社 説

 

憲法記念日「改憲議論の進展は政治の責任」

2019/5/3 金曜日

 

 3日は憲法記念日。安倍晋三首相は悲願の憲法改正に意欲を示すが、首相の思惑は別として、改憲が必要か否か議論はすべきだろう。今年は天皇退位に伴う皇室制度の問題、1票の格差是正をうたい定数を増やして行われる参院選など、現行憲法の抱える課題に向き合う1年でもある。国民の関心が高まる機を逃さず、かつ冷静な議論を期待したい。
 憲法をテーマとした最近の各種世論調査を見ると、若い世代を中心に改憲に肯定的な意見が多い傾向にある。その理由としては施行70年が過ぎて時代に即していない、または現代の問題が反映されていないことを挙げる人が多い。
 具体的には大規模な自然災害時などに首相の権限を強化する非常事態条項や、環境権の創設などは容認派が多い。つまり日常生活に直結する問題ほど、賛否がはっきりする傾向にある。
 では天皇退位に伴い関心が高まっている、女系天皇や女性宮家の創設について世論の反応はどうか。時事通信の先月の世論調査では、男系男子に限られている現在の皇位継承資格を女系・女性皇族にも広げるべきかとの質問に対し「広げるべきだ」が69・8%。「広げるべきではない」は11・2%、「どちらとも言えない・分からない」は19・0%だった。
 皇族数の減少対策となる女性宮家創設の賛否は、「賛成」69・7%、「反対」10・3%、「どちらとも言えない・分からない」20・0%となった。政府は女系・女性天皇と女性宮家に慎重な姿勢を示しているが、回答者の約7割は容認している。政府が世論を尊重するならば、早期に安定的な皇位継承の在り方に関する議論を始めるべきだ。
 周知の通り皇位継承資格を持つ男性皇族は減少しており、対処策の検討は急務だ。当然、議論の過程で女性・女系天皇容認や女性宮家創設の議論も避けて通れない。その場合、首相の支持基盤である保守派は女系天皇などに反対しており、激しい論争になる可能性もある。
 このため政府内には皇位議論を来春以降に先送りする意見もあるという。新天皇即位に伴う一連の儀式が続いている間に論争が過熱するのは好ましくないとの思惑が透ける。ただ、政治判断で議論を1年近く先送りすることは、野党はもちろん、世論の反発を招くだろう。
 一方の参院選。1票の格差を是正する抜本改革を先送りし定数6増とする暫定的な制度改正で選挙は行われる。野党との合意努力を放棄し、自らの都合を押し通した与党の傲慢(ごうまん)さを有権者は忘れてはならない。政治は衆参選挙制度の抜本改革に向け直ちに議論を始めるべきだ。時代に逆行する合区は改め、必要ならば改憲まで踏み込むのが筋ではないか。
 国民にとって憲法が身近な存在となり、改憲議論に参加しやすいものになるか否かは、ひとえに政治の責任だ。

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新時代始動「目指すべき“令和流”とは」

2019/5/2 木曜日

 

 新天皇陛下が1日、皇位に就かれ、令和の時代がいよいよ始まった。皇居で国民の代表と会う儀式「即位後朝見の儀」では、政府、国会、裁判所の要人や地方代表ら290人余りを前に「常に国民を思い、国民に寄り添う」と最初のお言葉を述べられた。
 退位された上皇さまは在位した30年間、全国植樹祭、国民体育大会、全国豊かな海づくり大会のいわゆる「三大行幸啓」に必ず出席。東日本大震災など災害に際しては現地を訪れ、被災者を慰めてきた。避難所で膝をついて被災者と言葉を交わす「平成流」は定着した。
 新陛下はお言葉で上皇さまに触れ、「上皇陛下がお示しになった象徴としてのお姿に心からの敬意と感謝を申し上げます」と語った。お言葉通り、平成に引き続き国民に寄り添う「令和流」を築かれることだろう。
 新陛下が象徴として責務を果たす決意を示された中、県内も祝賀ムードに包まれた。30日で幕を下ろした平成時代を踏まえ、新時代に期待を抱き、自らも決意を新たにした国民は多数いるだろう。
 本紙は4月29日付紙面で、平成元年に生まれた若者に30年を振り返ってもらい、新時代への思いを語ってもらった。各人が自分たちの生きてきた時代をしっかり捉え、未来に向かうための明確なビジョンを持っていた。
 われわれは年始にも一年を過ごす上で気持ちを新たにするが、改元に際して抱く気持ちはまた異なるものだろう。個々人が普段より社会全体を意識する場面となっていることは明らかだ。皇室の在り方や皇位継承について深く考えるとまではいかなくても、国民としての意識を新たにする面はあるのではないか。
 平成の30年は世界が急激に変化した時代だったが、変化の速度は増す一方だ。令和は平成以上に変化が激しい時代になるのではないだろうか。とすれば、われわれは将来をしっかり見据えなければならない。
 本紙の取材を受けた若者たちも、それぞれの仕事を通じて感じた社会の課題、新時代に向けた目標を語ってくれた。
 消防職員として現場を駆け回る男性は人の命に関わる仕事の重みを改めて感じ、傷病者を救う決意を新たにした。家業の果樹生産を継いだ男性は国内農業の存続に向けて課題をしっかり認識し、その解決に取り組む熱意を示した。商工会議所で高校生対象のファッションイベントを担当する女性は生徒の夢をサポートすることを誓った。
 熱い思いで目標を語った彼らはそれぞれの「令和流」を模索しているのかもしれない。社会はますます複雑化し、難しい課題も山積しているが、時代に合った解決策を探る努力はしたいものである。一人ひとりにとっての「令和流」が必ずあるはずだ。

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令和元年「歴史的節目、思いを新たに」

2019/5/1 水曜日

 

 平成から令和へ―。1日、新天皇が即位し、元号が「平成」から「令和」に改まった。新元号の発表から1カ月の助走期間を経て、いよいよきょうから新しい時代がスタート。県内でも弘前公園で慶祝行事が行われるなど、各地で新時代をにぎやかに祝う動きが広がっている。
 振り返れば「昭和」から「平成」への改元は昭和天皇崩御に伴う手続きで、国民の間にはとても「新時代を祝おう」という明るい空気はなかった。昭和天皇のご容体悪化が報じられた1988年9月ごろから、国内では祭りなどのイベントが中止されたり、個人的な祝い事や宴会なども中止・延期されたりと自粛ムードが広がり、「平成」になった後もしばらく自粛の動きは続いた。天皇の代替わりは社会全体やさまざまな経済活動に多大な影響を与えてきたと言えるだろう。
 今回の生前退位は、こうした国民生活への影響も考慮して決められたことと思う。新元号の公表も1カ月の周知期間をもって行われ、われわれは改元に当たって「平成」の時代を振り返り、新たな「令和」の時代を迎える準備ができた。
 特徴的なのは、前回の改元時とは対照的に、改元効果をにぎわい創出や経済活動につなげようという動きが活発なことだ。さまざまな企画を準備する時間的な余裕があったことも大きい。令和の文字入りの商品が売り出されたり、各地に記念撮影スペースが設けられたり。カウントダウンイベントが行われる行楽地もある。新天皇即位に伴い、1日が祝日になったことで「令和」のスタートは10連休のさなか。サービス業をはじめ、必ずしも連休を享受できる人ばかりではないのだが、にぎわいの中、多くの人が一緒に歴史の節目を祝う場面が目立つだろう。
 この機に新たな家族としての歩みを始めようという動きも。1日は改元と大安が重なるため、相当数の婚姻届が見込まれており、県内では複数の自治体が臨時窓口を開設し、カップルを祝福する。
 こうした動きを見ると、やはり元号は国民の意識に深く根付いているのだと思う。昨今は西暦表記を使うことが多く、普段は意識していないが、改元を一つの区切りとして受け止め、思いを新たにする人はきっと少なくないに違いない。
 30日に行われた退位礼正殿の儀で、陛下は「象徴としての私を受け入れ、支えてくれた国民に、心から感謝します」と国民への謝意を示され「新しい令和の時代が、平和で実り多くあることを、皇后とともに心から願い、ここに我が国と世界の人々の安寧と幸せを祈ります」と在位中、最後のお言葉を述べられた。
 1日には新天皇が「即位後朝見の儀」でお言葉を述べられ、即位に伴う関連儀式や行事は年末まで続くという。新時代の平和を祈りつつ、自分は「令和」をどう生きるか。どんな社会、どんな時代にしていくべきか。考える機会としたい。

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平成終わり令和へ「永続的な平和が続く時代に」

2019/4/30 火曜日

 

 1989年1月に始まった「平成」はきょう30日、天皇陛下の退位をもって幕を閉じ、翌5月1日には新たな「令和」の時代を迎える。平成は実に30年3カ月。思えば、いつの時代とも等しく喜ばしい、また悲しい出来事があった時代だったが、これまでの時代区分と比べて異なるのは、陛下自ら言及された「戦争がない時代」だったということ。間もなく訪れる新しい時代がどのようになるのか、誰も知るよしはない。しかし、引き続き戦火のない平和な世の中が続くと信じたい。
 平成が始まったころは空前の好景気、いわゆる「バブル景気」の真っただ中だった。昭和天皇が崩御された直後に、後に首相を務めることとなる当時の内閣官房長官・故小渕恵三氏が「平成」の額縁を掲げ、新時代の幕開けを告げた。40歳前後からそれ以上の世代にとっては鮮烈な記憶となって残っているのではないだろうか。
 しかし、好景気は長くは続かなかった。日本景気はバブル崩壊、就職氷河期、リーマンショックに代表されるような、先の見えない暗闇の時代に突入。追い打ちを掛けるように、国民から“普通の生活”を奪った阪神・淡路大震災、東日本大震災とそれに伴う福島原発事故、世界を震撼(しんかん)させた地下鉄サリン事件など、歴史に残る未曾有の大災害や大事件が相次いだ。
 こうした出来事はマイナスイメージで捉える向きがあるが、一方では長野冬季五輪開催や2020年東京五輪の開催決定、東北新幹線の全線開業などが、多くの国民に希望と期待を抱かせた明るい話題も少なくなかったことも忘れられない。
 本県で印象的な出来事といえば、リンゴ産業に大打撃を与えた1991年の台風19号(りんご台風)や、本県南西部から秋田県北西部にまたがる白神山地の世界自然遺産登録、平川市やつがる市などが誕生した平成の大合併といったことが挙げられよう。
 平成は確かに戦争がなかった時代ではあったが、北朝鮮によるミサイル発射や核実験が国民に危機感を抱かせた。竹島の領有問題や北方領土問題、北朝鮮拉致被害者問題も、解決への先行きは不透明なままだ。こうした負の遺産を解決し、その次の時代に引き継がないよう、いっそうの努力が令和の時代に求められる。もちろん武力に頼らぬ平和的な手段でだ。
 明治、大正、昭和と歩んできた戦争の歴史を断ち切った平成。内部的苦難、深い悲しみに突き落とされながらも、国民は助け合って乗り越えてきた。そして、その場には国民に寄り添う象徴としての陛下のお姿があった。陛下の思いを引き継ぎ、あす皇太子さまが新天皇に即位される。

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大型連休スタート「気を引き締め楽しい10日間に」

2019/4/27 土曜日

 

 5月1日の改元に伴う10連休がきょう27日、スタートした。祝賀ムードの高まりによる個人消費の拡大や弘前さくらまつりなど観光関連の経済効果が期待できる一方、行政をはじめとする官民のシステム改修が正常に稼働するかなど、前例のない大型連休が生活に及ぼす影響に不安を抱いたままでの突入となった。
 物流関係ではヤマト運輸が通常通りの荷受け、配達を行うが、高速道路の渋滞などにより一部地域で遅れが生じる可能性があるとしている。日本郵便は速達やゆうパックなどは毎日配達、普通郵便物は27日、5月2日だけとなる。金融機関の多くは10連休は休業日。ATMは稼働させるが、引き出しの増加で現金が残高不足となる懸念があり、全国銀行協会は「監視、補充に努める」とする。
 急な傷病時も不安。厚生労働省は受診できる医療機関について都道府県別リンク集、弘前市医師会や南黒医師会などが医療機関診療日を、それぞれのホームページで公開している。地元だけでなく、旅先の情報も確認しておくべきだろう。ただし、連休中は規定の割増料金が加算される場合があるという。
 気になるのは中央省庁や自治体、観光事業者などのシステム改修。官房総務課は「大丈夫とは思うが」としながらも、5月1日未明からトラブルの有無をチェックする態勢を敷く。自治体の中には改修が間に合わないケースもあるが、総務省は「平成」表記の各種証明書について、「令和」に読み替えるよう注意書きを添えるなど、生活に支障が生じないようにすれば問題ないとしており、改修未完了を含む全自治体で、適切に応じられることを確認しているという。
 各自治体で多忙が予想されるのが5月1日の「令和記念婚」の受け付け。大安に当たっていることも拍車を掛けそうだ。弘前市は婚姻届専用の臨時窓口を設け「心を込めて受け付ける」(櫻田宏市長)。休日は通常、日直窓口で受け付けているが、弘前さくらまつり会期中で日直窓口が観光客対応に追われる特殊事情も考慮した。全国的には今月30日の「平成駆け込み婚」も見込み、両日の特別態勢を取る自治体がある。
 こうした取り組みを見ると、史上最大の連休も、大きな混乱は避けられそうだ。ただ、新元号の発表から1カ月もない限られた期間で、それぞれ急ピッチの準備を進めたこともあり、不測の事態が生じないとは言い切れない。万一のトラブルに適切な対応ができるかが重要だ。
 一般市民も大型連休や新たな時代の幕開け、春爛漫(らんまん)の弘前さくらまつりなどもあり、浮かれがちになる。飲酒運転は言語道断だが、小さな気の緩みや生活リズムの変化、疲労などが、あらゆる場面で命に関わる危険を招く可能性があると、肝に銘じてほしい。決して無理せず、注意を怠らず、楽しい10日間にしたい。

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