社 説

 

W杯日本白星発進「次戦が本当の正念場」

2018/6/21 木曜日

 

 サッカーのワールドカップ(W杯)ロシア大会で、1次リーグH組の日本は19日、初戦のコロンビア戦に2―1で勝った。アジア勢が南米勢に初めて勝利する快挙。この勢いを駆って、2010年南アフリカ大会以来、2大会ぶりの決勝トーナメント進出を果たしてほしい。
 日本は国際サッカー連盟(FIFA)ランキングでH組最下位の61位、下馬評でも劣勢だったが、試合開始早々に香川真司選手がシュートで相手を一発退場に追い込む反則を誘い、PKで先制。その後、同点に追い付かれるが、後半には大迫勇也選手が勝ち越しゴールを決めた。
 NHK総合で放送されたこの試合の瞬間最高視聴率は関東、関西とも50%以上。国民の半数以上が観戦した計算となり、注目度の高さをうかがわせた。
 コロンビア戦には、県勢として初めてW杯日本代表に選ばれた柴崎岳選手(野辺地町出身、青森山田高出、ヘタフェ)が先発出場。後半に足を若干痛めて交代したものの、長短のパスを積極的に繰り出すなどしてチャンスを演出した。
 野辺地町ではパブリックビューイングが町と町教育委員会の主催で開催され、柴崎選手の父忠雄さんら大勢の町民が日本に声援を送り、強豪国から勝利をもぎ取ったことを喜んだ。
 監督が大会直前に交代したこともあり、十分に準備できたとは言い難かった日本だが、コロンビア戦は落ち着いていた。同点に追い付かれても、ハーフタイムには戦術面を改めて確認。後半に投入されたコロンビアのエース、ハメス・ロドリゲス選手にも臆することなく、自分たちの戦い方を崩さなかった。
 初戦に勝利した日本は、24日に行う第2戦のセネガル戦に勝利すれば、1次リーグ突破が決まる可能性もある。初戦勝利の喜びに浸ってばかりはいられない。次戦が本当の正念場となる。
 西野朗監督は、W杯の勝負のカギを「中盤の攻防」と読んでおり、コロンビア戦では、技術が高い香川選手や柴崎選手らを配した。読みは奏功し、選手たちはボールを巧みに動かして簡単に触らせなかった。
 柴崎選手も試合後、「ボールを回しながら相手がずれていくのを待った。いつか入るというにおいを感じてやれていた」と手応えを語った。
 日本はW杯直前の強化試合で、なかなか勝利できず、周囲からは本番での活躍を不安視する声が相次いで上がった。ただ、西野監督には、メンバーやシステムを固定せず、多くの選択肢の中からゲームプランに合う組み合わせを抽出する―という狙いがあったという。
 戦略次第で世界の強豪国と渡り合えることを、日本はコロンビア戦で示すことができた。次戦でも自分たちの力を信じつつ、油断することなく臨み、国民の期待に応えてほしい。

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黒石市長に高樋氏「成果実らす2期目へ」

2018/6/20 水曜日

 

 任期満了に伴う黒石市長選は17日、告示され、現職の高樋憲氏が無投票で再選を果たした。「自立」「元気」「安心」の黒石を3本柱に、農業関係者の所得向上や雇用拡大、商店街活性化などを公約に掲げての再選。政争の激しかった黒石市にあって、高樋氏は前回市長選も無投票で当選を果たしており、2期連続で選挙を経ずして、市政のかじ取りを担うことになる。安定した政治基盤の中で、じっくりと腰を据えて市政運営を行うことができる状況がつくられたとも言えるだけに、その手腕が注目される。
 1期目の市政運営は、財政難との戦いと言っていい。高樋市政初の予算編成となった2015年度は、歳出超過により財政調整基金の取り崩しを余儀なくされ、“高樋カラー”を打ち出すための新規事業も、財政難の中で少額なものにとどまった。自身や職員の給与削減、予算の緊縮に努め、17年度決算では、枯渇寸前だった財政調整基金を7億5000万円にまで回復させるなど、財政の安定化に意を用いてきた。
 1期目を「種まきの時期」と捉える高樋氏にとって、2期目は「花を咲かせる時」。東北自動車道黒石インターチェンジを活用したロジスティクス戦略での雇用拡大、新たな特産品開発としてのムツニシキ研究などが動きだしており、1期目の取り組みで成果を出すことができるか、市民の注目は高い。
 一方で、中心市街地で廃虚状態の旧大黒デパートの跡地問題、市民文化会館の休止、市庁舎の耐震問題など、市が抱える課題は多く、解決のための道筋は立っていない。高樋氏は今回の選挙戦に当たり、県内10市で唯一、設置されていない図書館の新設を2期目の任期中に実現すると述べ、旧大黒デパートについても建物を取り壊して、市役所機能を配置する街づくりを目指す構想を併せて示した。
 人口減少社会にあって地方の衰退が加速しており、黒石市もその例に漏れない。大型公共施設の建設は、地域経済を活性化させるカンフル剤としては即効性の高いものであり、市民の間でも期待の高い施策と言えるかもしれない。ただ、あくまで健全財政に留意しての施策展開でなければ、無計画な箱もの行政の実施により財政破綻の一歩手前までいった、かつての黒石市政の二の舞となる。財政規律を堅持して、こうした建設事業へ着手、計画の進展を果たすことができるか、その行方を注視していきたい。
 黒石市長選は、今回で3期連続、投票が行われなかった。有権者の中には、黒石のリーダー役を自ら選ぶことのできないもどかしさに不満を訴える声も多く聞かれた。黒石の課題が何か、その解決のために何を行うのか。高樋氏には、今後の施策展開の中で市民への説明を重ねると同時に市民の声をこれまで以上に聞いて、市民の負託に応えてもらいたい。

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大阪で震度6弱「どこでも起こり得る直下型」

2018/6/19 火曜日

 

 早朝の突然の激しい揺れに、23年前の阪神大震災を思い出した人が多かったことだろう。18日午前7時58分ごろ、大阪府北部を震源とする地震があり、大阪市北区や同府高槻市などで震度6弱、京都市などで震度5強の揺れを観測した。
 気象庁によると、震源の深さは13キロ、地震の規模(マグニチュード)は6・1と推定され、「地殻内部で起きた直下型の地震」とみられる。地震は都市部の朝の通勤・通学時間帯を直撃し、登校中に崩れた壁の下敷きになった女児や高齢者の死亡が確認されたほか、けが人も多数に上っている。
 屋根の瓦や建物の外壁の落下、ブロック塀の倒壊など建物被害も相次ぎ、大阪府内では公民館など約400カ所に避難所が開設された。ガスや水道などライフラインも被害を受け、復旧作業が続いている。余震も続き、今後1週間は最大震度6弱の地震に注意が必要という。被害の全容把握と被災者の救援に努め、安全確保に万全を期してほしい。
 今回の「直下型」の地震は、震源が浅かったため局地的に強く揺れたと指摘されている。周辺には活断層が集中しており、いつ地震が起きてもおかしくない場所という。専門家によると、震源域がある程度絞れる南海トラフ地震など「海溝型」地震に比べ、こうした内陸での直下型地震はどこでも起こり得るという。「誰もが当事者になる」としており、日ごろからの備えが重要視されている。
 18日の地震は朝食の準備をしがちな時間帯だったが、大規模な火災は確認されていない。今回のように早朝に発生し、火災による大きな被害があった阪神大震災の後、教訓を生かして一定の対策が進んだ可能性も指摘されている。
 国内では大規模な地震が後を絶たない。2016年4月に発生した熊本地震(マグニチュード7・3)では死者267人、負傷者2802人に上ったほか、同年10月には鳥取県中部(同6・6)で地震が発生し32人が負傷した。今回の大阪地震の前日の17日には群馬県で震度5弱の地震が起きている。また、東北地方にとっては、未曽有の被害をもたらした11年3月の東日本大震災(同9・0)はいまだ記憶に新しい。
 今年は、本県と秋田県で104人が犠牲となった1983年5月の日本海中部地震(同7・7)発生から35年の節目に当たる。本県では、日本海側で最大クラスの地震と津波が発生した場合の被害想定調査結果を県が公表しており、これらを基に各自治体などが災害対策に取り組んでいる。
 地震のみならず全国的に自然災害が後を絶たない災害大国日本において「想定外」は常に起こり得るものだと認識し、過去の教訓を生かしながら、あらゆるケースに対応できるよう、日ごろからの備えを改めて心掛けたい。

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建設業の働き方改革「時代に合った仕組みを模索して」

2018/6/16 土曜日

 

 建設業の働き方改革を推進しようと、国や県、建設業界団体などは今年度初めて「週休2日制普及促進デイ」として、公共工事の一斉休業日を設けることを決めた。実施日は6月23日と7月28日。東北6県では初めての試みだという。
 建設業は「4週6休」や「4週4休」が主流。週1日しか休みがない事業所もまだまだ多い。ただ建設業界も人手不足や高齢化が進んでいる。今後の担い手確保のためには、週休2日など働きやすい職場環境づくりに努め、若者や女性らを呼び込むことが必要だということは関係者共通の認識で、国土交通省を中心に、公共工事で週休2日制の導入を促すような取り組みが徐々に広がりつつある。
 ただ休日を増やすと、日当分をまとめて受け取る技能労働者にとっては収入減につながりかねないほか、工期の長期化で機械賃料などの経費がかさむという課題がある。本県では農業や漁業など1次産業と同様、建設業も天候のいいうちに作業を進めたいという思惑があり、週休2日の導入はなかなか進まないという。
 こうした現状を受け、県は昨年度、国の取り組みを参考にし、県発注の公共工事で「週休2日確保モデル工事」を試行した。受注者が希望する場合に適用し、4週8休を実施した場合に経費を補正。ただ昨年度公告・契約したモデル工事466件のうち、週休2日を実施したのは28件だけとまだ少なく、県は今年10月以降に公告する工事から、経費補正を人件費、機械賃料に拡充するなどし、建設業の週休2日制導入を促していく構えだ。
 県内一斉に取り組む「週休2日制普及促進デイ」では対象となる工事が約2100件、県建設業協会加盟の182社と県建設産業団体連絡協議会加盟の20団体が参加予定。青森河川国道事務所では、参加事業所を対象にアンケートを行い、現状や課題を把握して今後の週休2日の普及促進に向けた参考にするという。
 行政側には現状の仕組みで無理なく週休2日が実現できるのか、ぜひ厳しい目線でチェックしてほしいし、事業者の側もどのような工期設定であれば適切か、生産性の向上をどう図るべきかなど、自ら知恵を絞るべきだろう。仕事が天候に左右される側面もあり、そう簡単にはいかないだろうが、時代に合った業界の在り方を模索し、発注者も受注者も納得できる着地点を見いだしてもらいたい。働き方改革が注目される今が好機だろう。
 こうした取り組みが重要なのは建設業だけに限らない。働き方改革は大手企業が取り組むというイメージがあるかもしれないが、中小企業であっても改革を進め、労働者の働きやすい職場環境づくりに努めて魅力ある事業所になれなければ、この先の人口減少社会で生き残っていくことは難しい。建設業の取り組みを参考に、あらゆる業種で今、できることは何かを考えるべき時期に来ている。

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18歳成人「きめ細かな対応を急げ」

2018/6/15 金曜日

 

 成人年齢を20歳から18歳に引き下げる改正民法が成立した。法務省によると、データがある世界187の国・地域のうち、成人年齢が18歳以下なのは141カ国。世界的な潮流と言えるが、日本にとっては明治時代以来の大改革であり、国民生活に大きな影響を与えることは避けられないだろう。
 「少子高齢化が急速に進む中で若者の社会参加を促し、自覚を高める」と、政府は成人年齢引き下げの意義を説明する。しかし、ただ引き下げただけで若者の社会参画が進み、意識改革が進むのだろうかという疑問が残る。
 成人年齢の前に選挙権年齢が引き下げられたが、国政選挙での18、19歳の投票率は、本県を含め全国的に総じて低い傾向となった。原因はさまざま指摘されているが、引き下げただけでは意味がないということが如実に表れていることは確かだろう。選挙権年齢の改正時もそうだったが、国民的な理解や合意が進まないまま、引き下げだけが決まってしまった印象を受ける。
 一方で、少年法の適用年齢を20歳未満から18歳未満に改めるかどうかについては、引き続き検討課題となった。「大人としての自覚を促すべきだ」との推進論と、「更生に必要な処遇を受けられなくなる」との慎重論があり、関係者の賛否が割れているためだ。丁寧な検討を積み重ね、国民的合意を得ながら進めてもらいたい。
 2022年4月に施行されることとなった成人年齢引き下げだが、積み残された課題は多い。例えば、22年度には18~20歳が一気に成人式を迎えることになるため、自治体からは会場確保などの対応に苦慮する声が聞かれる。さらに、成人式は大学入試シーズンとも重なるため、開催時期の変更なども検討しなければならないだろう。
 中でも懸念されるのは、悪徳商法の被害。18、19歳は親の同意がなくてもローン契約などを結ぶことが可能となり、同意がなければ契約を取り消せる「未成年者取り消し権」による保護対象から外れることになる。社会経験の少ない若者が標的となる可能性は高いだろう。
 被害防止のため、政府は契約の仕組みなどを説明した教材を高校に配布するなど、消費者教育の強化を進めている。今国会では消費者契約法を改正し、不当な契約を取り消せる規定を追加した。こうした措置は今後もあっていい。
 他にも、さまざまな問題がこれからも指摘、抽出されていくだろう。それだけ社会への影響が多岐にわたる改革だからだ。政府は今後、関係省庁連絡会議で成人年齢引き下げに向けた準備を進める方針を示している。一刻も早く着手して、一つずつ問題を解消していってもらいたい。施行までの約4年という時間は、決して長くはない。

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