冬夏言

 

2017/3/15 水曜日

 

弘前市賀田の鳴海要記念陶房館で、県内在住の工芸作家ら8人による縄文時代の土偶や土器をテーマにした作品展「北国の縄文 土偶バンザイ」が20日まで開かれている▼糸鋸(のこ)工芸作家の長内正春さん(つがる市)が発起人となり、北海道新幹線開業1年を機に、本県や北海道の縄文文化を盛り上げようと初めて開かれた。会場には遮光器土偶や板状土偶、合掌土偶を題材にした陶器や木工品、切り絵、絵画などが並ぶ▼モビール作家の青柳省吾さん(平川市)はさまざまな土偶を切り絵で表現した。切り絵にしたことで「デザイン性が強調された」「デザインが際立った」と言う。実際に作品を見てみると、土偶や土器そのものが持つデザイン性の高さに気付かされる▼本県など北東北3県と北海道は「北海道・北東北の縄文遺跡群」の世界文化遺産登録を目指している。世界文化遺産登録の早期実現に向け、民間レベルの機運の高まりは欠くことができないだろう▼今回の作品展は本県が誇る縄文文化の一端に触れるよい機会。ぜひ会場で土偶や縄文文化の新たな魅力を発見してほしい。

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2017/3/14 火曜日

 

ワークライフバランス(仕事と生活の調和)―。最近、働き方について考えさせられるニュースが多い▼2015年12月、広告最大手「電通」の女性社員が過重労働の末に命を絶った。昨年11月に電通は強制捜査を受け、その後、社長は辞任。今年1月には、東京都武蔵野市の「セブン―イレブン」で、病欠のシフト代役を用意できなかったアルバイト店員に対し、オーナーが罰金を要求していたことが発覚した▼生活スタイルの変化や人手不足により、ファミリーレストランの「ガスト」や「ジョナサン」を運営する業界最大手の「すかいらーく」も24時間営業廃止へとかじを切った▼特に人手不足が深刻な介護、建設業界。そして、運送業界。宅配最大手の「ヤマト運輸」も宅配需要の高まりにひっ迫する現場の悲鳴を受け、荷受量の抑制や全面的な値上げの方向で検討を進めている▼高度経済成長を支えた“企業戦士”。寝る間を惜しんで働くことが推奨された時代。生活環境が大きく異なる今昔を単純に比較することはできない。だが、これだけは。「命よりも大事な仕事はない」

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2017/3/13 月曜日

 

国公立大学2次試験の後期日程が12日からスタートした。県内でも弘前大学と県立保健大で、受験生たちが関門突破を目指した▼約1週間前には前期日程の合格発表があった。弘前大学文京町キャンパスの合格掲示板の前で悲喜こもごもの表情があったが、その場に集まった学生の数は想像より多くない印象▼パソコンやスマートフォンが普及した今は、インターネットで合格者番号をチェックするのが一般的。まして遠方からも多数が受ける大学受験であれば、その場にいながらにして掲示板発表と同じタイミングで合否を知ることができるなんて、便利な世の中になった。それでも今回大学に合格発表を見に来た受験生の中には「インターネットだと実感が湧かない」と来場した理由を話す受験生もいるなど、“臨場感を求める派”も根強いのかも▼そのまた昔は電報で大学から合否が届けられた。時を経れば、方法もまた移り変わっていくものである▼後期入試を終え、長かった受験勉強期間に耐えようやく区切りという人も多いだろう。まずは一息、「サクラサク」の吉報を待って。

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2017/3/12 日曜日

 

冬場は観光客の姿が少ない弘前公園だが、今年は例年より多く感じる。道などを聞かれることもあり、急いでいる時は正直なところ焦る。それでも旅先などで道に迷った時に助けてもらった経験から、できるだけ丁寧に接するよう心掛けている▼だが、世の中にはさまざまな人がいる。道を聞いたら相手にあごをしゃくられる、無視、さらには舌を鳴らされにらみつけられたという。佐野洋子さんのエッセー集「ふつうがえらい」に書かれていた▼それらは駅の中での出来事。佐野さんは「きっと一日に何百回もきかれるんだ」「商売にさしさわるんだ」などと想像を巡らせ、忙しそうだった相手の様子を思い出す。とはいえ、一言も言葉を発しないとは驚きだ▼消費を上向かせ長時間労働を減らそうと、2月から始まったプレミアムフライデー。余暇を楽しめるのはいいことだが、終業を早めるために他の日が忙しくなった、家に仕事を持ち帰るだけだ―という声も。これではストレスが増す一方だ▼人の気持ちは伝染するという。心の余裕を保てる職場づくりを進め、不機嫌や不快を断ちたい。

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2017/3/11 土曜日

 

東日本大震災から6年を迎えた。震災の年に生まれた子どもたちは今春、小学校に入学する。復興が進む被災地でも真新しいランドセルを背負い、桜の下で満面の笑みを浮かべる姿が見られるだろう▼しかし、6年という歳月が流れた今もなお、岩手、宮城、福島3県の約12万3000人が避難生活を余儀なくされている。うち約3万5000人がプレハブの仮設住宅におり、不自由な生活を続ける▼原発事故に伴い国が出した避難指示は、4月1日までに帰還困難区域などを除いた全地域で解除されることが決まった。だが避難指示が解除された区域では、住民が戻らないケースが目立つ▼原発事故で避難した児童、生徒へのいじめも次々発覚した。故郷に住めなくなった上、避難先で理不尽ないじめに遭う。「福島=放射能汚染」という誤ったイメージが差別や偏見を生み出しているのだ▼震災直後、危機を乗り越えようと日本全体が一致団結した。しかし、時間の経過とともに被災地への関心、被災者に寄り添う気持ちが薄れつつある。あの日感じたことをもう一度思い返してみよう。

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