わさおの物語〈第2部 仲間たち〉

 

テレビ・映画関係者=4

2020/9/13 日曜日

 

わさおの撮影に挑む壁下さん(壁下さん提供)

「わさおを偲ぶ会」会場を訪れた伊澤さん=8月9日

 日本テレビ系「天才!志村どうぶつ園」の番組ディレクターとして約10年間、わさおや周囲の人々の姿を追い続け、全国のお茶の間に紹介してきた壁下真紀子さん(46)。2010年に、「ブサカワな(不細工だけどかわいい)犬がいる」という情報を聞いたことがきっかけだった。
 取材を通じ、わさおの奥深い魅力に気付いた。「思慮深さのようなものでしょうか。わさおが乗った軽トラックの後を取材陣のタクシーが追う場面が多くあったのですが、いつも『ちゃんと付いてきてるかな?』と私たちをチラチラ確認するそぶりをしたり、雪の中での撮影で私が転ぶと『どうした?』と駆け寄ってくれたり」とエピソードには事欠かない。
 そんなわさおの訃報は、「とうとうきちゃったか…、寿命がそんなに長くない大型犬で高齢だったし、という感じでした」。長期に及ぶわさおの取材を通じ、鯵ケ沢町にも感じるものがあった。「魅力的な鯵ケ沢の皆さんの取材は、何らかの形で今後もさせていただければ」と語った。
 8月9日、鯵ケ沢町の日本海拠点館で執り行われた「わさおを偲(しの)ぶ会」で、一般参列者の中に2011年公開の映画「わさお」に田川アキラ役で出演した伊沢柾樹さん(19)の姿があった。当時9歳の伊沢さんは、現在大学生だ。
 招待されたわけではなく「新型コロナの影響で来るかどうか迷いましたが、わさおにも(元の飼い主)菊谷節子さんにもお世話になりました。わさおに感謝と『ありがとう』の気持ちを伝えたく、最後の別れをしに来ました」と来場理由を語った。
 撮影中の思い出については「わさおは一つ一つの表情が本当に豊か。自分も演じやすく、そのシーンにのめり込めました」と話し、菊谷さんについても「イカ焼きをごちそうになったり、休憩中にわさおのいろいろな話をしてもらったり」と話は尽きない。
 2年前、役者生命を危惧するほどの大けがを負ったが克服、現在も学生との二足のわらじで活躍する。

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動物たち=5・完

2020/9/16 水曜日

 

いつも一緒だったわさお(左)とチビ=2009年10月(わさおプロジェクト提供)

 雌犬のチビは、わさおが菊谷家に来る前からいた先輩犬。同時に、わさおに対して犬として生きていく流儀を教えた師匠でもあった。飼い主の故菊谷節子さんが運転する軽トラックに乗るのも、散歩するのも常に一緒だった。
 当時10代後半、犬としては高齢だった。暑い時、わさおがおなかを地面に付けて、後ろ足を伸ばす仕草が見られたが、これはチビから教わった。
 2匹にも別れの瞬間が訪れた。チビが日に日に具合が悪くなっていく。傍らにいた「わさおプロジェクト」代表の工藤健さんに、わさおは「何とかならんのか」の目線を送り、チビの体をペロペロなめていた。
 2010年5月、ついにチビが逝った。享年推定18歳。わさおはもう、チビの体をなめることはしなかった。「きっと、最期だって分かってたんだよね」(工藤さん)
 つばき=享年(6)=は言わずと知れた、わさおの最愛の妻。「わさおプロジェクト」代表の工藤健さんによると「本当にラブラブ。つばきがわさおにベタぼれで、強く思いを抱いていた。見合い前まで、わさおは『熟女好き』と思われていたけど、ずっと年下のつばきに押し切られたんですよ」。13年12月に結婚。子宝には恵まれなかったが仲むつまじい姿が評判を集めた。わさおよりも先に19年5月没。
 ちょめ(4)は16年春、つばきと同じ飼い主の元から菊谷家に引き取られ、わさおの養女となった。「わさおは、ちょめにどう接すればいいんだろう-と戸惑っていたと思う」(工藤さん)。実際、やんちゃな行動もかなり目撃されていたが、わさおに歯向かうことはなかったという。わさお亡き今、きくや商店で来店者を出迎えている。
 猫のグレ子はわさおの友達。関係者の記憶は定かではないが、きくや商店に姿を見せるようになったのは、わさおが飼い犬となった後だ。
 飼い猫ではなく雑種の野良猫。菊谷さんが面倒を見ていた。わさお目当ての来店者との間によく割って入ってきたという。「あれは面白かった」と工藤さん。2016年8月没。年齢は定かでないが、6~8歳だったという。

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