’21衆院選 選挙区を行く

 

2021/10/22 金曜日

 

 31日に投開票を迎える衆院選で、県内3小選挙区には前職、元職、新人の計8人が立候補した。解散から投開票まで17日間という異例の“短期決戦”で、支持拡大に奔走する各候補の動きを追った。

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3区

 

有権者に支持を訴える(右から)山内候補、木村候補

 「変わる時代でも変わらず青森で生きたい。そう思うなら声を上げよう」。衆院選が公示された19日、立憲民主党新人の山内崇候補(66)は、こう街頭で呼び掛けた。格差や貧困にあえぐ地方の厳しい現状に触れて、「自民党に頼っても、変わらなかったではないか」。マイクを持つ手に思わず力が入った。
 “戦闘服”の政党カラーの青色ジャンパーに身を包み、各地で訴えを重ねる山内候補。国政への挑戦は3回目。「三度目の正直」へ着々と準備を重ねてきた。
 2019年の参院選後、地域を回って人々の声に耳を傾けた。寄せられた地域の切実な声に、「精いっぱい生きている人を応援するのが政治」との思いを強めた。公示が迫る中でも新型コロナウイルス禍を考慮し、ミニ集会など屋内活動を自粛。一方で、有権者との距離が近いつじ立ちを繰り返し、「顔の見える活動」に徹した。選挙期間中もできる限りつじ立ちする。
 3区は県内で唯一、共産党が候補を擁立せず、実質的に野党候補一本化が図られた。19日の第一声でマイクを握った小田切達選対本部長は「市民と野党の共闘のシンボル。事実上の野党統一候補だ」と山内候補を表現した。
 「保守王国」とも呼ばれる自民の地盤が強い地域だが、「野党がまとまり、票を掘り起こせば」と陣営。野党勢力が結集した上で政権批判票を取り込み、「自民1強」を切り崩す青写真を思い描く。
 公示直前、山内候補は「周りの人を幸せにできる政治をしたい。だから本気だよ」と言った。共に声を上げる人たちのため戦い抜く覚悟だ。
 公示日の夜、自民党前職の木村次郎候補(53)は、自身のお膝元・藤崎町でマイクを握った。父・守男氏、兄・太郎氏が選挙戦をスタートさせた青森銀行藤崎支店前ロータリーに立ち「この津軽の代弁者たり得るのか判断を仰ぐ戦。故郷津軽のため全身全霊でまい進する」と声を張り上げた。隣には県議の阿部広悦3区選対本部長らがずらりと並び「背中を押してほしい」と力を込めた。
 公示後の3日間で選挙区の14市町村全てを回り、29カ所で街頭演説をこなした。新型コロナ対策、経済対策、人生100年時代を見据えた全世代型社会保障制度の確立などを訴え、地元の首長や議員らがずらりと並ぶ盤石の態勢を敷く。
 土砂降りとなった20日は、スーツに黒い長靴の戦闘モードで駆け巡り、コメどころつがる市では、倉光弘昭市長らとスクラムを組んで米価下落の影響に苦しむ農家に向け「あすへの希望を持てるよう支援策を強化したい」と声をからした。大票田の五所川原市では三村申吾知事も駆け付け、国、県、地元自治体が一体となった態勢をアピールした。
 国土交通政務官に抜てきされ、関係者からは「選挙に追い風」との声も聞かれるが、木村候補は「12日間の選挙戦だが地元入りできるのはもう6日しかない」と気を緩めない。前回選は急逝した兄の“弔い合戦”で圧勝するも「今回はこの4年間が問われる」とし、選挙戦は木村流「現場主義」を貫き小まめにつじ立ちを重ねる構えで「道端から手を振り応援してくださる方に支えられている。一人でも多くの方に訴えたい」と走り続ける。

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1区

2021/10/23 土曜日

 

選挙区を駆け回り、政治への思いを伝える(右から)江渡候補、升田候補、斎藤候補

 公示日の19日の夜、自民党前職の江渡聡徳候補(66)は青森市浪岡地区のスーパー前に立ち、珍しくリンゴの話題に触れた。リンゴ農家と懇談したエピソードを披露し、「今年のリンゴはだいぶいいみたいですね。このまま台風や災害がなければ最高の形になる」と農家の心情を気遣った。
 その後は浪岡中央公民館で開催された個人演説会に臨み、参加者約40人を前に自身の生い立ちや農業振興策などを語った。江渡候補が同地区で演説会を行ったのは初めてといい、司会は「大島理森前衆院議長が引退し、次に本県をけん引するのは江渡候補」と紹介。演説会は終了予定時刻を約10分過ぎるほど熱が入った。
 20日は原子力関連施設が立地(予定)する下北地域へ向かい、大雨と強風に見舞われたが、「雨はいいんだよ。雨降って地固まる」。「1、2期目の頃は傘も差さなかったよ」と若手の時を思い出しながら、次々と日程をこなした。
 22日は大票田青森市の隣平内町でマイクを握り「郡部では勝っているが、青森市では負けている。(立憲民主党の)相手候補とは横一線」と自身の情勢を語り、支持を強く訴えた。
 「どんなところに生まれ、どんな家庭で育っても、チャンスだけは平等であってほしい」。立憲民主党元職の升田世喜男候補(64)は、選挙区各地で自身のスローガンを叫ぶ。
 映画「幸福の黄色いハンカチ」に感銘を受け、シンボルカラーは黄色。たすきやスタッフジャンパー、選挙カーの車体にも入れ、日々選挙区をひた走る。
 今選挙から初めて長女未美さん(24)、次女誇子さん(19)がスタッフに加わった。旗持ちの他、これまで陣営が苦手としていたツイッターも担当し、父を毎日サポート。ツイッター利用者の反応が大きい政策分野も分析し、升田候補は「助かる」と頬を緩める。
 「社会に諦めを感じている人に伝えたい」という升田候補は、1日約50カ所で街頭演説やつじ立ちを実施。“本音の演説”を追求する升田候補は、マイクを握る手に力が入ることもしばしば。未美さんは「声が結構かれてきて心配」と父をいたわる。
 升田候補は青森市浪岡地区で思いを熱弁した。「答えを真摯(しんし)に真面目に出せる政治を求め“まいねものはまいね”と叫ぶ。力を貸して。組織がないから、皆さんが頼りです」
 「最初から飛ばしちゃったかも」。公示日の午後、青森市内のスーパー前での街頭演説後、聴衆の元に駆け寄った共産党新人の斎藤美緒候補(41)は少しだけ疲れた声だったが、表情は充実していた。
 それもそのはず。国政選挙は約9年ぶりで力がこもる。2019年参院選では野党連携による野党統一候補の支援で出馬がかなわず悔しい思いをしたが、その1年前から続けてきた現場の声を聞いて回る活動で「自分の政策に厚みが増した」と自信をのぞかせる。
 自身の経験を踏まえた政策として、「家事や育児は女性が担う仕事」といった固定観念にとらわれない性の在り方を訴えている。青森市支部の党員は60歳以上が大半を占めている中で、「私だから訴えていける」とする。特に女性からの反応は良く、手応えを感じている。
 陣営関係者は、現場を回る活動を通じて「従来の支持層に加えて新たな層から声が届いている」という。新型コロナウイルスの影響でこれまでの選挙戦とは異なるが、在宅時間の増加で政策ビラを読み込む時間が増えていることから、党の政策の浸透に期待を寄せている。

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2区

2021/10/24 日曜日

 

初の選挙戦で支持拡大に奔走する(右から)神田候補、高畑候補、田端候補

 公示日の19日と20日の2日間で選挙区をほぼ一巡した自民党新人の神田潤一候補(51)。象徴的なのは政界引退した前衆院議長の大島理森氏が街頭に常に付き添い「新しい時代を託せる人と信じて後継指名した」との紹介後、「37年間頂いた支援を(神田氏に)与えてほしい」と訴えることだ。
 大島氏の強力なバックアップのほか、国会議員や県議、市議の個人後援会が連動した戦いを展開する。
 神田候補も街頭では、駅伝選手だった自身の経験を踏まえて「大島先生が故郷に築いてきた絆が途切れてはいけない。たすきをしっかり受け継ぐ」と“大島後継”を強調。さらには、八戸市内の海沿いでは水産業の振興、三戸郡の山間部では少子化対策の必要性を訴えるなど、場所によって演説内容を変える工夫も。
 朝一番の街頭演説会場に着くと聴衆の元へダッシュし開始時刻まで駆け足でグータッチして若さをアピール。「みんな声援を送ってくれて感触はいい」とし「全力で走り抜くだけ」と初の選挙戦を駆け抜ける。
 「生活者目線で皆さんの代弁者に」。地元八戸市で長らくホテル業や観光業に携わってきた立憲民主党新人の高畑紀子候補(58)はこう繰り返し、有権者との目線の近さを強調する。
 ヒールの靴を封印し、「走りやすい」ぺったんこのパンプスに履き替え、臨戦態勢に。立民カラーのブルーに対し、高畑候補の事務所や街宣車の題字はピンク。自身もピンクのジャンパーに身を包み「やわらかい色でしょ」。
 公示日の19日、選挙事務所近くの八戸市石堂地区で高畑候補は「(田名部)匡省さん、匡代さんゆかりの地で選挙戦をスタートさせていただく」と口火を切った。「数カ月前まで私は投票には行くが、政治は遠いものと感じていた」とし、「今こそ、政治は身近なものでなくては」と訴える。
 保護猫2匹を自宅で飼っており、猫や犬の殺処分減にも力を入れる。
 高畑候補を見いだした立民県連共同代表の田名部匡代参院議員は「人のために一生懸命に動ける人」と、その人柄に太鼓判を押す。
 共産党新人の田端深雪候補(64)は4人の子どもを育てた母として、そして39年間にわたり養護教諭として教育現場に携わった経験から、子育て支援や保育士の待遇改善、経済や教育の格差問題など実体験に即した訴えに力を入れる。
 「民主主義を壊して弱い者いじめをする、今の政治は間違っている。一人ひとりが大事にされる政治でなければ、誰も幸せになれない。政権交代で政治を国民に取り戻す」と強調する。
 公示日の19日には子育て世代から高齢者まで幅広い世代が足を運ぶ、八戸市内のスーパーを中心に街頭演説を重ね、浸透に努めた。
 生まれ育った八戸市白銀地区で街頭演説を行った際には、小中高生の自殺者が急増したことに触れ、「若者が未来に希望を見いだせない世の中。命と暮らしを守るために、政権交代を」と集まった聴衆に訴えた。
 街頭後、集まった市民ら一人ひとりと肘タッチを行い、「年々、年金が減っている。年金制度をなんとかしてほしい」など、支持者の生の声も聞いて回った。

 

 ’21衆院選 選挙区を行く=完

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