社 説

 

北朝鮮ミサイル発射「一層の孤立化招く暴挙」

2017/9/16 土曜日

 

 北朝鮮が15日早朝、弾道ミサイル1発を発射した。ミサイルは北海道上空を通過し、襟裳岬沖東方約2200キロ付近に落下した。日本上空を越える北朝鮮によるミサイル発射は、8月29日に太平洋に着弾した中距離弾道ミサイル「火星12号」以来、6回目となる。北朝鮮は今月3日に「大陸間弾道ミサイル(ICBM)搭載用水爆」とされる核実験も行っている。ひたすらに軍拡の道に進み、ミサイル発射や核実験などを通じて周辺諸国との緊張を高める北朝鮮の暴挙に非難以外の言葉が見当たらない。
 日本政府は本県を含む北海道、東北、北関東など12道県に全国瞬時警報システム(Jアラート)を通じて避難を呼び掛けたが、幸いなことに日本領域への落下物や航空機、船舶への被害は確認されなかった。だが、本県と津軽海峡をまたいで“至近”の距離にある北海道上空を、ミサイル兵器が通過していった現実は県民にショックを与えた。本県への被害は確認されなかったものの、操業中の漁業者をはじめ、県民からは不安の声ややり場のない憤りの声が多く聞かれた。
 このようなことを繰り返しては、たとえ北朝鮮に明確な攻撃の意志がなくともミサイルの不具合などによって、予定しない場所への落下が生じる可能性は、十分考えられる。北朝鮮は、このような挑発行為が、自国に何の益ももたらすことがないことを理解し、弾道ミサイルの発射や核実験を即刻、中止すべきだ。
 今回の発射は、国連安全保障理事会が11日に北朝鮮への原油・石油精製品輸出に上限を設けるなどした米国作成の対北朝鮮制裁決議に対する対抗措置と考えられる。当初の米国案では、北朝鮮の生命線とも言える原油、石油製品の輸出に関し、全面禁輸などを提案する計画があったが、北朝鮮と関係の深い中国、ロシアの賛成を取り付けるために、制裁条件を緩和した経緯がある。
 緊迫した北朝鮮をめぐる情勢の打開を図ろうと関係各国が、ギリギリの折衝を行って詰めた決議案だ。こうして決めた「全会一致」の決議の持つ意味は大きいだろう。だが、対話への糸口を探ることもなく、北朝鮮は挑発行為で応じたことを深く憂えている。
 今回のミサイル発射を受け、ティラーソン米国務長官は、先の国連安保理で採択された北朝鮮制裁決議は「われわれが取るべき行動の土台であり、天井ではない」と指摘し、追加制裁を目指す構えを示した。安倍晋三首相も「北朝鮮がこの道をさらに進めば、明るい未来はない」と強く非難。中国も今回のミサイル発射に反対の意を示した。今後、国際社会は北朝鮮への圧力を再度高める方向に向かうだろう。北朝鮮が求めるべきは、核ミサイルではなく、対話だ。砲艦外交の行く末がどのような結末を生むかは歴史が証明している。

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白神山地「後世につなぐ取り組み必要」

2017/9/15 金曜日

 

 世界自然遺産白神山地の核心地域で、初めてニホンジカが確認された。鯵ケ沢町一ツ森町の国有林で8月6日に自動撮影装置が写した。以前から周辺地域では目撃情報があったため、核心地域にも進入している可能性が指摘されていたが、それが現実となってしまった。
 全国的にニホンジカは上昇の一途をたどる。国の推計によると、2013年度末の個体数は約305万頭で、現状のままだと23年度には約450万頭まで増加する見通し。国内各地で植生被害が発生しており、今後も増加が見込まれる。県によると、今年度(9月8日時点)の目撃情報は県全域で65件100頭。このうち白神山地周辺地域では7件8頭だった。県内にも、相当数が入り込んでいると推測される。
 今回、核心地域で撮影されたニホンジカは雄とみられる。雄は縄張りを広げる意味で広範囲を移動する習性があるため、定住しているとは言い切れないと専門家は指摘する。県内ではまだ低密度のようだが、分布が広がる前に何らかの対策を打つ必要があるだろう。
 白神山地には本来、ニホンジカは生息していないとみられてきた。それだけに、ニホンジカが進入した場合、森林生態系への深刻な影響が懸念される。生態系を脅かすのは、ニホンジカだけではない。今年8月には本県に分布しないとされてきたイノシシが、周辺地域で確認された。イノシシの生態系に与える影響は不明だが、個体数の密度が高まれば悪影響も考えられ、動向を注視していく必要があろう。
 ニホンジカやイノシシの分布が拡大する原因はさまざま指摘される。ニホンジカについては、狩猟人口の減少や天敵オオカミの絶滅、積雪量の減少などが挙げられる。いずれもすぐに解決できる問題ではなく、捕獲が現実的な対策だ。
 国や県は今年度、深浦町でニホンジカの越冬地としての可能性がある地点で猟銃による試験捕獲を実施し、新たに鯵ケ沢町か西目屋村で越冬適地調査を行う予定。県は全て捕獲する完全排除を長期的目標に、県内全域で捕獲に力を入れていく方針だ。有効な捕獲方法や態勢を構築し、効果を上げることを期待したい。
 それにしても、ニホンジカの生息域が拡大しているということは、全国的に生態系が変化していることの表れだろう。積雪量減少は地球温暖化に伴うもので、人為的な影響としか言いようがない。ニホンジカがいなくても、温暖化の進行で白神山地内にブナの生育適地が失われていくとの指摘もある。
 世界最大級の原生的なブナ林を後世まで残していくためには、今後もさまざまな課題が生まれるのだろう。自然に対する人類のありようが問われている気すらする。ともあれ、現世代でできることは尽くしたいと思う。

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人生100年時代「国民に夢と希望与える施策を」

2017/9/14 木曜日

 

 安倍政権の新たな目玉政策「人づくり革命」の具体策を議論する「人生100年時代構想会議」の初会合が11日、首相官邸で開かれた。官邸ホームページによると、安倍晋三首相は「人づくり革命」を人生100年時代を見据えたものと位置付け、安倍内閣が目指す「一億総活躍社会をつくり上げる上での本丸」と訴えた。
 さらには今後の議論に向けた論点を(1)全ての人に開かれた大学教育の機会確保(2)何歳になっても学び直しができる環境の整備(3)全世代型社会保障への改革(4)施策の実行に伴う財源の確保―と掲げた。具体的には給付型奨学金や授業料減免措置などの拡充・強化、社会人が学び直す「リカレント教育」、リカレント教育を受けた人に教育の道が開かれるような企業採用の多元化、高齢者重視の社会保障制度見直しなどについて取り上げるという。
 正直なところ、人生100年時代と学び直しなどをどのように結び付け、何を最終的な目標とするのかは分かりにくいが、安倍首相は会議に先駆けた発言の中で、人生100年の中で新たなことに挑戦しようとする意欲ある人が学び直し、新たな人生を始めることで、活力ある社会の維持、発展を目指す、という趣旨の発言をしている。
 人生100年という言葉だけで見ていくと、厚生労働省が今年7月に発表した2016年の日本人の平均寿命は男性が80・98歳、女性が87・14歳で、いずれも過去最高を更新した。統計を取り始めた1947年は男性50・06歳、女性53・96歳だったが、医療技術の進歩や公衆衛生向上に伴い、右肩上がりで伸びている。今年4月に公表された将来推計人口では65年時点で男性84・95歳、女性91・35歳にまで達する可能性が示されたという。確かに人生100年という言葉が現実性を帯びつつあり、かつての「人生50年」という時代からすると、まさに驚きなのではないか。
 しかし、こうした長い人生を通じて在学中、社会人時代、老後と、どの世代となっても不安が付きまとうことが少なくない。奨学金返済や職場内ストレス、失業、老後の資金は…などが主なものだろうか。そうした中でも学び直したい、再チャレンジしたいという意欲を持つ人は多数いる。実際に今回の取り組みが成功するのであれば、多くの人に夢と希望を与えるものとなるだろう。
 しかし、安倍政権の経済政策「アベノミクス」は効果の波及に疑問を呈する声が少なくないほか、次期政権になっても「革命」の取り組みが続くのかと不安要素はある。ただ、初会合の中で掲げた取り組み内容は、多くの国民が望んでいたことであろう。「看板倒れ」に終わらぬよう願うとともに、議論の推移を見守っていきたい。

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スマートムーブ「時代に合った賢い選択を」

2017/9/13 水曜日

 

 日常生活での移動手段を工夫し、二酸化炭素排出量の削減につなげようという取り組み「スマートムーブ」。全国で広がりを見せているが、本県でも県や関係機関が10、11月に「あおもりスマートムーブキャンペーン」を展開、公共交通機関の利用やエコドライブを呼び掛ける。新規の事業であり、多くの県民や事業者が参加できるよう工夫してもらいたい。
 国は2030年度までに温室効果ガスの排出量を13年度比で26%削減するという目標を掲げており、温暖化対策に資する賢い選択を促す国民運動「COOL CHOICE(クールチョイス)」をスタート。スマートムーブもこの一環だ。
 自動車からの二酸化炭素削減に向け、本県ではこれまでもエコドライブの普及促進や県下一斉ノーマイカーデーなどの取り組みが行われてきた。昨年のノーマイカーデーには約1万9000人が参加し、期間中にマイカー利用を公共交通機関利用に切り替えるなどしたが、公共交通機関の利用が難しかったり、どうしても車が必要なケースなどもあり、今後の広がりに欠ける面があったことも確か。
 スマートムーブはエコな移動方法を選択するライフスタイルを指すため、マイカーから公共交通機関に転換できる人はノーマイカーを、車がどうしても必要な人はエコドライブを実践。もともと公共交通機関や自転車を利用する人、徒歩の人はそのままの移動方法を継続することで運動に参加していることになる。状況に応じて選択できるため、より多くの県民・事業者を巻き込んだ展開が可能だ。
 本県の温室効果ガス排出量は、公開されている最新の集計の14年度で1562万5000トン。家庭での灯油消費量が13年度より減少、建設業や農林水産業などのエネルギー消費量も下回ったことから5年ぶりに前年度比で減少した。
 ただ基準年度としている1990年度に比べると17・8%増えており、現状は決して良いとは言えない。県は今年度中の改定を目指す「県地球温暖化対策推進計画」の中で、30年度の温室効果ガス削減目標について、国の目標値を上回る、13年度比30・5~34・5%減の間で設定する方針を示しており、削減に向けた取り組みが急務と言えるだろう。
 地球温暖化の影響は自然環境や生態系への影響、農業への打撃などさまざま挙げられているが、身近な暮らしにどう影響するのかは想像しにくい。強いて言えば近年目立つ酷暑や大雨などの異常気象だろうか。だが、温暖化の進行はわれわれが選んだライフスタイルや産業構造の結果であり、温暖化に歯止めをかけるのもわれわれの選択だと言えるだろう。
 キャンペーン期間は県内6カ所でスマートムーブについて学べるキャラバンも予定されている。これを機に多くの県民が地球温暖化を意識し、個々の取り組みが積み重なっていくことを期待したい。

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弘南鉄道開業90周年「地域の足を未来へ」

2017/9/9 土曜日

 

 南津軽地域や弘前市内の生活路線として沿線住民に親しまれてきた弘南鉄道(本社平川市)が、1927年9月7日の開業から90周年を迎えた。
 開業以来、沿線住民の地域の足として大きな役割を果たすとともに、地域の産業、文化の発展にも寄与してきた。
 開業当時とは公共交通機関を取り巻く環境も大きく変化し、利用者の減少で一時は路線存続の危機にも直面したが、地域一体となった支援もあって利用促進策がさまざま講じられ、現在に至る。長い歴史の中で根を張り続けてきた路線を今後も地域で守り続けていきたい。
 弘南鉄道は、弘前―津軽尾上間を一日6往復する蒸気機関車運行でスタートした。当時、奥羽線はあったものの、平賀、尾上方面への交通機関がなかった。そこで、のちに同社初代社長を務める菊池武憲氏が地域関係者と共に開業に奔走し、地域住民の悲願だった鉄路の開設実現にこぎつけた。
 菊池氏の五男で、6代目社長を務めた故樽沢武任氏は、かつて本紙インタビューに「弘前の中学校へ入るには下宿するしかなかった。そこでおやじが『子どもたちを日帰りで学校に通わせるため鉄道を敷く』といって会社設立、開業に奔走した」と述懐している。
 50年に黒石まで路線を延長し、弘南線が完成。70年には弘前電鉄を買収して大鰐線として開業した。「地域の産業・文化発展のための鉄道」という初代社長の思いが代々受け継がれ、沿線の地域発展を支えてきた。現在、弘南鉄道は弘南線(弘前―黒石)と大鰐線(中央弘前―大鰐)の2路線を運営している。
 ただ、経営は決して順風満帆だったわけではない。自家用車の普及やトラック輸送の発達に伴い、利用客数は徐々に減少。2013年6月の株主総会で同社は赤字経営が続く大鰐線を16年度いっぱいで廃止する方針を明らかにした。即座に弘前市が存続に向けた支援を表明し、関係自治体などで構成する大鰐線存続戦略協議会が利活用策を検討する中で廃止は免れた。現在も厳しい経営環境は続いているものの、官民挙げた路線利活用策で一定の利用促進効果がみられている。
 人口減少社会で今後も利用者の伸び悩みは懸念されるものの、同時に進展する少子高齢社会の中で、公共交通機関の需要は高まることが予想される。弘南鉄道創設時の関係者の思いを振り返ると、現代のニーズに見合った形で路線を核にした地域振興を図ることも可能だろう。引き続き利用者ニーズを的確に捉え、それに沿った交通体系を構築する努力も求められる。
 地域の足をどう維持、確保していくのか。経営側も地域も常にこの課題に向き合い続けることになるだろう。弘南鉄道90周年の節目を、路線の重要性を改めて認識する機会としたい。

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