冬夏言

 

2019/12/3 火曜日

 

今年の世相を反映した言葉を選ぶ「ユーキャン新語・流行語大賞」の年間大賞に、ラグビーW杯日本代表のスローガン「ONE TEAM」が選ばれた。予想は新元号「令和」だったが、あの熱狂ぶりを考えれば納得である▼2015年の前回W杯も盛り上がったものの、年が明けると一気に熱が冷めた印象。サッカーならW杯後、国内外のプロリーグなどに目が移るのだが▼確かにラグビーは国内で人気競技とは言えず、競技人口は減少の一途。1995年の約16万7000人をピークに落ち込んでおり、今年は約9万5000人と過去最少となった▼しかし、競技を盛り上げる役割を担うのはファンの存在が大きい。Jリーグ入りを目指す県内サッカーチームの関係者によると、人気チームのサポーターは他競技のファンを兼ねている場合が多いという。ラグビーも“にわかファン”をつなぎ止められるはず▼今回のW杯は代表チームだけでなく日本中が「ONE TEAM」となり、冬夏言子も中継にくぎ付けだった。あの感動を再び味わうためにも、日本ラグビーの発展を期待してやまない。

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2019/12/2 月曜日

 

今月から、運転中にスマートフォンなどを使用する“ながら運転”が厳罰化された。反則金は道交法改正前の2~3倍以上。違反点数も引き上げられ、事故を起こしかねない危険を生じさせた場合は即免許停止となる▼これまで、多くのながら運転による痛ましい事故が報道されてきた。警察庁ホームページで公開されている2018年の携帯電話使用等に起因する交通事故件数は2790件で、13年の約1・4倍に増加。携帯電話使用などの場合は、使用なしと比べ死亡事故率が2倍以上となっている▼交通事故は関わった人全てを不幸にする。家族を亡くした身からすると、あの苦渋は誰一人として味わってほしくない▼17年に内閣府が発表した「運転中の携帯電話使用に関する世論調査」では、運転中に「スマートフォンなどの携帯電話を使用したことがある」と答えた人は13・0%に上り、信号待ちなど停止中も含めると36・5%に達した▼スマートフォンが年々浸透していることを考えるとさらに割合が増えていることは想像に難くない。今回の道交法改正で1件でも事故が減るのを祈るばかりだ。

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2019/12/1 日曜日

 

中曽根康弘元首相が先月末、都内の病院で亡くなった。昭和を代表する政治家の1人▼中央紙の紙面を比べると、各社の政治姿勢や個性がいつになく顕著で読み応えがあった。30日付本紙は故人と親交のあった本県関係者の声を届けるなど、地方紙らしい構成だった▼「戦後政治の総決算」を掲げ、戦後5番目の長期政権を構築。先鞭(せんべん)をつけた原発政策や憲法改正論議、国鉄民営化など新自由主義的政策の導入は、あるいは本人の思惑を越えるほどの大きな政治課題として今に残された▼その中曽根氏の在任期間をとうに過ぎ、安倍晋三首相の在職日数が憲政史上最長に達したのが先月20日。ところが翌日の中央紙を開いて仰天。20日夜の首相は「中国料理店で記者会各社のキャップと懇談」とある。くしくも首相が「桜を見る会」に絡み国会答弁をした日の出来事▼同業者として肩を持てば、記者団は面従腹背で臨んだはず。「桜」攻防のヤマ場を前に政権側に懐柔の意図も透けて見えるが、黙して語らぬ故人にではなく、目の前の為政者にこそ舌鋒(ぜっぽう)鋭いジャーナリズムでありたい。

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2019/11/30 土曜日

 

ラグビーW杯日本大会の閉幕から、間もなく1カ月。“桜戦士”をはじめ世界最高峰の選手による熱戦、世界が認めた日本人のおもてなしの余韻は、いまだ収まらない▼12月11日正午から東京の丸の内仲通りで、日本代表ONE TEAMパレードが予定されており、再び熱狂の渦と化すことだろう。ちなみに11月30日は、1926年に日本ラグビーフットボール協会が設立された記念日▼93年の関係者のたゆまぬ努力が、日本ラグビーをメジャー競技に押し上げた。中でも圧倒的な人気を誇る関東大学対抗戦の早明戦があす1日行われる。両校とも6戦負けなしで25年ぶりの全勝対決▼旧国立競技場での“ラス前”となった2012年の早明戦を生観戦した。明治が早稲田を後半ロスタイムで逆転1点差で勝利した筋書きのないドラマに魂を揺さぶられたことが記憶に新しい▼国内では年末から全国高校大会、既に始まっている全国大学選手権の決勝が来年1月11日に新国立競技場で、翌12日にはトップリーグも開幕する。どんな激闘も終了の笛が鳴ればノーサイド。日本人の精神に合ったスポーツだ。

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2019/11/29 金曜日

 

ある自治体が施策を発表するたび、感嘆の声がインターネット上を飛び交う。「すごい」「また明石だ」。注目されているのは兵庫県明石市。子どもを核にしたまちづくりを掲げ、子育て世代の移住増から人口増にもつながっている▼同市で「全国初」と注目を集めたのが、不払い状態の養育費を市がいったん立て替えた上で回収する制度だ。離婚後に定められた養育費が支払われないケースは少なからずあり、一人親家庭の貧困化や子育ての困難にもつながっていることから、ここに光を当てた▼今年に入ってからは市内0歳児におむつを無償提供し、宅配する方針を明らかにした。虐待の有無などを確認する見守り活動と組み合わせるという。現場に出向き、問題が大きくなる前に支援する可能性を増やすという考え方だ▼同市が子育て施策を充実させるには予算確保を含め難しい面は多々あったはずだが、自治体レベルでも取り組めることはまだある―と希望を感じさせた▼全国同様に少子化が進む本県を、子育てしやすい地域に変えることも可能なはずだ。取り組みが進むことを願う。

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