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本県と徳島県を結ぶ初のチャーター便が1月29日、青森空港から飛び立った。新型コロナウイルスの影響が長引く中、地方と地方を結ぶ新たな旅行スタイルとして企画。感染防止対策を徹底した上で、楽しむことができた2泊3日の旅に参加した。
ツアーは県や徳島県の協力の下、三八五観光(本社八戸市)が実施。日本航空(JAL)の子会社ジェイエアが運航を担った。
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力強く、しなやかに-。ツアー客と共に本場の阿波踊りに触れた |
通常、4時間以上かかる徳島への移動は、チャーター便により約2時間と大幅に短縮。徳島阿波おどり空港に降り立つと、徳島県やJALの職員がツアー客を歓迎した。
バスに乗り込むと、座席の背もたれ部分に透明な飛沫防止シートが設けられていた。前方がシートで覆われるが、特に違和感はなかった。座席は2席を1人で使うことで間隔を広げられている。参加者62人がバス3台に分乗した。
阿波踊りが有名な徳島だが、実は全国有数の“人形浄瑠璃の国”でもある。太夫の語りと三味線の音、3人遣いの人形で構成される徳島の人形浄瑠璃は、神社の境内など野外の農村舞台で演じられることが多く、野外で映える演出や大型化で独自の進化を遂げた。初めて目にした「阿波人形浄瑠璃」の公演は、生き別れとなっていた母娘のやりとりの演目だったが、3人の人形遣いが操る人形の所作には実に“人間くさい″ともいうべき、温度が感じられた。にじみ出すような悲しみ、親子の情が人形の指先にまで宿っていたように感じた。
宿泊地のリゾートホテルも感染防止対策を徹底していた。夕食は間を空けたテーブル席で、翌日の朝食バイキングでは料理の取り分け時に各自が配布されたビニール手袋でトングをつかむようになっている。不特定多数の人がトングに触れないよう、配慮されていた。
旅行2日目。徳島といったら、いの一番に出てくるのが400年以上の歴史を誇る「阿波おどり」。年間を通じ、本場の阿波踊りに触れられる「阿波おどり会館」では踊り手の指南を受けて踊りに挑戦。
手を高く上に、足運びと動きをそろえ、軽快なリズムに乗りながら「ア、ヤットサー」と声を上げれば、北国からやってきた即席の阿波踊り軍団誕生だ。「ラッセラー」の掛け声とともに、夏を跳ねる青森ねぶた祭の雰囲気とはまた違った一体感と趣があった。
本来は参加者も舞台に上がって覚えたての阿波踊りを披露するというが、コロナ禍で中止に。代替として男衆が躍動感や流麗さなど、異なるカラーの4種の男踊りを全力で披露。ほぼ貸し切り状態のホール内には、われわれツアー客の大きな拍手が沸き起こった。