社 説

 

ブラックアウト「想定超を考えた対策急げ」

2018/9/13 木曜日

 

 北海道胆振地方を震源とする地震から1週間が経過した。地震では大規模な土砂崩れで多くの命が失われるとともに、道内のほぼ全域が停電する「ブラックアウト」が問題となった。このような事態に陥ったのは初めてという。営業休止を余儀なくされた道内の店舗などで再開の動きが出始めてはいるが、電力の全面復旧は11月以降になる見通しで、暖房需要が増える季節を控え、道民は不安を募らせている。
 ブラックアウトの発端は、北海道電力の供給の約半分を担う苫東厚真火力発電所の緊急停止。電力供給と需要のバランスが崩れると、発電機器などの故障を引き起こすため、道内各地の発電所が次々と停止したという。早期の稼働再開を阻んでいる大きな要因は、タービン発電機の火災が発生した苫東厚真火力発電所4号機の点検・修復。高温の蒸気で運転するタービンを冷やした上で一度分解し、組み立て直す必要があるためだ。
 道内の明かりを奪ったブラックアウト。電力各社は、道外での発生は「ゼロではないが、考えにくい」とする。東日本大震災を踏まえ、電力を融通できる仕組みが強化され、本州と九州で278㌗、本州と四国は380㌗の融通が可能。しかし、本州と北海道間の「北本連係線」の容量はわずか60㌗で、電力融通を十分に受け入れる体制にない。増強工事が行われているが、地震に間に合わなかった。他地域で起きないとした背景には、北海道が抱える特有の事情がある。
 一般の国民はこうした事態になって初めて、生活基盤の脆弱(ぜいじゃく)さを知る。本州に上陸した台風21号で関西国際空港の滑走路が水没し、利用者らが空港内に孤立。西日本の7月豪雨では、土砂災害や河川氾濫などで大きな被害が生じた。そして今回の北海道地震―。大きな災害を乗り越えるたびに、国民一人ひとりが身を守るすべを学んできた。
 一方、7日告示の自民党総裁選で安倍晋三首相(党総裁)は、防災・国土強靱(きょうじん)化のための緊急対策を今後3年間に集中的に実施することなどを表明した。特定非常災害特別措置法に基づく「特定非常災害」に指定される阪神大震災、新潟県中越地震、東日本大震災、熊本地震を経験しながら、いまさら強靱化とは。近年相次ぐ「数十年に一度」の災害のたびに迅速に対応してきたのも、地震予知が難しいのも分かる。なのに、甚大な被害を防げていない。過去を踏まえた対策に見通しの甘さはなかったか。
 北海道以外でブラックアウトは考えにくいと言われても、それが「ゼロではない」限り不安は残る。国や関係機関は、想定を超える事態に陥る可能性があるとの考えに基づく対策を、早急に講じなければならない。そうでなければ、今後起こり得るさまざまな災害で、不幸を繰り返すことになりかねない。

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中核病院「地域医療の体制強化に期待」

2018/9/12 水曜日

 

 津軽圏域8市町村の医療を支える中核病院構想は、実現に向けてスタートラインに立てる環境がようやく整った。弘前市立病院と国立病院機構弘前病院の機能を統合した中核病院の2022年早期開設を目指す内容。同機構が運営主体となり、市立病院は開設に伴い廃止するという。10月上旬にも関係機関が基本協定を締結する運びだ。
 医師不足などに伴い、特に同圏域の2次救急医療は現場の疲弊が指摘されている。医療資源の集約による効率的な医療サービスの提供、2次救急の体制強化といった面で中核病院に寄せられる期待は大きい。
 同時に、その実現には継続可能な費用負担の見通しも不可欠だ。その意味で、関係する同機構、県、弘前大学、弘前市の4者が、費用負担や市立病院の職員の雇用といった懸案を含めて合意に至った意義は大きい。県が16年10月に示したこの2病院統合案に基づく整備を最優先で進める姿勢を打ち出し、4月の市長選で初当選した現市長の意向が反映された結果だろう。
 県の提示後、協議する過程では、前市長が地域包括ケアシステムの拠点としての機能も絡めて整備し、市が運営主体となる新たな「考え」を打ち出していた。この案には中核病院と地域包括ケアを切り離すべき―といった意見や、市の巨額な費用負担への懸念が上がっていた。今回の合意では、市がこれらに対応する形で仕切り直したとも言える。
 中核病院の方向性が定まったことで、同圏域の他市町村も同調しやすくなったのではないか。前市政で示された新たな「考え」に対しては、周辺市町村長から「(構想に)加わる余地がない」など疑問の声が上がっていた。中核病院は圏域にある他の自治体病院の在り方をも左右する大きな存在。それぞれの関係機関には、圏域全体で医療を支え、充実に努める姿勢が必要だ。
 これまで地域医療を支えてきた市立病院の廃止には不安が根強いとも聞く。圏域医療の将来像を具体的に示すことで、不安の払拭(ふっしょく)を図ってほしい。
 中核病院開設までの市立病院の経営改善も忘れてはならない課題だ。施設運営上必要と考えられる常勤医の充足率(5月1日現在、県自治体病院開設者協議会まとめ)は76・7%。県内22自治体病院全体の充足率68・1%は上回っているが、津軽地方の中でも決して高いとは言えない。
 市立病院の17年度事業会計決算で純損益は約5億5200万円の赤字となり、2年連続の赤字決算。累積赤字は約33億7878万円に上っている。医師数の減少に伴い患者数も減ったことが、医業収益減につながった主因という。中核病院の在り方が固まったことが、経営改善の“呼び水”にもなればいい。

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台風21号「台風シーズン到来、備えを」

2018/9/8 土曜日

 

 日本列島に大きな被害をもたらした台風21号。上陸した西日本、特に近畿地方は被害が大きく、関西空港は風にあおられたタンカーが連絡橋に衝突した影響などにより、空港全体が孤立化。5000人以上の利用者が一時、空港内に閉じこめられるなど深刻な影響を受けた。7日には一部の便が運航を再開したが、空港の機能が完全に回復するには、まだ時間がかかりそうだ。
 強い勢力と暴風域を保ったまま日本海を北上した21号は4日深夜から5日未明にかけて本県に最接近した。本県でも津軽地方を中心に倒木被害が相次ぎ、交通機関も乱れたほか、弘前市など8市町で最大8000戸余りが停電するなどの被害が出た。
 収穫の季節を迎える農業にも被害が発生した。弘前市を中心に、津軽地方のリンゴ園地では落果や枝折れ、倒木などの被害が見られた。台風通過後の園地では生産者が、落ちたリンゴを拾い集めたり、散乱した枝やコンテナ箱を集めたりと、その後始末に追われた。被害状況を調査した県りんご協会によると、落果被害の状況は6日時点で、県全体で2018年産の県産リンゴ予想収穫量(45万5500トン)の1%程度と推計している。だが被害程度は地域や園地でばらつきがあり、収穫前のリンゴが3割程度も落果するような大きな被害も局地的に発生。弘前市内では特に「アップルロード」沿いや市の中西部で、多くの落下被害が生じ、中にはリンゴが半分以上落ちた園地もあるという。ほかにも稲の倒伏やビニールハウスの損壊など、台風の爪跡は津軽各地に残された。
 収穫目前で被害を受けた生産者の心情は察して余りある。一方で、今回の台風の勢力の大きさや本県への接近度合いなどを考えれば、より広範で深刻な被害も想像されただけに、予想より軽いものとして胸をなで下ろした生産者も多かっただろう。
 ただ、台風シーズンはこれからが本番だ。今年は9月初めの段階で、すでに21個を数えるなど、台風の発生がいつになく多い。今後の発生状況、進路など関係者にとっては気をもむ日が続く。考えたくもないが、今年が台風の“当たり年”だとすれば、本県に被害を与え得る台風が、再び現れる可能性は十分にあるだろう。警戒の気持ちを緩めてはならない。生産者には、今後も気象情報をチェックし、生育するリンゴの収穫適期も細かに把握するなどして台風が接近した場合に素早く対応できる態勢を整えてもらいたい。また防風網や支柱の点検など、風に対する備えが万全であるか確認をしながら日々の作業を進めてもらえばと思う。
 津軽地方のリンゴ園地はこれから中生種を経て、主力品種ふじの収穫へ進んでいく。これ以上大きな災害が発生せず収穫の喜びを迎えられるよう祈っている。

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北海道で震度7「いま一度、備えの確認を」

2018/9/7 金曜日

 

 6日未明、北海道の胆振地方を震源とする地震が発生し、厚真町鹿沼で震度7を観測した。列島は4日から5日にかけ台風21号が猛威を振るったばかり。改めて自然の恐ろしさを実感し、日ごろの備えがいかに大切か再認識させられた。
 国内で震度7を観測したのは2016年4月の熊本地震で2度発生して以来、6回目。北海道では初めて観測された。
 道内各地で露出する山肌、土砂に押しつぶされた家屋、液状化で泥に覆われた道路など、目を疑う光景が次々と伝えられ、巨大地震の力に言葉を失った。
 停電による生活への影響も看過できない。調理ができずにパンやカップ麺を買い求める人々、携帯電話を充電するための行列などは、いかに日常生活が電気に頼っているか物語る。
 東日本大震災でも被災地は停電に苦しんだ。余震の際にも停電が発生し、供給バランスの崩れなどが送電設備に負荷をかけ、結果的に大規模停電につながることを初めて知った。
 思い起こせば、停電によって携帯電話は唯一の情報収集手段となり、充電が切れそうになれば右往左往した。しかし今では携帯電話の充電や自家用車の給油に心を配ることは皆無だ。あれだけガソリン不足に苦労したにもかかわらず、時間の経過とともに警戒心が薄らいでいる。
 列島は4日から5日にかけ、25年ぶりに非常に強い勢力で上陸した台風21号が猛威を振るったばかり。関西国際空港の閉鎖に目を奪われがちだが、判明しているだけでも7人が犠牲になっており、本県のリンゴ落果を含め被害の全容は分かっていない。
 犠牲者の中には高層階の自宅にいて、窓から飛び込んできた飛来物に当たった人がいる。また、修理などのために屋根に上がり、強風で転落した人もいた。
 気象庁や自治体、メディアは台風上陸前から建物の中でも窓の近くは避けることや、不要不急の外出、屋根に上がることをやめるよう繰り返し注意を促していたが、悲劇は繰り返された。
 6月から7月にかけての西日本豪雨も苦い教訓だ。犠牲者が200人を超えるなど豪雨災害の被害では最大規模だった。ここでも裏山と反対側の部屋に移動するよう、ニュースなどで事前に注意喚起されていたが、土砂崩れによる犠牲者は多かった。
 相次ぐ自然災害を受け、各省庁は防災対策の強化に乗り出している。しかし、自分の身を守れるのは自分だ。先日のテレビ番組では、災害が起きた場合にどうするかを考え、家族で話し合うことだけでも効果はあると指摘していた。
 自治体の避難指示に従う、自宅にいる場合でも安全性の高い場所を選ぶ、充電や給油、食料など非常時への備えをいま一度、家族と共に確認したい。いつ何時、災害が起きてもいいように。

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国民新代表に玉木氏「党勢拡大、野党共闘なるか」

2018/9/6 木曜日

 

 国民民主党の新代表に、玉木雄一郎氏が選ばれた。共同代表だった玉木氏は引き続き党勢の拡大、野党共闘の構築に全力を挙げる考えを示すが、その道のりは険しいと言わざるを得ない。
 民進党と希望の党が合流して今年5月に結成された国民民主。当初、衆参70~80人規模での発足を目標としたが、不参加者が想定よりも増え、加わったのは両党合計の6割弱にとどまる62人だった。原発や安全保障に関する政策で立憲民主党との溝が生じることへの懸念が拡大したことに加え、昨年の衆院選で民進を飛び出した希望議員の再合流は「国民の理解が得られない」との空気が強まったためだ。
 旧民主党政権が下野した後に繰り返された政党の離合集散に対し、国民からは依然として厳しい視線が向けられている。国民民主の政党支持率が1%程度にとどまっているのは、その表れだろう。
 国民民主としては、今回の代表選をきっかけに存在感を高め、党勢拡大につなげたいとの思いがあったはず。しかし、告示日に柚木道義衆院議員が離党届を提出し、いきなり冷や水を浴びせられた格好となった。玉木氏らによる全国遊説が繰り返されたが、党員・サポーターの投票率は約31%と、支持者内でも関心が低かったことが浮き彫りになった。
 代表選出後の記者会見で「全党一丸となって党勢拡大に取り組みたい」と語った玉木氏。挙党態勢をどのように構築していくのか、まずは最初の大仕事となる党役員人事でその方向性を示してもらいたい。
 党の結束と同時に、取り組むべき課題が野党共闘の構築だ。玉木氏は先の通常国会で、安倍政権に対して「対決より解決」との路線を掲げてきたが、代表選で「先頭に立って安倍政権に向き合っていきたい」と軌道修正した。野党共闘を意識したものだと思われるが、他の野党の不信感は消えていない。
 国会運営で足並みをそろえたとしても、政策面での隔たりもある。例えば2019年10月の消費税率10%への引き上げについて、玉木氏は代表選で実施すべきとの見解を示したが、立憲民主、共産、自由、社民各党は反対している。野党共闘のためだけに政策を転換した場合、党内や支持者、国民の理解を果たして得られるのだろうか。
 ただ、野党共闘が実現できなければ、来夏の参院選をはじめ国政選で与党を有利にするだけだ。「多弱」野党が候補者を乱立してきたことが、「安倍1強」となった一因でもある。その弊害として、政権のおごりや緩みを招いているとの側面もあるだろう。参院選まで1年を切り、時間は限られている。与党に対抗できる野党勢力の構築に向け、国民民主がどのような働きを見せるのかという点でも、玉木氏の手腕が問われている。

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