社 説

 

弘前でプロ野球「定期開催に努め地域活性化を」

2018/7/13 金曜日

 

 弘前市のはるか夢球場で12日、日本野球機構(NPB)が主催する若手プロ野球選手による球宴「フレッシュオールスターゲーム」が開かれた。
 この日は、日本ハムのドラフト1位ルーキーで注目の強打者、清宮幸太郎内野手や、広島のドラフト1位ルーキー中村奨成捕手らをはじめ、本県関係ではオリックスの西村凌捕手(青森山田高出)、ロッテの種市篤暉投手(三沢市出身、八工大一高出)が出場した。
 若手有望選手のガッツあふれるプレーを間近で堪能できるとあって、スタンドには、プロを夢見る地元の子どもたちや県内外のプロ野球ファンらが大勢詰め掛け、選手たちが繰り広げる試合に懸命に声援を送ったり、時に歓声を上げたり。一挙手一投足に見入りながら楽しいひとときを過ごした。
 はるか夢球場では今月3日にプロ野球1軍戦(楽天―ソフトバンク戦)も行われた。本県では29年ぶりの1軍戦開催となった昨年に続き2年連続で、今回も大勢の観衆が一流選手のプレーに沸いた。8月11日にはイースタンリーグ公式戦も予定されている。
 こうして弘前の地でプロ野球を楽しめるのも、市がはるか夢球場をプロ野球対応の球場として整備したおかげだ。総事業費約28億円を掛けて、はるか夢球場を改修。防災機能も兼ね備えた施設とし、収容人数約1万4800人、必要な照明設備や屋内ブルペンなどの諸室を備え、多目的利用が可能なボールパークとして整備した。同時に、官民挙げた誘致活動を粘り強く重ね、29年ぶりの1軍戦開催にこぎ着けた。
 プロ野球は数多くあるプロスポーツの中でも人気は群を抜いている。ただ、プロスポーツの多様化により、子どもの“野球離れ”に歯止めがかからないのが現状。さらに、少子化の影響もあって、県内での野球の競技人口も減少の一途をたどっている。
 本県をはじめとするプロ球団のない地方では、テレビ中継が少なくなったことで野球への関心が薄れているとも指摘されている。こうした現状下で、本県で1軍戦などのプロ野球が開催される意義は大きい。間近でプロの技に触れ、プロ野球の雰囲気を体感することで、野球をより身近に感じ、プロを目指す子どもたちの夢を後押しする機会となることだろう。結果、競技人口増加に結び付くことが期待される。
 はるか夢球場は今後の施設維持管理費等を懸念する声もあるだけに、プロ仕様に整備したからには、地元への経済効果を生み出せるよう積極的活用を図るべきだ。1軍戦などのプロ野球開催地として定着するよう来年以降の誘致に引き続き努めてもらいたい。それによって、はるか夢球場が、その名の通り、子どもらの夢育む場となることを期待したい。

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プラスチック汚染「便利さを捨てる覚悟が必要」

2018/7/12 木曜日

 

 気温が高くなり、海沿いに近寄る機会が増える季節だが、砂浜では波とともに打ち上げられた多くのごみが目立つ。日本海側を訪れると、ハングル文字の記されたプラスチック製品のごみが珍しくない。海を通し、多くのごみがあちこちへ拡散している様子がうかがえる。
 近年は、海洋のプラスチック汚染が問題視されている。クジラなどの海洋生物がポリ袋を誤飲しているケースが確認されているほか、プラスチックごみが海への流出過程で細分化したもの、洗顔料・化粧品などに含まれるマイクロビーズなど、ごく微少なプラスチック粒子(マイクロプラスチック)が海洋に相当浮遊しているとされる。
 プラスチックは製品として流通している場合は便利な存在だが、ごく微少なプラスチックの粒子として海洋生物に取り込まれると、食物連鎖の過程で有害化学物質が高濃度に濃縮される恐れがある。これは魚介類を多く摂取する日本人にとっても、決して見過ごせない問題だ。
 このため、プラスチック製品への対策を取る企業の動きも見られるようになってきた。マイクロビーズについては、角質除去や洗浄のためのスクラブ剤として使用された経緯があったが、米国や欧州など海外では既に、マイクロビーズを含む製品への規制が始まっており、プラスチックの使い捨て食器についても見直しが始まっている。
 日本では業界が自主規制の方向へと動いている。花王は洗顔料や歯磨きなどに天然由来成分のスクラブを使用し、海外で販売する一部商品にマイクロビーズを用いていたが、2016年末にマイクロビーズをすべて代替え素材に切り替えている。しかし国全体の取り組みは海外に比べ出遅れている感が否めない。
 米シアトル市は飲食店でのプラスチック製ストローの提供を禁止する措置に踏み切った。ストローは小さいためリサイクルが進まない点が問題視されている。シアトルに本社を置き、日本にも進出している米コーヒーチェーン大手スターバックスは今月9日、2020年までに全世界の店舗およそ2万8000店でプラスチック製ストローを撤廃すると発表した。今後、米国とカナダの店舗で試験的に導入しているリサイクル可能なふたへ切り替えられる予定だという。
 日本では使い捨てプラスチック製品が日常生活に浸透している。コンビニエンスストアやスーパーで購入する食品の多くは使い捨てプラスチックの容器に入れられており、洗って捨てるだけでよいという便利さが、人々の生活を手助けしてくれている。
 プラスチック製品の恩恵を多大に受けているものの、利用方法を見直すべき時期が訪れている。使い捨てプラスチックの便利さをどの程度手放せるのか、われわれに意識改革が求められている。

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豪雨災害「『危険』への備えが重要だ」

2018/7/11 水曜日

 

 西日本を中心に大きな被害をもたらした記録的豪雨。被災者には一日も早く日常生活が戻ることを願う。一方で、自分が暮らす場所にどんな危険があるのか、想定される「危険」を把握し、どこに避難するのか、日ごろの備えが重要だと改めて認識させられた。
 今回、被害が拡大した要因は活発な梅雨前線のため非常に激しい雨が降り、各地で想定を上回る記録的な雨量となったことだ。これにより、土砂災害や河川の氾濫、低地の浸水が同時多発的に発生し、事態の把握すらままならなかった。
 気象庁は早くから避難を呼び掛けていた。5日午後の会見では「台風の接近と違い、どこで記録的な大雨になるか予想できない。早めの避難を」と呼び掛けた。6日午前の会見でも「厳重な警戒」を呼び掛け、担当者が「大雨特別警報を発表する可能性がある。暗くなる前の避難を」と警鐘を鳴らした。
 この段階で避難するか否か、難しい判断だ。西日本では毎年のように大雨の被害が発生し、これまで避難指示が出ても目立った被害がなかった地域では、自分は大丈夫だろうという意識が働くことは想像できる。
 しかし気象庁は6日夕から夜にかけ、8府県について大雨特別警報を発表。土砂災害などに最大級の警戒をし、自治体の情報に従い直ちに避難することを呼び掛けた。
 この特別警報が、生死の分かれ目ではなかったか。救助された人は6日夜に自宅が2階まで浸水した、裏山の土砂が崩れた―と振り返る。もちろん、警報発表以前に浸水や土砂崩れが起きた場所もあろう。ただ、避難を迷っていても警報を機に行動していれば、犠牲者は少なかったのではないか。
 行動を起こすための基準を持つことも重要だ。日ごろから国土交通省や自治体がホームページなどで公表している「土砂崩れ危険箇所」や「ハザードマップ」を見て、自分が暮らす地域にどのような危険があるか把握していれば、「この雨の降り方は危ないな」と判断できる。
 避難の遅れについては、政府の対応が適切だったのか検証する必要もある。7日午後、各地で犠牲者が確認されことを受けて関係閣僚会議を開いたが、非常災害対策本部が設置されたのは甚大な被害が明らかになった8日午前と遅かった。
 一連の対応は被害の防止より救助や被災地支援に重きを置いている。予報機関である気象庁と役割分担しているのだろうが、避難を促すためには首相が陣頭に立ち、直接呼び掛けるといったアクションが必要ではないか。
 台風シーズンを控え、国内では今後も自然災害が起きるだろう。一日も早く、特別警報が出たら避難する、首相も直接避難を呼び掛ける―といった仕組みを構築すべきだ。

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オウム死刑執行「区切りだが終わりではない」

2018/7/7 土曜日

 

 地下鉄サリン事件などを起こしたオウム真理教の元代表麻原彰晃こと松本智津夫死刑囚(63)ら7人について、法務省は6日、刑を執行した。29人の命を奪い、6000人超を負傷させ日本中を震(しん)撼(かん)させた一連の事件は大きな節目を迎えた。ただ、全容が解明されぬままであり、今も存在する崇拝者らの動きに懸念が残る。
 執行されたのは松本死刑囚のほか、元幹部の土谷正実(53)、遠藤誠一(58)、新実智光(54)、井上嘉浩(48)、中川智正(55)、早川紀代秀(68)の各死刑囚。1月に一連の事件で起訴された教団関係者192人の刑事裁判が終結したのを受け、死刑囚13人のうち7人を東京拘置所から、他施設に移送しており、執行が近いとみられていた。
 1984年に発足したヨガサークルは、“空中浮揚”の写真などで民衆の興味を誘いながら拡大し、カルト教団へと姿を変えていった。坂本堤弁護士一家殺害事件、松本サリン事件、地下鉄サリン事件―とエスカレート。特に地下鉄サリン事件は、乗客と駅員13人が犠牲となり、5800人以上が負傷した、わが国の事件史に残る無差別テロだ。
 裁判で松本死刑囚は、弟子らに責任を転嫁し「私は完全に無罪」などと主張したのを最後に口をつぐむ。東京高裁は控訴を棄却、最高裁もこれを支持し2006年に死刑が確定した。結局、最後まで謝罪の言葉も、事件の詳細も口にすることはなかった。
 死刑執行に国民からは「あれだけいろいろな人を傷つけてきた。ようやくという気持ち」「どこかで区切りをつけないと」など、肯定的な声が聞かれた一方で、首謀者が全容を語らぬままでの執行を疑問視する人もいる。「慎重にも慎重な検討を重ねた上で決定した」という上川陽子法相の言葉から、難しい判断だったことがうかがえる。
 事件に関わった元幹部の多くは高学歴の若者。松本死刑囚に陶酔し、命じられた殺人は正当なものと信じて疑わなかった。カルト教団という閉鎖的組織の中に、われわれが理解し難い世界が確立されていた。教団は解散したが、複数の後継団体が今も存在し、松本死刑囚を崇拝する構成員らもいるとされ、こうした崇拝者らの動きを注視する必要がある。
 報復テロ、松本死刑囚の神格化と墓を聖地化する勢力の増強、死刑執行に乗じた模倣犯罪―考え得る脅威はまだまだある。死刑執行は一つの区切りであるが、事件終結を意味するものではない。弁護士一家殺害から約30年、地下鉄サリン事件から20年以上を経過し、当時を知らない世代が増えてきたことも気になる。過度の不安をあおるつもりはない。しかし、世界的に治安の良さが評価されるわが国でも、いつ、どこで、どんな凶悪事件が起きるか分からないという意識を薄れさせてはならない。

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夏祭り間近「よされ、世界一ねぷたに新風」

2018/7/6 金曜日

 

 日に日に日差しが強くなり、津軽はもう夏本番だ。この地方は、短い夏を謳歌(おうか)しようと、各地で夏祭り一色となるが、本紙紙面では、津軽南地域で今年の夏祭りに向けた、新たな試みや期待の膨らむ話題がいくつか紹介された。
 日本三大流し踊りの一つとして知られる黒石よされは、伝統の継承を目的としたクラウドファンディング(インターネットで資金提供者を集める取り組み)を初めてスタートさせた。県内の祭りでの同種の取り組みは珍しいとの話で、目標支援総額は50万円。達成の際は、古民家桟敷(さじき)席での観覧などのサービスを受けることができるそうだ。
 クラウドファンディングの利点は、さまざまあるだろう。一例で言えば、資金を求める側は、ネットを通じて、より広範な層に呼び掛けることができるし、出資する側も今回の黒石よされの場合がそうだが、目標額に達しない場合は、返金されるという仕組みもあるため、計画参加のハードルがより低いと言える。
 黒石よされは日本三大流し踊りの一つとは言え、阿波踊り(徳島市)、郡上おどり(岐阜県郡上市)に比べると一般的な知名度は、まだまだ低いと言わざるを得ない。伝統を守るという目的以外にも、黒石よされの知名度を上げるための魅力を発信する手段の一つとして、今回のクラウドファンディングが、効果を発揮してくれればと思う。
 クラウドファンディングの実施に当たり、黒石よされ実行委員会は、返礼品に古民家の桟敷席での観賞や黒石温泉郷の宿泊券などを用意している。古き良き街並みと名湯がそろう黒石の魅力を発信する良い機会になるに違いない。この取り組みをきっかけに黒石よされのにぎわいがさらに増すことを祈っている。この取り組みの支援額は5日現在で30万円を超えた。クラウドファンディングの締め切りは20日。さらに多くの賛同者が現れ、計画が成立するよう願っている。
 平川市では、世界一のねぷたが新調された。同市のねぷたまつりではトリを務めるなど、平川観光の“顔”とも言える存在だが、制作から約20年が経過し、老朽化と今後の安全運行に支障を来す恐れがあるため、骨組みからの作り替えとなった。幅はこれまでと同じ約9メートルだが、高さは初代に比べ1メートル高い、約12メートルとなり、世界一の大きさに一層の箔(はく)が付いたと言えよう。大きさも立派なものだが、濃淡の違う墨を使って描かれたねぷた絵も迫力があり、見る者を圧倒する。
 初陣は8月の平川ねぷたまつりだが、平川市では今年、帰省客をターゲットとした初めての祭り「平川あどの祭り」も計画されており、この場にも出陣するという。その雄姿は新しい祭りをもり立てるだろう。黒石よされ、平川市の世界一のねぷたとも新たな試みで、今年の津軽の夏祭りに新風を吹かせてもらいたい。

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