冬夏言

 

2017/10/7 土曜日

 

太平洋戦争末期の沖縄戦で、住民83人が集団自決した沖縄県読谷村の洞窟「チビチリガマ」が荒らされ、沖縄県内に住む少年4人が逮捕された事件▼折り鶴が引きちぎられ、「平和」と書かれた額が破壊されるなどした様子は大きな衝撃を与えた。少年たちは逮捕後、チビチリガマの歴史を知らなかった―などと語ったという▼そのチビチリガマに、新たな折り鶴が各地から届けられているというニュースを目にした。死者を悼み平和を願う人の思いが、再びこの場所に集まってきている▼非常にショックな事件だったが、報道で初めてチビチリガマの存在やその歴史を知った人も多いのではなかろうか。「昔、日本で戦争があった」「広島や長崎に原爆が落ちた」「沖縄でもたくさんの人が亡くなった」。これらは分かっていても、各地でいったい何があり、どんな苦しみがあったのか、学ぶ機会は少ない▼日本各地には戦争遺構が多くあるが、徐々に失われ、それに伴い記憶も風化しつつある。本県でもまたしかり。今こそ改めて歴史を学ぶ機会を持たねばならない時が来ている。

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2017/10/6 金曜日

 

東京勤務の際、取材でも私用でもよく足を運んだのが上野公園。世界遺産になった国立西洋美術館をはじめ、東京国立博物館、国立科学博物館、東京都美術館、東京藝術大学大学美術館などが集まる、国内有数の美術館・博物館エリアだ▼展示内容、規模からして、いつも時間が足らず、次こそゆっくり鑑賞するぞと思いつつ、会場を後にするのが常だった▼それらの施設の中で唯一、縁がなかったのが東京国立博物館だった。特段理由はない。たまたま入る機会がなかっただけだ▼先日、高校同期の集まりが弘前であり、招集がかかった。母校開校記念で講演した「講師を囲む会」と銘打った会合である。その講師が東京国立博物館で学芸研究部長を務める同級生だった▼上野公園に足しげく通ったことは伝えたが、入館したことがないとはさすがに言えなかった。無知故、適当に相づちを打ってはいたものの、賢い同級生ははなからお見通しだったかも。酒席でも学芸員業務を優しく丁寧に説いた。多くの国宝、重文を収蔵する東京国立博物館。その運営の一端を担う同級生が誇らしい夜だった。

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2017/10/5 木曜日

 

秋を迎えた津軽の平野部は、朝晩の冷え込みが厳しい。岩木山頂付近では初雪も確認された。冬の足音が近づきつつあるが、しっかり厚着するには少々早く、防寒対策を怠ると寒さがこたえるという、服装に困る時期である▼寒いのか暖かいのか、はっきりしないのは諦めるほかないが、政局が入り乱れる様子は「よく分からない」で終わらせるわけにはいかない。メディアが日々発信するニュースに目を通し、有権者として見極めてほしい▼衆院解散・総選挙が見込まれた当初は、現政権と野党勢力の対決になるのかと想定されたが、新党結成に伴い野党第1党は事実上解党。保守系とリベラル系に分かれる形となった▼結果的に、有権者にとって選択肢が増えたともいえよう。衆院選の公示は間近。自身の考え方に近いと思える政策や政党をぜひ探してほしい▼総選挙の投開票日の翌23日は、二十四節気の「霜降(そうこう)」。霜が降り始めるとされる季節の節目だ。有権者の審判を受けた政権も動き始めていることだろう。それまで体調に気を付けつつ、政局を注視していきたい。

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2017/10/4 水曜日

 

信念のためには たとえ敗れるとわかっていても おのれを貫く。そういう精神の高貴さがなくて 何が人間ぞと ぼくはいいたいんだ▼ジャンルを問わず多方面に才覚を発揮した芸術家、故・岡本太郎さんの名言だ。没して20年以上になるが、生前から現在の政局を予見し、また憂い、歯に衣(きぬ)着せず物申しているようでもある▼公示まで1週間を切った衆院選だが、安倍晋三首相による国民に信を問う決断に対し、野党は「大義なき解散」と大合唱。一方、野党は離合集散の新党騒動で、いまだ対立軸としての理念があいまいな状態では政策論争も期待薄▼「政権選択選挙」。政治家の側は声高に叫ぶが、有権者の多くは「中身を伴わない劇場型の選挙」と見切り、しらけている。ドロドロとした国政秋の陣より、十五夜のきょうは中秋の名月を眺めて風流を気取りたい▼また10月4日は「陶器の日」でもある。陶器の古称「陶瓷(とうし)」の語呂合わせだ。同日から8日まで、中三弘前店で京焼陶芸家の林淡幽作陶50周年記念茶陶展が開かれる。名工による陶磁器を鑑賞、しばし俗世を忘れて心を癒やしたい。

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2017/10/3 火曜日

 

ここ最近雨の日が多く辟易(へきえき)している。しとしととずっと降り続ける時もあれば、数分の間に強い雨に見舞われることもあり、例え晴れていても外出時は傘が手放せない▼「雨は正しい者にも正しくない者にも降るのさ」とは、スヌーピーで有名な漫画「ピーナッツ」に出てくるせりふ。経済や地位など、日常生活の中にも格差が当たり前のようにある。そんな世の中でも平等なものがあるという“救い”と、拒んでもあらがえない“非情さ”を突き付けられたようで、この言葉を初めて見た時、衝撃を受けた▼東日本大震災による東京電力福島第1原発事故から6年半。福島県浪江町に出ていた避難指示解除から半年経過したが、帰還率は3%を切るとのこと▼放射線への不安が残ることや、避難先で生活基盤ができ、帰還を選択しない人が多いという。先祖代々の土地を守ろうと帰還する人、新たな地での生活を決めた人、それぞれが事情を抱えながら自分の生活を送っている▼そこにはどちらが正しいというものはない。ただ願わくば、被災者が等しく心の平穏を取り戻すことを祈るばかりである。

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