社 説

 

日本海拠点館「全館オープン実現へ努力を」

2019/4/6 土曜日

 

 8年近く、ほぼ利用休止となっていた鯵ケ沢町の日本海拠点館が5月8日から、一部スペースで供用を再開することになった。供用されるのは屋外の「夏の広場」と1階「冬の広場」、2階「多目的広場(旧国際交流プラザ)」の3スペース。現在、町は町内外に対し広く利用を呼び掛けている。再開後は、かつてのにぎわいを少しでも取り戻すことを期待したい。
 1997年8月、総事業費約44億円を投じて完成、オープンした拠点館は鉄筋鉄骨コンクリート造りの地上6階建て。敷地面積は2万3355平方メートル、延床面積8293平方メートル、建築面積2938平方メートルという大きさを誇る。500人を収容できるホールを備えている他、「冬の広場」をはじめとするスペースや会議室などを持つ。しかし、空調設備の故障に伴い、億単位の改修工事費用が見込まれ、対応が困難となったことから、図書コーナーを除いて利用休止となっていた。
 町は当初、供用再開の考え方について「全館オープン」を掲げていたが、平田衛町長は昨年9月の町議会定例会で「段階的使用」に切り替える方針を示し、可能な部分から供用させていくための検討と準備を重ねてきた。
 町中心部の海岸沿いにあり、「そびえる」という言葉を使ってよいほどの巨大さと威容を誇る。その姿はまさに「拠点」の名にふさわしい。しかし、これほどの施設が長期間にわたり、ほぼ使用できない状況に追い込まれていたことは、町にとって大きな損失となっていたと思われる。それだけに、一部とはいえ今回、供用を再開させることの意義は非常に大きいと言えよう。
 現在、「冬の広場」では、施設利用の例を示すため、鯵ケ沢町と西北地方の古写真パネルや「白神赤石の四季コンテスト」の写真などを5月5日までの予定で展示している。同広場は、こうした展示に加え、面積的にはミニコンサートも可能だ。町としては、拠点館を「文化拠点」としてアピールする考えだ。利用数を高めることで、町内外にその存在感を示していければよい。
 ただ、一部供用再開が決まったとはいえ、本来理想的な姿はホール利用を含めた「全館オープン」であろう。現在、見通しは立っておらず、その要因は前述の巨額となる改修工事費用だ。利用休止となった直後は1億円程度と見込まれた費用だが、空調設備以外にも修理が必要な箇所が見つかり、さらに上回る見通しとなっている。
 町は厳しい財政状況にあり、新庁舎建設も抱えるだけに、全館オープンの見通しは現状で困難なことは理解できる。ただ、真の意味で日本海の「拠点」となるには全館供用が不可欠であり、実現に向けた努力を進めてほしい。

∆ページの先頭へ

農業とICTの融合「内容深化で労働力不足対策に」

2019/4/5 金曜日

 

 県農協中央会は、今年度からの取り組みとして、情報通信技術(ICT)を活用しながら、経営や営農の情報を生産者と農協職員が共有して双方の省力化を図る「営農ICT情報システム」を構築することを明らかにした。同システムは、労働力不足が課題になっている農業者やJA職員(営農指導員ら)の業務を省力化することが狙いだという。
 稲作、畑作、果樹と分野、種類を問わず、農作物の栽培、管理というものは、天候など気象条件に左右されるものが多い。まして、昨今は大規模かつ、特異な気象災害なども頻出化しており、これまで以上に、農作物の生産、品質管理に注意を払わねばならない場面が増えているのではないか。
 そうした中にあって、よりきめ細やかでスピーディーな営農支援、作物指導を欲しているのが、生産現場の現状といえるだろう。しかし、JA職員の数には限りがある。生産者のニーズにすべて完全に対応するには、さまざまな課題があるに違いない。
 マンパワー不足にどのように対応するか。その答えの一つとして注目されるのが、ICTの活用だろう。今ある人的資源を有効に活用しながら、JA職員と生産者の間をICTが取り持つことで、情報伝達がさらにスピーディーになり、生産者の多様なニーズにも幅広く対応できる可能性が広がる。1次産業と情報通信技術の融合は、多くの発展性を秘めた新しい切り口として注目を集めている。
 今回、県農協中央会が導入する機能は、営農指導員らに貸し出されたタブレット端末などから生産指導や気象といった営農指導などに関する情報を発信するもので、これに加え、連絡事項や市況速報なども生産者が自身のスマートフォンで受け取れる仕組みになっているそうだ。一方、生産者は、SNSやメーリングサービスで栽培に関する相談や物品の注文もできるようになるという。
 これまでの営農指導は、生産者から相談を受けると、営農指導員らが、現場まで赴いて対応することが基本なため、どうしても時間と労力がかかっていた。ICTを介することで、移動のロスが省かれ、指導員の負担軽減にもつながる。もちろん、直接現地で状況を確認しての対応、指導が必要な場面も出てくるだろうが、システムを上手に活用することで、効率的に指導を受けられる場面が増えるはずだ。
 ICTの活用という点で言えば、例えば、新規就農者や若手の生産者にとっても、使い慣れた手段を生かして相談や情報を受けることができるため、新規就農や後継者不足対策にもつながるだろう。あらゆる産業で労働力不足が顕在化する中、対応が模索されているが、農業とICTの融合は、さらに内容の深化を図るべき分野と考える。

∆ページの先頭へ

つるたスチューベン「GI登録でブランド力向上を」

2019/4/4 木曜日

 

 鶴田町で生産が盛んなブドウ「つるたスチューベン」が、地域特性を生かした農林水産品ブランドを保護する「地理的表示保護制度(GI)」の対象として登録された。
 農家らが工夫を重ねて地域の環境に適した生産方法を生み出し、色づきがよく糖度が高いスチューベンを生産していることが評価されたものだ。3月20日付で全国75品目となる登録を受けたが、ブドウとしては全国初という。
 津軽地方では2015年12月に第1号となった「あおもりカシス」(青森市など)、16年12月に登録された「十三湖産大和しじみ」(五所川原市など)に続き3例目となる。
 農林水産省が進める同制度は地域の気候風土に育まれた高品質な農林水産物や食品の名称を登録し、知的財産として保護する仕組み。登録された産品には登録商標(GIマーク)が付けられ、名称やマークを不正利用した場合は罰則が科せられるため偽装表示防止にもつながる。
 同様の制度は既に世界100カ国以上で導入されており、フランスの「カマンベールチーズ」やイタリアの「パルマハム」などがその一例だ。日本では2015年に創設され、本県の「あおもりカシス」や北海道の「夕張メロン」など7品目が初めて登録された。
 今回追加登録された「つるたスチューベン」は、つるを下げる一般的な「棚方式」ではなく、垂直の支柱を何本も立ててつるを連結させ、ブドウの葉が垣根のように見える「垣根方式」を導入して生産しているのが大きな特徴だ。
 この方式によりブドウの一粒一粒に太陽がよく当たり、甘く色づきの良い町特有の仕上がりになるという。雪の重みに耐えられるメリットもあるようだ。
 スチューベンは米ニューヨーク州の農業試験場で1947年に生まれたブドウの一種。糖度18度以上と極めて甘く、普通冷蔵で2カ月ほど持つ貯蔵性の良さが特徴だ。鶴田町では減反政策を機に水田などを利用して作付けが始まり、1979年にブドウの協会が設立された。ニューヨーク州とほぼ同緯度にあり、気候も似通っているとされる地で、会員農家らが栽培技術の向上に取り組み、地域に適した栽培・貯蔵技術を確立した。
 現在、同町を中心とする約140戸の農家が生産しており、2017年度の作付面積は約100ヘクタール、生産量は約1100トンで、いずれも日本一を誇る産業に成長している。
 「つるたスチューベン日本一推進協議会」の成田義弘会長は「GIマークに恥じないブドウを生産したい」とし、引き続き安心安全でおいしい消費者に喜ばれるブドウの生産に努める考えだ。GI登録を弾みに高品質生産に一層励み、ブランド価値を高めながら農家所得の向上と地域振興に結び付けてもらいたい。

∆ページの先頭へ

改元効果「活発な経済活動維持へ工夫を」

2019/4/3 水曜日

 

 新元号「令和」の発表を受け、引用された万葉集関連書籍の重版や、新元号をあしらった商品の発売など、早くも新元号効果を期待する経済活動などが、全国各地の幅広い業界で活発化している。日本銀行が発表した3月の全国企業短期経済観測調査(短観)で、景況感が大幅悪化。米中貿易摩擦などが主因だが、半年後には消費増税を控えており、各業界が新元号に期待するのもうなずける。
 発表直後の1日には、神奈川県にある百貨店の食品売り場ではレーザーで焼き印を入れた「新元号かまぼこ」などが販売された。県内でも弘前市の津軽藩ねぷた村が「新元号記念金魚ねぷた」の制作に着手した。「新時代の始まりに当たり、日本はもちろん本県も輝けるように」と黄金色の体に「令和」の短冊をつり下げて、新しい時代に願いを込めた。
 出版業界が万葉集関連書籍を重版したり、書店は特設コーナーを拡充したりといった動きが出ている。文庫版の万葉集を発行している岩波書店によると、新元号が発表された1日昼ごろ以降、書店からの注文が殺到しているという。書店に消費者から在庫の問い合わせや取り置き依頼が相次ぎ、ネット通販大手「アマゾン」では関連書籍が、売れ筋ランキングの上位に連ねた。
 新元号発表に即応した経済活動が生まれたのは今回の特徴だ。政府は官民の情報システム改修期間を設ける必要があるとし、皇位継承の1カ月前の「4月1日」に新元号を決定すると事前に公表したため、関連商品開発などの準備が可能になったのに加え、これまでのような天皇崩御による自粛ムードと違い、退位に伴うものであるため、日本全体が祝賀ムードに包まれ、記念商品販売などの経済活動につなげやすい環境ができた。
 特に電子書籍の普及などから、印刷による「本」離れに悩んできた出版業界や書店にとって、日本古典(国書)からの出典は、千載一遇の好機と捉えられたようだ。注目が集まる万葉集をきっかけに、日本文学や日本史に対する関心の高まりにも期待したい。
 弘前さくらまつりは会期中の5月1日に改元を迎えるため、記念イベントを検討中だ。弘前市公園緑地課の開花予想(1日現在)によると、園内は26日に満開となる見通し。今後の天気次第だが、咲き誇る“国花”に包まれる弘前公園は、天皇即位と令和のスタートを文字通り華々しく祝福できそうだ。日本を代表する春祭りの一つであり、経済効果だけでなく、日本の美や元号に込められた思いを国内外にアピールする場にしたい。
 最初の盛り上がりの1カ月後、天皇即位で令和が始まる。少なくとも、それまでは祝賀ムードが続くだろう。その先、改元効果をどう維持するか。経済活性化には「平成最後の」同様、消費意欲を誘う「令和最初の」工夫が求められる。

∆ページの先頭へ

新元号“令和”に「全国民が咲き誇る時代に」

2019/4/2 火曜日

 

 政府は1日、「平成」に代わる新元号を「令和」と決定。天皇陛下が政令に署名して官報に掲載、公布された。645年の「大化」から数えて248番目の元号で、典拠が日本古典(国書)となるのは初めて。5月1日、皇太子さまの天皇即位で新たな時代が幕を開ける。
 これまでの元号は確認できる限り、全てが中国古典(漢籍)からの出典。これに対して新たな元号は、現存する日本最古の歌集「万葉集」が由来。天皇や貴族だけでなく、防人や農民まで幅広い階層の人々が詠んだ約4500首が集録されている。
 敗戦から経済大国へと成長した昭和。東日本大震災をはじめ、未曾有の大災害が相次いだ平成。戦禍や自然の猛威に苦しみながらも、国民は助け合い、心を一つに復興へ臨んできた。新元号には、人々が美しく心寄せ合う中で、文化が生まれ育つ―という意味が込められているという。激動の昭和、平成を経て、優しく花開く希望に満ちた新たな時代になることを期待させる。
 平成の元号が発表されたのは、昭和天皇の崩御から8時間後。国民は悲しみと喪失感の中で、新時代を迎えた。しかし、今回は憲政史上初の退位に伴う改元。東京・新宿の大型ビジョン前に多くの若者らが集まり、令和の2文字が映し出されると拍手が沸き上がった。県民も「素直にめでたい」「令和は新鮮でいい」などと口にした。全国が祝賀ムードに包まれての元号発表も印象的出来事だ。
 経済界からも「日本が新しい時代に踏みだすにふさわしい元号」(中西宏明・経団連会長)など、歓迎する言葉が相次ぎ、東京株式市場は大幅続伸の「ご祝儀的な雰囲気」(銀行系証券)になった。
 元号と西暦の併用が一般的になった現代だが、喜びに沸く国民の姿を見ると、元号に対する思いが日本人の中に根付いていることを実感する。改元は日本人が自国の素晴らしさを再認識するきっかけになるのではないだろうか。
 政府は官民の情報システムの改修期間を確保するため、皇位継承の1カ月前に新元号を発表した。国民生活への影響を可能な限り回避しようという初の試みは、大いに評価できる。とはいえ、実際に、全てが大型連休前までの限られた時間の中で十分な対応ができるのかは不透明。混乱なく令和を迎えられるよう、さまざまな事態を想定した徹底点検を急がなければならない。
 5月1日午前0時、平成31年は令和元年となる。新元号には「日本の国柄をしっかりと次の時代へと引き継ぎ、日本人がそれぞれの花を大きく咲かせることができる日本でありたいとの願い」(安倍晋三首相)が込められている。確かに改元は新しい時代の幕開けである。しかし、その時代を創造するのは、国民一人ひとりであることを忘れてはならない。

∆ページの先頭へ

Page: 1 ... 87 88 89 90 91 92 93 94 95 ... 205

当サイトでは一部、Adobe Flash・PDFファイルを使用しております。閲覧にはAdobe Flash Player・Adobe Acrobat Readerが必要です。最新のプラグインはアドビ社のサイトより無料でダウンロード可能です。

  • Adobe Flash Player ダウンロードセンター
  • Adobe - Adobe Reader ダウンロード