冬夏言

 

2017/3/22 水曜日

 

育ち盛りの園児にスプーン1杯分に満たないおかずしか与えていなかった兵庫県姫路市の認定こども園。定員超過の園児を受け入れ、保育士数を水増しするなど、ずさんな運営実態にはあきれるしかない▼この園では定員分の給食を1・5倍の人数で分け合い、残った給食を冷凍保存して後日園児に与えていたという。室内では暖房も使われず、劣悪な環境とは知らずに預けていた保護者の怒りは計り知れない▼園長は「困っている保護者を助けたかった」と説明しているようだが、何よりも優先しなければならないのは園児たちの生命、健康を守ることのはずだ。保育士が足りない状況で事故が起こった場合は命にも関わる▼保育士に無休労働、罰金を科していたことも明らかになった。定員外受け入れは「保護者からの要望」ではなく、運営費の不正受給が目的だったのではないかと思ってしまう▼園の認定取り消しは当然だが、現在通っている園児たちが他に利用できる施設はあるのだろうか。背景に待機児童問題があることも確かで、子どもを安心して育てられる環境整備は急務だ。

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2017/3/21 火曜日

 

「鳥瞰(ちょうかん)図」という、地図作製の技法がある。大空を飛ぶ鳥が、上空から眼下を見下ろすかのごとく建物や地形を描く。広範囲の紹介に向いているため、大型工事の完成予想図でしばしば使われている▼今や航空写真や衛星写真が存在するが、ヒトが地上からの目線しか持ち得なかった時代、万人の想像力を大いに刺激するものだった▼戦前、盛んに描かれていた観光案内用の鳥瞰図は色彩感覚も優れ芸術的。弘前市のものもあるので、一度はご覧あれ▼この鳥の目、世の中の事物に対する視座としても重要だ。トランプ米大統領と「ポスト真実」の話題にせよ「豊洲」や「森友」をめぐる問題にせよ、政治家、官僚、一部の報道者までもが独自の主張を展開。地上戦では真偽の確認は難しいだろう▼インターネットの発達でネット動画、SNS、ブログなどが台頭し情報源は多様化。情報量も確かに増えた。ただし、受け手はこれらを取捨選択できる。能動的判断の結果、えり好みに走りたくなるのが人間の常だ。膨大な情報を適切に整理し判断する上でも、鳥の目を大切にしたい。

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2017/3/20 月曜日

 

「間に合いますように」と念じながら、急ぎ足で向かった。行き先は弘前公園内の緑の相談所。弘前市公園緑地課が2月24日から今月24日までの毎週金曜日に、公園で剪定(せんてい)した桜の枝を無料配布しているのだ▼剪定作業は天候に左右されるため、日によって用意される枝の数が異なる。希望者が多いと全員に行き渡らないこともある。相談所の前には行列ができていたが、30分ほど並んだ後、3本の枝を手に入れることができた▼会場には、一足早く咲かせた桜が飾られていた。淡いピンク色の花びらが美しい。担当者は「皆さんに配ったのと同じ枝です」と言い、枝を水で洗う、花芽に霧吹きで水を与える―などと手入れの仕方を教えてくれた▼同課によると、桜の配布は2007年から開始。高い所での作業中に「枝が欲しい」と声を掛けられると危険なことや、仮置きした枝の束から抜き取られて散乱するのを防ぐため、日時を決めて配布することにしたという▼剪定は“日本一の桜”を咲かせるための大事な仕事。作業が安全かつ効率良く進むよう、集中力を妨げる行為は慎みたい。

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2017/3/19 日曜日

 

彼岸入りし明日は中日「春分の日」。市街地の雪はだいぶ少なくなったが、やはり墓参となると雪は例年通り多いと感じる。墓の周囲の雪を取り除いて亡き人へ手を合わせ、春の訪れを実感するのもこの時期である▼春彼岸の墓参をしない人もいるだろうが、個人的には雪から墓を掘り起こさないと気持ちが落ち着かない。春の日差しを墓に浴びさせることが先祖供養になると考える古い人間とも思う▼気持ちが落ち着かないと言えば、国有地取得に関わる森友学園問題の行方が気になる。爆弾発言を繰り返す理事長の証人喚問が23日に国会で行われるが、総理大臣の献金問題など真相は果たしてどこにあるのか▼先日は総理夫人からの寄付金を受け取った金の入金記録写しが出てきた。証拠としては弱いというものの、受領証には依頼人欄に修正テープが引かれ、透かすと「安倍晋三」と書かれている▼防衛省の「日報」問題に加え、森友問題と何かと騒動が続く国会だが、全ての関係者に喚問などが実現すればすっきりすると感じる。一日も早い問題解決で気持ちが落ち着く春を迎えたいものだ。

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2017/3/18 土曜日

 

福島県在住の方のツイッターをフォローしている。ある日は地元の歴史あるみそ・しょうゆ醸造業会社の廃業について、悲しみのこもった言葉をつぶやいていた。風評被害による売り上げ減が要因だった▼2011年3月18日、冷却機能を喪失した東京電力福島第1原発3号機の使用済み核燃料貯蔵プールに注水するため、東京消防庁の消防隊員が出動した。命懸けの覚悟で臨んだ隊員の姿に、多くの人が胸を熱くしたはずだ▼東日本大震災後は、「絆」が合言葉になった。震災復興を願い、さまざまな支援が東北に寄せられた。一方で、放射能汚染を警戒する風評被害はいまだ根絶されていない。原発事故後、本県産農産物も風評被害に苦しめられた▼農産物の放射能検査について、福島県は徹底している。しかし数値を示し、何の問題とないというお墨付きで流通させても、「よく分からないしなんとなく怖い」で敬遠されていてはやるせない▼震災後、「東北を支えるのは東北だ」という言葉を多く耳にした。「東北は東北を支え続ける」。本日は、そんなつぶやきを小欄に残す。

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