’22弘前市長選 始動

 

2022/1/1 土曜日

 

 任期満了に伴い4月3日告示、10日投開票の日程で行われる弘前市長選。選挙戦まで残り3カ月に迫る中、すでに名乗りを上げている現職桜田氏と新人山本氏に加えて、新人蛯名氏が出馬検討を明らかにしたことにより、情勢は混沌(こんとん)としてきた。活発化する市長選の動きを追う。

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現職に前副市長挑む=上

 

弘前市長選に出馬する桜田氏(右)、山本氏(中央)と、出馬を検討している蛯名氏

 「市民生活を第一に、全身全霊で、市民と市政発展のため市長選に出馬する覚悟だ」。任期満了に伴う4月の弘前市長選を前に、1期目の現職桜田宏氏(62)は昨年11月28日、後援会主催の政経セミナーで、集まった支持者らを前に再選を目指し出馬する考えを表明した。
 市長就任当初、「市民の期待の大きさをずしりと感じる。市民感覚と市民目線を忘れずに仕事をしていきたい」と語った桜田氏。今もその思いは変わらず、2期目の政策の柱に掲げるのは、市民生活を第一とした「くらし」「いのち」「ひと」の3本柱。
 市長就任後、津軽地域全体の2次救急を守る施策を推し進め、新中核病院開院に全力を尽くすなどしてきた一方、任期中の2年間は新型コロナウイルス対策に追われた。2期目では新型コロナ対策と同時に、人口減少対策の一つとして健康寿命延伸を核とした健康都市の実現を目指す。
 市議会定例会での出馬表明が既定路線と見られた中、周囲が予期せぬセミナーでの表明となったことに桜田氏は「皆さまの姿を見て思いが伝わり決意させていただいた」と強調。セミナーには自民党の木村次郎衆院議員も出席し、これまでの市政運営を評価しながら親密さをアピール。市議会は与党会派櫻鳴会の7人を中心に支援する構えだ。
 桜田市政に対し、「今の弘前は元気がない。新しい弘前をつくりたい」と刷新を掲げて名乗りを上げたのは、NPO法人代表で前副市長の山本昇氏(51)だ。昨年12月10日に出馬を表明し、「多くの市民に支持されるよう誠心誠意取り組む」と決意を述べた。
 出馬会見では市政の最重点課題に、新型コロナ対応を挙げ「閉塞感が広がる弘前において、まずリーダーとして主体的に取り組みたい」と述べ、「スピード感」「決断」「協働」を軸に市政運営を進める考えを示した。
 2期8年務めた葛西憲之前市長の右腕として幹部職員や副市長を務めてきた経緯はあるが、「新しい弘前をつくるという意味で、葛西市政の後継とは考えていない」とし、選挙戦には「市民派」の立場で臨む考えだ。
 現在、民間企業の代表を務める葛西氏は、取材に対し「若い世代が頑張ることができる地域は活気づく。弘前市を引っ張る若いパワーが必要だ」と述べ、山本氏を支持する考えだ。
 出馬表明以降、つじ立ちを重ね、対話会もスタートさせた山本氏。できるだけ多くの業界を回り、吸い上げた現場の声を反映させながら政策を練り上げ、市政運営にスピード感を持って取り組みたい考えで、今後は政策浸透と知名度向上へ活動を加速させていく構えだ。
 一方で、水面下で「第三の候補」を模索してきた動きが表面化してきた。昨年11月ごろから、一部の市議らを中心に待望論がささやかれていた前副市長で弘前市議の蛯名正樹氏(66)が昨年末、本紙取材に出馬を前向きに検討していることを明らかにした。
 12月上旬に一度は出馬を断ったものの、その後も市長選出馬を促す声があり、「受け皿になってほしい」との周囲の声を踏まえ、関係者らと協議を進めている。
 市職員、副市長、市議とさまざまな立場を経験してきた蛯名氏は、現市政に対して「議会とのコミュニケーションが不足している」「もっと活力と活気のあるまちづくりが必要」などと述べ、1月早々にも態度を明らかにする考えだ。
 支持層が複雑に絡み合う三つどもえの可能性も出てきたことに、関係者は「票はどう動くのだろう」と今後の情勢を推し量る声が上がっている。

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市議と議会 溝あらわ=下・完

2022/1/3 月曜日

 

昨年の弘前市議会12月定例会では、市議有志が提出した議会選出監査委員を置かないための条例改正案が賛成多数で可決された

 2018年4月の弘前市長選で3期目を目指す葛西憲之氏との一騎打ちを大差で制した桜田宏氏だが、選挙戦で葛西氏支援を表明する市議は多く、議会との関係において、前回選の影響が懸念されていた。
 議会とのしこりが明るみになったのは、19年12月の定例会。最終日の本会議で、次年度に更新時期を迎える市民会館の指定管理者を地元業者グループから、市外業者主体のグループに変更する議案が賛成少数で否決された。21年6月の定例会でも、市長が追加提案した議会選出監査委員選任の人事案が否決された。同委員の人事案否決は15年ぶりという異例の事態だった。
 昨年11月28日、桜田氏の政経セミナーでも溝は深まった。コロナ禍により人数制限を設けての開催だったが、清野一栄議長ら多くの市議に案内はなかった。支持を想定する市議の中からは「どう対応したらいいのか」と困惑や意思疎通不足の声が漏れた。
 さらに昨年12月の定例会では、与党会派と共産会派を除く市議が中心となった有志が、議会選出の監査委員を置かない市監査委員条例一部改正案を追加提出し、賛成多数で可決。議会のパワーバランスが「反市長」に傾きつつあることを印象付けた。
 この流れの中、前副市長で市議の蛯名正樹氏出馬への待望論が浮上。「第三の候補」擁立を模索していたある市議は「市長と市議会は両輪であるはずなのに、対話できない状況が続くのは発展につながらない。重い決断だが、託したい」と蛯名氏支持の構えを明確にする。一方で、市議の中には「(属する政党の動きなど、立場上)積極的には動けない」との声もあり、個々の事情も絡んで一枚岩には至っていないもようだ。
 桜田氏の対抗馬として「新しい弘前をつくる」と出馬表明したNPO法人代表で前副市長の山本昇氏。地域で活動する中で「生活の苦を口にする人の声をよく聞く。市民に格差が広がっているのではないか。もっと危機意識を持つべきだ」と指摘する。
 桜田市政については「議会では分断が進んでいる」とし「コロナ対策に市を挙げて取り組むべき時であり、店を閉めたり、生活できない人がたくさんいたりする。議会で議論すべきことは、こうした対応をどうするかということだ」と語気を強める。「市民派」をうたい、新年早々から市内各地で街頭活動などを展開しながら、政策の浸透を図っている。
 一方、大型建設事業などからの脱却を図り、市民目線の市政運営への転換を進めてきた桜田氏。「新中核病院は広域市町村の問題」として、国立病院機構や県、弘前大学とも連携して計画を推進。来春の開院を控え、医療関係者は「桜田氏就任後、スピーディーに進んだ」と評価する。
 支持する政界関係者の一人は、新中核病院の整備計画推進だけでなく、市医師会や病院と連携しての新型コロナ対策、市民との協働によるごみ減量化、農業支援などの取り組みを挙げ「予期せぬコロナ禍、まだ1期目とあり課題はあるだろう。だが市民の立場で着実に進められるのは桜田氏しかいない。ぜひ頑張ってほしい」と期待する。
 3カ月後に迫った選挙戦を前に、市幹部経験のある現職に葛西市政時代の副市長2氏が名乗りを上げる形だが、状況は複雑。年明け以降、立候補予定者の動きが活発化し、市議も徐々にスタンスを明確にするとみられる。ただ、政界関係者は「市長は市民が選ぶ。判断材料としてはリーダーとしての魅力や政策が大きい。(支持する)議員の数ではない」と話す。コロナ禍の打撃が企業や市民生活に影響を及ぼす中で行われる選挙戦は盛り上がりに欠けるのでは、との指摘もある。立候補予定者の政策が明確に見えないこともあり、今後の動向が注目される。

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