社 説

 

サッカー日本代表「4年後に向けてさらに進化を」

2018/7/5 木曜日

 

 サッカーのワールドカップ(W杯)ロシア大会で、2大会ぶりに決勝トーナメント1回戦に進んだ日本は強豪ベルギーに2―3で惜敗した。またしても“壁”を破ることができず、悔やまれるが、4年後に向けた戦いがまた始まる。早ければ今月中にも次期監督が決まる。新体制で進化を続けてほしい。
 ベルギー戦から一夜明け、西野朗監督は「勝てる状況にあったので少し悔いが残ったし残念」と振り返った。一時は2―0とリードし、8強入りもイメージできた。「悔いが残った」という言葉は日本中の人が抱いた感情だったのではないか。しかし、それがW杯の厳しさであり、日本はそれを受け入れて前に進まなければならない。
 日本代表選手は次々と去就を明らかにしている。主将を8年間務めた長谷部誠選手(34)が代表引退を表明。強靱(きょうじん)な精神力で日本をけん引してきた本田圭佑選手(32)も「W杯は最後」と話し、「W杯優勝」の夢を将来に託した。両選手らの功績は誰もが認めるところ。彼らの思いを後輩が引き継いでいくはずだ。
 主力だった選手たちはW杯に3回連続出場するなどベテランばかり。彼らが抜けると、日本代表は世代交代を迫られることになる。今大会で代表に選出されたものの、出場機会がなかった2016年リオデジャネイロ五輪世代などが中心となっていくのだろう。
 ただ、新たなチームをつくるためには中核になる選手たちがどうしても必要だ。そこで期待される選手の一人が、今大会の全4試合で先発した柴崎岳選手(26)=野辺地町出身、青森山田高出、ヘタフェ=だ。
 柴崎選手は攻守で活躍。ベルギー戦では、原口元気選手に絶妙なスルーパスを送り、先制点をお膳立てした。本人は「W杯を戦えたことで、想像以上に自分もチームも成長させてもらえた。なかなかそういう大会もない」と語り、十分な手応えを感じた様子だった。
 W杯で活躍した選手が、レベルのより高いクラブに移籍する例はたびたび見られる。柴崎選手についても、欧州のトップクラブが強い関心を示しているとの報道もあるようだ。4年後は30歳。本田選手らがそうであったように、柴崎選手もクラブを渡り歩きながら自らをさらに磨き、代表チームの柱として活躍する姿を見せてほしい。
 「本当のW杯のスタンダードが(最後の)30分にあった」。ベルギー戦について、西野監督はこう語った。劣勢をすぐさま覆す力。優勢を最後まで保つ力。世界最高の舞台では、こうした強さが求められているということか。2022年はカタール大会。日本は7大会連続の出場を目指すことになる。4年という時間は長いようで短い。W杯8強入りに向け、できるだけ早くスタートを切りたい。

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知事任期残り1年「人口減への対応急げ」

2018/7/4 水曜日

 

 三村申吾知事の4期目の任期が残り1年を切った。これまで15年間で取り組んできた行財政改革、農林水産業の振興や訪日外国人誘客などが一定の成果を上げており、評価の声が多い。ただ最大の課題とする人口減少への対応となる各産業で深刻化する労働力不足や超高齢化時代を見据えた生活機能確保などの取り組みは本格着手したばかり。現状のままでは各産業や県民生活が立ちゆかなくなるという危機感を強く持ち、より一層スピード感を持った取り組みが求められる。
 15年間の県政運営で、三村知事自身も大きな成果の一つに掲げているのが行財政改革だ。知事就任当初は極めて厳しい状況にあったが、徹底した改革を進め、借金に当たる県債残高は11年度以降、減少局面に。2017年、18年の当初予算では、2年連続収支均衡を実現した。
 本県が強みとする農林水産業や観光分野でも目に見える成果が出ている。自ら積極的に仕掛けていく「攻めの農林水産業」のほか、鮮度を保った新たな物流の仕組み「エー・プレミアム」も着実に実績を伸ばしており、農業産出額が15、16年の2年連続で3000億円を突破。県産農林水産品の輸出額も16年に過去最高を記録した。観光分野では17年の外国人延べ宿泊者数が宮城県を抜いて東北6県で1位となったことが記憶に新しい。
 一方、医師確保や短命県返上などの課題は地道な取り組みで改善の兆しが見えつつあるが、現在も医師不足に悩む地域は多く、平均寿命も直近の2015年の都道府県別データで男女ともに全国最下位となるなど、道半ばと言えよう。
 特に近年、最重要課題としてきた人口減少対策はより一層のスピード感が必要だろう。県は今年度、各産業の労働力不足への対応や2025年の超高齢化時代を見据えた地域社会の仕組みづくりを特に重視する姿勢を示しているが、例えば農業の現場では数年前から将来の深刻な人手不足を懸念する声が上がっており、県の対応は決して早いとは言えない。
 団塊世代が75歳以上となる25年は7年後に迫っている。県は今年度、部局横断的に複数の事業を掲げ、県民局単位で県民の医療や福祉、交通や買い物など生活機能の維持確保に向けた体制を検証するとしているが、地域によっては担い手の育成から検討すべきケースも出てくることが想定され、25年までにどの程度の準備ができるのかは不透明だ。知事自身、「地域の存続に関わる危機が目前に迫っている」として早急な対応が必要という認識を示しているが、県の事業を参考に市町村がそれぞれ取り組むことを考慮すると、もはや待ったなしと言っていい。
 県の基本計画「未来を変える挑戦」は今年度が最終年度。目指してきた県の将来像にどれだけ近づけたのか、結果を示すことが求められる。総仕上げと位置付けるこの1年の取り組みを注視したい。

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世界文化遺産「縄文遺跡群の早期推薦、登録を」

2018/7/3 火曜日

 

 国連教育科学文化機関(ユネスコ)世界遺産委員会が6月末、日本が推薦していた「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」(長崎、熊本両県)を世界文化遺産に登録すると決定した。これにより、国内の文化遺産は、昨年の「『神宿る島』宗像・沖ノ島と関連遺産群」(福岡県)に続き18件目、自然遺産と合わせた世界遺産は22件目となる。国内世界遺産登録数が増えることを祝うとともに、本県ほか3道県が目指す、三内丸山遺跡(青森市)など「北海道・北東北の縄文遺跡群」の早期推薦と登録を願いたい。
 登録されるのは、キリスト教が禁じられた江戸時代から明治初期に、既存の社会や宗教と共生しながら信仰を守り続けた潜伏キリシタンの集落や、島原の乱の舞台となった原城跡(長崎県南島原市)、国宝の大浦天主堂(長崎市)など12件となっている。事前審査したユネスコの諮問機関は、「禁教期にもかかわらず、ひそかに信仰を継続した独特の文化的伝統の証拠」と評価したほか、6月30日の審議でも、「ユニークで傑出した歴史を語る価値のある世界遺産」などと、登録を支持する意見が各国から相次いだという。
 16世紀中盤、日本に伝わったキリスト教は西洋とのいわゆる「南蛮貿易」とともに広がり、当時の大名の中には改宗して「キリシタン大名」と呼ばれる者もいたが、豊臣秀吉の「バテレン追放令」、江戸期に入っての鎖国に禁教令と受難が続く。島原の乱は鎖国完成直前に発生した、当時としては最大規模の一揆だった。
 禁教令後も信仰を守り続けた「潜伏キリシタン」の存在と集落、幕末の開国後に建設された日本最古のキリスト教建築物・大浦天主堂などは、歴史的経緯や数多くの殉教者の存在を考えれば、遺産としての価値は高く、登録を支持する意見が相次いだこともうなずける。関係者の「内面を隠し、仮面を着けて困難を乗り越えた人たちの歴史。宗教を超え、現代にも訴えるメッセージがあると思う」という言葉に力が入るのも、そうした思いがあるからだろう。
 次に日本に関して、ユネスコで審査が行われるのは「百舌鳥・古市古墳群」(大阪府)で、「北海道・北東北の縄文遺跡群」の推薦がいつになるのかは、本県など関係道県にとって気になるところだろう。2009年にユネスコの世界遺産暫定一覧表に記載されてから、昨年まで5度にわたって挑戦したにもかかわらず、推薦は見送られてきた。ただし、国内にある他の遺産や“ライバル”と比べても、決して引けを取らない内容であることは、誰もが認めるところだ。早期の推薦に向けて内容をさらに精査し、関係者一丸となって悲願実現を目指してほしい。

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W杯決勝T進出「指揮官の覚悟に勝利で応えよ」

2018/6/30 土曜日

 

 サッカーのワールドカップ(W杯)ロシア大会で、1次リーグH組の日本が同組2位になり、2大会ぶり3度目の決勝トーナメント進出を決めた。最終戦は格上のポーランドを攻め切れず0―1で敗れたが、同組のもう1試合で敗れたセネガルと勝ち点などで並びながら、フェアプレーポイントでわずかに上回る薄氷の16強入りだった。
 引き分け以上で自力突破が決まる優位な状況で臨んだ1次リーグ最終戦は、1、2戦の主力選手6人を入れ替えて臨んだ。前半こそ互角に近い戦いで0―0で折り返したが、後半は一転。これまでのような精彩を欠き、守備の時間が長くなった。そして14分に許した先制点が、そのまま決勝点になった。
 この試合、終了近くのプレーが議論を呼んでいる。両国とも積極的に攻め込むシーンはなく、ピッチ上ではまるでパス練習のような光景が繰り広げられた。日本にとっては0―1で敗れても、同時刻に行われているコロンビア―セネガル戦で、セネガルが敗れれば1次リーグ突破が可能。ポーランドも既に1次リーグ敗退が決まっている中で、最終戦で勝ち点を挙げられれば、最低限の面目が立つ。互いに不利益とならないことも、夢の大舞台とは思えない〝止まった時間〟の背景にある。
 ブーイングに包まれたスタンドの日本サポーターらは「サッカーじゃない。子どもに夢を語れない」「南米だったら物が飛んでる」と批判した。全力を尽くして散ることを美とする風潮がある日本人にとって、容易に受け入れることができない戦いだった。海外のメディアも「サッカーをばかにした。今やサムライと呼ぶのも気が引ける」などと酷評し、ボール回しで時間稼ぎしながらフェアプレーポイント差での2位確保に「フェアプレーなのか」と疑問を呈した。
 西野朗監督は「負けている状況で(スコアを)キープするのは自分の信条では納得できなかったが、選手に遂行させた。1次リーグを突破するための究極の選択かもしれない」と説明した。セネガルが得点した時点で敗退が決まるリスクを抱えながら勝負に出たのだ。選手らは「誰かが決断しないといけない試合の中で、それが監督だった」(長谷部誠主将)、「(1次リーグを)通過するための適切な手段だった」(柴崎岳選手=野辺地町出身)、「僕が監督でも、この采配はできなかった。西野さんすごい」(本田圭佑選手)などと口にした。
 他力本願の消極的プレーだが、ルールを理解した思い切った〝戦術〟なのだ。大会直前の就任ながら、国民の期待に応えるため、批判を一身に受けた指揮官。この思いを一番感じているのは選手たちである。次は国際サッカー連盟(FIFA)ランク3位のベルギーが相手。今度は選手たちが覚悟を示す番だ。

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消費生活相談「支払う前に疑い持って」

2018/6/29 金曜日

 

 県消費生活センターが2017年度に受けた相談に絡み、業者などに代金を支払った人数は1308人で、金額が13億9140万円に上ることが分かった。16年よりも6億円以上多い。同センターは磁気治療器の預託商法を全国展開し、破綻したジャパンライフをはじめ、新築住宅やソーラーシステムなど高額な支払い事例が多かったことや特殊詐欺の被害額の拡大などを要因として挙げている。
 13億円とは相当な金額だ。1人当たりの平均額にしても106万円になる。自分は関係ないと思わず、積極的に情報を求め、わが身を守る努力が必要だろう。
 本県でのジャパンライフ関連の相談は28件あり、既払い額は約3億8000万円。このうち65歳以上の高齢者が支払った額が約3億3000万円、最大既払い額は7500万円で、全国と同様、高齢者が被害に遭っていることが分かる。
 同社の預託商法は、購入した磁気治療器の商品を同社に預けて第三者に貸し出し、年6%のレンタル料を受け取れるという仕組み。期間満了後は現物を返すか販売額と同額で買い取る契約だったという。説明を聞き「損をしない」資産運用法だと思ったかもしれない。だがそう簡単に万人がもうけられる話が転がってくるはずがない。警戒してしかるべきだ。
 資産運用に対する関心は高く、同センターによると、サイドビジネスに関する相談も増えているという。インターネットで情報や仮想通貨を買えば簡単にもうかると持ち掛けられるケースがこれに当たり、カネを払ったが情報を受け取れなかった―などの相談が多い。15年度は12件、16年度は16件と10件台だったが、17年度は50件と急増。20~50代を中心に23人が892万円を支払っている。大手企業には副業を解禁する動きもあり、インターネットで「サイドビジネス」や「副業」と検索すれば多くの情報が並ぶが、良さそうな話ほど慎重に見極めたい。
 特殊詐欺の相談件数は1865件。16年度より100件以上増えており、いつ自分が巻き込まれてもおかしくない。既払い金額は1億1681万円で、約6700万円がもうけ話に絡む詐欺、約4000万円は出会い系サイトなど交際あっせんに絡む詐欺という。芸能人を装った相手から有料でのメール交換に誘われ、多額の現金を支払ったという事例も県内で発生している。冷静になるのは難しいだろうが、支払いが生じた際に一度立ち止まって、疑ってみることが重要だ。
 被害を少しでも少なくしようと、同センターは消費者被害防止テーマソングを制作。困った時はまず「188(消費者ホットライン)」に相談するよう呼び掛けている。歌はセンターのホームページからダウンロードでき、新たな手口にもすぐ対応できるよう自作の詩を入れられるカラオケバージョンも用意。上手に活用し、被害防止や軽減につなげたい。

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