冬夏言

 

2020/11/28 土曜日

 

戦国大名武田信玄、勝頼父子の軍略などを書いた「甲陽軍鑑」という書物がある。読み物としては面白いが、資料的な価値は同時代に書かれた書状や日記類などに比べると、低いと見なされてきた▼しかしその後、研究が進み、今では内容によっては信ぴょう性の高いものが結構あるという認識が広がっている▼面白いのが、信ぴょう性を高めた理由の一つに、甲陽軍鑑に当時の武田領国の方言が使われていたという点。後世に廃れた古語や表現が見られるそうだ。津軽なら例えば「ジャンボ」「サントク」といった言葉から書かれた年代を推定するといったところか▼こういう証明方法があるのかと、学問の奥深さに目からうろこの思いがする。物事を一面だけで判断しては真実にたどり着けない好例だろう▼「国のやることにケチをつけたから」。狭い視野で学問の世界に口を挟んだであろう誰かさん。学問の多面性を尊び、もっと広い度量で接してほしい。例えば、信玄の好敵手、「敵に塩を送る」の故事で有名な上杉謙信あたりを見習って。

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2020/11/27 金曜日

 

スポーツの印象的な場面といえば、プロ野球巨人・長嶋茂雄選手の天覧試合サヨナラ弾、スキー純飛躍・原田雅彦選手の長野五輪での大ジャンプなどさまざまあるが、全世界で最も著名なのはサッカーの「神の手」ゴールではないか▼1986年のワールドカップ(W杯)、対戦相手のゴール前に切り込んだアルゼンチン代表のディエゴ・マラドーナ選手が頭で流し込んでゴール。だが、映像で確認すると明らかに手を使っていた▼これが並の選手だったらば、単純に誤審という話で終わるが、今や伝説として昇華されつつある。さすがというべきか▼英雄は、問題児としても名をはせた。薬物依存、反米発言、ダイエット騒ぎと話題に事欠かなかった。ただし、年齢を重ねても妙に愛嬌(あいきょう)のある不思議な人だった▼その神の子が亡くなった。まだ60歳。体形だけでなく生涯も「みじかぷんと」となってしまったのは残念。だが、そのプレーは幾つもの映像に残されている。ぜひ、津軽の地でサッカーに打ち込む若い選手にも視聴してほしいと思う。

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2020/11/26 木曜日

 

先日、計画期間を1年間延長する方針が示された弘前市中心市街地活性化基本計画。新型コロナウイルスの影響で目標値の達成が難しいことなどが背景にある▼計画で掲げる基本方針の一つ「歴史・文化とふれあえる観光のまち」。関連指標として観光施設の年間利用者数約230万人を目指すが、昨年度は約199万人にとどまる▼まちづくりにおける文化と行政の在り方。音楽好きの冬夏言子はつい、テクノ音楽の聖地として世界中から旅行者が集う独ベルリンを思い浮かべてしまう▼冷戦終結後、ベルリンの壁が崩れ、東西ドイツが統一された。米国生まれのテクノは当時10歳未満。その赤子が他でもないベルリンに根付いたのは、テクノが歴史を持たない“空白の文化”だったからこそ、価値観の違う東西市民が共有できた-との見方も▼コロナ禍では、ベルリン市が経営難に陥るクラブへ平均1000万円の補助金を支給するなど、行政も保護に積極的だ。文化もまちづくりも、主役は市民。われわれにその自覚がなければ活性化への道は遠い。

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2020/11/25 水曜日

 

太田裕美さんのヒット曲「木綿のハンカチーフ」は、冬夏言子の世代にとっては切なさが胸を打つ思い出の曲だ。最近、カバーでよく耳にするが、一緒に聞いていた娘が「ひどい歌だね」とぽつり▼確かに、都会に出た青年が心変わりしてしまう、遠距離恋愛の悲しい結末ではあるが、〈恋人よ〉で始まる歌詞とポップなメロディーが合わさった映画的な物語性を持つ名曲だと思っている▼作曲は10月に亡くなった筒美京平さん。名前は知っていたが、恥ずかしながら、どういう作曲家だったのか、全く知らないでいた▼カラオケで歌う野口五郎さんの「甘い生活」、郷ひろみさんの「よろしく哀愁」、尾崎紀世彦さんの「また逢う日まで」など、多くの昭和ポップスが筒美さんの作曲だと亡くなった後で知った▼このコロナ禍、家族でカラオケに行くことはなくなったが、機会があったら近藤真彦さんの「ギンギラギンにさりげなく」、少年隊の「仮面舞踏会」を娘に聞かせてやりたい。うまく歌える自信はないが、筒美さんの偉大さは伝わることだろう。

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2020/11/24 火曜日

 

新型コロナウイルス感染症と季節性インフルエンザの同時流行に備えた新たな診療・検査体制が12月1日にスタートする▼発熱やだるさなど、似た症状が出る二つの感染症。同時流行しようものなら、患者数が膨れ上がり、診療や検査が混乱、逼迫(ひっぱく)する恐れがある。その回避策として示されたのが今回の新体制だ▼新体制を端的に言うと、新型コロナ疑いの症状が出た時、これまでごく一部に限られていた相談先、診療・検査機関を大幅に増強。基本的にはかかりつけ医に連絡をすれば、その機関で診療を受け持ってくれたり、診療対応の機関を案内してくれたりと、受診のめどが付く仕組みだ▼東京都では新規感染者が1日当たり500人を超え、新型コロナは一層感染拡大している▼経済活動との両立には感染者が一定程度出るのは仕方がないのかもしれない。未曽有の感染症が今後どういう経過をたどるのか想像がつかない分、本格的な冬の到来に不安は募るが、個々人としては手洗いや3密回避など基本的な感染対策を心掛けるしかない。

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