冬夏言

 

2020/9/22 火曜日

 

空を見上げると、たくさんのトンボが舞う季節になった。塀などに止まっている姿を見つけるたびに、捕獲を目指してそっと手を伸ばす自分がいる。喜ぶ息子のヒーローになれるからだ▼小さい頃は虫に親しんでいた。トンボを探して歩き、虫かご代わりにした紙袋に入れ過ぎて死なせてしまった苦い記憶、コオロギを飼って野菜をあげた記憶。大人になるにつれていつしか虫が苦手になり、触る機会もなくなっていたが、ここにきて急転直下、虫取りの楽しさを思い出しつつある▼先日は久渡寺にてバッタを捕まえた。ちょっと前なら触るのも嫌になっていたが、逃げるバッタを必死に追い掛け、30年ぶりにオンブバッタとイナゴをゲットした。丸めた両手の中で跳ね回るバッタの感覚は久しぶりのものだった▼怖がりな子どもに虫に親しんでもらいたいと始めた虫取りだが、親がはまりつつある▼幸いにして、津軽には少し足を延ばせば豊かな里山がいくつも残る。4連休最終日、ちょっと足を延ばして家族で虫取りはいかがだろう。

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2020/9/21 月曜日

 

19日から始まった秋季県高校野球選手権大会は8強が決定。きょうは休養日で、勝ち残った8校の選手の皆さんは、22日の準々決勝へ向けて英気を養っていることだろう▼新潟県や愛知県では新型コロナウイルス対策をしっかりと取った上で観客を入れて開催しているが、本県は夏の独自大会と同様に無観客で行い、ベンチ入り以外の選手やマネジャー、保護者のみの観戦となっている▼一方、プロ野球は19日に入場制限が緩和され、観客数が5000人から球場の収容人数の50%を上限に開催可能となった。テレビ中継を見てみると、明らかにこれまでより観客の数が増えたことが一目で分かる▼「客が増えることで球場に活気があふれていい」「正常化へ向けてまた一歩踏み出した」などとこの動きを歓迎する意見もあれば、人が集まることでやはり感染のリスクが高まるのではないかと心配する声も多い▼規制が全て取り払われ、ファンが画面ではなく現地で心の底から選手たちに大きな声援を送れる日はいつになったら戻ってくるのだろうか。

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2020/9/20 日曜日

 

うだるような暑さが鳴りを潜め、ここ数日はひんやりとした空気が漂うようになった。秋の到来である▼“食欲の秋”とも言われるこの季節で、個人的に一番の楽しみがサモダシ。鍋や塩辛など津軽の郷土料理に使われ、味わうたびにこの津軽の地に生まれてよかったと幸せをかみしめている▼さて、話は季節をさかのぼり春夏に変わるが、4~8月に県内で発生した山菜採りなどの遭難事故件数は34件、遭難者数は36人で、過去20年間で最多となった。その要因には、新型コロナウイルス感染症の世界的流行を受け、街などの人混みを避けて山林へ赴く人が増えた可能性があるのだという▼全国的に山菜採りの遭難者は全体の10%程度だが、本県は60%以上で、秋田県に次ぐ多さ。また本県の遭難理由の70%が道迷いだという▼山に入る人が増えれば増えるだけ、相対的に遭難事故が増える可能性がある。キノコはこれから本格的な旬を迎えるが、命を守るため、家族にしっかり行き先を告げるなど対策を講じてキノコ採りを楽しんでほしい。

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2020/9/19 土曜日

 

豊臣秀吉が、キリスト教の制限を目的に出した伴天連追放令。この時、キリシタン大名数人に棄教を迫った▼小西行長は命令に対し、即座に「はい」と答えたが外国人宣教師に言い訳している。意訳すると「(日本人は)上司の命令にはすぐに“はい”と答えるもので難しい時は、後でこっそりと伝えるのです」▼実力主義の戦国時代でも日本人は変わらないと苦笑したくなる。一方、同僚の高山右近は、信仰を重んじ、追放処分となった。別に右近が偉いと言うのではない。行長は関ケ原の合戦で滅亡するまで、キリシタン領民を保護した。彼の「はい」は自分の信仰を貫くための方便だったと思う▼日本の新首相に菅義偉氏が就任した。安倍政権の継承を訴えた菅氏は自民党内で圧倒的な支持を得た。政権の成果をことさら強調し、森友、加計問題など長期政権のひずみが生んだ疑惑の解明には及び腰に見える▼行長の言葉が頭をよぎる。菅氏の“イエスマン”ぶりが本心なのか、したたかな擬態なのか。今後の政権運営でそれが分かる。

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2020/9/18 金曜日

 

SNSなどのインターネット交流サイトで「#出版物の総額表示義務化に反対します」とする投稿が、作家や編集者から相次いでいる▼総額表示義務化では、書籍やカバーに税込み価格を表示することが義務付けられる。現在は消費税率の引き上げの影響を考慮した総額表示義務の免除期間となっており、価格は「税別」あるいは「+税」などの形で表記されているが、2021年3月末で終了の見通しとされる▼免除期間が延長されない可能性が高いと報じられ、作家や編集者が一斉に反対の声を上げ始めたのだ▼単なる表示変更のようだが、仮に店頭に並ぶ書籍やカバーの刷り直し、表示変更シールの張り直しが迫られることになれば、中小出版社、あるいはベストセラーではないが長期的に支持されている良書が変更に対応し切れない可能性もあると懸念されている▼書店は重版を重ねる本だけを大切にしているのではない。これを機に絶版される本が相次ぐようになれば、文化的損失だ。そのような事態にならないよう今後を注視したい。

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