冬夏言

 

2020/8/2 日曜日

 

エンディングノート、墓じまいなど近年、自らの死後に備える「終活」への注目が高まっている▼誰しも死は避けられないもの。残される家族の負担を減らしたい、迷惑を掛けたくない―と多くの人が考える終活。心配の種の一つが身内の争い。遺言はそのための重要な手段だ▼遺言をめぐる争いといえば、冬夏言子がイメージするのは金田一耕助シリーズの小説「犬神家の一族」(横溝正史著)。1代で巨万の富をなした犬神佐兵衛が残した遺言を発端に、凄(せい)惨(さん)な殺人事件が発生。開封前で誰も中身を知らないはずの遺言書を佐兵衛の娘の1人が先に見てしまったことが、より展開を複雑化させた▼7月20日付の本紙でも紹介したが、全国の法務局で自筆証書遺言書を保管してくれる新制度が始まった。遺言書の紛失や内容の改ざん、事前に中身を知られてしまうといったトラブルを回避できる上、保管料金は1件につき3900円とお手頃だ▼犬神家はフィクションだが、相続に絡む身内の争いは、決して自らと無関係と言い切れない。「死人に口なし」となる前に備えが必要だろう。

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2020/8/1 土曜日

 

本来なら心躍る1週間が始まっていたはずだが、今年は囃子(はやし)も「ヤーヤドー」も聞こえない。さくらまつりが中止になっても咲き誇る外堀のソメイヨシノが少しは心を癒やしてくれた。ねぷたがない夏がこれほど寂しいとは思わなかった▼弊社前はねぷたの待機場所。夕方になると、各団体が集まり、運行開始とともに囃子が響き渡る。仕事中は「うるさいなあ」と思うこともあるが、やはり祭り期間中は夜になるのが待ち遠しい▼国内で新型コロナウイルスの感染者が初めて確認されてから半年余り。祭りやスポーツ大会、コンサートなど数多くの楽しみが奪われた。芸術やスポーツ、娯楽というものがいかに生活を豊かにするかということを改めて感じる▼国内の感染者数は連日最多を更新しており、歯止めがかかりそうにない。新型コロナによる閉塞(へいそく)感が来年、再来年まで続くのではないかと不安になる▼感染防止と経済の両立をいかに進めるか。しっかりとした戦略がなければ、どちらも失敗に終わる。来年は「心じゃわめぐ夏」を満喫できると信じ、今は我慢を続けるしかない。

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2020/7/31 金曜日

 

長野県の特別養護老人ホームで入所者にドーナツを与えて窒息死させたとして、業務上過失致死罪に問われた准看護師の控訴審判決で、東京高裁は罰金20万円とした一審判決を破棄、無罪を言い渡した▼二審判決は、おやつをゼリーに変更するという介護職員間の情報共有が看護職に周知された形跡はないと指摘。変更の目的は感染症対策で、窒息の危険を回避すべき兆候や事情があったわけではないとした▼介護施設内での事故で個人に刑事責任が問われたのは異例。刑事罰を科せば「現場が萎縮する」と懸念の声が上がり、無罪を求める署名が約73万筆集まったという▼判決理由で目を引いたのは、おやつを含めた食事について「健康や身体活動を維持するためだけでなく、精神的な満足感や安らぎを得るために重要だ」と言及した点だ▼施設で暮らす入所者にとって、食べることは大きな楽しみだろう。一審判決後、おやつをゼリーだけにした施設もあったと聞くが、物足りない人もいるはずだ。今回の無罪で職員のストレスが和らぎ、入所者の生活がより豊かになることを願う。

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2020/7/30 木曜日

 

「続けるってたいへんですよね~」。本県から東日本大震災津波遺児を支援するプロジェクトtovo(トヴォ)代表の小山田和正さん(五所川原市)が、活動を通じて多く掛けられた言葉という。取り組みは活動期間を10年と定めて継続中。来年6月にゴールを迎える▼オリジナルグッズを制作・販売し、売上金をあしなが育英会に拠出。6月24日現在までに874万9279円を寄付してきた▼活動の一環で毎月発行してきたフリーペーパー「トヴォプラス」が、100号を達成して終刊したことは弊紙で紹介した。充実感はほどほどに、次の一手を思案していた様子が印象深い▼制作品には時折パロディーを仕込み、先述の「続けるって―」もそのままシールなどに仕立ててしまう遊び心と軽やかさ。「本当にしんどいんですよ」と苦笑しながら、それを感じさせない姿勢に、多くの協力者が集まるのだと思う▼震災後、さまざまなボランティア活動が生まれたが、現在までも続くのはごくわずか。冬夏言子は「たいへんですよね~」と言うだけの立場だが、完走まで紙面で伝え続けたい。

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2020/7/29 水曜日

 

「いつ食べる 何を食べるか 食を知る」。東北女子大学健康栄養学科が五・七・五のリズムにのせて食の大切さを訴えている。同学科が中心となり食と健康に特化した冊子の発行や公開講座の企画など、食の正しい知識の普及に努めている▼本県は農業が盛んでまさに“食の宝庫”なのだが、身近な野菜や果物よりも、手軽なカップ麺や炭水化物多めの食生活が根付く▼本紙地域面で28日から掲載している企画「免疫力アップ 簡単おうちごはん」では、旬の食材などの科学的根拠を示しながら健康づくりを意識した食事スタイルで免疫力アップにつながるレシピを紹介している▼新型コロナウイルスの影響で、免疫力を高める食材や食事の重要性が改めて注目されている。工夫しておいしく食べることで、機能性成分も有効活用できる▼移動自粛要請が全国解除されて間もないが、今年の夏は新型コロナの感染状況に対応した、いつもとは違う過ごし方が求められている。夏休みが始まり、少し長くなったおうち時間を利用して、免疫力の高い料理づくりにチャレンジしてみてはいかがだろう。

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