冬夏言

 

2020/7/28 火曜日

 

五所川原市立中央小学校の元PTA関係者らが、2000年に埋めていたタイムカプセルを掘り起こし、卒業生らに郵送するための作業を行った▼中に入れられていたのは、20年後の自分に宛てた作文や思い出の写真。子どもたちも大きく成長し、現在では20代後半から30代前半。社会の荒波にもまれている人も多いだろう。懐かしい思い出に浸り、何とか明日への活力にしてもらいたいものだ▼ところで、このタイムカプセルは本来、卒業生らが見守る中で開封する計画だったそう。コロナ禍で予定を狂わされた。いろいろと話を聞くと、ほかにも首都圏からの帰省を誘発しそうなイベントが中止・延期・縮小を強いられる傾向にある▼問題は、この流れが今夏にとどまるかどうかだ。県内外から大勢が集う大掛かりな同窓会ともなると、今後数年間は開催できるか不透明だという気がしている▼旧交の温め方一つとっても新しい生活様式の中、新しいスタイルを求められる可能性がある。ITを活用した妙案も浮上しそうだが、年配者が時代の急変に適応できるものか。何らかの支援は必要になるだろう。

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2020/7/27 月曜日

 

自転車の後ろに子どもを乗せるようになってから、せがまれて自転車で外出することが増えた。暑い日、車の中は不快だが、自転車だったらあら不思議、風を浴びてどこか心地よさすら感じる▼自転車のいいところは、どんな道でもすいすいと入っていけるところだ。「道順は?」「車を止める場所はあるかしら?」と、車ならちょっと戸惑うところでも、自転車ならぐんぐん進める。迷ったらすぐに引き返せばいいし、何なら迷うことだって楽しい▼街を自転車で走れば、これまで気付かなかったお店や自然、裏通りなどを見つけることができる。「あのお店は無くなってしまったのか」「こんな所にきれいな花が咲くお庭があるのか」。毎回小さな発見がうれしい▼新型コロナウイルスの出現により、めっきり遠出しなくなり、ご近所ツアーがもっぱらのブーム▼脚力の限界から、そんなに遠くまでは行けない。加えて重い物だって買えない。そんな若干の不便さを差し引いても、今ではママチャリツーリングを心待ちにしている。これも新しい生活様式の一つ?

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2020/7/26 日曜日

 

人気俳優の三浦春馬さんが自殺したというショッキングなニュースから1週間ほどがたった。世間ではまだ三浦さんの死を受け入れられないという声が多く出ている▼三浦さんは本県にも大きな関わりがあった。2010年12月4日開業の東北新幹線新青森駅のPRとして、JR東日本のCMに駅員として出演し、吉幾三さんや泉谷しげるさんらと共演。ロケ地の碇ケ関駅などが注目を集めた▼そんな10年前のある日、五所川原市内で三浦さんがそのCMを撮影しているといううわさが広まった。場所は当時の五所川原支社から目と鼻の先の店で、撮影を終えた三浦さんが店から出てくる瞬間を見られるのではないかと、淡い期待を持って支社の窓からこっそり眺めていたものである▼そのCM集が動画サイトにあった。見てみると、コメント欄には三浦さんを惜しむ声や、本県をPRしてくれて本当にありがとうといったメッセージがたくさん寄せられていた▼きっとこのCMはいつまでもファンや県民の方々の心に残ることだろう。それだけに、亡くなったことが本当に残念でならない。

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2020/7/25 土曜日

 

難病患者から依頼を受け、薬物を投与して殺害したとして、弘前大学卒の医師ら2人が逮捕された事件。命の重さと万人の生きる権利、その根幹に関わる倫理が問われている▼相模原市の障害者施設で起きた殺傷事件から4年。障害者の命を否定した犯行動機は「悪質の遺伝形質を淘汰(とうた)」(広辞苑)する優生学の発想。ただし事件は特異な思想を持つ一個人の犯行でなく、社会全体の問題として捉える必要があった▼二つの事件が同根であることは、優生思想を持つナチスの安楽死計画が示唆する。文筆家の木澤佐登志氏によると、障害者25万人が犠牲になった同計画に寄与したとされる専門書は「国家の生産性向上のために生を抹消する必要性があるとされるグループ」(現代思想2019年11月号)として終末期の患者や重症患者を想定した▼国家を持ち出すまでもなく、われわれ自身の価値観はどうだ。生産性で人を判断することを常識としていないか▼今回の事件を安楽死議論や医学倫理だけの問題に矮小(わいしょう)化してはいけない。人間の価値を生産性で判断する社会そのものを見直す時だ。

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2020/7/24 金曜日

 

「故郷がないんだよね」。大学時代、友人がそうつぶやいた。親が転勤族で、数年に一度は他県へ引っ越す生活だったと聞く▼新型コロナウイルスで従来の生活様式が見直されている。カルビーでは在宅勤務を恒久化して出社率を3割抑制、業務に支障がなければ単身赴任も削減するという。働き方が今後一層変化するのは想像に難くない▼コロナ後もさることながら、人々の関心事はコロナ禍の今だろう。本県では今月に入って感染者が増え、インターネットでは誹謗(ひぼう)中傷が横行。感染が罪というような考えがネット上に書き込まれ、報じる側として「正しく恐れる」ことを伝え切れていない無力さを感じる▼取材で訪れた県庁の応接室に飾られたアレンジメントフラワー。その中でピンク色のかわいらしい実・ヒペリカムが目に留まった。この花言葉は「悲しみは続かない」▼新型コロナで疲弊していない人はいないだろう。アレンジメントフラワーの制作者は、いつか来る終息と市民らへのエールを、この植物に込めたのだろうか。真相は分からないが、一人こっそりとそんなことを思った。

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