チャーター便で行く 徳島紀行

 

新たなスタイル満喫=上

2021/2/21 日曜日

 

  本県と徳島県を結ぶ初のチャーター便が1月29日、青森空港から飛び立った。新型コロナウイルスの影響が長引く中、地方と地方を結ぶ新たな旅行スタイルとして企画。感染防止対策を徹底した上で、楽しむことができた2泊3日の旅に参加した。
 ツアーは県や徳島県の協力の下、三八五観光(本社八戸市)が実施。日本航空(JAL)の子会社ジェイエアが運航を担った。

力強く、しなやかに-。ツアー客と共に本場の阿波踊りに触れた

 通常、4時間以上かかる徳島への移動は、チャーター便により約2時間と大幅に短縮。徳島阿波おどり空港に降り立つと、徳島県やJALの職員がツアー客を歓迎した。
 バスに乗り込むと、座席の背もたれ部分に透明な飛沫防止シートが設けられていた。前方がシートで覆われるが、特に違和感はなかった。座席は2席を1人で使うことで間隔を広げられている。参加者62人がバス3台に分乗した。
 阿波踊りが有名な徳島だが、実は全国有数の“人形浄瑠璃の国”でもある。太夫の語りと三味線の音、3人遣いの人形で構成される徳島の人形浄瑠璃は、神社の境内など野外の農村舞台で演じられることが多く、野外で映える演出や大型化で独自の進化を遂げた。初めて目にした「阿波人形浄瑠璃」の公演は、生き別れとなっていた母娘のやりとりの演目だったが、3人の人形遣いが操る人形の所作には実に“人間くさい″ともいうべき、温度が感じられた。にじみ出すような悲しみ、親子の情が人形の指先にまで宿っていたように感じた。
 宿泊地のリゾートホテルも感染防止対策を徹底していた。夕食は間を空けたテーブル席で、翌日の朝食バイキングでは料理の取り分け時に各自が配布されたビニール手袋でトングをつかむようになっている。不特定多数の人がトングに触れないよう、配慮されていた。
 旅行2日目。徳島といったら、いの一番に出てくるのが400年以上の歴史を誇る「阿波おどり」。年間を通じ、本場の阿波踊りに触れられる「阿波おどり会館」では踊り手の指南を受けて踊りに挑戦。
 手を高く上に、足運びと動きをそろえ、軽快なリズムに乗りながら「ア、ヤットサー」と声を上げれば、北国からやってきた即席の阿波踊り軍団誕生だ。「ラッセラー」の掛け声とともに、夏を跳ねる青森ねぶた祭の雰囲気とはまた違った一体感と趣があった。
 本来は参加者も舞台に上がって覚えたての阿波踊りを披露するというが、コロナ禍で中止に。代替として男衆が躍動感や流麗さなど、異なるカラーの4種の男踊りを全力で披露。ほぼ貸し切り状態のホール内には、われわれツアー客の大きな拍手が沸き起こった。

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津軽と縁深い阿波藍=下・完

2021/2/22 月曜日

 

脇町うだつの町並みでは、徳島の発展を支えた阿波藍にまつわる興味深い話に耳を傾けた

 徳島と言えば、もう一つ浮かぶのが「渦潮」。幅約1・3キロメートルの鳴門海峡では潮の干満に海底の複雑な地形が作用し、直径20メートルにも及ぶ巨大な渦潮が発生する。同海峡に架かる大鳴門橋の下は渦潮の発生エリアだ。専用の観潮船に乗り込み、いざ瀬戸内の海へと出航!
 橋に近づくにつれ、生き物のように鳴動する白波が高い波となって船体に打ち付ける。手の届く距離で、海がぐるぐると渦を巻き、うねりを上げる不思議な光景に、自然の神秘を感じた。ただし酔いやすい人は酔い止めが必須かも。筆者は慣れない船酔いに少しばかりあてられたので。
 スポーツドリンクの先駆けであるポカリスエット。通称ポカリを世に生んだ大塚製薬を有する大塚グループが徳島県鳴門市に設立した「大塚国際美術館」も訪問。壮観の一言だった。
 古代壁画から世界26カ国、190超の美術館が所蔵する現代絵画まで約1000点が地下3階から地上2階までずらりと並ぶ。実はこれらの作品は本物ではなく、陶板で精巧に再現した偽物。だが、世界の名画「モナ・リザ」「叫び」「ゲルニカ」のほか、システィーナ礼拝堂(バチカン市国)のミケランジェロのフレスコ画などが一度に見られるのはここだけ。最近だと、某人気歌手が紅白歌合戦で中継地として使用し、さらに人気が高まった。丸一日滞在しても足りない、芸術の空間だった。
 そして、旅行最終日。徳島の発展の礎となった「阿波藍」、その藍商人たちが栄華を極めた町並みが今に残る「脇町うだつの町並み」を訪れた。400メートルにわたり、歴史的な建物が軒を連ね、タイムスリップしたかのよう。地元ガイドの解説を聞きつつ散策した。
 実は、本県の津軽地域ともつながりがある阿波藍。徳島県の吉野川流域で生産された藍の染料・すくもは北前船で本県に運ばれ、かつて染物屋が100軒以上も立ち並んだ弘前市の紺屋町において「弘前木綿」の染料に使われたという。虫が付かず、長持ちすることから、長く愛されてきた藍。本県から遠く離れた地で、思いがけず出会った地元とのうれしい縁だった。
 コロナ禍の中での県外旅行となったが、ストレスを感じることなく楽しめた。むしろ、バスや宿、観光施設などが行ってくれていた感染防止対策の数々に「これだけ、力を入れてくれているんだ」と安心感。「自分も気を付けなければ」という自覚にもつながった。
 コロナ禍で行動変容が進み、これから先、旅行スタイルにも一層の変化が起きるだろう。目を向けるべきは大都市ばかりではない。青森と徳島に生まれた新たな交流の糸。また、次の機会を待ち望んでやまない。

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