’21衆院選 決戦前夜

 

2021/10/16 土曜日

 

 19日の衆院選公示まで残り3日に迫った。勝利に向けた各政党の課題を探った。

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「連携」で4議席維持=自民

 

津島氏(左)の後援会幹部に支持を求める江渡氏(中央)。1区は両氏の連携がカギを握っている=10日、青森市

 長期にわたった安倍政権、菅政権の退陣、岸田政権の誕生-。自民党を取り巻く状況は次々と変化し、今も政権に新型コロナウイルスの「逆風」が吹き荒れる。県内に目を向ければ、今回の衆院選は1、2区の候補者が交代し浸透が急がれるが、大規模な集会が開催できないなど制約も多い。これまで「一強」を誇ってきたが、今回は厳しい戦いが予想される。県連は組織の結束が試される選挙と位置づけ、至上命題の「4議席維持」を目指す。
 1区は2017年の前回選で区割りが改定され、小選挙区が1減となったことに伴い、比例と小選挙区の候補者が選挙ごとに交代する「コスタリカ方式」を前回選から導入。今回は比例東北前職で県連会長の江渡聡徳氏(66)=当選7回=が1区から初出馬する。県都を含む1区で県連トップがどう勝ち抜くか、気に掛ける自民関係者は多い。
 青森市などはもともと、今回比例に回る1区前職の津島淳氏(54)=当選3回=の地盤。旧2区の十和田市を地盤とする江渡氏にとって初の戦場となる津軽での浸透が課題。自民県連幹部の一人は「津島氏との連携が不可欠」と強調する。
 「江渡氏の支援の輪を広げるために皆さまの力をお借りしたい」。10日、青森市で行われた津島氏の事務所開きの後、津島氏は自身の後援会幹部に江渡氏支持を求めた。江渡氏もその場で「石にかじり付いてでも今回の選挙を勝ち抜く」と決意を表明。幹部は拍手で応じた。
 しかし、津島氏の支持者の内面は複雑だ。関係者の一人は「父雄二氏の時代から長年築き上げた地盤を簡単に明け渡すことはできない」と心境を明かす。一方、別の関係者は「次を考えると協力するしかない」と割り切る。県連幹部の中にはは「コスタリカは候補者同士が“こすり合う”(互いに支援母体を削り合う)。長く続いたという話は聞いたことがない。(勝ったとしても)今回で終わるかもしれない」と厳しい見方もある。
 津島氏は江渡氏を幹部に引き合わせた理由を「信頼関係を構築するには、直接会うことが大事」と説明。青森市での江渡氏の浸透度については「まだまだ安心できるレベルではない」とし、江渡氏のために今後、市内を中心にミニ集会を開き最大限支援する考えだ。
 2区も大島理森前衆院議長が勇退し、後継の新人神田潤一氏(51)が大島氏の全面支援を受けて、知名度向上を急ぐ。県内で唯一、野党候補との一騎打ちが確実な3区も木村次郎氏(53)=当選1回=が厳しい戦いを覚悟する。
 今回の選挙戦、県連の選挙対策本部長も務める津島氏は「連携」をキーワードに掲げる。比例に回る自身が1区をはじめ2、3区にも積極的に出向き、候補者と行動を共にすることで「自民票」を重ね、全小選挙区と自身の勝利につなげたい考え。
 過去に例のない短期決戦となる今回の衆院選。わずかな時間で組織の結び付きをいかに強めることができるかが、自民の戦いの行方を左右する。

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共闘ならず切り替える=立民

2021/10/17 日曜日

 

連合青森から推薦状を受け取り、気勢を上げる(右から)1区升田氏、2区高畑氏、3区山内氏=8日、青森市

 自民党一強に、野党の一致団結で-。野党連携の合言葉だったが本県1、2区で立憲民主党と共産党の候補が競合する三つどもえがほぼ確定。期待された野党共闘の一枚絵は完成しなかったが、立民県連幹部は「競合となったが、各選挙区で地道に政策を訴え、勝利を目指す」と強調。新型コロナウイルスの影響で通常の選挙戦を展開できない中、野党第1党としての底力が問われている。
 衆院解散の14日、田名部匡代県連共同代表は「政党間で努力してきた結果、(本県1、2区で野党)競合となった。これまでと同様、変わらず立民の政策を訴え、野党第1党として政権交代実現のため責任を果たしていく」と淡々と語った。本県の選挙対策本部長として、直前まで党本部間の調整に望みをかけていたが、実現はかなわなかった。ある県連関係者は「共産は比例を抱えており(候補者を)降ろせないだろう」と、内情に理解を示した。
 2019年の参院選では旧・立憲民主候補が自民現職を相手に市部で善戦したものの全県的な支持を得るまでには至らず、県内全市町村に支部を置く自民の組織力を前に、早急な組織網の整備を迫られた。
 折りしも中央の動きに連動する形で20年10月に旧国民民主党県連が合流し、新たな立民県連が発足。さらに旧社民党県連から残留希望者以外の多くが加わり、組織規模は拡大。弘前、五所川原中泊、三八など県内に6地域支部を立ち上げ、課題だった組織網を県内全域に広げた。
 組織力強化を図る一方、県内の候補一本化を見据えた野党の動きは「党本部間の調整に委ねる」(県連関係者)形でこう着。9月には衆院選で立民が政権を奪取した場合、共産が「限定的な閣外からの協力」をする合意を中央で取り付け、全国で野党候補一本化の動きが加速。全国約70の競合小選挙区には本県1、2区も含まれ、動向が注目されたが、一本化できずに衆院選を迎えることになった。
 関係者は「切り替えてやっていくしかない。SNSなどを通じ無党派層の取り込みなどを図っていけたら」と前を見据える。
 立民は1区の升田世喜男氏(64)が元職としての知名度を生かし、得意とする“顔の見える″街頭活動に注力。2区の新人高畑紀子氏(58)の対立候補は自民、共産とも新人で条件は五分と、田名部共同代表と二人三脚で知名度向上に励む。3区の新人山内崇氏(66)は4年間、地域の声を丁寧に聞き取り、細やかに街頭を重ねるなど、より地域に寄り添ってきた。一騎打ちで勝機を見いだす。
 コロナ禍の選挙戦にもいち早く対応。事務所開きは人数を十数人に絞るなど気を配り、動画やSNSも積極的に活用する。
 当初目指した形の野党共闘は結実しなかったが、与党政権が講じてきたコロナ対応の遅さや不手際を指摘する声は根強い。不満の受け皿として、自公政権への不信をいかに票に結び付けられるかが鍵となる。

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小選挙区擁立を貫く=共産

2021/10/18 月曜日

 

小選挙区の候補者と支持拡大を図る高橋氏(右から2人目)ら=9月12日、青森市

 衆院解散を翌日に控えた13日夜。共産党本部は、立憲民主党と競合する21選挙区の候補者を下ろすと発表した。その中には本県選挙区は含まれず、候補者擁立を見送った3区を除く1、2区での競合が確定した。
 本県が調整対象から外れた理由について共産県委員会の畑中孝之委員長は「医療切り捨てや原発問題など国の矛盾した政策が集中する本県では、自民と真正面から対立して戦える候補が必要だと判断されたのだろう」との認識を示した。
 衆院選で立民が政権交代を果たした場合に、共産が「限定的な閣外協力」すると両党が合意した9月30日以降、競合する全国約70選挙区で候補者調整が急ピッチで進められ、本県でも一本化の動きに注目が集まった。だがこの間、畑中委員長は「自民と対立する上で責任を持てる候補者を立てることが基本方針。本県1、2区は党独自の候補で戦う」との姿勢を貫いてきた。
 小選挙区への擁立にこだわるのは、共産が重視している比例票の落ち込みが背景にあるとみられる。
 投票数自体が減っているため単純比較はできないものの、2014年衆院選の本県共産投票数が5万4709票(得票率10・8%)だったのに対し、17年の前回衆院選は4万9018票(同8・3%)。野党統一候補を支援した直近の19年参院選では3万7914票(同8・3%)にとどまった。
 候補者を立てていない選挙区では宣伝の大きな役割を果たす選挙カーを使えないなど、政党活動は大きく制限される。比例についても政党名と候補者名が有効票になる参院選に比べ、候補者名がカウントされない衆院選は無効票が増える可能性がある。
 比例東北に立候補予定の前職の高橋千鶴子氏(62)の当選7回を至上命題に、2議席獲得を目標に掲げる中、比例票の落ち込みは影響を与えかねない。ある政党関係者は「党存続を考えれば、小選挙区で党の存在感を出したいはず」と政党事情を代弁する。
 過去最高の県内得票数だった1998年参院選の8万票弱を上回る9万票(得票率15%)の積み上げに向け、小選挙区と連動させた選挙活動で比例票の掘り起こしを図る。
 高橋氏のお膝元である1区に出馬予定の斎藤美緒氏(41)は「これまで共産を選択する機会がなかった新たな層」の農漁業や業者、保守層のところにも足を運んできた。ある自民系の町議からは「比例は共産」との声も聞かれ、自民に物言える姿勢が評価を得ているといい、斎藤氏は「保守層の票を切り崩していきたい」と意気込む。
 共産の津川武一衆院議員(故人)や県議選上位当選の安藤晴美県議らを輩出するなど一定の支持基盤を持つ3区に比例事務所を設置し、選挙カーを使えない代わりに党の街頭宣伝車を優先して走らせ、ビラ配布などの空中戦を展開する。
 畑中委員長は「党の躍進が政権交代の一つの道になる」と決意をにじませながら、19日の公示を待つ。

 =’21衆院選 決戦前夜・完=

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