社 説

 

御嶽山噴火から3年「防災と共生、併せ持ちたい」

2017/9/28 木曜日

 

 登山者ら58人の死者を出し、戦後最悪の火山災害となった御嶽山(長野・岐阜県境)の噴火から3年が過ぎた。大規模な捜索は2015年8月に終了し、行方不明者は取り残されたままだ。
 捜索は断続的に続けられている。21日には遺族や行方不明者家族でつくる「山びこの会」が、山頂付近の入山規制区域に許可を得て立ち入り、小型無人機(ドローン)による捜索を行った。今後、画像を分析して手掛かりがないか調べるという。行方不明者が一刻も早く見つかることを願ってやまない。
 犠牲者の冥福を祈ると同時に、悲劇を繰り返さない取り組みが必要だ。御嶽山の噴火を教訓に、自治体の防災体制を強化するために活動火山対策特別措置法が改正され、15年12月に施行された。政府は同法に基づき、噴火で住民や登山者に被害が及ぶ恐れのある「火山災害警戒地域」に、全国49火山周辺の23都道県と140市町村を指定した。49火山の中には岩木山、八甲田、十和田も含まれる。
 同地域に指定された自治体は、専門家らでつくる火山防災協議会の設置が義務付けられた。県内でも各地で協議会が設置され避難ルートや手段などを議論し、避難計画を策定している段階にある。各火山ともすぐに噴火する危険があるわけではないが、計画策定をできるだけ急いでもらいたい。
 近年、火山被害が発生していないこともあり、県民の火山に対する防災意識は高いとは言えない状況だ。県は今年5月、小学校高学年向けの「火山防災DVD」を作成し、火山周辺自治体に配布したほか、各地域県民局などで貸し出している。子どもの頃から火山に関する知識や防災方法を身に付けることは効果的であり、積極的に活用してほしい。
 長野県では、火山防災の普及啓発に当たる「火山マイスター」の育成に向けた取り組みが進められている。マイスターの候補者は、山岳ガイドや教職員、被災経験者らを想定。認定審査を受けるために、火山防災の基礎知識を学ぶ講習なども受けてもらい、今年度末にも初の認定者が誕生する予定となっている。
 一方で火山と共生する地域づくりに向けた取り組みも進む。多くの登山者や観光客に訪れてもらうため、情報発信拠点としてのビジターセンター設置の議論が進められている。自然環境の解説や観光案内をベースとしつつ、火山防災の情報発信も行う。麓の自治体は年度内にも設置場所や展示内容、施設の実施計画をまとめる方針だという。
 これらの取り組みは噴火災害の教訓を後世に伝え、火山と共生する地域づくりへの好例と言えよう。岩木山を見れば分かる通り、火山は普段さまざまな恵みをもたらしてくれる。県内でも防災意識を高めると同時に、共生に向けた取り組みが広がることを期待したい。

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だしの普及「仲間と味わいながら学ぶ場を」

2017/9/27 水曜日

 

 「脱短命県」を目指した取り組み「だし活」が地域に浸透するよう、関係者が環境づくりに力を注いでいる。
 弘前大学などが今月、「だし活キッチン」と称した事業をスタートさせた。14日、青森市内で料理研究家による講習会を開き、県内各地区でリーダーを務める食生活改善推進員に減塩の知識や調理方法を学んでもらった。さらに、受講者には各地区で料理教室を開き、その知識を他の推進員らに伝えてもらうことになっている。料理教室は25日の弘前市を皮切りに、約8カ月かけて県内8地区で開かれる予定という。
 だし活は、減塩を進めて本県の平均寿命を延ばすことを目的としたもので、県が2014年度に着手し、だしとして使う素材を掘り起こしながら、企業などと協力して関連商品の開発などに努めてきた。取り組み3年目の昨年からは、地域・家庭単位でも活動が進むよう、その環境づくりに尽力している。弘大が食生活改善推進員を通じて減塩の知識を広めることも、県の考えに合致している。
 塩分摂取量を減らすために「だし」が有効だという話をだいぶ耳にするようになってきたが、県民に定着するか否かは関係団体による環境づくりに懸かっており、大いに期待したい。
 弘大の健康づくり事業を主導し、だし活キッチンにも関わる弘大大学院医学研究科の中路重之特任教授は、食生活を改善する上で「仲間づくりが重要。人から人へと伝えていく仲間が増えれば、町(地域)全体が健康づくりを意識する風潮ができていく」と強調する。食生活改善推進員を軸に今回の事業を進める理由もそこにあるのだという。
 だしの有用性を実感してもらうには、だしを使った減塩食を実際に食べてもらうことが一番だろう。しかし、そのような料理が提供される場は現状、それほど多くない。そこで、地域と日ごろから関わりを持つ食生活改善推進員が料理教室などを開いてくれれば、住民も参加しやすく、関心を持ってくれるのではないだろうか。
 だし活キッチンの料理教室に参加した食生活改善推進員たちが今後、継続的に住民向けの教室をそれぞれ開いてくれることを期待したい。回数を重ねることによって参加者たちが減塩の知識を身に付けることだけにとどまらず、仲間意識を持ってだしを使った減塩食についてアイデアを出し合うといった動きも出てくるかもしれない。
 本県にはサメや焼き干し、スルメイカなど豊富なだし素材があるという。それらを使った料理をあれこれ考案するのも楽しいだろう。知識を頭に詰め込むだけの“無味乾燥”な取り組みを長く続けるのはつらい。仲間とともに、おいしく味わいながら、だしの有用性を学べる場を増やしたい。

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28日衆院解散へ「大義、国民に納得できる形に」

2017/9/26 火曜日

 

 安倍晋三首相が25日夕の記者会見で、28日召集の臨時国会冒頭に衆院を解散し、総選挙に入る意向を表明した。その中では少子高齢化社会の進行への対処、安倍政権の看板政策「アベノミクス」継続による成長に対応するための「生産性革命」と「人づくり革命」を行う必要性を掲げた。そのほか、消費税率10%への引き上げに伴う増収分の使途見直し、弾道ミサイル発射や核実験を強行する北朝鮮の脅威などに対処する方針を説明。その上で、「少子高齢化と緊迫する北朝鮮情勢。国難とも呼ぶべき事態に、強いリーダーシップを発揮し自ら先頭に立って、立ち向かっていくことがトップである私の責任」と強調し、今回の解散を「国難突破解散」と自ら命名した。
 解散の「大義」について見えづらいという声も出ている今回の解散だが、ここにきてようやく明確な形となった、と言ってよいのか。多くの国民にとって、今回の安倍首相の説明が後付けであると映るのではないか。なぜならば、森友学園への国有地売却問題や加計学園の獣医学部新設などに関する議論が不十分とされ、野党側が「論戦回避」と反発する中にある。また離党ドミノが相次ぐ最大野党民進党の混乱、小池百合子東京都知事が代表を務める新党の結成の動きがある中である。衆院解散の方針を「今のうち解散」と揶揄(やゆ)する声もある。解散総選挙は任期満了までの1年数カ月の間のいつの日か、確実に行わねばならないことであったとはいえ、なぜ今の時期なのか、納得できる説明が必要だ。
 なぜ今なのか、安倍首相は会見の中で「明確に」説明はしている。生産性押し上げによる所得増とデフレ脱却、低所得家庭の子どもたちに対する高等教育無償化、3~5歳児の幼稚園・保育園費の無償化などの方針を掲げた上で、こうした政策を実施する安定財源として、2019年10月に予定する消費税率10%引き上げによる増税分を充てる方針を示した。この増税分の使途変更は、当初国民に説明した内容とは異なる。これについて、安倍首相は「国民との約束を変更し、国民生活にかかわる重い決断を行う以上、速やかに国民の信を問わねばならない」と理由付けた。また北朝鮮の脅威には「国民からの信任を得て、力強い外交を進めていく」と強調した。
 これらの「大義」が、取り組むべき政策であるならば、まずは臨時国会などでの論戦を通じて、国民にもっと丁寧に説明を行う必要があったのではないか。まず解散ありきで、取って付けたような「大義」との批判は覚悟しなければならない。
 いずれにせよ解散に向けて事態は動き出した。国民生活をより良い方向とし、危機に対処できる政治を誰しも望んでいる。国民の審判がいかなるものになるのか注目していきたい。

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農水産物輸出「さらなる拡大に向けた努力を」

2017/9/23 土曜日

 

 2016年に本県から輸出された農水産物・食品の輸出額が約240億8900万円となり、過去35年間で最高額に達したことが、日本貿易振興機構(ジェトロ)青森貿易情報センターのまとめで分かった。前年の15年と比較して25%(46億円)の増。同センターによると、特にホタテが好調で、水産物の輸出額が前年比42億円の増と大きく数字を伸ばしたことが全体を押し上げた要因だという。
 16年の県の貿易額は機械・電気製品や車両などを含めた全体の輸出が前年比15%減の1736億5500万円、輸入額は同23%減の1788億5200万円。
 農水産物・食品は全体の14%を占めるが、内訳を見ると水産物が約139億5500万円(前年比42・7%増)と最も多く、次いでリンゴが約89億5400万円(同2・1%増)。この2品目で農水産物・食品輸出の95・4%となる。どちらも本県を代表する農水産物であり、今後も高品質生産をベースに、輸出拡大に向けた取り組みを強化してもらいたい。
 水産物の輸出をけん引するのが好調のホタテだ。16年は北海道産の不漁を受けて需要が高まり、金額で15年比63・7%増の83億4900万円となった。数量、金額ともに最も多い輸出先は中国だ。リンゴは輸出量こそ15年を下回ったが単価が高値で推移し、輸出額は増加した。輸出先は台湾、香港、中国などアジア各国で、15年秋に輸出が解禁となったベトナムへの輸出が大幅に増加したという。
 県は18年までに農林水産物の輸出額210億円という目標を掲げているが、16年はこれを大きく上回る結果に。今後は17年産も輸出の増加が見込まれるベトナム市場について、出荷するリンゴの検疫要件の緩和を要請していくことや、高品質な状態で県産品を消費してもらうため、現地での保管体制・流通体制の整備に向けた取り組みを進めるなど、さらなる輸出拡大を目指すとした。
 リンゴの輸出に向けた取り組みとしては、弘前市が12月以降、県、台湾・台南市との友好交流に関する3者覚書を締結する方針を明らかにしている。弘前市と台南市は11年度から弘前側のリンゴ、台南側のアップルマンゴーと、ともに特産品の果物を中心に交流を続けており、覚書締結を機に一層のリンゴ輸出量拡大、交流人口拡大を目指すとした。
 台湾の大手百貨店で毎年展開されている、弘前市のリンゴを中心とした販売促進キャンペーン「日本弘前青森文化物産フェア」は開催店舗数や売り場面積が徐々に拡大しており、今年は高級スーパーも加えて過去最大規模での開催を予定している。こうした展開はフェアを単発のイベントで終わらせず、毎年、取り組みを継続しながら、相手側企業などと地道に信頼関係を築いてきたからこその成果だろう。県はもちろん、県内各市町村の積極的な取り組みにも期待をしたい。

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国連総会演説「悲劇繰り返さぬよう先導を」

2017/9/22 金曜日

 

 北朝鮮の脅威が増す中、国連総会の一般討論演説でトランプ米大統領が金正恩朝鮮労働党委員長を「ロケットマン」と表現し強く警告したのに続き、安倍晋三首相も対話を働き掛けることの無意味さを強調し、制裁強化を各国に呼び掛けた。世界各国首脳からも北朝鮮の核・ミサイル開発への批判が相次いでおり、世界共通の重大課題との認識は深まったとみていいだろう。
 かつて北朝鮮はミサイルを「衛星を運搬するロケット」などと説明していた。しかし、現在ではミサイルであることを明言。ミサイル搭載に向けたとみられる核実験を重ねながら、米国と同盟国を挑発し続けている。
 初めて国連総会に出席したトランプ大統領は米国や同盟国に脅威を及ぼすなら「(北朝鮮を)完全に破壊するしか選択肢はなくなる」とし「(金委員長)自身とその体制の自滅に向けた道を突き進んでいる」と警告。さらに対北朝鮮貿易国へも「武器を与え、財政面で支援する国があることに、怒りを覚える」と非難した。ロケットマンの表現はともかく、単なるトランプ節とは違う強い決意表明と受け止めていいだろう。
 北朝鮮の脅威にさらされている日本の安倍首相も、トランプ大統領に同調する形で、約15分の演説時間の5分の4ほどを北朝鮮問題に充てた。安倍首相は6カ国協議など対話の試みを「無に帰した」とし「対話とは、北朝鮮にとってわれわれを欺き、時間を稼ぐ最良の手段だった」と断じた。その上で挑発を止めることができるかどうかが国際社会の連帯にかかっていると強調し、北朝鮮の政策を転換させるための結束を呼び掛けた。
 一方、トランプ大統領も言及した拉致問題について安倍首相は「(被害者の帰国に)全力を尽くす」とした。ただ、対話ではなく圧力が重要との考えは、同時に拉致問題解決のための「対話のドア」も閉ざすということにならないか。それでは、北朝鮮が核・ミサイルを放棄しない限り、拉致被害者の帰国はない。「全力」について、明確な説明を求める。
 国連総会では各国首脳からも北朝鮮への批判が相次いだが、日米が圧力強化を主張したのに対し「国連安保理が主導する代表団が対話に取り組むべき」(ナイジェリア)、「われわれの責任は、政治解決に向け、交渉のテーブルに着かせること」(フランス)など、対話による解決を求める声も多い。また、こうした状況下にあっても、韓国政府は国際機関を通じて9億円規模の医薬品などを支給する人道支援実施を決定した。
 各国首脳とも懸念を抱いてはいるが、日米の主張が全世界に支持されてはいない。北朝鮮の核・ミサイル技術は日々進化しており、猶予は多くない。わが国は唯一の被爆国である。悲劇を繰り返さぬよう、世界を先導しなければならない。

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