冬夏言

 

2017/3/3 金曜日

 

弘前大学農学部を卒業した岩木一麻さん(40)=埼玉県出身、千葉県在住=の作家デビュー作「がん消滅の罠 完全寛解の謎」が1月の刊行以来、都内書店の売り上げランキングで1位に輝くなど好評を博している▼国立がん研究センターや放射線医学総合研究所でがん研究に携わった経験を生かし、秀逸な医療ミステリーに仕上げた。宝島社が主催する「第15回『このミステリーがすごい!』大賞」の大賞受賞作品だ▼岩木さんは念願の作家デビューを果たした現在も医療系出版社に勤務しており、本名は非公表。ペンネームの「岩木」は秀峰・岩木山にちなんだもの。弘大卒業後もたびたび弘前を訪れているという▼同賞はミステリーとエンターテインメント作家の発掘・育成を目指す新人賞で、東山彰良(直木賞作家)や海堂尊らを輩出しており、注目度が高い。岩木さんも今回の受賞で一躍注目される作家となった▼「岩木」の名が全国に広まることは、われわれ津軽人にとって誇らしいこと。さらなる活躍を期待してしまう。気が早いが、次回作の発表が今から待ち遠しい。

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2017/3/2 木曜日

 

弘前さくらまつりの時期。“とある”ものを手に弘前公園内へ吸い込まれていく人たちがいる。その手には、ブルーシートやクーラーボックス▼飲食物を持ち込み、桜の下で宴会を楽しむ地元企業や友人グループ、家族連れは多い。日本一の桜を眺めながらの宴会で、地元民は長い冬を越えた先に待ち焦がれた春をここぞとばかりに謳歌(おうか)する▼しかし、桜の下で宴会を開催するには、場所取りや飲食物の運搬、飲み食いした後の後片付けなど労力が必要な場面も多いのが難点だ。それが一切、必要ないとしたら―どうだろうか▼屋根付きで京都の“川床風”にしつらえた桟敷に腰掛け、郷土料理などがふんだんに盛り込まれた特製のお花見弁当や、アップルパイを頬張る。視界いっぱいに広がるのは、桜色の空間。穏やかに過ぎゆく春のひととき、津軽三味線の音色が耳朶(じだ)をくすぐる▼1日から予約開始した有料の「弘前さくら桟敷」は、身一つで事前準備なく、花見が楽しめる新企画だ。これまでにない上質な花見スタイルとして、新たな祭りの魅力創出につながりそうだ。

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2017/3/1 水曜日

 

きょうから3月。日差しに春を感じる日も多くなり、雪解けが進んだように見えるが、弘前市の2月28日午後6時現在の積雪は73センチ。まだ平年(56センチ)より多く、青森市や五所川原市の倍以上▼それでも弘前の中心街などは道路沿いの排雪が進み、自転車に乗っている人も増えたようだ。しかし、路面に雪があるところや道幅が狭い場所がまだあり、乗用車でそばを通る際はひやひやする▼自転車を追い越すこともできず、後ろに乗用車が数台連なる光景も見掛ける。もちろん、道路は乗用車だけのものでも自転車だけのものでもない▼警察庁が昨年1年間に乗用車が他の車両と出合い頭にぶつかった死亡事故を分析したところ、自転車相手の衝突が42%に上った。事故の原因は自転車側にもあり、9割で一時不停止や信号無視などの違反が確認され、高齢になるほど多い傾向という▼乗用車側だけでは事故はなくならない。自転車側も交通ルールを守ると同時に、お互いのちょっとした注意や譲り合いで事故は防げるはず。雪解けで開放的な気分になる春、気を緩めず安全運転に努めたい。

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2017/2/28 火曜日

 

いつでも、誰でも本に触れられ、知識欲と好奇心を満たしてくれる。そんな場所、図書館が変わりつつある▼民間委託を選択する自治体が増え、各地では、カフェを併設したり、夜遅くまで開館したりと、従来とは異なる“民間ならでは”の施設も増えてきている▼弘前市でも新年度から市立図書館と郷土文学館に指定管理者制度の導入を予定。民間運営により、これまでの図書館とどう変わるのか気になっている人も多いだろう▼先日開かれた弘前図書館フォーラムで、新年度からの運営の在り方が一部明らかになった。これまで2週間の利用期間内に借りられる本は6冊だったが、4月からは期間内に読める量であれば無制限に。またインターネットやDVDが視聴できる専用ブースの設置、館内でもWi―Fiが使えるように環境を整備する予定。ほかにもイベント開催など、新たな取り組みを考えているようだ▼「図書館は地域住民が加わって初めて良くなっていく」とはフォーラム内で聞かれた言葉。これまで以上に市民の声が反映され、足を運びたくなる図書館となることを望む。

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2017/2/27 月曜日

 

久しぶりに自宅近くの書店へ行ったら、本がほとんど置かれておらず文房具店のようになっていた。雑誌を中心とした品ぞろえだったが、子どもの頃から親しんできた店の変わりように寂しさを感じた▼インターネットで手軽に本を買えるようになり、電子書籍も出回るなど、町の書店にとっては厳しい時代となった。そんな中、新刊が出るたびに話題となる作家、村上春樹さんはまさに書店にとって救世主的な存在だろう▼24日に発売された新刊小説「騎士団長殺し」(全2巻)は、「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」以来4年ぶりの長編。発行部数は当初1、2巻各50万部ずつの予定だったが、反響が大きいため計130万部に重版した▼海外でも人気が高まり、ノーベル文学賞の有力候補として注目を集めてきた村上さん。作品の魅力について愛読者の一人は「“私の物語”として没入できること」と表現した▼最近は本を読む時間が減り、雑誌や短編がせいぜいという体たらく。町の書店に足を運び、村上さんの新刊発売という“祭り”の活気を浴びて長編にも挑戦してみようか。

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