冬夏言

 

2017/8/14 月曜日

 

弘前市が発行した「趣のある建物」のパンフレットが市立観光館で目に留まった。明治から昭和時代にかけての建築物の写真がずらりと並び、思わず見入った▼同市は、弘前らしい風情を醸し出す古い建物40件を「趣のある建物」として指定。商店、旅館や住宅もある。パンフレットには散策モデルコースも紹介されており、実際に歩いてみたくなった▼40件の中には津軽塗の製造、販売業「田中屋」もある。創業120年の老舗で、白と黒の重厚な建物が目を引く。画廊なども併設され、文化都市弘前の象徴ともいえる存在▼その田中屋が閉店したとの報道に驚いた。店内には津軽塗のほか民芸品もあり、センスの良い品ぞろえが気に入っていた。喫茶室「北奧舎」は落ち着いた空間で、そこで飲む紅茶のおいしさも印象深い▼店の入り口には、19、20日に閉店セールを行うとの張り紙があった。その後はどうなるのか。債権者集会では債権者から建物の存続を求める声があった。葛西憲之市長も定例会見で「あの場所は、いわば弘前の顔。機能を維持できれば」と述べている。ぜひ実現してほしい。

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2017/8/13 日曜日

 

弘前生まれ弘前育ち。弘前高校卒業後、弘前大学医学部に入学した。専門は消化器外科。人工肛門をつくることなく、直腸がんの手術をする技術の先駆者としても知られる▼10日付本紙が「温泉健康相談20年に幕」の見出しで報じた弘前大学名誉教授の今充さんだ同大教授附属病院院長の職を退いた後に始めたのがつがる温泉での無料の健康相談▼「弘前で学び、税金で食べさせてもらってきたのだから、これまで得た知識や経験を地域に返したかった」。本紙連載中、駆け出しの記者だった筆者に語った言葉を思い出した▼現役時代からの信条は患者の生活の質を変えないようにする医療の提供。セカンドオピニオン、インフォームドコンセント。今では一般的になった言葉を10年以上前から、分かりやすく伝えてきた先見の明に驚かされる▼今さんの医師としての原点は、少年時代に読んだ野口英世の伝記だと聞いた。「医療に恵まれない人に医療を与えたい」との思いが、20年間の活動を終えても尽きない地域貢献への原動力なのだ。長きにわたる労をねぎらいたい。今先生、お疲れさまでした。

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2017/8/12 土曜日

 

お盆の帰省ラッシュが始まり、家族、親戚との再会を喜んでいる人も多いだろう。みんなで墓参りに行き、外で焼き肉、花火などを楽しむ。子どもの頃は大人数でお盆を過ごすことが当たり前だった▼父親の兄弟姉妹が多かったため、お盆になると祖父母の家には30人以上が集まった。一番年下だったため、祖父母からかわいがってもらったし、年上のいとこたちが遊んでくれるのがうれしくて仕方なかった▼しかし、祖父母が亡くなってからは親戚が一堂に会することがなくなってしまった。お盆の墓参りには10年以上行っていない。高校卒業時に亡くなった祖母の葬儀以来会っていない親戚も数多くいる▼お盆休みに旅行に行く人も多いだろう。貴重な長期休暇。普段はなかなかできない家族サービスもしなければならない。子どもたちに夏の思い出を残してあげるのも親の務めだ▼あす13日は盆の入り。最近はあれだけかわいがってくれた祖父母への感謝の気持ちも忘れがちだ。今年も墓参りには行けそうにないが、心の中で静かに手を合わせ、家族を見守ってくれるように願いたい。

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2017/8/11 金曜日

 

8月1日に開幕した弘前ねぷたまつりは7日までの期間中、163万人の人出を記録し、熱く短い津軽の夏が終わった▼連日、最高気温を更新していた7月の暑さがうそのように8月は涼しい。暦の上で8月7日は「立秋」。秋の気配が漂い始める頃とされる。目まぐるしく変化する季節に付いていくのがやっとのきょうこの頃▼休む間もなく、迫り来るお盆。弘前市内では10日、花を片手に墓参りに向かう人の姿がちらほら。11日は祝日「山の日」に当たり、12、13日の土日を合わせて3連休。帰省客で延びる高速道路の渋滞。レジャー施設もにぎわいそうだ▼先日、買い物の際に見慣れないものが目に入った。お年玉ならぬ「お盆玉」。新たに広がりつつある風習に、かわいい孫へと張り切る祖父母がいる一方、少なくない出費に頭を抱える人も多いだろう▼11日からは弘前公園本丸で石垣の構造や昔の石の積み上げなどを学べる石積み、石づり体験や石垣解体現場を歩く回廊体験などが行われる。せっかくのお盆時期。レジャーもいいが、昔の石垣普請を学ぶ絶好の機会となるはずだ。

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2017/8/10 木曜日

 

東京支社勤務の頃、知り合いに「青森はねぶたが終わると秋風が吹くんですよ」と言っても、「またまたぁ、冗談でしょ」と信じてもらえなかった▼青森で迎えた今夏は青森ねぶた、弘前ねぷたをじっくりと観賞できた。弘前ねぷたは駅前運行最終日に満を持して出掛けた。個人的には見送りの情趣が好きで、過ぎゆく夏を惜しむように、過ぎゆくねぷたを楽しんだ▼翌日の「なぬか日」、弘前でお世話になった人の訃報が届いた。ずっと元気でいるものとばかり思っていたので、にわかには信じられない知らせだった▼弘前ねぷたというより、自衛隊ねぷたが好きな人だった。「ねぷた見るなら自衛隊。若者の剣舞がいいのよ」。うれしそうに話していた笑顔が思い出される▼弔問で手を合わせ、長い間連絡もせずにいた不義理をわびた。化粧を施した顔は、生前同様気品があり、ねぷたの見送りのようにきれいだった。とても70歳には見えなかった。退職時に「同僚と一緒にご飯食べにおいで。必ずよ」と言われた。それが最後に聞いた言葉だったか。今年もやはり秋風を感じたなぬか日だった。

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