地銀再編 青銀、みち銀合併へ

 

2021/5/17 月曜日

 

 経営統合で基本合意した青森銀行とみちのく銀行。長年しのぎを削ってきた2行が決断に至った背景、2024年の合併実現に向けた課題などを探る。

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取り巻く環境=上

 

経営統合の合意を発表した青森銀行の成田晋頭取(左)とみちのく銀行の藤沢貴之頭取。今後の協議が注目される=14日、青森市

 「地域に根差した強い銀行が必要と考える。地域のためのグループが実現できると思う」「今まで以上に貢献できる銀行、グループを対等精神で一緒につくりたい」。14日の共同記者会見で経営統合の正式合意を発表した青森銀行の成田晋頭取、みちのく銀行の藤沢貴之頭取はそれぞれ力強く宣言した。
 人口減少や低金利の長期化を背景に、地域金融機関の収益環境は厳しさを増している。2016年のマイナス金利導入後、2行の連結決算は減収減益が続いた。みち銀は20年3月期で純損失46億円の赤字決算に陥った。
 2行は共同作業によるコスト削減で収益基盤の強化を図るため、19年10月に包括連携の検討を始めると発表。直後から統合観測が飛び交ったものの「経営統合も選択肢の一つ」と含みを持たせつつ否定の姿勢を続けた。
 金融関係者は当時、水面下で協議を進めていると推測していた一方、企業風土の違いや多額の投資が必要となるシステム統合を踏まえ「現実的ではない」との見方が強かった。
 だが、新型コロナウイルスの感染拡大で地域経済は冷え込み、収束や経済の回復を見通せない状況にあることから、企業を支える2行の財務基盤強化は必要性を増している。2行はともに経営統合の直接的な理由に挙げてはいないが、みち銀が24年9月末に公的資金200億円の返済期限を迎えることも健全な財政への不安材料となる。
 金融庁のレポートでは、本県は地銀1行の存続すら難しい地域とされている。菅義偉首相が官房長官時代に「地銀の数が多すぎる」と発言すると、20年11月に独禁法特例法の施行、21年3月には金融機関が持つ日銀の当座預金の金利を上乗せする制度が開始。今夏にはシステム統合の経費の補助制度が創設予定で、経営統合の支援策が着々と準備されている。
 ただ、ライバル関係が長い2行は企業風土や行員同士の気風が異なるとされ、協議の紆余(うよ)曲折が少なからず予想される。麻生太郎金融相も11日に「争ってきた2行が仲良くやろうというのはなかなか難しい」と言及。県内のある経済関係者は「協議は交渉事。決裂する可能性も否定できない」と冷静に動向を注視している。

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経営統合による効果=下・完

 

長年しのぎを削りながら県経済を支えてきた青森銀行とみちのく銀行=青森市

 「世の中の動きを見ると経営統合はやむを得なかったのではないか」。青森銀行とみちのく銀行が経営統合に向けて協議を進める方針を固めたとの報道が流れると、県内の経済団体関係者は一様な反応を見せた。
 人口減少の影響や低金利の長期化から地域金融機関を取り巻く経営環境は厳しい。財務基盤を強化させるため、全国では金融再編が相次いでいる。14日には福井銀行が福邦銀行を子会社化することで最終合意、筑波銀行はSBIホールディングスとの資本提携を発表した。
 感染拡大が続く新型コロナウイルスの見通しは読めない状況で、さらに収益環境は厳しさを増している。ある関係者は「2行の金融機能が現在発揮されていない訳ではない」としながらも、中期的な視点で考えると「収益環境の先細りが加速する待ったなしの状況に、上層部が単独で努力をしても将来的には難しいと判断したのでは」と推察した。
 預金や貸出金などがほぼ同じ第1地銀の2行が同一県内に存在するのは全国的に珍しく、長年しのぎを削りながら県内経済をけん引してきた。競争原理が働くことで、企業や利用者が好条件なサービスを選択できたことは間違いない。
 それでも経営統合、合併によって財務基盤が強化されれば、幅広い融資案件に対応できるようになる。県商工会議所連合会の若井敬一郎会長は「地元企業の育成に注力するベクトルは共通する。良い方向に進んでほしい」とし、スケールメリットを良い意味で発揮することを期待する。
 青銀の「コンサルティング会社を持つなどプロフェッショナルを追求する高い意識」(みち銀の藤沢貴之頭取)、みち銀の「中小企業に強く、医療関係や農業関係が先んじている」(青銀の成田晋頭取)と互いに認め合う強みを生かせば、相乗効果による質の高いサービス提供も可能になる。
 ただ、経営統合で利用者の金融サービスの選択肢が狭まることが懸念されるほか、融資の審査基準が変更になれば、これまで融資を受けられていた企業が対象から漏れてしまう可能性もある。
 地元の金融関係者は例外的に独禁法の適用外となる特例法が認可されたとしても「独禁法の趣旨をないがしろにされていいわけではない」と述べ、「地域経済発展の貢献を念頭に協議を進めてもらいたい」と注文した。

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