日曜随想

 

「技術革新と雇用創出」「閉塞」した時代の中で

2012/1/15 日曜日

 

 2012年(平成24年)を迎えた。いつもなら「おめでとう」と言うべきところだが、今年はいささか違うようだ。私も素直にはそうした気分になれないでいる。最も大きな理由は「3・11」であろう。2万人近い死者・行方不明者を出し、大晦日(みそか)も行方不明者を探す大規模な捜査が行われたという。
 仮設住宅の生活がいかに厳しいものかも想像できる。時々、明るいニュースも伝えられるが、復興への取組は決定的に遅れている。「3・11」のみならず、これほどまで前途に展望を持てずに新年を迎えたのも珍しいのではないか。日本中にある種の「閉塞感」が漂っているのだ。旧聞に属するが、昨年11月の大阪市長選で橋下氏が勝利したのも、彼が「閉塞」状況を打ち破ってくれるとの期待からであっただろう。私自身は橋下氏の、敵をつくってこれを攻撃するという政治手法には一抹の不安を感じているが。
 ところで、人々が「閉塞感」を感じている最大の理由は、やはり将来への不安だろう。給与は下がる一方だし年金の支給も年齢の繰り上げや支給額の削減が噂される。必死に働いているにも拘(かかわ)らず一向に生活は楽になったという実感が持てない。それでも日本人は「自分よりもっと恵まれない人がいる」と我慢するのである。確かに年収300万円以下のワーキングプアが就労者の40%という現実がある。
 こうした状況の下で、エネルギー不足や急激な円高により企業の海外進出が増進しかねない。産業の空洞化である。円高を背景として企業が海外展開するのはグローバリゼーション社会にあっては止(や)むを得ない。しかし、産業の空洞化は雇用の空洞化を進めることになる。新卒者の就職が厳しくなっている時、これ以上雇用が減少することは防止しなければならない。その対策が急がれるのである。
 私の結論は技術革新とそれによる産業力の強化である。ハードであれソフトであれ、新しいモノをつくり新しい市場を開拓することだ。戦後の我が国は「アメリカに追いつき追い越せ」で産業を発展させたが、その中でも「長厚重大」から「軽薄短小」、先端技術革新と産業への応用を行ってきた。我が国の産業発展は技術革新・技術進歩とともに発展してきたのである。技術革新はハード面だけではない。生産方式や工程、経営の改善といったソフト面もある。日本人の「おもてなし」精神も大いに寄与しよう。こうしたハード、ソフト両面の技術革新をシステム化、パッケージ化することで市場を開拓するのだ。これにより、企業が海外展開しても重要な部分と役割は我が国でしかできないものとして残ってくる。そこに雇用を創り出すことは可能だ。その方向をしっかり示すことが政府の責任であるのは言うまでもない。
(青森大学学長 末永洋一)

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「今年の初夢」雪が金になったら

2012/1/8 日曜日

 

 2020年。マスコミ報道によると、弘前大学も弘前市も随分と世界的になったらしい。
 昨年、理工学部の某教授の研究グループが、雪を燃料として簡単に発電できるシステムを開発した。しかも相当な効率で発電できるという。平川市の会社が弘前大学と共同して特許を取得し、そこで開発した発電機が市販されたのがこの冬からである。おかげで、これまですっかりお荷物だった雪が突如「金のなる木」になってしまった。
 先日のドカ雪でも、「雪が降れば金になる」と、鍛冶町はまるで桜祭りのような賑わいだったそうな。
 聞けば、雪1トンが5万円で売り買いされているらしい。しかも、青森県に降るくらいの雪の温度がちょうどいい塩(あん)梅(ばい)なのだそうだ。
 昨日の新聞によると、あちこちで雪泥棒が現れ警察への電話が殺到しているらしい。ドカ雪で「これで明日の朝までには30万円」とほくそ笑んだ市民が、朝起きてみたら、庭と屋根の雪がきれいさっぱり盗まれていたという。あわてて警察に電話しても、その手の電話が殺到してなかなか実況見分には来てくれないらしい。それどころか、これまで盗まれなかった雪の被害であるから、法律的に窃盗扱いになるかどうかも定かではないらしい。
 世界のマスコミはこの話題でもちきりである。T電力や自動車のT会社をはじめ世界の企業から共同研究の申し込みで殺到しているという。あの世界的なIT産業のアメリカのM社のB社長もわざわざ弘前まで来て市長と面談したらしいが、市長は「どうせお願いに来るのなら日本語ぐらい勉強して来い!」と追い返したそうな。
 弘大は毎年国からの補助金が減らされ続けてきたが、その20倍もの外部資金を獲得できるようになった。学長は「5年後を目途に授業料をタダにする」と公言し、近隣の大学は受験生を奪われるのではと脅威を感じているとか。某大学の学長が「貧乏人に大金掴(つか)ませても使い道が分かるまい」とのたまったそうだ。地獄耳の弘大財務担当理事がそれを聞き「貧乏人はそちらの方だ」とすぐさま言い放ったらシュンとして一言も返せなかったそうな。
 来年度の弘前大学の入試の倍率・偏差値ともに全国一となり、医師も全国から青森県へと殺到している。青森県は、「医師確保対策室」を「医師選抜対策室」と名称変更した。
 国土交通省は、青森空港に対し、国内最大のハブ空港化構想をブチあげたが、そのためには滑走路が今の30倍必要だとか。「どうせなら大釈迦の山を平らにしてしまえ」と県会議員も知事と一緒になって息巻いているらしい。
 と、こんな初夢を見てしまった。はたして、今年はいい年になるものやら。
(弘前大学大学院教授 中路重之)

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