社 説

 

テロ支援国家再指定「米対応に北朝鮮の反発必至か」

2017/11/22 水曜日

 

 トランプ米大統領は北朝鮮をテロ支援国家に再指定すると発表した。2008年に指定解除して以来9年ぶりとなる。
 核・ミサイル開発を加速させる北朝鮮に「最大限の圧力」をかける戦略の一環とみられ、大規模な追加制裁を実施することも明らかにした。トランプ大統領は「最高レベルの制裁となる」と強調しており、圧力を緩めない姿勢を明確にした格好だ。
 再指定により核放棄に向けた交渉に持ち込みたい狙いだが、北朝鮮の反発は必至とみられ、米朝間の緊張が一段と高まる可能性もある。局面の打開につながるかどうかは極めて不透明と言わざるを得ない。
 それでも、核・ミサイル開発を続け国際社会への挑発を繰り返す北朝鮮に対し毅然(きぜん)とした態度で臨むことが必要だ。圧力強化によって対話の糸口を探り、日本にとっては最重要課題の一つ、日本人拉致問題の打開につなげてもらいたい。
 米国はテロ支援国家に認定した国に対し武器関連の輸出・販売禁止、経済援助禁止、金融規制などの独自制裁を科す。1987年の大韓航空機爆撃事件を受け、88年に北朝鮮をテロ支援国家に指定したが、08年に当時のブッシュ政権が核問題をめぐる6カ国協議の進展を条件に解除した経緯がある。
 米政権が再指定の理由として挙げたのは、2月に金正恩朝鮮労働党委員長の異母兄である金正男氏が殺害されたことを念頭に置いた「禁止された化学兵器を使った北朝鮮国外での暗殺」だ。また、米国人学生が北朝鮮で拘束された後に昏睡状態で帰国し、直後に死亡したことも踏まえ、再指定を支持する考えが強まっていたようだ。
 並行してトランプ政権は水面下で北朝鮮との対話再開の糸口を模索しているともされ、核・ミサイル実験を60日間停止すれば直接対話に向けたシグナルと見なすとの考えを示したとされる。実際、北朝鮮は2カ月以上、核・ミサイル実験など大掛かりな挑発に出ていない。ただ、今回のテロ支援国家再指定を踏まえ、弾道ミサイル試射などで圧力に屈しない姿勢を誇示することも考えられ、予断は許さない。
 北朝鮮は既に複数の核爆弾と長距離弾道ミサイルを保有しているとみられ、対話再開のハードルは08年当時と比較にならないほど高くなっており、今回も取引材料になり得るのかどうかは不透明だ。
 拉致被害者家族からは「帰国に結び付けてほしい」と願う声が上がっている。被害者家族の高齢化が進む中で、進展が見られない拉致問題の現状に焦りをにじませるのは当然のことだ。
 北朝鮮への圧力強化が緊迫したアジア情勢の打開はもちろん、日本政府が「テロ」と見なす日本人拉致問題の解決に少しでも結び付くことを期待したい。

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平川市新本庁舎「市民に親しまれ誇れる施設に」

2017/11/21 火曜日

 

 平川市が整備する新たな本庁舎の設計業者が決定し、2020年度の完成に向けて本格的に動きだした。全市民にとって使いやすい本庁舎にすることが重要であり、活用方法などを探るワークショップに次代の市を背負うであろう中学生も参加しているのは心強い。市民みんなで考え、親しまれる本庁舎を実現させたい。
 現在の本庁舎は1979年築で、給水設備の老朽化や外壁タイルの剥離などが目立ってきたのに加え、旧平賀町時代の01年度に行った耐震診断で震度6~7の地震で崩れる可能性が指摘されている。万一の際に防災拠点としての機能を喪失する事態に陥ることから、市は早急な対応が必要として、現本庁舎の耐震補強と建て替えを比較検討してきた。
 この結果、耐震補強は初期投資を抑制できるが、業務効率や省エネルギー、ユニバーサルデザインなど長期的視点で考慮してメリットの大きい建て替えにすべきとした。これを受けて20年度までの完成、供用開始を目指すとする基本方針を14年度に固め、基本計画づくりなどを進めてきた。
 今年3月策定の基本計画は(1)市民が親しみ、交流し、賑(にぎ)わいが生まれる庁舎(2)安心・安全の拠点となる庁舎(3)人と環境に優しい庁舎(4)効率的で機能的な庁舎―を基本理念に掲げ、隣接する旧平川診療所跡地を含むエリアに建設することにしている。誰でも安心して利用できるよう工夫し、災害時の一時避難所としての機能も持たせる。完成後に取り壊す現本庁舎跡地は広場などに活用する方針だ。
 市が設置した建設設計業者選定委員会はプロポーザル方式で、東京都新宿区と青森市、仙台市の建築設計事務所の共同企業体を選定。市は今年10月に契約を結んだ。企業体は現本庁舎跡地活用などに市民のアイデアを反映させたいと、市民による4回のワークショップ開催を提案。市民が参画できる場を設けたことを評価する。
 ワークショップに参加した中学生も「未来をみんなと考えるのはすてきなこと」と、好意的に受け止めている。広場などの設計に、自分の意見が盛り込まれることは、市そのものに対する愛着を生むとともに、人材流出の歯止めや市政参加推進のきっかけにもなり得るのではないだろうか。
 本庁舎は市のシンボルであり、少なくとも完成後、数十年にわたって市民に寄り添う存在になる。設計の段階から、工事の進みなど、あらゆる機会を捉えてきめ細かに情報提供し、市民の関心を高めながら他市町村に誇れる本庁舎にしなければならない。06年に平賀、尾上、碇ケ関の3町村が合併して誕生した平川市は、まだ全市民に一体感があるとは言い難い状況。新たな本庁舎が3地区の融和に一役買うことも期待したい。

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実在社名かたる請求「注意喚起に加え自己防衛策を」

2017/11/18 土曜日

 

 実在する大手クレジットカード会社やインターネット通販会社をかたったメールで、カード情報を盗み出そうとし、架空請求詐欺をする行為が頻発しており、消費者庁など関係機関が注意を呼び掛けている。消費者を動揺させて金銭を要求、だまし取るような手口は許されるものではない。身に覚えがない請求には応じない、金銭を要求するメールには返信しないといった対応を心掛けたい。
 県消費生活センターによると、今年4月から17日午前までにあった、はがきや電話、メールを使った架空請求詐欺に関する相談件数は808件に上り、被害額は215万円余。このうち、実在するカード会社をかたったケースは5件で、金銭的な被害は現在のところ確認されていない。
 同センターホームページには、相談内容の一例と対応内容を掲載。それによると、カード会社の社名で「カードご請求予定金額のご案内」という件名のメールがパソコンに届き、指定期日までに万単位の請求金額を口座に準備するよう記載してある。「明細はこちら」と書かれたURLを押しても、画面は変わらない。しかも、メールを受けた人は当該カード会社のカードを持っていない。
 センターは、メール送信には添付のURLにアクセスさせ、ウイルスをダウンロードさせる目的があると推測。ウイルスに感染すると、そのパソコンで次にクレジットカード情報などを入力した際に、その情報を盗み取られる恐れがあるとして(1)宛先に自分以外の複数のアドレスが入っているメールは開かない(2)不明な添付ファイルやURLはクリックしない―といった注意を呼び掛けている。
 ネット通販をかたるケースは、個人の携帯電話機にショートメールサービス(SMS)を使い、料金未納の名目で数万から数十万円の金銭を要求する手口であり、コンビニエンスストアで通販会社のギフト券を購入した上で、その番号を知らせるよう誘導するというもの。国内の被害は少なくとも約400件、計約1億2000万円に上っているという。
 こうした詐欺行為は手口を変えて、しかも巧妙化している。「オレオレ詐欺」や「還付金詐欺」などの名称が付けられ、警察など関係機関も注意喚起はしているが、次々被害が出るのが現状である。まして、実在するカード会社など企業の名前をかたるとなれば、信じ込んでしまう消費者が出てくることは想像に難くない。
 老後の蓄えや子どもの学費など必死に働いて得た金銭を、心ない犯罪者にだまし取られてしまった人たちの悔しい思いは計り知れない。関係機関による注意喚起はもちろんだが、われわれ消費者側も自己防衛のため、常日頃からの情報収集に努め、動じずに対処する冷静さを持ちたい。

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日馬富士暴行「“またか”の印象拭えぬ不祥事」

2017/11/17 金曜日

 

 大相撲の横綱日馬富士が10月下旬、巡業先の鳥取市内での酒席で、幕内貴ノ岩に暴行を加えていたことが明るみに出た。貴ノ岩の頭部をビール瓶で殴るなどしたとされる。被害届を受理した鳥取県警が、事実関係を確認するため捜査を始めた。大相撲の“顔”である横綱が起こした不祥事。刑事事件として扱われることになれば、厳しい処分となるだろう。監督官庁である文部科学省が何らかの対応に動くことも想定される。
 貴ノ岩は受傷後も公の場に出席したが、今月5~9日に入院していた。右中頭蓋底骨折などで全治2週間程度と診断され、12日からの九州場所は初日から休場した。今後の力士生命に支障が生じななければいい。
 角界ではこれまでも、暴力事件・問題がたびたび起きていた。例えば2007年には時津風部屋の力士が当時の時津風親方らからビール瓶で殴られるなどして死亡、10年には横綱朝青龍が知人男性の顔を殴ったことが発覚し、現役を引退している。
 日本相撲協会は相次いだ不祥事を受け、再発防止に向けて協会員を対象とした研修会を重ねていた。それにもかかわらず起きた今回の件には「またか」との印象は拭えない。特に今回は、他力士の模範となるべき横綱が加害者だった。備わるべき「高い品格」はない。
 酒席はモンゴル出身力士同士による懇親会。日馬富士が貴ノ岩の先輩力士に対する態度を注意していた際、貴ノ岩が鳴り出したスマートフォンを操作したことに激高したという。貴ノ岩の不遜な態度が背景にあったとしても、日馬富士の行為は明らかに行き過ぎであり、許されることではない。
 相撲協会は問題を受け、協会内の危機管理委員会で調査を進め、処分などは場所後の理事会で決めるという。九州場所開催中ではあるが、迅速な事実関係の解明と適切な処分が必要だ。不祥事が重なったかつてと同様、協会の自浄能力が問われている。
 被害届は10月下旬に貴ノ岩側が提出したとされるが、相撲協会がこの問題を把握したのは警察から連絡があった今月2日。その間、協会に情報は伝わらなかったのだろうか。
 相撲協会が調査を進めたのは2日から。水面下で進めたのは、九州場所への影響を懸念したためなのか、それとも当初は貴ノ岩のけがの程度が軽いと判断して穏便に済ませようとしたためなのか。3日に協会が貴ノ岩の師匠の貴乃花親方、日馬富士の師匠の伊勢ケ浜親方に事情を聴いた時は、ともに「よく分からない」などと返答したとされる。一方で、問題が明るみに出てから関係者の対応がにわかに慌ただしくなったように映る。これらを含め、分からないこと、ふに落ちないことはまだ多い。

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菊と紅葉まつり「新旧交えた魅力で活性化を」

2017/11/16 木曜日

 

 弘前公園内の弘前城植物園を主会場に行われてきた弘前城菊と紅葉まつりが閉幕した。24日間にわたる会期中の人出は40万6000人と、前年を6万8000人上回るまずまずの人出を記録した。期間中には大荒れとなった週末もある中での人出としてはまずまずと言えるものだったのではないだろうか。
 祭りの主役の一つ菊人形は、弘前市の元小学校長・知坂元さん作の歴史漫画「卍の城物語」を題材にしたものだったが今回初めて、弘前ねぷたとコラボし、展示ブースの背景に津軽錦絵作家協会が手掛けたねぷた絵を採用した。ありそうでなかった仕掛けであり、弘前の風物をふんだんに取り入れた展示を新鮮に感じた来場者も多かったのではないか。
 菊人形で言えば、今年の祭りは一つの区切りともなった。菊人形を46年間制作してきた矢吹マネキン人形店の3代目矢吹明さん(76)=東京都江戸川区=が今年の祭りで引退。約半世紀にわたりこの祭りを支え続けてきた“恩人”には運営委員会から感謝状が贈られた。東京都墨田区の江戸東京博物館や札幌市の開拓の村、本県では黒石市の津軽こけし館に展示されるなど、全国で数々の仕事をこなしてきた矢吹さんだが、最も長い付き合いが弘前というから、その縁・恩は浅くない。「最後の作品をぜひ、楽しんでもらいたい。お客さんに『いいね』と言ってもらえるのが何よりうれしいから」と語った矢吹さん。こういった裏方の活躍で伝統あるこの祭りが続いてきたことに市民の一人としても感謝し、その労をねぎらいたい。
 新たな取り組みで言えば、目を引いたのは本丸に展示された巨大モザイク画「リンゴアート」だろう。本物のリンゴ約3万個を使い、東洲斎写楽の浮世絵「三世大谷鬼次の奴江戸兵衛」を題材としたリンゴアートは縦17メートル、横9メートルで日本最大級の大きさだという。「トキ」「ひろさきふじ」「葉とらずつがる」の3種で、着物、肌、髪の毛などを巧みに表現。展望台から見た際にきちんと遠近感が出ているように制作されており、完成度の高いものだった。リンゴ、弘前城天守、岩木山という弘前の名所、名物を一度に堪能できる内容の試みは、弘前さくらまつりや弘前ねぷたまつりに比べて、「目玉」イベントがいま一つ寂しいと言われるこの祭りにおいて、それを補うコンテンツとなり得る可能性を示しただろう。来年以降、さらに精度を増した展示に取り組み、紅葉、菊人形と並ぶ、祭りの主役の一つとして、さらに高みを目指してもらいたいものだ。
 今年はSNS(インターネット交流サイト)で弘前公園の紅葉のライトアップが話題となる機会が多かったようだ。伝統の器に新たな酒を注ぎながら、弘前の秋を代表する祭りとして、弘前城菊と紅葉まつりをさらに発展させたい。

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