュージーランド、台湾などで女性リーダーの活躍が注目された▼海外も政治家には男性の割合が多いが、そこでトップに立てる女性政治家の手腕と、それを歓迎する社会の多様性が真価を発揮したのかもしれない▼日本では今、次のリーダーを選ぶ自民党総裁選(8日告示、14日投開票)が控える。立候補を表明した中に女性はゼロ。海外では若いリーダーも誕生しているが、総裁選に名乗りを挙げたのはいずれも60~70代。経験豊富な男性リーダーにも良さはあるのだが▼そして立候補する中で最も優位とされるのが、長期政権を維持した安倍晋三首相の流れを継承する方針を示した現官房長官。政治に大きな変化を求めないのが「日本らしさ」なのか▼新型コロナ感染症拡大は、従来にはなかった社会の変化をわれわれに突きつけてくる。日本の新リーダーは、この難題にどのように挑むのか。変化を恐れず、新たな道へと導いてくれるリーダーの誕生を希望したい。

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