正しく、恐れる-新型コロナを知る-

 

2020/8/10 月曜日

 

 全世界で猛威を振るう新型コロナウイルス。日本でも首都圏を中心に感染が再拡大している。目に見えない脅威に生活は一変。“コロナ禍”と呼ばれる未曾有の出来事にさらされている今、われわれは何を基準に判断し、どう生活を送ればいいのか。県感染症対策コーディネーターの大西基喜氏に聞いた。

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【基礎編】手洗いと、3密回避を

 

新型コロナについて説明する大西氏

 ―新型コロナとは。
 まずコロナウイルスには50種ほどあり、人間に感染するのはこれまで6種ありました。そのうち4種はただの風邪で、SARS(重症急性呼吸器症候群)で有名になりました。あとはMERS(中東呼吸器症候群)です。
 新型コロナは、人に感染する7種目のコロナウイルス。新型コロナも症状が風邪に似ている部分があります。ただ、今回は気管支に親和性があり、肺炎を起こしやすいです。
 ―どうやって感染するのか。
 メインの感染経路は接触と飛沫(ひまつ)の二つ。飛沫は感染者のつばやせきにより水蒸気のように出ます。飛沫はそう遠くに飛ばず、せいぜい1、2メートルで落ちます。飛沫が一番感染しやすく、飛沫を吸い込むと、それが粘膜にくっついて増殖し、風邪様の症状を起こします。
 接触感染は、感染者の口から出たウイルスが物に付いて、それを他の人が触り、口に入ってしまうというものです。ウイルスが付いた手でドアノブを触り、そのドアノブを他の人が触って…というように。
 空気感染もあり、これは飛沫感染の親戚のようなものです。空気感染は非常に少ないですが、ゼロではありません。飛沫より小さくなって、遠くにウイルスが飛び、ふわふわと漂うような状態になると空気感染が起こります。特に「3密」空間では、少しずつ漂う量が蓄積し、吸いやすくなります。
 ―感染リスクの時期は。
 新型コロナは発症前後が一番危ないです。発症する2日前から感染しやすくなり、発症あたりがピークに近いです。発症直前がピークという人や、発症時がちょうどピークという人もいます。
 発症後はだんだん減衰し、発症後7日もたつと感染する確率が非常に減ります。
 ―感染対策は。
 日常生活で一番大事なのは個人においては手洗いです。人混みでのマスクもありかもしれませんが、マスクはどちらかと言えばウイルスを出す人に有効で、感染していない人が付けるのはそれほど有効とは言えません。公的な場所、例えば学校や店では換気が大事です。
 感染経路別に考えると、飛沫対策でも接触対策でもソーシャルディスタンシングや換気など、「3密」の回避が大事です。接触対策はそれに加え、徹底的に手洗いです。店などを経営されている場合は、ドアノブなど人が多く触るところの定期的な消毒に気を付けることが大事です。
 ―「3密」回避はなぜ有効なのか。
 まず3密とは「密閉」「密集」「密接」です。3密は、飛沫や飛沫核が起こりやすくなります。
 ただ3密は、時間要素を考えることも必要です。一瞬だけ密集・密閉してさっと別れるなら、あまり意味はないです。30分、1時間と一定の時間を共有することで、空気中に漂うウイルス量も多くなり、飛沫を吸い込む量も多くなり、同じ物に触れたりする可能性も高くなります。そのため、感染経路別すべてで3密は危ないです。

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【応用編】社会的制裁に懸念も

2020/8/11 火曜日

 

新型コロナをきっかけに、新しい生活様式や判断が求められるように。社会は今、変革のただ中にいる

 ―体調不良時の対応は。
 感染がまん延していない青森県で、微熱が出たりした場合、圧倒的に風邪の確率が高いです。感染者と接触した場合は別ですが、そうでないのに「具合が悪い、イコール、コロナを疑う」のはあまり感心しません。
 少し調子が悪ければ様子を見ましょう。そして体調が悪かったらまず休むのが大事。
 ただ、症状が続いたり、微熱だけだったのにせきなど他の症状も出たりなどしたら、帰国者・接触者相談センターなどに行った方がいいと思います。
 ―周囲で感染者が出た場合は。
 周りで出ると怖くなりますが、保健所が濃厚接触者を調査します。もし濃厚接触者であれば、現状では検査をすることになります。
 濃厚接触者でない場合は、むやみに怖がる必要はないです。怖がり過ぎても社会生活
ができないですよね。だから普通の生活をしましょう。ただ、体温測定など健康にはいつもより注意しましょう。
 心配し過ぎると余計に症状が出たり食欲が減ったりと、ストレスや気持ちの問題で病気は増幅します。ストレスを感じやすい人は自然免疫も落ちます。
 ―新型コロナの影響で病院控えが問題になっているが。
 病院控えは、感染者が病院を受診しているかもと思うからですが、その確率はすごく低いです。病院側も対策を取っている所が多いので、むやみに怖がる必要はありません。
 病院に行かず症状が悪化する方が怖いです。自分の判断で「薬を我慢しよう」などと考えず、通常通り受診してください。
 ―旅行の判断は。
 どうしたって旅行での感染リスクはあります。リスクをどんどん減らすと、旅の楽しみが減るのは間違いありません。だから、リスクと希望の折り合いを付けるしかないです。でも禁止されているわけではないので、行ってもいいとは思います。
 あとは目的によりますね。例えば、神社仏閣を見るなど人とあまり接しない旅に行きたいと思う人はそれでいいと思います。人混みに行きたいなど人と接触することを目的にするなら、ちょっと考えた方がいいですね。
 列車などに乗ることにリスクを考える必要はあまりなく、旅先の行動によります。その行動を考え、てんびんにかけるしかないです。
 ―お盆の帰省は。
 例えばものすごく流行している地域にいる子どもが帰省するとしたら「ウイルスを持ってくるかもしれないけれど家族として受け入れる」という覚悟は要ると思います。帰省する側もそういう認識が必要です。
 ただ、これはあくまでものすごくたくさん流行している地域の話で、現時点で、例えば東京に住んでいることだけを理由に帰省をやめて、と言わなくていいと思います。東京の感染者は人口の0・1%。99・9%はかかっていません。仮に非常事態宣言が出されてそれに応じるとなれば別ですが、東京にいるというだけで制限するのはどうかと思います。
 ―新型コロナについて思うことは。
 皆さんが一番怖いのはきっと病気じゃないです。社会的な制裁を受けるのではという、感染した時の社会的な意味、それが怖いんでしょうね。
 実際SNSなどで個人情報が分かる世界は、社会的制裁を受けるのとほとんど同じです。そういう社会でないようにしなきゃいけませんし、そのことをずっと言い続けないと駄目なのかなと思います。

 

=完=

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