社 説

 

つがる市投票所削減「官民が知恵出し最善策を」

2018/6/28 木曜日

 

 つがる市が来年1月実施予定の市議選から、投票所を削減する再編計画を進めている。計画では現行の49カ所から、およそ3分の1となる16カ所に再編するという。
 要因としては、人口減少に伴う有権者数の減少がある。同市の有権者数は2008年の3万2100人から、10年間で3000人以上減少。投票区の間で有権者数のばらつきもあり、最大約12倍近くの格差が生じている。現行の投票区は市町村合併前の区画を引き継ぎ、旧町村に合わせて設定されているためだ。投票事務に当たる職員数も、行財政改革などにより減少が続いており、再編はやむを得ない状況だ。
 再編で、経費節減の効果も見込まれる。市選挙管理委員会によると、市議選1回につき約4000万円の経費が必要だったが、再編すれば約650万円の節減が可能だという。選挙事務に当たる職員の人件費、ポスター掲示板の設置・撤去費用が抑制できるからだ。
 ただ、投票所が削減されることは有権者の利便性低下につながることは間違いないだろう。投票率に影響するようなことがあってはならない。市選管は有権者の負担感を減らすため、共通投票所の設置や、移動期日前投票所も実施する予定だという。
 共通投票所の有効性は、既に実施例のある平川市や弘前市の例を見れば、高いと考えられる。4月に行われた弘前市長選では、共通投票所の投票者数は1349人に上り、投票日の投票者数5万5475人の2・43%を占めた。98カ所の投票所の中で、7番目に投票者が多い投票所となっており、一定程度の効果があったと認められよう。
 つがる市選管はイオンモールつがる柏に共通投票所を設置する予定だが、他の地区にも設置することを検討できないだろうか。共通投票所を設置する際には二重投票を防ぐため、各投票所を結ぶネットワークを構築する必要がある。技術面やコスト面で課題があると思われるが、一考する余地はあるだろう。
 有権者にもさまざまな方法を提案してもらいたい。住民説明会が7月2日から、各地で順次開かれる。投票の利便性ができるだけ損なわれないよう、市民目線で再編の在り方や投票所の設置場所、移動期日前投票所の運営方法など、思い付くことがあれば積極的に声を上げてほしい。そうした中で、最善の再編が実現されることを期待したい。
 投票所の再編は今後、おそらく県内各市町村で進められることになるだろう。つがる市で顕在化した課題は、他の市町村にも共通するからだ。同市選管の取り組みは県内の先行事例として注目されるはず。官民が知恵を出し合い、他市町村のモデルケースとなるような再編となることを願っている。

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幼児虐待「再発防止へ抜本対策を」

2018/6/27 水曜日

 

 どんな思いで書いたのだろう。虐待されながら、覚えたての平仮名で、「ゆるして」としたためた5歳児。多くの人が胸を締め付けられ、なぜ幼い命を救えなかったのか悔しい思いを抱いたのではないか。悲劇を繰り返さないため、抜本的な対策を講じる必要がある。
 東京都目黒区のアパートで今年3月、女児が父親からの暴行後に死亡した事件で、衰弱していた女児に必要な医療措置を受けさせず死亡させたとして、警視庁は保護責任者遺棄致死容疑で両親を逮捕した。
 その後も信じられないような事実が次々と明らかになる。父親は一家が今年1月まで暮らしていた香川県で2度、女児への傷害容疑で県警から書類送検されていた。
 また同県内の児童相談所(児相)も2度、女児を一時的に保護した上で父親らを指導していた。一家が転居した目黒区に対しても同県から連絡があり、児相職員が今年2月に家庭訪問したが、女児には会えなかったことも判明した。
 地域住民も異常を感じていた。香川での逮捕や保護のきっかけは、近隣住民が夜中に一人で外に立っている女児を見つけ、通報したことがきっかけだ。
 虐待事件は社会から孤立した家庭内で発生し、警察や行政、地域住民は発覚するまで気付かないケースが多い。しかし、今回は警察、行政、地域が虐待を把握していながら幼い命を救えなかった。
 さらには女児が満足に食事を与えられず、平仮名の練習ノートに「もうおねがい ゆるしてください」などと書いていたことも明らかになった。
 事件を受けて政府は25日、関係閣僚会議を開き、児相と警察の連携、児相の体制強化などを確認した。事件の検証や抜本的な対策の検討も進めるという。
 この際、家庭への立ち入りや被害者保護の権限を明確にし、障壁となる法制度は見直すよう、政治は真剣に取り組むべきだ。
 具体的にどんな障壁があるのか。今回の事件を受け香川県の児相の代表と面談した国民民主党の玉木雄一郎代表(同県選出)は、自身のブログに次の課題を挙げている。
 「国の方針は『家族再統合』が原則で一時保護児童の95%が在宅復帰」「一時保護を含め養護施設は定員オーバー」「『親権停止』のハードルが高い」「児相の職員は慢性的な人員不足」などだ。
 特に親権停止についてはドイツで年間1万2000件、イギリスで5万件なのに対し、日本は2年間で77件と極端に少ないことも玉木氏は指摘する。
 「家族再統合」の見直しや親権の制限は法制度の見直しが伴う問題だ。悲劇を繰り返さないため、国会は与野党を超えて一日も早く議論を始め、抜本的な対策につなげる必要がある。

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五所川原市長選「人口減対策が急務」

2018/6/26 火曜日

 

 新人同士の一騎打ちとなった五所川原市長選は、会社役員の佐々木孝昌氏(64)=無所属=が、会社社長の平山敦士氏(44)=無所属、自民・公明推薦=を破り初当選した。
 平山氏の父・誠敏氏による3期12年の現市政の刷新を訴えての当選。西北地域の中心である同市の首長の交代が、今後、市と地域の政治・経済に及ぼす影響は大きい。
 両氏は得票差がわずか648票と伯仲した。ただ、投票率は64・83%で、選挙戦となった前々回(2010年)を12・52ポイント下回った。必ずしも関心が高かったとは言い難い数字だが、結果を見越して投票所に足を運ばなかった有権者が少なからずいたかもしれない。
 佐々木氏は昨年8月に出馬の意思を表明。現市政をいわゆる“箱物行政”と指摘し行財政改革の必要性などを訴え、徹底した“草の根”活動の中で現市政への不満の取り込みに成功した。
 平山氏は健康上の理由で4選出馬を断念した誠敏氏の後を継ぐ形で4月に出馬を表明したばかり。国政与党や多数の市議らの支援を受けたが、現市政や世襲への批判を上回る支持は得られなかった。
 市政の課題は多い。その大きな一つは人口減少対策。人口減は各自治体共通の課題だ。五所川原の場合、今年5月末現在5万5139人。旧金木町、旧市浦村と合併した2005年3月時点から9400人減っている。
 解決に向けたアプローチは一つ二つではない。雇用の確保、基幹産業である農業の振興、子育て支援、医療・福祉の充実など多岐にわたる。
 特に同市で要望が多いのは子育て支援の拡充。転入した子育て世帯への家賃や住宅新築費用の助成などは実施している一方、子どもの医療費無料化は未就学児までにとどまっている。県内の他市町村が小学生以上になっている現状を踏まえると、立ち遅れている印象は否めない。五所川原の将来を担う世代が暮らしにくければ、彼らの定着は難しい。
 金木、市浦両地区住民との一体感の醸成も欠かせない。「目が向けられるのはいつも他地区ばかり」といった不満は、両地区に限らず合併を果たした自治体でよく耳にする言葉だ。今年予定されている金木総合支所の建て替えも、これだけで地域が活性化されるわけではない。まず住民のニーズに耳を傾けるとともに、その土地ならではの魅力を探し出し、補い、発信する姿勢が求められよう。幸い同市には来年生誕110年を迎える太宰治ゆかりの事物が多く残る。これまでとは違った観点から、太宰ファンらに魅力を発信する好機としてもいい。
 佐々木氏が主張する「大型箱物事業から市民生活向上施策への転換」は、人とソフト面への投資拡大を意味するものだろう。手腕に注目したい。

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健康長寿への試み「意識・習慣付けが実現の一歩」

2018/6/23 土曜日

 

 普段の食生活で不足しがちな食材を積極的に摂取してもらう取り組みが今年度、弘前医療福祉大学、同短期大学部で始まった。不足食材を使ったメニューを学食で提供し、不足分を補うとともに食事バランスを考える習慣を付けさせようというもの。平均寿命下位が続く本県。健康増進に向けた試みが各方面で加速しており、健康長寿社会実現が期待される。
 大学は2013年、学生を対象に3日間の食事データを収集。食材を11分類し、口にしたか否かを調べた。この結果、穀類や肉類はモデルとなる摂取頻度に近い値を示した半面、乳類や緑黄色野菜、淡色野菜、果実類が不足していることが分かった。3年前の調査と同傾向を示し、16年にまとめた研究報告では、1年次から全ての学生を対象にした教育的アプローチが必要としている。
 これを受け、短期大学部の学生が昨年度、不足食材で考案した独自メニューを、今年度から学食で提供することになった。不足分を補うのが目的だが、もう一つ、食事バランスについての関心を高める狙いがある。学生の4割ほどが1人暮らしで、1食が菓子パンだけ、炊飯してもおかずは1品というケースが目立った。試みを通じて、特に1人暮らしで食の偏りが顕著な学生に意識改革を促す。
 小学生の健康意識を高めようという取り組みもある。日本学校歯科医会やライオンなどが6月の「歯と口の健康週間」にちなんで行っている「全国小学生歯みがき大会」。歯と口の健康を学び、正しい歯磨きを習慣付けることなどが目的。DVD視聴による参加を可能にしたことで、現在は本県など全国の小学校のほか、海外の日本人学校も参加している。
 厚生労働省が今春、公表した「2015年市区町村別生命表」によると、県内自治体は平均寿命の全国ワースト10位以内に男性が7市町、女性は3町村、50位以内にも多く入った。県やランク入りした各自治体は健康意識の低さが一因とみて、食生活改善や健診率向上などを課題に挙げている。
 学食を通じて学生がバランスの良い食事を意識するようになれば、学生が親になった時に、子どもにバランスが取れた食事をさせるようになり、そうして育てられた子どもも正しい食生活を当然と考えるようになる―。このように永続的に続くサイクルを目指しているのが同大・短期大学部の試み。歯みがき大会も同様の効果が期待できる。それぞれ一見すると、食生活改善だけ、歯・口の健康維持だけのようだが、そうではない。
 幼少期、青年期と各年齢期に合わせて、身に付けてほしい習慣がある。その習慣がなぜ必要なのかを理解させる教育は、健康を維持・増進したいという意欲を引き出すだろう。このような取り組みを多角的に展開できれば、いずれ生命表に反映される日が来るはずだ。

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ゲーム依存「依存の兆候を察し対策を」

2018/6/22 金曜日

 

 世界保健機関(WHO)が携帯電話などのゲームへの依存状態を、新たに病気と正式に認定した。疾病に関する国際的分類を約30年ぶりに大幅改訂した今回の認定により、ゲーム依存が麻薬使用やギャンブルの常習行為による疾患の項目に加えられた。
 とはいえ、依存対象となるゲームは先進国などにおいては、麻薬やギャンブルよりもはるかに人々の身近にあり、幼児から高齢者までが楽しんでいる存在だ。これを一概に麻薬、ギャンブルと同列にすることには疑問が残るが、WHOの責任者は「世界中の専門家に話を聞き、関連証拠を徹底的に調査した結果の決定」と語るとともに、依存に陥るのはごく一部であることから「ゲームで遊ぶのが全て病的と言っているわけではない」と説明する。ただし、問題視される状態が起きていることは事実であろう。
 ゲーム依存はゲーム以外のことは何も手に付かず、食事や睡眠も忘れてしまう状態を指す。極端なケースでは、学校を退学したり、失職したりするほか、家族やゲームをしない友人との関係が絶たれることがある。WHOがまとめた新たな定義によれば、依存の兆候となる行動が少なくとも1年間続く場合に、健康に害があると認定されるという。
 ここでいう「ゲーム」とは、携帯電話で楽しむもののほかに、家庭用ゲーム機やパソコンのゲーム、携帯型ゲーム機など電子機器によるものを指すのであろう。アナログゲームの代表格であるトランプなどで、賭け事の要素が加わるほかは「依存」「病気」という言葉は聞かれない。
 電子ゲームの依存は、おそらく利用者を飽きさせない趣向を凝らした内容や、次々発売される新作ゲームソフトによるところが大きいだろう。ソフトによっては、その画像の精密さは実写と見間違うものもあり、数十年前に初めて家庭用ゲーム機が登場した時の「ドット」と呼ばれる点だけで構成された画面と比べれば、隔世の感がある。それだけ技術が進歩したということだ。ゲーム機やソフトメーカーは多数存在し、もはや商工業界の中でも大きな一角を占める。
 幼児から大人まで、そうした電子ゲームに引き付けられる人は多い。親子のコミュニケーション手段の一つになっているケースがあるとも聞く。しかし、一方では、ゲームに夢中になって保護者の言うことに耳を貸さない、一日中ゲームに熱中し部屋に閉じこもる、ゲームのし過ぎを注意したり、見かねて隠したりした親に乱暴をはたらくというケースすらある。
 一方的にゲーム機や携帯電話ゲームの存在を否定する必要はないが、依存状態に陥ってしまう前に、兆候を周囲が察し、何らかの手を打つことが求められるのではないか。

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