社 説

 

A!Premium「欧州への輸出拡大に期待」

2019/4/19 金曜日

 

 県産品の鮮度を維持してスピード輸送する仕組み「A! Premium(エー・プレミアム)」がサービスの拡充に向けて取り組むことになった。新たに、欧州などアジア以外の国への輸出や、ニーズに合わせた柔軟な対応ができるようになり、利用者の選択肢が大きく広がるという。県産品の一層の販路拡大に、さらに貢献してくれることだろう。関係者の意欲的な取り組みに期待したい。
 高い品質を誇りながら、消費地までの輸送に時間がかかることがネックだった本県の農林水産品。エー・プレミアムはこうした課題を解決しようと始まった新サービスで、保冷一貫輸送で自慢の鮮度を保ったまま、国内の9割の地域に翌日の午前中、アジアへも最短で翌日中の配送が可能になるという画期的な仕組みだ。2015年度にスタートして以降、活ホタテや鮮魚を中心に、野菜や加工品などにも取引が広がっており、年々取り扱い実績が増加。出荷する事業者だけでなく、バイヤーからも評価が高い。
 エー・プレミアムの大きな特徴は荷物1個から輸送が可能なことで、サンプル品などの送付に便利。輸出先も県産品のニーズがある程度見込めるアジア限定とし、これから輸出にチャレンジしてみようという小規模事業者に便利な仕組みだったし、取引先にも「少量から取引できるのがありがたい」という声があった。
 ただその分、販売ルートが確立した後のまとまった量への柔軟な対応や、アジア以外の国への輸出には対応しておらず、利用が広がるにつれ、より多様な選択肢を求める声が増えてきたという。
 3月、県とヤマト運輸に、ヤマトグループで国際物流を担うヤマトグローバルロジスティクスジャパンを加えた3者で連携協定を締結。本県で行った連携協定締結式には3者のトップが顔をそろえ、今後のサービス拡充に意欲を示した。
 注目されるのはアジア以外、特に欧州向けの物流ルート構築が掲げられていることだ。ヤマト側は18年度に仏・パリのアンテナショップで青森県フェアを実施し、現地の住民の関心の高さを感じたという。これまでの鮮度維持、スピード輸送の仕組みを欧州にも広げられれば、県産品のブランド化にも大きな弾みがつくことだろう。
 4月にはエー・プレミアムを含む物流環境の整備などをまとめた「県ロジスティクス戦略2ndステージ」を策定。計画期間は5年間で「Local to Local、Local to Worldの実現を目指して」というキャッチフレーズを掲げ、地方から世界に打って出るという意気込みを示している。
 エー・プレミアムについては、状況の変化に柔軟に対応できるよう1年ごとに目標を設定し、検証や改善を行うとしている。時代に合わせて常に進化するサービスであり続けてほしいと思う。

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やさしい日本語「定着で地域の魅力を高めたい」

2019/4/18 木曜日

 

 桜前線が北上を続ける中、“日本一の桜の名所”弘前公園の桜のつぼみも着々と膨らみ始めている。20日の弘前さくらまつり開幕を前に観光客も徐々に増えてきたが、印象的なのは外国人観光客の多さだ。
 ここ数年、青森空港への国際定期便就航などに伴い、本県を訪れる外国人観光客は増加傾向にある。城下町弘前も人気スポットの一つだ。当然のことながら、受け入れる側の体制整備も重要な課題。特に、観光客で混雑する祭り会期中に万が一、災害が発生したらどうするのか。
 弘前市ではこのほど、外国人にも分かりやすい「やさしい日本語」を活用した、災害想定の避難誘導訓練が行われた。弘前大学の協力を得て市が実施したもので、全国的にも初の試みという。
 訓練にはベトナム人約30人が参加。祭り会期中に震度6弱の地震が発生したとの想定で行われ、やさしい日本語を学んだ関係者らが避難誘導に当たった。誘導役の一人は「その国の言葉でなければ伝わらないと思ったが、やさしい日本語の方が通用することが分かった」と振り返る。さまざまな場面で多言語対応が求められる昨今だが、緊急時にはやさしい日本語が効果的であることが訓練で分かったと言えるだろう。
 やさしい日本語は、弘前大学人文社会科学部社会言語学研究室の佐藤和之教授が開発したものだ。1995年の阪神・淡路大震災がそのきっかけで、日本語や英語を十分に理解できない外国人の二重被災を防ぐことが目的だった。研究室では毎年内容を拡充しており、多くの人がより利用しやすく、効果的に活用できるよう工夫を重ねている。
 現在では減災対策の一つとして全国的に活用の場が広がっており、消防庁が2018年3月に策定した「外国人来訪者や障害者等が利用する施設における災害情報の伝達及び避難誘導に関するガイドライン」にも盛り込まれた。
 東京オリンピック・パラリンピックも控え、今後も外国人観光客は増加傾向にあると見込まれる。やさしい日本語は外国人のみならず、お年寄りや障害者ら災害弱者にとっても分かりやすいため活用の場は一層広がることだろう。
 同時に重要なのは、やさしい日本語を十分に理解した誘導役ら担い手の確保だ。市は今回、訓練を前に関係者を対象とした勉強会を開いた。今後は一般市民らも参加できる研修の場を設け、一人でも多くの人が万一の際に対応できる地域づくりを進めてほしい。
 市は今回の訓練を祭りの安全確保につなげたい考えだ。検証を重ねながら、やさしい日本語発祥の地である弘前が、全国から注目される活用モデル地域となることを期待したい。結果的に、安心安全な観光地としての魅力を増すことにもつながるはずだ。

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サル被害対策「抜本的な対策を急ぎたい」

2019/4/17 水曜日

 

 ニホンザルによる被害が深刻さを増している。4月10日には大鰐町内でサルに追い掛けられたとみられる男子児童2人が車にはねられた。全国的に農作物の食害などが多数確認されてきたが、今回は人命に直接関わる事態となった。同様のケースが起きないよう、捕獲といった抜本的な対策を急ぎたい。
 大鰐町の事故は唐牛字沼田の町道で発生した。その直後に現場に駆け付けた町職員や警察に、はねられた2人と一緒にいた児童は「サルに威嚇され追い掛けられた」と話していたという。児童の証言通り、サルが事故の一因になったとすれば、驚くべきことだ。子どもたちが安心して外に出られない状況は異常と言うほかない。
 唐牛地区では2017年までサルによる人的被害は見られなかったが、18年に5~6件に増加。町は対策として防災無線やチラシで注意喚起していたほか、箱わなを設置していた。しかし、状況は改善するどころか、悪化の一途をたどっている。空き家にサルがすみ着いているとの話もあり、町は対策を講じたい考えがあるようだが、所有者との交渉が難しく、着手できない状況という。
 他の鳥獣被害も同様だが、厄介なのは動物が「人慣れ」して、行動がエスカレートしていくことだ。大鰐町ではサルが住民の手をかむなどするほか、玄関を開けて仏間の供え物を盗んだり、シャッターをたたいて開けようとしたりする行動が見られている。
 ここまでくれば、鳥獣被害という範疇(はんちゅう)で片付けられないレベルに達しているように思われる。サルの傍若無人な振る舞いに、「(サルは)もうやりたい放題。何とかしてくれないものか」と目に涙を浮かべて語る住民の気持ちは十分に理解できる。
 被害をなくすことは容易ではなかろうが、手をこまねいているわけにはいかない。被害が発生している地域同士が知恵を出し合い、効果的な対策を生み出したい。
 深浦町で昨年秋に開かれた「野生動物対策技術研究会 第9回全国大会」のシンポジウムでは、町がサルの全頭捕獲の取り組みを報告した。二つの群れを成すニホンザルに発信器を取り付け、行動を把握。その情報に基づき、効率的に箱わなを仕掛けたほか、片方の群れの上位雌を除去したことで二つの群れが合流し、同時に駆除することが可能となった―などとした。
 深浦町は、サルは学習能力が高いため、対策は一つではなく複合的に講じるべきとするほか、地域住民らとの合意形成、役割分担の明確化も必要だと強調する。子どもやお年寄りが危険にさらされるような状況を解消し、二度と発生させないよう、行政、関係団体、住民が一丸となって立ち向かいたい。

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ブラックホール「宇宙の謎解明に期待」

2019/4/13 土曜日

 

 人類はまた一歩、宇宙の謎解明に近づくことになるだろう。国立天文台などが参加する日米欧などの国際共同研究プロジェクトが、世界各地の電波望遠鏡による観測で、史上初めて撮影したブラックホールの姿を発表した。
 あらゆるものをのみ込み、謎に包まれているブラックホールは、アインシュタインが約100年前に提唱した一般相対性理論から予言されていた。
 プロジェクトに参加した本間希樹・国立天文台教授は「百聞は一見にしかず。100年かけて解こうとしてきたジグソーパズルの最後のピースが埋まった」と胸を張った。
 ブラックホールは、強烈な重力により光すら抜け出すことができず、そのものの観測はできなかった。SFファンならずとも、謎に包まれた“宇宙のロマン”に一度は興味を抱いただろうし、宇宙を題材とした小説や映画、マンガなどには何度も登場してきた。
 時にブラックホールに吸い込まれそうになったり、その原理を使った武器が登場したりと、謎の多さゆえ、どこか恐ろしいイメージもある。
 これまではブラックホールに物質が流れ込む際、周囲のガスなどが光り輝く様子を捉えた画像が、存在を間接的に証明してきた。
 今回のプロジェクトでは、2017年4月、世界8カ所の電波望遠鏡で、地球から約5500万光年離れた楕円(だえん)銀河M87の中心にある巨大ブラックホールなどを観測。地球から月面に置いたゴルフボールを識別できるほどの解像度で得られたデータの解析を進めた。
 約2年間の解析の結果、M87中心部で明るく光るガスのリングの中に、ブラックホールの姿が黒い穴のように写る画像が得られた。リングの大きさから、ブラックホールの質量は太陽の約65億倍と判明。黒い部分の中心に、ブラックホールの本体があるという。
 つまり公開された画像はブラックホールの輪郭、“影の部分”だ。光や電波を飲み込むブラックホール自体は撮影できないが、周囲のガスを、高温部分は赤く、低温部分を黒くした結果、ブラックホールの影が鮮明になった。
 一方、観測したガスなどのデータを詳細に解析することで、銀河の中心でガスや星を引き付け、銀河自体の成長を促すブラックホールの、つまり宇宙の進化の過程が分かるかもしれない。
 理論上の存在から、実在の証明へ。今回の偉業を端的に言い表せば、こうなるだろう。そして銀河の誕生と進化の解明の手掛かりをもたらした。
 世界の科学者が手を取り合い、最新技術を駆使して宇宙の謎に挑んだ、記念すべき一歩である。これを足掛かりに宇宙誕生の謎の解明へ、また一歩近づいたことは間違いない。

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桜田五輪相更迭「政治不信にいっそうの拍車」

2019/4/12 金曜日

 

 桜田義孝五輪担当相が、自民党の高橋比奈子衆院議員のパーティーで「(東日本大震災からの)復興以上に大事なのは高橋さん」と発言した責任を取り、安倍晋三首相に辞表を提出して即日受理された。事実上の更迭という。
 政府が「復興五輪」と位置付けている2020年東京五輪・パラリンピックの担当大臣として耳を疑う発言である。震災復興を軽視している―とのそしりは免れない。
 とりわけ高橋氏は盛岡市出身で、被災地の広範を含む比例代表東北ブロック選出。被災者の心情を逆なでする言葉では、被災者はおろか、高橋氏の支援にならない。むしろ逆効果である。
 桜田氏は昨年10月の初入閣以来、度重なる失言・失態が問題視されてきた。今年3月にも、震災発生後に国道や東北自動車道などが「健全に動いていた」と事実と異なる発言をして撤回したばかりだった。ただ、今回は単なる失言で片付けられる内容ではない。
 「復興以上に議員が大事」発言から更迭までは2時間ほど。近年の類例に比べて一見早かった印象だ。早く幕引きを図ることで、21日投開票の衆院2補選(大阪12区、沖縄3区)や統一地方選後半戦、夏の参院選への影響を最小限にとどめる狙いがあった―との指摘もある。国土交通副大臣だった塚田一郎参院議員が道路整備をめぐる「忖度(そんたく)」発言で辞任した直後でもあり、“火消し”に躍起となったことは想像に難くない。 しかし桜田氏の一連の失言・失態を踏まえれば、更迭はむしろ遅かったと言えないか。更迭は安倍首相がもはやかばい切れないと判断したためだろうが、結果的に傷口をさらに広げたようにも映る。首相は今後、任命責任もさることながら、これまで擁護し続けた責任も問われよう。
 今回の問題は、「震災復興」は政治家にとってしょせん人ごとで、体のいい“お題目”にすぎなかった―と国民の政治不信にいっそう拍車を掛けた。震災に関する「東北で良かった」などの発言で、2年前に今村雅弘復興相(当時)が更迭された件も記憶に新しい。被災者をはじめ国民が再び抱いた憤りややり切れない気持ちは、政治への不信を経て無関心を誘発する。
 東京五輪・パラリンピックの関係者にとっても、担当相自身による大会理念を軽視した発言は受け入れられまい。競泳の池江璃花子選手が白血病を公表した際の桜田氏の発言「がっかりしている」を踏まえ、「やっぱり」と納得する人は多いだろう。「復興」の本気度が問われ、大会のイメージ低下も懸念される。
 いずれにしても、国民に寄り添う心を欠いた政治家が招いた事態は深刻だ。政治家の言葉の重さを改めて考えさせられる。

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