社 説

 

紙幣刷新「令和の世に親しまれるお札に」

2019/4/11 木曜日

 

 政府は紙幣のデザインを2024年上期をめどに刷新すると発表した。1万円、5千円、千円の3紙幣で、刷新は現在の紙幣の流通が始まった04年以来、20年ぶりとなる。新しい肖像は、1万円札が日本の資本主義の礎を築いた渋沢栄一、5千円札は女性教育を推進した津田梅子、千円札は日本近代医学の先駆者、北里柴三郎がそれぞれ採用された。また21年度上期をめどに500円硬貨の素材や製造方法も改めるという。
 コピー技術が高度化する中、政府は偽造を防止するため、約20年ごとに紙幣のデザインを一新している。今回もそうした流れの中でのデザイン刷新だろうが、先ごろ発表した「平成」から「令和」への改元祝賀ムードの盛り上げを狙ったようにも見える。そういう目で見れば、あざとさを感じないわけでもないが、偽造防止という観点で見れば、刷新は必要なものであり、タイミングとしても、新しい紙幣への準備期間などを考えれば、この時期の発表もうなずけなくもない。
 肖像に選ばれた3氏について、麻生太郎財務相は「新たな産業の育成、女性活躍、科学技術の発展など現代にも通じる諸課題に尽力されており、新元号の下での新しい紙幣にふさわしい人物だ」と説明している。確かに3氏とも、経済、教育、医学の分野で日本の発展に大きな役割を果たした人物ばかりであり、いずれも新時代の紙幣の顔となるにふさわしい人物と思う。
 ただ、知名度という点では、なじみが薄いと感じる国民もいるだろう。今回は発表も唐突な印象が拭えなかった。選考過程を透明化し、候補の公表を行うなどすれば、国民の関心や認知度はもっと高いものになったのではないかと思う。
 新紙幣に対する思いはさまざまだろうが、機能面や偽札対策としては、最新の技術が盛り込まれている。視覚障害者が紙幣の違いをより判別しやすくなるようにユニバーサルデザインを採用。指の感触により、紙幣の種類を識別できるマークの形状や位置の変更などを行った。また訪日外国人旅行者にも分かりやすいように、額面数字を現紙幣よりも大きくしている。偽札対策としてはホログラムをさらに強化し、肖像の3D画像が回転する最先端のホログラムを銀行券として世界で初めて採用する。
 官民挙げてのキャッシュレス化の推進が図られているが、日本人の現金に対する信頼感は根強いものがある。より使いやすく、さらにまがいものが出にくくなる対策が施されるのは、意義のあることだ。新紙幣の機能充実に期待したい。
 両替機や現金自動預払機(ATM)など、紙幣が変われば、対応をしなければならないものは多い。時間的な余裕はあるが、市民生活に直結したものだけに、これらの対策も抜かりなく行わなければならないだろう。

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ごみの減量「小さな積み重ねが成果を生む」

2019/4/10 水曜日

 

 県の調査によると、2017年度の県民1人1日当たりの一般廃棄物(ごみ)の排出量は1002グラムで、前年度より2グラム減った。しかし、都道府県順位は前年度より一つ下げて43位。減量に向けた取り組みが一層必要であることが分かる。
 人口減少や各自治体の減量化に向けた施策により、県内のごみは減少傾向にあるという。県民1人1日当たりの排出量の内訳を見ると、生活系680グラム(前年度比2グラム増)、事業系322グラム(同4グラム減)。生活系は県循環型社会形成推進計画で定めた20年度までの目標値680グラムを達成したが、5年ぶりに前年度を上回った。
 ごみの減量に向けた取り組みは各市町村で行われなければならないが、県内人口の半分以上を占める青森、八戸、弘前の3市の状況が県全体の排出量にとりわけ影響することは明らかだ。弘前市の1人1日当たりのごみ排出量は1156グラムで、前年度より8グラム減ったが、県内順位は前年度と同じ38位で、10市中最下位。市民の意識改善が求められている。
 市側も意識改善の必要性を強く認識しており、今年3月にはごみの減量化・資源化に向け、市町会連合会、弘前商工会議所とそれぞれ協定を締結した。ごみは生活系、事業系に大別され、両方の減量化・資源化が求められていることを踏まえれば、両団体との協定は有意義だ。
 市町会連合会との協定書では各地区での意識啓発活動の実施、弘前商工会議所との協定書では会員事業所を対象に無料で古紙類を回収する「オフィス町内会」の加入促進などをそれぞれ盛り込んだ。協定締結を契機に市民、事業者への働き掛けを進めたい。
 ごみの減量は古くて新しい問題だ。前述のように、ごみの減少傾向は人口減少などによるところもあり、ごみを排出する一人ひとりが取り組みを着実に進めているのかと言えば、必ずしもそうとは言えないのではないか。県の調査で分かるように、県民のごみの排出量は全国と比べると、まだまだ多いのである。
 それでは、われわれは日常でどのようなことを心掛ければよいのか。県などは「3つの『きる』」キャンペーンを展開している。食品ロスの削減などを狙ったもので、▽食材を使いきる▽作った料理を食べきる▽生ごみの水気をきる―の3点を呼び掛けている。
 この3点について徹底するだけでも、日数を重ねれば相当の減量につながるはずだ。ただ、実行して継続できるかというと容易ではない。ごみ問題は地球規模の大きな問題だが、原因はわれわれ一人ひとりの生活の送り方にある。小さな取り組みをこつこつと積み重ねることが大きな成果を生むことを再認識したい。
 「3つの『きる』」に加え、ごみ減量のため生活の中でできることはないか、いま一度探してみてはどうだろうか。

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県議選に審判「関心の低さが課題」

2019/4/9 火曜日

 

 統一地方選前半戦の県議選は7日、無投票を除く10選挙区で投開票され、有権者の選択が示された。自民党は改選前に続き安定過半数を確保したが、党県連の重鎮が落選し、課題も。一方の野党は立憲民主党が県議会での初議席を獲得するなどし、一定の成果を手にした。
 自民党は公認した候補者で28議席を獲得し、引き続き安定過半数を確保。連携する公明党も現有2議席を維持した。ただベテランを含む自民党の現職4人が落選し、党県連の江渡聡徳会長は「厳しい評価が出たと思っている」と述べ、知事選、参院選への影響を懸念。「しっかりと態勢を組み直したい」とし、今後の一連の選挙戦に向け、組織や活動の在り方を見直す考えを示した。
 野党は立憲民主党が弘前市区で県議会での初議席を獲得、五所川原市区でも国民民主党の元職が自民党の候補を破るなど、津軽地方で支持を広げ、党勢拡大に向けた足掛かりを得た。ただ、そもそも擁立した候補者の人数が限られていたこともあって、県議会での「自民1強」は変わらない。今後、有権者の期待にどう応え、支持を広げていくかが課題だ。人材の発掘、育成、草の根の組織づくりも急務と言えるだろう。夏の参院選では立憲民主党が既に公認候補の擁立を発表し、野党共闘に向けて動いており、これからの戦いぶりが注目される。
 今回の県議選は政党間での連携の動きが目立った。公明党は競合しない選挙区で自民党の公認、推薦候補を推薦し、自公の連携を強化。国民民主党と社民党は互いの公認候補を推薦、立憲民主党と社民党は政策協定を締結して協力態勢を築くなどしており、支持政党のある有権者には、投票の参考になっただろう。
 ただ投票率は極めて低かった。10回連続で過去最低を更新し、ついに5割を切って48・38%と低迷。保守対決で注目された東郡区など津軽地方の1人区ではいずれも60%を上回ったが、県内3市区は4割台と低く、最低の八戸市区では42・27%にとどまった。有権者からは県議選は市町村議選に比べて身近ではない、誰に投票すればいいか分からないなどの声が上がっており、県議会に対する関心の低さは、当選した全県議が真剣に受け止めなければならない課題だろう。
 政治への関心の低さは、続く統一地方選後半戦、知事選、参院選でも引き続き課題となる。候補者や各政党は活動の在り方を見直し、有権者にいかに訴えるか、知恵を絞るべきだ。
 政策が分かりやすく、比較しやすいビラの解禁、期日前投票所の増設など、投票しやすい環境づくりも進んでいる。有権者の側も政治が最終的に自分の生活に直結することを理解し、今後を誰に託すか考えなければならない。たとえ、提示された選択肢に不満があったとしても、誰かに託さなければならないのだから。

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日本海拠点館「全館オープン実現へ努力を」

2019/4/6 土曜日

 

 8年近く、ほぼ利用休止となっていた鯵ケ沢町の日本海拠点館が5月8日から、一部スペースで供用を再開することになった。供用されるのは屋外の「夏の広場」と1階「冬の広場」、2階「多目的広場(旧国際交流プラザ)」の3スペース。現在、町は町内外に対し広く利用を呼び掛けている。再開後は、かつてのにぎわいを少しでも取り戻すことを期待したい。
 1997年8月、総事業費約44億円を投じて完成、オープンした拠点館は鉄筋鉄骨コンクリート造りの地上6階建て。敷地面積は2万3355平方メートル、延床面積8293平方メートル、建築面積2938平方メートルという大きさを誇る。500人を収容できるホールを備えている他、「冬の広場」をはじめとするスペースや会議室などを持つ。しかし、空調設備の故障に伴い、億単位の改修工事費用が見込まれ、対応が困難となったことから、図書コーナーを除いて利用休止となっていた。
 町は当初、供用再開の考え方について「全館オープン」を掲げていたが、平田衛町長は昨年9月の町議会定例会で「段階的使用」に切り替える方針を示し、可能な部分から供用させていくための検討と準備を重ねてきた。
 町中心部の海岸沿いにあり、「そびえる」という言葉を使ってよいほどの巨大さと威容を誇る。その姿はまさに「拠点」の名にふさわしい。しかし、これほどの施設が長期間にわたり、ほぼ使用できない状況に追い込まれていたことは、町にとって大きな損失となっていたと思われる。それだけに、一部とはいえ今回、供用を再開させることの意義は非常に大きいと言えよう。
 現在、「冬の広場」では、施設利用の例を示すため、鯵ケ沢町と西北地方の古写真パネルや「白神赤石の四季コンテスト」の写真などを5月5日までの予定で展示している。同広場は、こうした展示に加え、面積的にはミニコンサートも可能だ。町としては、拠点館を「文化拠点」としてアピールする考えだ。利用数を高めることで、町内外にその存在感を示していければよい。
 ただ、一部供用再開が決まったとはいえ、本来理想的な姿はホール利用を含めた「全館オープン」であろう。現在、見通しは立っておらず、その要因は前述の巨額となる改修工事費用だ。利用休止となった直後は1億円程度と見込まれた費用だが、空調設備以外にも修理が必要な箇所が見つかり、さらに上回る見通しとなっている。
 町は厳しい財政状況にあり、新庁舎建設も抱えるだけに、全館オープンの見通しは現状で困難なことは理解できる。ただ、真の意味で日本海の「拠点」となるには全館供用が不可欠であり、実現に向けた努力を進めてほしい。

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農業とICTの融合「内容深化で労働力不足対策に」

2019/4/5 金曜日

 

 県農協中央会は、今年度からの取り組みとして、情報通信技術(ICT)を活用しながら、経営や営農の情報を生産者と農協職員が共有して双方の省力化を図る「営農ICT情報システム」を構築することを明らかにした。同システムは、労働力不足が課題になっている農業者やJA職員(営農指導員ら)の業務を省力化することが狙いだという。
 稲作、畑作、果樹と分野、種類を問わず、農作物の栽培、管理というものは、天候など気象条件に左右されるものが多い。まして、昨今は大規模かつ、特異な気象災害なども頻出化しており、これまで以上に、農作物の生産、品質管理に注意を払わねばならない場面が増えているのではないか。
 そうした中にあって、よりきめ細やかでスピーディーな営農支援、作物指導を欲しているのが、生産現場の現状といえるだろう。しかし、JA職員の数には限りがある。生産者のニーズにすべて完全に対応するには、さまざまな課題があるに違いない。
 マンパワー不足にどのように対応するか。その答えの一つとして注目されるのが、ICTの活用だろう。今ある人的資源を有効に活用しながら、JA職員と生産者の間をICTが取り持つことで、情報伝達がさらにスピーディーになり、生産者の多様なニーズにも幅広く対応できる可能性が広がる。1次産業と情報通信技術の融合は、多くの発展性を秘めた新しい切り口として注目を集めている。
 今回、県農協中央会が導入する機能は、営農指導員らに貸し出されたタブレット端末などから生産指導や気象といった営農指導などに関する情報を発信するもので、これに加え、連絡事項や市況速報なども生産者が自身のスマートフォンで受け取れる仕組みになっているそうだ。一方、生産者は、SNSやメーリングサービスで栽培に関する相談や物品の注文もできるようになるという。
 これまでの営農指導は、生産者から相談を受けると、営農指導員らが、現場まで赴いて対応することが基本なため、どうしても時間と労力がかかっていた。ICTを介することで、移動のロスが省かれ、指導員の負担軽減にもつながる。もちろん、直接現地で状況を確認しての対応、指導が必要な場面も出てくるだろうが、システムを上手に活用することで、効率的に指導を受けられる場面が増えるはずだ。
 ICTの活用という点で言えば、例えば、新規就農者や若手の生産者にとっても、使い慣れた手段を生かして相談や情報を受けることができるため、新規就農や後継者不足対策にもつながるだろう。あらゆる産業で労働力不足が顕在化する中、対応が模索されているが、農業とICTの融合は、さらに内容の深化を図るべき分野と考える。

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